【輸出関連株・銘柄まとめ】円安で業績が上がる理由や、今後の見通しも解説

輸出関連株とは、モノを作って輸出している会社の株を指します。中でも、製造業の株が「輸出関連株」と呼ばれることが多く、村田製作所(6981)トヨタ(7203)キヤノン(7751)は、日本からの輸出が多い製造業の会社です。

輸出関連株は為替に影響されます。今のように円安になると、日本でモノを安く作り海外で高く売れる一方、材料の輸入価格も値上がりするので、高度な技術で高価なモノを製造する会社のほうが、利益は大きくなります。海外の工場が多くなったので、どの通貨の動きがどれくらい業績に影響するかは会社によって違いますが、おおむねドル安(円高)になると業績が悪くなり、ドル高(円安)になると業績が良くなります。

ドルが目安になる理由は、米国が世界最大の消費国であり、企業活動への影響が大きいからです。次に影響が大きい通貨はユーロ、そして中国元です。売上だけでなく、為替の動向にも注目して輸出関連株の業績を考えましょう。

ページ最終更新日:2022年6月23日

輸出関連株・銘柄一覧

輸出関連株から円安メリットが大きい株を探すには、各社の「為替感応度※1」に着目するとわかりやすいです。

※1 「為替感応度(かわせかんのうど)」とは、為替の変動によって、企業の売上高や利益にどのくらい影響を与えたかを示す金額のことです。ここでは、為替が1円変化した時の営業利益の増減を表します。

たとえば、トヨタ自動車(7203)の為替感応度は対ドルで約450億円(2023年3月期)です。同社が想定する為替レートは1ドル115円ですが、実際のレートは2022年4月以降125円~135円と想定を超える円安が続いているので、その差額10円~20円前後×450億円=4,500~9,000億円前後の利益が上乗せされることになります。

今回は、為替感応度が高く円安メリットが大きいSUMCO(3436)ワコム(6727)村田製作所(6981)日東電工(6988)トヨタ自動車(7203)SUBARU(7270)キヤノン(7751)と、海外売上比率が高く、なじみのある武田薬品工業(4502)資生堂(4901)任天堂(7974)をご紹介します。

銘柄名
クリックタップで最新株価)
事業内容 想定為替レートと
為替感応度
SUMCO
(3436)
半導体用シリコンウェーハ世界2位。売上高の4割が海外で、アジアに強い。5G、スマートフォン、データセンター、車載向けの半導体の需要拡大により、国内外で増産を計画。 今期(2022年12月第2四半期)の想定為替レートは1ドル126円。為替感応度は、対ドル1円の円安で年間約13億円。
武田薬品工業
(4502)
製薬会社国内首位。英シャイアー社を買収して世界トップ10入りを果たすが、巨額買収による負債の増加が影響し株価は低迷。配当利回りが高い(5.03%)。 今期(2023年3月期)の想定為替レートは1ドル119円、1ユーロ133円。為替感応度は、対ドル1円の円安で29.2億円、対ユーロで-23.8億円。
資生堂
(4911)
化粧品国内首位。海外売上高比率が約6割で、中国に強い。インバウンド再開で、外国人旅行客による売上増を期待。 今期(2022年12月期)の想定為替レートは1ドル114円、1中国元17.5円。為替感応度は、対ドル1円の円安で1億円、対中国元で7億円(三菱UFJモルガン・スタンレー証券2022年6月8日調べ)。
ワコム
(6727)
クリエイティブ向けペンタブレット世界首位。JPX日経中小型株指数の構成銘柄。テレワークや教育のIT化の拡大も追い風。 今期(2023年3月期)の想定為替レートは1ドル120円、1ユーロ132円。為替感応度は、対ドル1円の円安で3,000万円、対ユーロで約1億円。
村田製作所
(6981)
電子部品の大手。スマートフォンやPCに使われる積層セラミックコンデンサで世界シェア4割。自社株買いの実施を22年4月に発表。 今期(2023年3月期)の想定為替レートは1ドル120円。為替感応度は、対ドル1円の円安で約60億円
日東電工
(6988)
電子材料・工業用材料の資材メーカー。工業用テープ、半導体関連材料、光学フィルムなど多角展開。海外売上高比率は7割超。 今期(2023年3月期)の想定為替レートは1ドル112円。為替感応度は、対ドル1円の円安で30億円~35億円。
トヨタ自動車
(7203)
世界首位の自動車メーカー。海外売上高比率は7割を超え、米国市場に強い。国内生産比率が高く円安メリットが大きい。自社株買いに積極的。 今期(2023年3月期)の想定為替レートは1ドル115円。為替感応度は、対ドル1円の円安で約450億円
SUBARU
(7270)
米国市場に強い自動車メーカー。海外売上高比率約8割。2017年に自社ブランド名SUBARUに社名を変更している(旧社名は富士重工業)。 今期(2023年3月期)の想定為替レートは120円。為替感応度は、対ドル1円の円安で105億円(2022年05月23日時事通信社調べ )。
キヤノン
(7751)
カメラと複写機・複合機の国内最大手。海外売上高比率は7割超。米州、欧州、日本、アジア・オセアニアの4地域の売上高比率がほぼ同じ割合で、バランスが良い。 今期(2022年12月期)の想定為替レートは1ドル119.16円、1ユーロ130.09円。為替感応度は対ドル1円の円安で32億円、対ユーロで23億円。
任天堂
(7974)
マリオで知られる世界的なゲームメーカー。海外売上高比率7割超。2022年9月末に1株を10株に分割予定。 今期(2023年3月期)の想定為替レートは1ドル115円、1ユーロ125円。為替感応度は、対ドル、対ユーロ共に1円の円安で11億円(2022年6月16日三菱UFJモルガン・スタンレー証券調べ )。

