TOBは株価にどう影響しますか?
以前、TOBの発表で「デサント(8114)」の株価が激しく動いていた日がありました。そもそもTOBって何ですか?株価にはどのような影響がありますか?
TOB(ティーオービー)は、企業買収の手段の一つです。「株式公開買い付け(Take Over Bid)」とも呼ばれ、買収したい企業の株を、プレミアム価格をつけて市場から集める方法です。TOBが発表されると、基本的に株価は上がります。実際にTOBされたデサント(8114)を例にして、具体的に見てみましょう。
TOBをする狙い
2019年1月31日に、総合商社の伊藤忠商事(8001)がデサント(8114)のTOBを発表しました。伊藤忠商事はデサントの筆頭株主で、韓国事業に依存するデサントの経営体制を改善したいと考えていました。そこで、市場からデサントの株を買い集めて(TOB)、経営への影響力を強めようというのが、今回の狙いです。
株式を33%超取得すると、役員会などで決定した重要な決議を拒否することができます。50%超取得すると、役員の選任ができます。66%超で会社の解散や合併ができます。伊藤忠商事は、買付け上限株数を7,210,000株と設定し、保有比率を、30.44%から40%へと高めようとしているのです。そして、買付け額を2,800円としました。
株価への影響
TOB前日のデサントの株価は、1,871円でした。伊藤忠商事は、およそ50%増のプレミアム価格をつけて、市場から株価を買い集めようとしているのです。デサント株を持っている投資家は、2,800円で持株を伊藤忠商事に売却することができます。そうすると、TOB価格以下の値段で株を買い、TOB時に利益を得たいと考える投資家がこぞって買いにやってくるため、デサントの株価は伊藤忠の買付け価格付近まで上がります。
基本的に、TOBは市場価格よりも高いプレミアム価格で買い付けるため、株価は上がります。デサントのTOB発表後の2月1日には、2,771円まで急騰しました。その後は、2,500円付近で落ち着ついています。これは、デサントがTOBに反対していたからです。TOBが成立するかわからない状況になり、様子見の状態が続いていたと考えられます。
「友好的TOB」と「敵対的TOB」の2種類がある
TOBには、友好的なものと敵対的なものがあります。今回のケースは、買収される側の会社(デサント)の同意が得られなかったため、敵対的TOBに当てはまります。このようなケースでは、買収防衛策として買収される企業が他社に支援を仰ぐことがあります。支援する企業は、敵対的TOB価格よりも、高い値段で市場から株を買い集めようとします。そうなると、株価はさらなる上昇が期待できます。敵対的TOBは、あまり起こらないめずらしいケースなので、市場の注目を集めていました。
<友好的TOBとは>
TOB発表前に、買収の対象となる会社の合意を得た上でおこなわれます。会社を再建をするためにおこなわれるケースが多く見られます。
<敵対的TOBとは>
強引に買収を仕掛けるものです。買収の対象となる会社が買収防衛策をおこなうので、思うように進みません。買収価格が吊り上がることもあり、国内ではあまり活用されません。
★TOBは、基本的に株価が上がる要因となります。自分の保有株がTOBされた場合は、TOBの買い取り価格に近づいたら、株を売って利益を確定させてしまいましょう。TOBについてもっと詳しく知りたい人は、「TOB(株式公開買い付け)とは?意味や事例をわかりやすく解説します」をご覧ください。
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投資歴18年目の株初心者アドバイザーです。2005年からの投資成績は+2億円を突破しました!2009年に発売した著書『はじめての株1年生 新・儲かるしくみ損する理由がわかる本』は、累計59,000部のロングセラー。その他、数多くの金融系メディアにも寄稿しています。