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【リスキリング(学び直し)関連株・銘柄】リスキリング・デジタル人材とは?今後の見通しを解説
リスキリング関連株は、リスキリングのための研修・教育サービスを提供する会社や、リスキリングをともなう転職・求人を支援する人材紹介会社などの株を指します。広い意味では、社員のリスキリングで「デジタル人材」の育成に積極的な会社の株もリスキリンク関連株に含まれるでしょう。
この記事では、リスキリング関連株の見通しや関連銘柄をピックアップしてご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
リスキリングとは
リスキリングとは、社会人がAI(人工知能)やDX※1を代表とする新たな分野の知識・スキル(技術)を身に付けることです。
※1 DX(デジタルトランスフォーメーション)はデジタル化のことです。
リスキリングが世界で注目されている背景には、社会経済全体のDXやGX※2の進展と担い手不足があります。DXなどの先端分野に強い人材が足りないため、社内の人材を再教育して活用しようという取り組みが、リスキリングにつながっているのです。
※2 GX(グリーントランスフォーメーション)とは脱炭素化のことです。温暖化ガスを出さない地球環境に優しい産業・社会の仕組みにシフトする試みです。
我が国は中小企業が多いという事情もあって、人への投資で後れを取っており、岸田首相は今後5年間でリスキリングに1兆円を充てると表明しています。
同時に、職務内容を定めない年功序列の「メンバーシップ型」の賃金体系から、個人の職務内容や能力によって賃金を決める「ジョブ型」の賃金体系へのシフトを推進します。
出典:「三位一体の労働市場改革の指針(案)」を踏まえた厚生労働省の取組(厚生労働省)[PDF]
また、退職金にかかる税金の優遇を見直すなどで転職しやすい環境を整え、物価高に負けない持続的な賃上げを実現する方向です。
リスキリング関連株・銘柄一覧
リスキリング関連株を「① リスキリングのための研修・教育サービスを提供する会社」、「② リスキリングをともなう転職・求人を支援する人材紹介会社」、「③ 社員のリスキリングに積極的な会社」に分けてご紹介します。
① リスキリングのための研修・教育サービスを提供する会社
AI・DX人材育成プログラムを提供するAI inside(4488)とアイデミー(5577)、オンラインのプログラミングスクールを子会社が運営するフューチャー(4722)、人材研修大手のインソース(6200)、社会人向けのキャリアスクールを手がけるリンクアンドモチベーション(2170)、通信教育大手のベネッセホールディングス(9783)を取りあげました。
② リスキリングをともなう転職・求人を支援する人材紹介会社
業界首位リクルートホールディングス(6098)、2位のパーソルホールディングス(2181)、転職サイト「ビズリーチ」のCMで知られるビジョナル(4194)、20代、30代に人気の転職サイトを運営するエン・ジャパン(4849)をご紹介します。
③ 社員のリスキリングに積極的な会社
東洋経済新報社の評価によれば、社員のキャリア形成に熱心な会社のトップ5に、IT大手のSCSK(9719)、東京海上ホールディングス(8766)、生命保険大手のT&Dホールディングス(8795)、メガバンクの三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、日本電信電話(9432)を挙げています。なお、これらの会社は広い意味でのリスキリング関連株であるため、銘柄一覧には掲載していません。
①と②で挙げた10銘柄の事業内容をかんたんにまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
銘柄名 (クリックタップで最新株価) |
事業内容 |
---|---|
リンクアンドモチベーション(2170) | 経営コンサルティング会社。クラウドサービスのほか人材育成・紹介、採用支援やベンチャー育成事業を手がける。社会人向けのキャリアスクールや小中高生向けの学習塾を運営。 |
パーソルホールディングス(2181) | 人材派遣・紹介会社。旧テンプスタッフ。同業他社との統合により業容を拡大。DX人材育成プログラムを多数提供。経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」の補助対象に講座の一部が採択されている。 |
ビジョナル(4194) | インターネットサービス会社。転職サイト「ビズリーチ」の運営が事業の柱。タレントマネジメントや人事・経理の管理システムなども手がける。自社の新卒向けエンジニア/デザイナー研修にも注力。 |
