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【グローバルニッチトップ関連株・銘柄まとめ】2025年最新のグローバルニッチトップ企業はどこ?優良企業や今後の見通しも解説
グローバルニッチトップ関連株は、ニッチな分野(すき間産業)で高い世界シェアを持つ会社の株です。経済産業省が「①世界シェアと収益のバランス、②技術の独自性、③サプライチェーン※1における企業の重要性」という3つの観点から不定期で100選を発表しており、銘柄選びのヒントとして投資家から注目を集めています。
※1 サプライチェーンとは、製品の原材料や部品の調達からはじまり、顧客に販売するまでの一連の流れを指します。
この記事では、グローバルニッチトップ関連株にはどのような銘柄があるのか、今後どうなるのかを、株初心者向けにわかりやすく解説します。
グローバルニッチトップ企業とは?
グローバルニッチトップ企業とは、ニッチな分野(すき間産業)で世界的に高いシェアを持つ企業です。経済産業省は不定期で「グローバルニッチトップ企業100選」を発表しています。この100選では、以下3つの観点から企業を選定しています。
グローバルニッチトップ企業の選定基準
- 世界シェアと収益のバランス
- 技術の独自性
- サプライチェーンにおける企業の重要性
経済産業省が選定した企業以外にも、上記の条件を満たす企業が存在します。「グローバルニッチトップ関連株・銘柄一覧」では、上場企業の中からグローバルニッチトップの条件に当てはまる銘柄を紹介しますので、ぜひ銘柄選びの参考にしてください。
具体的な銘柄を紹介する前に、グローバルニッチトップについてもう少し理解を深めておきましょう。
グローバルニッチトップを目指すメリット
グローバルニッチトップ企業になると、安定的に収益をあげられます。専門性が高く市場規模が小さいニッチ分野は、大手ライバル企業にとって費用対効果が合わないことが多いためです。
ただし、高いシェアを獲得できる市場を見つけたとしても、必ずしも目覚ましい業績成長が期待できるとは限りません。ニッチな分野の先行きは市場の成長性に影響されるからです。
ニッチな分野は市場が小さいため、売上の伸びしろには限りがあります。市場がどんどん拡大していく成長産業であれば売上は青天井ですが、衰退産業であれば売上の成長はあまり期待できません。
成長産業と衰退産業の例
成長産業には、生成AI(人工知能)や電子部品に欠かせない半導体が挙げられます。これらの市場は急成長しており、投資家からの注目度も高くなっています。
例えば、半導体製造装置分野ではアドバンテスト(6857)と米国のテラダインの2社が世界シェアの8割を占めています。この分野は成長市場であるため両社の売上は好調ですが、仮に成長が止まった場合、お互いにシェアを奪い合わなければ業績を伸ばすことはできません。
衰退産業としては、農業が当てはまります。農家の高齢化が進み、2050年までに国内産の農作物は半減する見込みです。このため、農機や農薬メーカー大手は海外進出に力を注いできました。例えば、農機のクボタ(6326)はニッチ市場である小型トラクターで北米首位です。
それでは、グローバルニッチトップ関連株を見ていきましょう。
グローバルニッチトップ関連株・銘柄一覧
グローバルニッチトップ関連株を、下記の3つに分けて紹介します。
なお、グローバルニッチトップ関連株への投資では、値上がり益(キャピタルゲイン)と配当(インカムゲイン)の両方が期待できます。成長産業の銘柄では値上がり益を、成熟産業の銘柄では配当を狙うと良いでしょう。
成長産業
成長産業からは、半導体業界に属するグローバルニッチトップ関連株を紹介します。半導体のような成長率が高い産業では、積極的に設備投資する企業が多く、半導体製造装置や物流装置、部品などを製造する企業がその恩恵を受けています。
具体的な銘柄を挙げると、半導体試験装置大手のアドバンテスト(6857)や半導体回路形成で使うフォトレジスト用感光性材料※2を製造する東洋合成工業(4970)、半導体等装置の部品メーカーであるフェローテックホールディングス(6890)などがあります。