輸出株の見通し

輸出関連株全体の見通しを「良い・普通・悪い」で表すと、「良い」と言えます。円安ドル高で、輸出関連会社の利益拡大が予想されるからです。輸出関連株にとって有利にはたらく円安は、当面続くと考えられます。理由は二つあります。

では、それぞれ見ていきましょう。

① 日米欧の金融政策の違い

円安が続くと考えられる1つ目の理由は、日米欧の金融政策の違いです。

欧米では、金融を引き締めて世の中に出回るお金を減らしているので、金利が上昇しています。反対に日本では、金融を緩和して出回るお金を増やし金利を低く抑えており、日米欧では金融政策がまるで違うのです。

一般的に、金利が高い国の通貨は価値が高くなり、金利の低い国の通貨は価値が低くなります。そのため、金利を低く抑えている日本の通貨価値は下がり、円安の進行が考えられるのです。来春に日銀総裁が任期をむかえるまで、金融政策に大きな変更はないと予想されるので、円安傾向は続くでしょう。

② エネルギーを輸入に頼る日本の貿易赤字が増加

円安が続く2つ目の理由は、原油やLNGなどが不足して価格が上がり、エネルギーを輸入に頼る日本の貿易赤字が増加していることです。財務省が2022年1月に発表した2021年度の貿易統計速報によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は1兆4,722億円の赤字となりました※2

※2 財務省の「令和3年分貿易統計(速報)の概要」より引用

基本的に、貿易赤字国の通貨は安くなるので、円安が進むと考えられます。

原油やLNGが不足し価格が高止まりしている理由は、ウクライナ侵攻をめぐるロシアへの経済制裁で、多くの国がロシア産原油の輸入を禁止したからです。戦争が早く終わったとしても経済制裁は続くと予想されるので、原油やLNGの高い輸入価格が輸入総額を押し上げる形の貿易赤字が続き、円安も長引くと予想されます。

円安が続くなかでコロナ後の世界の経済活動が本格的に再開すれば、輸出関連会社は需要増円安メリットの二重の効果により利益を増やすでしょう。銘柄一欄にあげた製造業の会社は為替感応度が高く、各社とも想定為替レートを現実のレートより円高に設定しているので、今期(2022年12月期または2023年3月期)の業績は会社の予想を上回ると期待できます。

ただし、円安により輸入する材料の価格が値上がりして製造コストが増える点と、欧米で金融を引き締めしすぎて、景気にブレーキがかかり売上に影響する恐れがある点などが懸念されるので、注意しておきましょう。

※記載の見通しは、当サイト編集部の見解なので、結果を保証するものではありません。いかなる不利益が生じた際にも当サイトは一切の責任を負いませんので、すべてにおける最終判断はご自身でおこなってください。

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まとめ

輸出関連株の今後の見通しは明るいです。日本からの輸出が有利になる円安が当面続くと考えられるうえ、コロナ明けの経済再開で今後は世界的な需要の拡大が期待されるからです。

需要の増加と円安の長期化を見越して、国内生産を増やす会社が増えています。コロナ禍で海外の生産が滞るなど多大な影響が出て国内工場の良さが見直されつつあったところに円安が追い風となっているのです。

トヨタ自動車(7203)村田製作所(6981)など、従来から国内生産を重視してきた会社だけでなく、キヤノン(7751)資生堂(4901)などにも生産拠点を国内に移す動きが目立っています。国内生産を増やせば、製品の安定的な供給円安メリットの両方を実現できるからです。

このように、先行きのリスクや円安に対して会社がどのように対応しているかは、銘柄を選ぶうえで大事な視点の一つで株価にも影響する可能性があります。