井村俊哉さんに取材しました(1)

担当・ゆうと

公開日:2021年12月9日

インタビュア: ゆうと

投資歴16年目のベテラン投資家、「井村俊哉さん」に取材させていただきました。井村さんは、成長株投資※1バリュー株投資※2といったくくりではなく、「①割安×②成長×③モメンタム(相場の勢い)」の3要素が最大化する銘柄への集中投資をおこなっています。現在ではTVやYouTube、証券会社のセミナーなど、幅広い媒体で投資についての啓蒙活動されているといった特徴もあります。

※1 成長株投資とは、「企業の将来性を吟味して、株価の上昇余地を考え、成長性を期待する投資法」のことです。
※2 バリュー株投資とは、「資産や業績などから評価して、株価が割安で放置されている株を狙い、適正な価格になるのを待つ投資法」のことです。

そんな井村さんに、“株式投資をはじめたきっかけ”や“注目する業界・銘柄”についてくわしく伺ってきたので、ぜひご覧ください!インタビュアは、ゆうとがお送りします。

<井村俊哉さんの経歴>

西暦 投資に関する主な出来事
2005年 大学生のころに100万円で投資スタート。最初に買った銘柄は、北洋銀行(旧 札幌北洋ホールディングス)(8524)あみやき亭(2753)
2007年 PERや配当利回り、事業内容をなんとなく見て、デジタルアーツ(2326)プレステージインターナショナル(4290)インフォコム(4348)に中長期投資。
2008年 中長期だけだとほとんど増えないと感じ、OHT(6276)に集中投資。その後、粉飾決算が発覚し上場廃止。投資元本をほとんど溶かす
2011年 妻との出会いをきっかけに、バイトを辞め収入を断ち、本格的に株式投資をスタート。中長期に加えてデイトレードも開始。
2011~2012年 中期経営計画で、大きく利益が増える見込みと発表したインフォマート(2492)に注目。業績の確度に自信を持ち、ほぼすべての資金をインフォマートへ投じる。
2013年 アベノミクスの勢いに乗り、デイトレードの年間収益が1,000万円を超える。
2014年 集中投資をしたインフォマートが10倍に。利益確定し、運用額は3,000万円を超える。
2016年 決算を重視し、上場企業の決算数値をすべて確認するようになる。
2017年 デイトレ引退。中小型グロース株への投資で資産1億円突破。
2018年 クラウド関連銘柄への集中投資を開始。
2020年 コロナショックからの戻りで、クラウド関連銘柄が5倍に上昇。運用額は5億円を突破。
2021年 海運市況が回復して、業績が良くなると考えた海運株への投資に成功。資産10億円を突破。

妻との出会いをきっかけに、アルバイトを辞めて専業投資家へ

ゆうと : 株式投資をはじめたきっかけは何ですか?

井村さん : もともとお金には極めて強い関心があって、中学生のころに「A店で買ったゲームをB店で高く売る」といったことをやっていました。株式投資も同じような感じかなと思って、芸人を目指していた大学生のころにはじめましたね。生活費を稼ぐ手段としていろいろ調べるなかで、株式投資にたどり着きました。

ゆうと : 実際に、どのように投資をはじめましたか?

井村さん : 貯めていたお年玉や、アルバイトで稼いだお金などの100万円で株式投資をはじめました。アルバイトの代わりになればという思いではじめたため、最初の頃は日当1万円を稼ぐのを目標としていました。そのため、100万円くらいの単位株※3を売買し、「100万円で買って101万円で売り1万円の利益を出す」、というシンプルな考えでやっていましたね(笑)。

※3 当時は100株単位に統一されておらず、最低売買単位は8種類(1株・10株・50株・100株・200株・500株・1,000株・2,000株)も存在していました。

ゆうと : そこからどのように本格的に株式投資をおこなっていきましたか?