AI inside(4488) | AI(人工知能)・DXに特化した情報サービス会社。AIの導入や人材のDXを支援。AIの仕組みや活用法、基礎知識が習得できるDX人材育成プログラムを提供している。 |
フューチャー(4722) | 情報通信会社。DXを支援。オンラインのプログラミングスクールを運営する子会社が、経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」の対象となっている。 |
エン・ジャパン(4849) | インターネットサービス会社。「エン・ジャパン」で知られる転職サイトを運営するほかインド、ベトナムに人材紹介・派遣事業を展開。オンライン研修サービスを多数提供している。 |
アイデミー(5577) | AI・DXに特化したベンチャー。2023年6月グロース市場に上場。AI・DX人材育成支援サービスを開発・提供している。経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」の補助事業者に採択されている。 |
リクルートHD(6098) | 人材総合サービス会社。海外売上高は5割超。米国の大手人材検索サイトIndeedを傘下に擁する。教育支援サービス「スタディサプリ」など学生・社会人向けの教育事業を運営している。 |
インソース(6200) | 人材研修会社大手。講師派遣、公開講座、学習管理システム、eラーニングや通信教育、人材紹介事業を手がける。製造業や官公庁、情報通信・ITサービス会社などから多数の研修を受託。 |
ベネッセHD(9783) | 教育・生活支援サービス会社。「進研ゼミ」で知られる小中高生向けの通信教育事業を中心に介護と保育事業を展開。米国のオンライン学習サービス会社Udemyやエンジニア養成事業会社と資本業務提携。 |
リスキリング関連株・銘柄の見通し
リスキリング関連株の見通しは、「良い・普通・悪い」で表すと、「良い」と考えられます。DXを中心に新たな研修を必要とする会社が増えているうえ、国が施策で後押ししているからです。
さて、国がリスキリングに支出する1兆円をどこの会社が獲得するかですが、研修・教育サービス会社を中心に、AIや情報技術などに強みを持つ会社が手がける研修事業にも大いに期待できそうです。2022年度の国内のリスキリングの市場規模は3,705億円(矢野経済研究所調べ)ですから影響は大きいでしょう※3。
出典:eラーニング市場に関する調査を実施(2023年)(矢野経済研究所)
では、関連株の状況と先行きを見ていきましょう。
① リスキリングのための研修・教育サービスを提供する会社
従来の研修は、新卒一括採用を前提に、新人研修や〇年目研修など勤続年数で受講内容を決めるスタイルが大半でした。今後は勤続年数に関わらず、必要に応じてAI・DXなどの最新のスキルを学ぶスタイルが増えていくでしょう。研修・教育サービス会社は、AI・DXの研修プログラムを増やしたうえで内容をアップデートしていく必要があります。
リスキリングには、個人の持つスキルの棚卸しをしたうえで、必要な研修の内容を判断するノウハウも必要です。この点においてもAI inside(4488)やフューチャー(4722)、アイデミー(5577)などのAI・DXに専門性を持つ会社は有利と言えるでしょう。
② リスキリングをともなう転職・求人を支援する人材紹介会社
人材紹介・派遣会社には、研修の提供はもとより、リスキリングで新たなスキルを身に付けた人材と職場とのマッチング機能が期待されます。海外の事例を参考に、リスキリングを施した人材を新規に受け入れる中小企業への賃金助成を望む専門家の声も寄せられています。
③ 社員のリスキリングに積極的な会社
人材育成に関する報告が上場企業に義務化され、リスキリング熱が高まっています。リスキリングを通じた人材の有効活用は業績にプラスです。たとえば金融機関や生保各社は、事務や窓口業務を自動化・ネット化し人員の再配置を進めています。日本電信電話(9432)は携帯事業への進出などで業容を大きく変えてきた会社ですが、2024年には固定電話が廃止され再び転換期を迎えます。
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(2024年4月現在)
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まとめ
リスキリング関連株の先行きは明るいです。人への投資が官民で進められていることが、理由として挙げられます。人材育成に関する報告が上場企業に義務付けられたため、リスキリングの取り組みは大手がリードする形で順調に拡大していくでしょう。中小企業に対しては、リスキリングの支援制度の強化・推進に期待がかかります。
リスキリング関連株を検討する際は、政府の施策や上場企業の動き、中小企業へのリスキリングの広がりを見守る必要があるでしょう。