1. ホーム
  2. IRTV書き起こし記事のまとめ
  3. interviews書き起こし記事のまとめ
  4. 【新番組】アピリッツ/2024年1月期第2四半期上方修正について

【新番組】アピリッツ/2024年1月期第2四半期上方修正について

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2023年10月18日

アピリッツ(4174)CFOの永山様が、2023年9月14日に開示された「2024年1月期 第2四半期決算」についてIRTV※1で解説しています。

※1 IRTVとは、IR Robotics社が運営する“投資家と企業をつなぐ上場企業のIR動画メディア”です。決算情報から事業モデル・経営戦略・成長可能性まで、トップ自らがわかりやすく、かつタイムリーに解説しています。

この記事では、IRTVの動画の書き起こしと、動画の内容を受けて当サイトの管理人ひっきーによるコメントを紹介しています。動画の内容を文字で確認したいときに、ぜひご活用ください!

(出典:IRTV for YouTube

第2四半期の概況

IRTV : 9月14日に発表された「2024年1月期 第2四半期決算」についてお聞かせください。上期業績予想に対し、売上高が計画どおりに進捗するとともに、利益は大幅に上振れし、さらに上方修正も発表されました。とても好調ですね。

<2024年1月期 第2四半期決算>

2024年1月期 第2四半期決算

(出典:アピリッツ 2024年1月期 第2四半期決算説明会資料[PDF])

永山様 : そうですね、幸いなことに順調に進捗しています。弊社は事業の柱が3つありますが、上期に関しては、主にBtoC※2向けのアプリ開発等さまざまなシステム開発をおこなっているWebソリューション事業がとても好調でした。計画比で上振れ、昨対比でも大きく成長することができました。これが業績の牽引役であり、上方修正した一番の理由になります。

※2 BtoC(びーとぅーしー)とは、Business to Consumerの略です。一般消費者を顧客としたビジネスを展開しているサービスのことで、アピリッツ社はその開発を主におこなっています。

残りのデジタル人材育成派遣事業は計画どおり、オンラインゲーム事業は計画に対して若干下振れました。この3つのポートフォリオが補完し合うことにより、会社全体で見ると大幅に上振れたのです。

<第2四半期の概況>

第2四半期の概況

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : Webソリューション事業では、繰り返しM&A※3がおこなわれていますね。

※3 M&A(えむあんどえー)は、企業の合併・買収を指します。

永山様 : 弊社はM&Aを成長戦略に位置づけています。1年ほど前(上場した年の翌年)にムービングクルーを、その次にY’s(ワイズ)をM&Aしました。Webソリューション事業とデジタル人材育成派遣事業は、M&A戦略が業績に大きく寄与しています。

弊社は開発を伴うビジネスであるため、SaaS※4や商品を販売するようなビジネスのように、来年、売上を倍にしていくのはむずかしいです。投資家が求める成長水準は高く、オーガニックな成長※5だけでは納得のいく水準を満たすことができません。

※4 SaaS(Software as a Service)は、サース、もしくはサーズと呼びます。サービス提供事業者(サーバー)側で稼働しているソフトウェアを、インターネットなどのネットワークを経由して、ユーザーが利用できるサービスを指します。
※5 オーガニックな成長(オーガニックグロース)とは、為替やM&Aの影響を除いた成長を指します。

また、弊社では毎年新卒および中途採用をおこなっています。業界全体における人材の状況として、市場環境が良好である関係でエンジニアが不足しています。その中で、数十名のエンジニアやクリエイターを確保するには、M&Aが一番効果的と考えています。業績へのインパクトに加え、人材確保の視点からも、M&Aを成長戦略に位置づけています。その戦略が今期の業績に表れてきました。

IRTV : Y’sとムービングクルーの買収は、現在までのところ成功と言えそうですね。

永山様 : そうですね。M&Aの失敗事例として、買収したのちに人材が会社を離れてしまうことが挙げられます。そのため、弊社ではPMI※6を重視し、買収した初年度は成長に重きをおくのではなく、シナジーを創出するための環境づくりに注力し、その後、徐々に成長戦略を打ち出していきます。これらのM&Aの効果は、今期だけでなく、来期にも出てくるとみています。

