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たーちゃんさんに取材しました(2)

テンバガー(株価10倍)になる銘柄の見極め方

ゆうと : 今回のインタビューの目玉、「テンバガーになる銘柄の特徴」についておうかがいしたいと思います。たーちゃんさんは、どのようにしてテンバガーになる銘柄を探していますか?

たーちゃんさん : テンバガーになる銘柄は、大きく分けると次の2つになると思います。

テンバガーになる銘柄の見極め方

  1. シクリカル株の底値買い・赤字からの大復活
  2. 純粋な成長株

「①シクリカル株の底値買い・赤字からの大復活」のパターンは、私の事例だとオーストラリアの金鉱株やアイフル(8515)への投資が当てはまります。 アイフルは2012年の末頃から投資をはじめました。

当時、消費者金融業界は、武富士が倒産したり銀行の傘下に入ったりと、ひどい状況でした。アイフルも武富士のように倒産すると思われていたため、ピークの株価から1/100くらいまで売り込まれていました。そのようななかで転機が訪れました。アイフルが2012年末頃の決算で、結構な額の黒字に転換したんです。

アイフル(8515)の株価推移>

アイフル(8515)の株価推移

(出典:SBI証券

それまでは倒産すると思っていましたが、決算を見て倒産しないなという風にスイッチが切り替わり、全力で買いました。そのあとにアベノミクス相場に突入したこともあり、株価は半年で約7倍まで上昇しました。

「シクリカル株の底値買い・赤字からの大復活」を狙う場合は、業界全体が赤字で同業他社も赤字になっていたり、ピークから株価が最低でも1/3~1/4になってる銘柄を探すのが良いと思います。

「②純粋な成長株」のパターンは、私の事例だとアークランドサービス(3085)への投資が当てはまります。アークランドサービスは2008年頃から投資をはじめました。当時はリーマンショックによる影響で、外食産業の株はダメだと思われていて、割安な銘柄(PER3倍くらい※10)がゴロゴロしていました。

※10 PERとは、「会社の利益と株価を比較して割安性を測る指標」のことです。

そのようななか、アークランドサービスの店舗に行ってみると、安くて美味しかったんです。これは流行るなと確信しました。

アークランドサービス(3085)の株価推移>

アークランドサービス(3085)の株価推移

(出典:SBI証券

イメージとしては、「トンカツの吉野家」が登場したように思っていました。店舗数もまだ少なく、財務内容も良かったため、堅実に成長するなと感じましたね。実際そのあとは、競合他社もほとんど出ることなく成長を続けていき、テンバガーを達成しました。

ゆうと : たーちゃんさんは、まとまった資金を投じた株で、何度もテンバガーを達成されています。その要素は、「①シクリカル株の底値買い・赤字からの大復活」、「②純粋な成長株」の2パターンであることがわかりました。コロナウイルスの影響で大打撃を受けている業種・業界のなかには、大復活を遂げてテンバガーになる会社が眠っているかもしれませんね。

投資を検討する際に注意すべきこと

ゆうと : 投資を検討するときに、特に注意していることは何ですか?

たーちゃんさん : 万年割安で放置されているような会社は避けるようにしています。なかなか株価が見直されることがなく、実を結ぶ可能性が低いと思っています。割安だと買いたくなりますが、バリュートラップ※12も多いので注意が必要です。

※12 バリュートラップとは、「割安な銘柄が、割安なまま放置されている状態」のことです。

ゆうと : 実際に、どのような特徴がある会社に注意すれば良いでしょうか?

たーちゃんさん : 資産※13をたくさん持っていても、活用したり還元したりすることがなく、業績をよくする気もない経営陣だと、割安なまま放置される可能性が高いと思います。

※13 資産とは、「会社が集めた資金(資本と負債)をどういう形で保有しているかを表すもので、現金・株式・不動産など」のことです。

ゆうと : 私自身もバリュー投資をおこなっていると、どうしても「バリュートラップ」におちいりがちですね。そういった企業はたーちゃんさんが仰るような特徴のほかにも、敵対的な買収者を避けるために「買収防衛策」を導入していたり、株を買い占められることを防ぐために、グループ企業間で「株式の持ち合い」をしていたりします。このような特徴が見られる場合は、バリュー株でも避けたほうがいいかもしれません。

投資をしてきて一番苦しかった時

ゆうと : いままで投資をしてきて、一番苦しかったときはいつでしょうか?

たーちゃんさん : 21年の投資歴のなかでも、今が一番苦しいと思っています。コロナウイルスによる影響で暴落した後は、成長株ばかりが復活してきて、バリュー株が低迷しているからです。

リーマンショックの頃から比べると資産が10倍以上になっているため、同じ率のマイナスでも精神的にきつく感じます。いつかコロナを乗り越えれば、向かい風の銘柄やバリュー株も上がると思うので、今は待つしかないと思ってますね(笑)。

ゆうと : 投資を続けていれば、良いときも悪いときも必ずやってきます。特に、コロナウイルスの影響で市場が暴落した2020年3月以降、グロース株が急回復する一方で、バリュー株は低迷しています。バリュー投資家としては、真価が試される局面だなと感じています。

他人と比べないことが大切

ゆうと : 最後に、これから投資をはじめる方へのアドバイスをお願いします。

たーちゃんさん : 今投資をしている人の多くが、Twitterを使っていると思います。そうすると、毎年すごい良いパフォーマンスを出している人が目立ちます。しかし、そのようなすごいパフォーマンスを出し続けている人を、真に受けないようにしましょう。ファンタジーやおとぎ話の世界の住人、くらいに思っていたほうがいいですね!

他人のパフォーマンスを気にしすぎると「あせり」につながり、無理な集中投資をしがちです。私もあせることがありますが、普通、毎年ガンガン資産は増えるものではありません。うまくいかないときでも、折れずに地道に投資を続けていくのが大事です。

パフォーマンスを求めすぎず、他人は他人と割り切って、うまくTwitterと付き合っていくことが肝心だと思いますね。

ゆうと : これまで何人かの個人投資家さんに取材をさせてもらいましたが、共通しているのは「ブレずに自分の投資を確立している」点です。そのため、TwitterなどのSNSの情報には惑わされずに、キチンと自分の投資を貫けるのだと思います。Twitterは多くの投資家が利用していますし、うまく使えばとても有用なものです。ただし、まずは地道に自分の投資の軸を固めていくことが肝心ですね。

…たーちゃんさんへの取材、いかがでしたでしょうか?最後に、ここまで記事に目を通してくださったみなさんと、この取材を承諾していただいたたーちゃんさんに感謝の意を述べて、終わりとさせていただきます。ありがとうございました!

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ゆうと

この記事の執筆者

ゆうと 

投資歴8年の資産バリュー投資家です。いつも四季報を持ち歩き、1年の半分は株のことを考えている株オタク。若手投資家同士の交流を目的とした「名古屋若手投資家交流会」を主催しています。

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