井村さん : 結局、その後も株式投資はあまりうまくいかずにアルバイトを続けていました。本格的に株式投資をはじめるきっかけとなったのは、妻との出会いです。

「結婚したいけど芸人も辞めたくない…この2つをかなえるには株式投資しかない!」そう考えて当時付き合っていた妻に相談し、2011年からアルバイトも辞めて本格的に株式投資に取り組むようになりました。自分自身もですが、許してくれた妻もかなりクレイジーだったなぁ~って思いますね(笑)。

当時アルバイトで月10万円を稼いたので、まずはその額を目標にしました。儲かるなら「デイトレ」から「中長期投資」、「IPO投資※4」など何でもやるというスタンスでしたが、すぐに儲けることはできませんでしたね。はじめてまとまった利益を出すことができたのは、東日本大震災直後に買った、太陽光発電工事を手がけるウエストホールディングス(1407)でした。脱原発の流れを受けて株価が大きく上昇しました。

※4 IPO投資とは、「新規上場するときに投資家に配られる“株を買う権利”を抽選で手に入れ、上場日のはじめに付く株価(初値〔はつね〕)で株を売ることで利益を出す」投資手法のことです。

ゆうと : なるほど!奥様との出会いが大きかったわけですね。そんな井村さんの今の投資スタイルを教えてください。

井村さん : 私は成長株やバリュー株のような区切りではなく、とにかくα(アルファ)を取りにいっているという認識です。そのαの定義ですが「①割安×②成長×③モメンタム(相場の勢い)」の3つのかけ算で決まると考えています。この3つのかけ算が極大化するような銘柄を常に探していて、その確度が高いと感じた銘柄に大きく資金を投入する感じです。

ゆうと : 井村さんと言えば集中投資で大きく資産を増やされたイメージもありますが、今も集中投資をされていますか?

井村さん : 実は、今も2銘柄(2021年9月17日現在)しか保有してないですね(笑)。正直、資産が増えたらもう少し分散するかなと思っていたのですが、今投資している2銘柄に相当αがあると見積もっているので、結果的に集中投資になっていますね。

ゆうと : 凄腕投資家として知られている井村さんでも、さまざまな投資手法を試して今の投資スタイル「①割安×②成長×③モメンタム」を確立されたんですね。また、資産が大きく増えても集中投資を続けられているのには、正直言って驚きました。ただし、井村さんは緻密に分析して期待値をはかって集中投資をおこなっています。初心者の方は安易に上っ面だけを真似しないように注意が必要です。

「メガネ女子」銘柄を狙え!

ゆうと : 「割安×成長×モメンタム」で銘柄を探すときに、どういった点に注目していますか?

井村さん : 私が自分の投資スタイルを説明するとき、よく「メガネ女子銘柄」を狙っていると説明しています。メガネ女子銘柄というのは、“クラスにいる少し地味なメガネをかけた女の子”のような銘柄のことです。

そのような女の子が、休日にメガネを外して可愛い格好で街を歩いていたときに、一気にクラスのなかで印象が変わると思います。つまりPER※5PBR※6が低く、何かのカタリスト(株価を動かすきっかけとなるイベント)があるような銘柄のことですね。

※5 PERとは、「会社の利益と株価を比較して割安性を測る指標」のことです。
※6 PBRとは、「企業の持っている株主資本(純資産)から見た株価の割安度がわかる指標」のことです。

ゆうと : クラスの人気者のような株は狙わないということですね!

井村さん : そういったハイグロース株※7は、すでに成長することや良い決算が出ることが市場で認知されています。そのため、割高な水準まで買われ、良い決算を出しても反応しないことも多くあります。そういったバリエーションの高いハイグロース株は、見ないようにしています。

※7 ハイグロース株とは、「PER100倍を超えるような成長株のこと」です。グロース株(成長株)の中でも、特に急成長していて人気のある銘柄を指します。

ゆうと : ハイグロース株で見ない水準というのは、PER何倍くらいで足切りするイメージですか?

井村さん : それは競合他社との比較で決まってくるため、単純にPER20倍や30倍ではかることはできません。そんなに分かりやすいものではないですね。

ゆうと : どのようなカタリストを重視していますか?

井村さん : 一番のカタリストとなるのは決算です。決算の結果や今期業績予想によって、「メガネ女子銘柄」がメガネを外す瞬間がくると思っています。私は2~3年で2倍のパフォーマンスが欲しいと思っているため、その期間内にメガネを外すかを常に考えている感じです。

ゆうと : 「メガネ女子銘柄」という例えはとても面白いですし、イメージしやすいように感じます。このような銘柄を狙い撃ちすることは簡単ではありませんが、決算からその兆候を感じ取ることができれば大きなリターンにつながるかもしれませんね!ぜひ、みなさんも探してみてください。