※6 PMIとは、M&Aの成立後に行われる統合プロセスのことで、Post Merger Integration(ポスト・マージャー・インテグレーション)の頭文字を取った略称です。M&A(企業の合併・買収)が成立した後、統合による効果の最大化を目的として行われる一連のプロセスを指します。

“上期”業績予想修正の背景

IRTV : 業績面では、上期の上方修正をされましたが、通期を据え置いた背景をお聞かせください。

<“上期”業績予想修正の背景>

“上期”業績予想修正の背景

(出典:IRTV for YouTube

永山様 : 主な理由は、上期に上振れた分の利益を、下期以降の成長戦略として投資するためです。通期業績を据え置く背景は大きくわけて3つあります。

1つ目は、オフィスを移転することに伴う投資です。人的資本投資の一環として、来年度に本社の移転を決定しています。水面下で移転先を探してきましたが、来年度での移転を決めたのは、着実に利益を確保できていることに加え、弊社は開発が中心で人材が成長の源泉になるため、従業員の労働環境をより良くするためです。通勤のしやすさなど就労環境を改善することで、人材が定着し、採用面においても1つのブランディングとして活かせます。

2つ目は、ChatGPTをはじめとする生成AI関連の研究開発への投資も検討しています。AI関連への投資には2つ目的があり、1つは社内業務の効率化、もう1つは弊社サービスとしての生成AI技術活用を研究開発していくためです。研究開発には一定の費用がかかるので、上振れた分の利益を投資資金として活用していく方針です。

3つ目は、評価制度の改革や資格取得に対するインセンティブ供与など、人的資本への投資を実施する予定です。弊社は若い会社であり、従業員が成長していくための投資を実施していきます。

大きくわけて、この3つの施策への再投資に回すため、通期業績を据え置きました。ただし、期初計画を達成するため、投資額には制限をつけています

IRTV : 成長戦略に挙げた3つの施策のうち、3分の2が人材への投資です。とくに、Webソリューション事業は人材が最も重要な資産になりますね。

永山様 : そうですね。ゲームを作るのは人であり、運営するのも人です。Webソリューションやマーケティング、コンサルティング、派遣も人になります。そのため、弊社は人材へ投資をおこなわないと成長の土台が築けません。働き方が変わるなど、世の中の流れに沿って柔軟な環境や制度を整えていく必要があります。

Webソリューション事業の市場環境

IRTV : Webソリューション事業はとても好調ですが、多くの案件を抱えている状況でしょうか。

永山様 : そうですね。リード※7獲得は順調であり、我々から営業活動をしなくても問い合わせがある状態です。上場時からこの状態が続いているので、単なる開発会社ではなく、“ガバナンスやコンプライアンスを遵守して良質なものを作る会社”というブランディングが確立されたことが要因と見ています。また、デジタルシフトは止まらないため、案件の大型化に伴い単価も上がっており、それらの相乗効果で業績が大幅に上振れました。

※7 リードとは、見込み客のことを指します。

<Webソリューション事業の市場環境①>

Webソリューション事業の市場環境①

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 成長戦略にありますが、優れた人材を確保できれば、業績が伸びていくイメージですね。

永山様 : 労働集約産業と揶揄(やゆ)されることもありますが、スタッフが成長していけば可能性は無限大になるため、現在打ち出している戦略は正しいのではないかと考えています。

IRTV : Sun Asterisk(サンアスタリスク)や、最近上場したモンスターラボホールディングスなどと激しく競合しているようには見えません。

永山様 : コンペで取り合うような状態ではなく、我々のような事業者が足りていないのが現状です。「優位性が無いのではないか」と指摘されることがありますが、究極的にはそれほどの差はないとみています。各社、それぞれ特徴はありますが、唯一無二とはいえません。市場への供給が足りていない市場環境であるため、競争が激化するとは考えていません。この状況は数年間続くと見込んでいます。

<Webソリューション事業の市場環境②>

Webソリューション事業の市場環境②

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 競争が激化していない環境において、当面は人への投資を継続するということですね。

