たーちゃんさんに取材

たーちゃんさんに取材しました(1)

担当・ゆうと

公開日:2021年2月

インタビュア: ゆうと

投資歴21年目のベテラン投資家、「たーちゃんさん」に取材をさせていただきました。たーちゃんさんは、割安な水準まで売り込まれたシクリカル株※1への投資を得意としています。また、普段は分散投資をされていますが、ここぞというところでは集中投資もおこない、過去には金鉱株※2アークランドサービス(3085)などでテンバガー(株価10倍)を達成しています。一度は専業投資家になりましたが、すぐに復職して、現在は事業も営む兼業投資家です。

※1 シクリカル株とは、「景気の変動によって、株価が上がったり下がったりする銘柄」のことです。
※2 金鉱株とは、「金などの採掘・精錬に関わる企業の銘柄」のことです。

そんなたーちゃんさんに、“株式投資をはじめたきっかけ”や、“テンバガーになる銘柄の特徴”について詳しくうかがってきたので、ぜひご覧ください!インタビュアは、ゆうとがお送りします。

<たーちゃんさんの経歴>

西暦 投資に関する主な出来事
1998年 学生の頃、「金持ち父さん貧乏父さん」を読んで投資に興味を持ち、50万円で投資をスタート。アミューズメント機器や施設運営、ゲーム機器を手がけるセガサミーホールディングス(旧 サミー)(6460)を購入。
2000年 セガ株の投資がうまくいき、資産が500万円に増加。
2003年 株価が暴落していたオーストラリアの金鉱株に集中投資。
2005年 オーストラリアの金鉱株への集中投資が成功。資産1億円に到達。集中投資はやめて、バリュー株の分散投資をおこなうようになる。
2008年 リーマンショックの際は、底値で買った銘柄の株価が上がったり、保有銘柄がTOB※3で値上がりしたりと、ほとんど資産を減らさずに耐える。
※3 TOBとは、「株式公開買い付け(Take Over Bid)の略称で、上場企業の発行する株式を、通常の市場売買でなく、あらかじめ買い取る期間、株数、価格を提示して、市場外で一括して買い付ける」のことです。
2009年 「かつや」などを展開する、アークランドサービス(3085)の買い増しを続けて主力化。
2012年 過払い金請求問題で倒産すると思われていたアイフル(8515)が、黒字化したタイミングで集中投資。信用取引も活用。
2013年 アベノミクス相場や黒田バズーカの追い風もあり、アイフルが半年で約7倍になる。また、保有していたアークランドサービスもこの年にテンバガー(株価10倍)を達成。その後専業投資家になるも、暇すぎたためすぐに復職。
2016年 同業のGMOフィナンシャルホールディングス(旧 GMOクリックホールディングス)(7177)より割安だったヒロセ通商(7185)を、浮動株※4がなくなるくらいに購入。半年で株価が約3倍になる。
※4 浮動株とは、「株式市場で流通している株」のことです。浮動株の比率は、浮動株÷発行済み株式数で算出できます。
2020年 コロナウイルスは2~3か月で収束すると思い、アフターコロナ銘柄を多く購入したため、運用成績はあまりよくない。

「金持ち父さん貧乏父さん」を読んで株式投資の世界に

ゆうと : 株式投資をはじめたきっかけは何ですか?

たーちゃんさん : ロバート・キヨサキの「金持ち父さん貧乏父さん」を読んだことがきっかけで、投資に興味を持ちました。不動産投資をすすめる内容でしたが、学生でお金がなかったため、株式投資以外の選択肢がありませんでした。はじめは何もわからなかったので、私でもわかる「ゲーム株」のセガサミーホールディングス(旧 サミー)(6460)を購入しました。

ゆうと : そこからどのように投資をはじめましたか?

たーちゃんさん : 次に投資したのは、オーストラリアの金鉱株です。投資した理由は、仕事が忙しくなることがわかっていたため、2年間くらい株価を見なくても良い投資をしたいと思ったからです。当時、600万円くらいの資産すべてで、オーストラリアの金鉱株を買いましたね(笑)。

ゆうと : 思い切った判断ですね!でも、なぜオーストラリアの金鉱株を買ったのですか?