※2 フォトレジスト用感光性材料とは、光に反応して変化する材料で、半導体装置の製造に関する「フォトリソグラフィ」という技術に欠かせない化学薬品です。
また、マテリアルハンドリング※3の売上高で世界1位を誇るダイフク(6383)や車載用のモーターコア※4で世界シェアNo.1を獲得している三井ハイテック(6966)もご紹介します。
※3 マテリアルハンドリングとは、生産工程や物流においてモノを移動する作業のことです。
※4 モーターコアとは、車や家電製品を動かすモーターの主な部品の一つです。
成熟産業
年率数%で成長する産業を「成熟産業」と定義します。ご自身で銘柄を選ぶ際には、シェアが高く収益が安定している銘柄をピックアップするのがおすすめです。また、成熟産業は成長産業ほど積極的に成長への投資をおこなわないため、配当にお金が回りやすい特徴があります。
今回は、配当利回り3%以上をひとつの目安として銘柄をピックアップしました。プラスチック容器成形機械メーカーの日精エー・エス・ビー機械(6284)や自動車・鉄道等向けのワイパーブレードラバー※5で世界トップシェアのフコク(5185)、世界トップクラスの切削工具メーカーであるオーエスジー(6136)、クリエイター向けペンタブレット※6市場で世界シェア首位のワコム(6727)をご紹介します。
※5 ワイパーブレードラバーとは、ワイパーの先端部分に付けられるゴム製の部品です。ガラス面に密着して雨などの水分をふき取ります。
※6 ペンタブレットとは、イラストやマンガなどのデジタルコンテンツを制作する際に使われる入力機器です。パソコンに接続して、専用のペンでイラストを描きます。
衰退産業
名目経済成長率(インフレ率を含む)を下回る成長率となっている産業を「衰退産業」と定義します。今回は農業関連から、小型トラクターで北米首位を誇るクボタ(6326)を紹介します。
銘柄名 (クリックタップで最新株価) |
事業内容 |
---|---|
アドバンテスト (6857) |
米国のテラダインと世界市場を二分する半導体検査装置メーカー。GPU※7向けのテスター(検査装置)をほぼ独占供給している。海外売上比率は9割強で中国向けが約3割となっている。 |
東洋合成工業 (4970) |
化学メーカー。半導体やディスプレイの製造に使われる「フォトレジスト用感光性材料」で世界シェアNo.1。海外売上比率は3割強で、中国・台湾向けは約15%。世界26か国と直接取引している。 |
フェローテック ホールディングス (6890) |
半導体装置の部品メーカー。液体(磁性流体)を使って密封空間を守る『真空シール』の商品化に初めて成功し、世界シェアNo.1を獲得。海外売上比率8割超で中国向けが5割強。高配当銘柄でもある。 |
ダイフク (6383) |
マテリアルハンドリングシステムの売上高で世界1位。海外売上比率は7割弱で北米が約3割。世界24か国・地域に拠点を持つ。 |
三井ハイテック (6966) |
工作機械メーカー。金型技術に強みを持っており、車載用のモーターコアで世界シェアNo.1を獲得している。海外売上比率は5割弱で中国向けが約2割。世界12か国・地域に拠点を持つ。 |
日精エー・エス・ビー機械 (6284) |
プラスチック容器の製造機メーカー。ペットボトル成形機のリーディングカンパニー。世界16か国に拠点を持ち、インドに大規模工場を構える。海外売上比率は9割超で米州、南・西アジアが各3割ずつ。 |
フコク(5185) | 独立系自動車用ゴム製品メーカー。ワイパーブレードラバーと油圧ショベル用ビスカスマウント(運転席の振動を小さくする部品)で世界No.1シェア。海外売上比率は5割超で東南アジアとインドが2割。世界8カ国、16の生産拠点で事業を展開。高配当銘柄。 |
オーエスジー(6136) | 世界トップクラスの切削工具メーカー。「タップ※8」や「ドリル」と呼ばれる切削工具が売上の6割超を構成。納入先には自動車向けを中心に航空機、微細精密加工などがある。海外売上比率は約6割で、米州と欧州・アフリカ、アジアで各2割。世界33か国で事業を展開している。 |