株主還元などの還元策

IRTV : 株主還元策についてもお聞かせください。

永山様 : 今回、業績の上方修正とともに自社株買いの実施を発表しました。配当に関しては、中間決算で6円出すという目標を達成できました。

着実に利益を確保し、計画どおり配当も出したほか、株主還元にもなる自社株買いも実施したため、IR※8として発信してきた会社の目標は順調に達成できています。

※8 IRとは「Investor Relations」の略で、インベスター・リレーションズと読みます。企業が株主や投資家向けに経営状態や財務状況、業績の実績、今後の見通しなどを広報するための活動を指します。

<株主還元などの還元策>

株主還元などの還元策

(出典:IRTV for YouTube

永山様 : 通期業績に関しても、着実に目標達成を目指します。上場して以来、ある程度目標を達成してきており、それを継続していくことが信頼関係を作るうえで重要だと考えています。

また、自社株で取得した株式については、ともに働く人にコミットしてもらうためにその株式を譲渡するなど、活用の仕方は多岐にわたります。間接的に株主還元にもなるため、従業員・株主の双方へのアプローチができるとみています。

今後のM&Aの方針

IRTV : M&Aの候補はたくさんあるなかで、どのような会社に対してM&Aを実施していく方針でしょうか。

永山様 : 当面は同領域の会社が対象になります。M&Aを通じて、まったく文化が異なる会社が統合することになりますが、同領域であれば事業の試行錯誤や変遷、成長ベクトルに大きな相違が少なく、現場レベルで事業統合ができるとみているからです。将来的には、弊社が有していない技術を持つ会社を対象にしていくことも検討しています。

<今後のM&Aの方針>

今後のM&Aの方針

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 今後も年間1~2件のペースで実施していく方針でしょうか。

永山様 : そうですね。上場して成長戦略にM&Aを位置づけるなか、毎年1社ずつM&Aを成立させており、M&Aのトラックレコードを確実に残せています。今期はまだ実現していませんが、足元では候補を探している状況です。今後は、通期業績予想を達成するとともに、計画どおり期末配当を出し、あとはM&Aに注力していく方針です。

IRTV : 株価はどのように考えていますでしょうか。

永山様 : 株価を引き上げるための最適解は見つけづらいですが、しっかり業績を残すこと、株主との約束を守ることを繰り返しながら、事業規模を大きくしていくことが重要だと考えています。今期は売上高で87億円、来期、再来期には100億円台に達すると予想しています。

良いニュースを開示したときに反応していただけるよう、IRを強化して“弊社の事業価値”を発信していく予定です。将来的に株価が大きく上がることを期待しています。例えばの話ですが、将来的に資金調達が必要になったときに、投資家のみなさまとの対話ができていれば、セカンドファイナンスでの資金調達もしやすくなるでしょう。引き続き、地道にIR活動をおこなっていく方針です。

IRTV : 今後もアピリッツ社に注目していきたいです。本日はどうもありがとうございました。

ひっきー's Eye

指さしひっきー

アピリッツ社CFOの永山様との対談書き起こし記事、いかがでしたか?

最新の2024年1月期 第2四半期決算の状況や上方修正の背景など、詳しく知ることのできる内容でしたね。今回発表した上方修正は上期のみですが、上振れた分を成長投資に回すため、今後の成長につながりそうです!

IRTVでは、このほかにも上場企業の経営者との対談動画をアップしています。企業の事業内容はもちろん、今後の成長戦略を読み解くヒントがたくさん散りばめられているので、個人投資家のみなさまにぜひご覧いただきたいメディアです!

<IRTVをチェック!>

IRTVをチェック!

また、当サイトではアピリッツの永山様への取材記事も公開しています!事業内容や今後の成長戦略などを株初心者向けにわかりやすく説明しているので、ぜひご覧ください。

ディスクレーマー

当記事では、筆者独自の見解を述べることがありますが、証券およびその他の金融商品の売買や引受けを勧誘する目的ではなく証券およびその他の金融商品に関する助言や推奨をするものではありません。また、個別企業の業績予想や株価予想、投資推奨を提供する予定はありません。投資判断等は、自己責任でお願いいたします。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会検定会員補を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

ページ上部へ移動