私が金鉱株を買った2003年当時は、金の価格が暴落していて世界中の金山が閉山している状況でした。その背景には、ユーロの登場があります。これまでは、「ドル」、「円」、「金」の3種類で価格の均衡を保っていましたが、ユーロが出てきたことで金がその地位を追われてしまい、価格が暴落していたんです。

<金価格の推移>

金価格の推移(出典:第一商品)

(出典:金相場45年を振り返る|第一商品

採掘コストが低くても1トロイオンス※5500ドル程度だった状況で、金価格が1トロイオンス300ドルまで暴落していました。そのため、採掘業者(金鉱株)の株価は金価格以上に暴落していたんです。それでも金の需要は無くならないと思ったので、軽い気持ちで買いましたね。仮にゼロになっても働いて取り返せる額でしたし、一か八かで10倍・100倍が狙える金鉱株に賭けた感じです。

※5 トロイオンス(troy ounce)とは、「貴金属(金・銀など)の重量を表す際に使われる単位」のことです。

その後、オーストラリアの金鉱株は10倍以上に値上がりして、資産が1億円になりました。ビギナーズラックですけど、20代で1億円というのは1つの目標だったので、めちゃくちゃうれしかったですね!

ゆうと : 資産1億円を超えて、投資手法に変化はありましたか?

たーちゃんさん : オーストラリアの金鉱株を売った後は、分散投資に切り替えました。また、仕事の忙しさも一段落したことで、本格的にバリュー株投資※6をはじめました。集中投資はメンタルがもたなくなりますし、バリュー株投資のほうが性格に合っていると感じたため、今のスタイルになりました。

※6 バリュー株投資とは、「資産や業績などから評価して、株価が割安で放置されている株を狙い、適正な価格になるのを待つ投資法」のことです。

ゆうと : たーちゃんさんは、投資をはじめて数年の20代で、資産1億円を突破したんですね!大成功した金鉱株への投資は、本来の価値より下回っている株を買うというバリュー株投資の基本を貫いたからこそだと言えます。ただし、集中投資は精神的に負担になることがあるため注意が必要ですね。

バリュー株投資をする際に注目するポイント

ゆうと : バリュー株投資をするとき、どういった点に注目していますか?

たーちゃんさん : 「資産バリュー株※7」と「収益バリュー株※8」で注目するポイントが異なります。それぞれ次のような点に注目しています。

※7 資産バリュー株とは、「本来の資産価値よりも安い値段が付いている会社の株」のことです。
※8 収益バリュー株とは、「会社のあげる利益よりも安い値段が付いている会社の株」のことです。

<資産バリュー株の注目ポイント>

  • 高値からの下落率・財務が悪くてもOK

<収益バリュー株の注目ポイント>

  • 現在は赤字でも、将来は黒字に回復するもの

「資産バリュー株」の場合、高値からどれだけ下落しているかが大事です。例えば、同じPBR※90.2倍の株でも、ずっと安値で放置されているPBR0.2倍の株と、PBR1倍から売り込まれているPBR0.2倍の株の価値は全然違います。株は昔の高値を覚えている性質があるため、高値から売り込まれてきたPBR0.2倍の株のほうが、はるかに価値があります。

※9 PBRとは、「企業の持っている株主資本(純資産)から見た株価の割安度がわかる指標」のことです。

また、財務内容は悪くてもかまわないと思っています。財務の悪い会社のほうが勢いよく下げますが、回復したときも勢いよく上がりやすいからです。ただ、なかには倒産する会社も出てくるため、分散して投資する必要があります。

一方、「収益バリュー株」の場合、今は赤字でも将来黒字になるかが大事です。いわゆるシクリカルな銘柄(景気の変動で株価の下がっている銘柄)の底値買いを狙っている感じです。先に挙げたオーストラリアの金鉱株は、まさにこの事例です。

しかも、オーストラリアの金鉱株は、資産バリューの水準まで売り込まれていたため、「資産バリューの水準まで売り込まれた、シクリカル株の底値買い」という2つの条件を満たしていました。私が一番得意としている投資手法で、このような状況になっている銘柄を探しています。

ゆうと : たーちゃんさんは「集中投資」も「分散投資」も経験されてますが、それぞれについてどのように使い分けていますか?

たーちゃんさん : 基本は分散投資ですよ。私自身、人生で集中投資をしたのは2回だけです。1回目はオーストラリアの金鉱株、2回目はアイフル(8515)への投資をしたときです。本当に特殊な状況がそろわない限り、集中投資なんてすべきじゃないですね。集中投資をするとメンタルに影響が出てきますし、ちょっとした値動きに敏感になるので全然良いことがないです。

ゆうと : 意外ですね!たーちゃんさんは、集中投資によって資産を大きく増やされてきたので、集中投資に肯定的かと思っていました。

ゆうと : 資産バリュー株投資は「財務が良く、赤字にならない」というような視点で探す投資家が多いですから、「高値からどれだけ下落しているか」を重視するのは面白いです。一方の収益バリュー株投資は、「今は赤字でも、将来黒字になることを見通せるシクリカル株」を狙うわけですね。アイフルへの集中投資については、次のページでおうかがいしたいと思います。