ワコム(6727) | クリエイティブ向けペンタブレットで世界首位。自社ブランド製品の海外売上比率は8割超で、米国とドイツの割合が高い。スマートフォンやタブレット、デジタル文具の組込み用製品が主力製品。 |
クボタ(6326) | 農業機械の国内最大手企業。小型トラクター(40馬力以下)で北米首位を誇る。農作業用ではなく、草刈りや軽い土木作業など、個人からの需要が大きい。 |
※7 GPUとは「Graphics Processing Unit」の略語で、日本語では「画像処理装置」と訳されます。AI向けに多く使われる処理能力が高い半導体です。
※8 タップとは、金属にねじ用の穴(専門用語で「めねじ」と呼びます)を作るための切削工具を指します。
グローバルニッチトップ関連株・銘柄の見通し
グローバルニッチトップ関連株の見通しを「良い・普通・悪い」で表すと、「良い」と言えます。国内の人口が減っていくなか、ニッチな市場で世界シェアを獲得する戦略は、会社が生き残る手段として有効です。
それでは、グローバルニッチトップ関連株の注目ポイントと今後の見通しを解説します。
グローバルニッチトップ関連株の注目ポイント
投資を考える際は、下記の2点に注目しましょう。
グローバルニッチトップ関連株の注目ポイント
- 海外進出先
- 米トランプ政権による追加関税
① 海外進出先
海外に進出する会社の多くが目指すのは、米国や欧州、中国などの経済規模が大きい国や地域です。人口の多いインドやインドネシアも将来有望と言えます。銘柄を選ぶ際は海外売上比率や国別のシェアを調べると良いでしょう。
② 米トランプ政権による追加関税
米トランプ政権が、米国向けの輸出に追加関税を課す可能性があります。また、先端技術の流出を防ぐため、中国向けの輸出規制がより厳しくなるかもしれません。
グローバルニッチトップ関連株の見通し
注目セクターである「半導体」と「機械・器具」、「農業」について、関連銘柄を交えながら今後の見通しを解説します。
半導体
成長めざましい半導体関連株で注目されているのは、半導体製造装置や材料関連です。いずれも日本が得意とする分野になります。
半導体製造装置の関連株としては、検査装置のアドバンテスト(6857)や切削装置のディスコ(6146)に注目です。いずれも世界トップシェアを誇ります。
半導体材料の関連株としては、シリコンウエハで世界首位を誇る信越化学工業(4063)や、半導体用フォトレジスト(感光性材料)で世界シェアを握っているJSR(非上場)、東京応化工業(4186)などが挙げられます。
機械・器具
人手不足を背景に、メーカーや物流施設など向けの自動化が進行中です。私たちにとって身近なところでは、パンや肉まんの中身を自動で包むマシンを作っているレオン自動機(6272)が挙げられます。
物流施設の自動化については、先ほど紹介したダイフク(6383)が注目株です。同社が進める物流の自動化は、国内外で引き合いが強くなっています。
医療大国である日本の医療用器具も外せません。ナカニシ(7716)は歯科治療用ドリルで世界首位、朝日インテック(7747)とテルモ(4543)は医療用ガイドワイヤで世界トップシェアです。
農業
地球温暖化による高温や水災害によって、農作物の不作が起きやすくなっています。国内最大手の種苗会社であるサカタのタネ(1377)は、高温に強い品種の開発に取り組んでいます。
グローバルニッチトップ関連株はほかにもたくさんあります。経済産業省の『2020年版グローバルニッチトップ企業100選』を参考にしてください。
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まとめ
グローバルニッチトップ関連株は、比較的小さな市場で世界的な地位を築いている会社です。このような会社は、東証プライム全銘柄の平均配当利回りである2.28%を上回る銘柄も少なくないため、銘柄の選び方次第で、株価の値上がり益と配当の両方を楽しめます。
ただし、米トランプ政権による輸出課税や対中輸出規制の強化が気がかりです。もし実現した場合、米国や中国向けビジネスの割合が高いグローバルニッチトップ関連株はダメージを受けてしまいます。投資する際には、トランプ大統領の政策に関するニュースをチェックするようにしましょう。