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【IRTV 6558】クックビズ/2023年11月期第3四半期決算後における機関投資家面談での質疑応答について

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2023年12月27日

クックビズ(6558)代表の藪ノ様が、2023年11月期第3四半期決算後の機関投資家面談での質疑応答要旨についてIRTV※1で解説しています。

※1 IRTVとは、IR Robotics社が運営する“投資家と企業をつなぐ上場企業のIR動画メディア”です。決算情報から事業モデル・経営戦略・成長可能性まで、トップ自らがわかりやすく、かつタイムリーに解説しています。

この記事は、IRTVの動画内容を書き起こししたものです。動画の内容を文字で確認したいときに、ぜひご活用ください!

(出典:IRTV for YouTube

今回のテーマ

IRTV : 本日は、クックビズ(6558)より藪ノ代表にお越しいただきました。よろしくお願いします。

藪ノ様 : よろしくお願いします。

IRTV : 今日は、面白い試みとして、決算の振り返りではなく、2023年11月期第3四半期の機関投資家※2面談における主要Q&Aを振り返る形です。第3四半期決算を発表した後に面談は多かったのでしょうか。

※2 機関投資家とは、顧客から拠出された資金を運用・管理する法人投資家の総称です。

藪ノ様 : そうですね。普段は他社と同じように半期、通期に面談件数は大幅に増えます。今回は、業績予想の修正を行ったほか、傘下のきゅういちで中国禁輸措置の影響もあったため、みなさんにとても興味を持っていただけているのではないでしょうか。面談を通じ、我々の認識と外部の方が思われているところには若干相違があると感じました。

我々は、すべての商材を中国に輸出していたわけではありません。しかし、その影響が甚大なのではないかと思われていたため、IRTVを通じて、個人投資家のみなさんにも正確な情報をお伝えしたほうが良いだろうと考えました。

すべて輸出向けの会社もありますが、弊社は国内流通のほうが強いと言えます。子会社の理解促進がIR※3の重要なテーマとなるため、本日はそのような内容も含めてお伝えします。

※3 IR(アイアール)とは、企業が株主や投資家向けに経営状態や財務状況、業績の実績、今後の見通しなどを広報するための活動を指します。

きゅういちの中国の禁輸影響

IRTV : さっそく、今のお話と少し重複しますが、きゅういち社に対する中国の禁輸の影響から見ていきましょう。中国への依存度はさほど高くないという認識でよろしいでしょうか。

藪ノ様 : 下方修正した2億5,000万円分は、ほぼ中国の影響になります。2割から3割になると、売上比率で見ると大きな割合を占めますが、5割から7割を中国に輸出していたわけではありません。

売上構成比は鮮魚が半分ぐらいであり、この数値はきゅういちがグループに加わる前から同水準程度です。ホタテの50%のうち、約半分が中国に輸出されていました。今は国内流通に変えたほか、東南アジアの国々への販売を画策しており、年間を通して影響を与えるようなものではないと考えています。

<きゅういちの中国の禁輸影響>

きゅういちの中国の禁輸影響

(出典:クックビズ Financial Summary[PDF])

IRTV : これに関連して、藪ノ代表のフェイスブックを拝見したところ、D2C※4、ECで1か月3,500万円の売上は驚異的ですね。

※4 D2C(ディーツーシー)とは、メーカーが中間流通を介さず自社のECサイトなどを通じ、商品を直接消費者に販売するビジネスを指します。

藪ノ様 : はい、とても売れました。更にすごいことが起きており、リピート率が2桁を超えています。

IRTV : リスティングなどの施策を行わず、自社の経営資源のみ活用するオーガニックでリピートされているのでしょうか。

藪ノ様 : 広告は全く打っておらず、メルマガも配信していません。広告を打つ前に1~2kg買ってくれた方が、自然とご自身で追加購入してくださいました。私の友達や知り合いにも買っていただきましたが、北海道の本場のホタテを見て、「あれほど大きいホタテを見たことがない」と驚いていらっしゃいます。

また、冷凍のため、解凍してから刺身として食べられます。鮮度と大きさに驚いて、また買っていただいている状況です。意外とイクラやタラコなども人気があり、売り切れになるくらい好評をいただいています。

<きゅういちの中国の禁輸影響>

きゅういちの中国の禁輸影響

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 今の時代に、広告もメルマガも打たずに、売上が伸びるECは聞いたことがないですね。

藪ノ様 : 更に、大手のECモールを使うのではなく「ショッピファイ(Shopify)」を活用しているため、収益性が比較的高くなります。対中国に輸出していたときは粗利率の低さが課題になっていましたが、ECによって相当カバーできています。これからもEC販売に関しては期待している状況です。

IRTV : これを機に、いろいろと販路を増やし、更に業績を伸ばしていくイメージでしょうか。

藪ノ様 : そうですね。まずはECを積極的に拡大していく方針です。課題もたくさんあり、送料の引き下げも試みています。今は北海道から送っていますが、大阪や東京などの近辺に在庫センターを移したほうがいいのではと検討している状況です。

これからも試行錯誤を続けながら、よりお求めやすい価格で顧客に届けることができるよう、きゅういちをサポートしていきます。私たちはECサイトの専門家ではありませんが、きゅういちの既存メンバーよりは情報を持っており、更に消費者が多い都心に拠点を構えているので、改善策を積極的にアドバイスできるのではないでしょうか。

IRTV : 直販、卸、ECの3本柱で事業を行っていく認識でよろしいでしょうか。

藪ノ様 : そうですね。価格がもう少し落ち着いてきたら、飲食店向けにも販売していきたいと考えています。

HR事業の好調さについて

IRTV : 続いては注目のHR(人材紹介)事業です。お店に行くと、ほとんどコロナ前と変わらない印象を持ちます。人材ニーズもコロナ前の水準に戻ってきているのでしょうか。

藪ノ様 : 外食への消費者の戻りはある程度回復している状況です。昨年は居酒屋にはまだ戻ってきていませんでしたが、今年は大分回復しています。しかし、飲食店従事者の数はまだ戻っておらず大体30万人ほど足りていません。業界外に流出した方が、徐々に戻ってきている状態です。

<飲食店従事者数の推移>

飲食店従事者数の推移

(出典:クックビズ Financial Summary[PDF])

藪ノ様 : 30万人の差分は恐らくアルバイトで埋めているのでしょう。ただし、隙間バイトを活用し続けるわけにはいかないため、正社員のオーダーが我々に届いています。

飲食業界の特徴としては、正社員と契約社員、アルバイト、隙間バイトと垣根が大分低く、足りないところを別の雇用形態で補うことができます。我々にとっては大きなビジネスチャンスになりますね。

飲食業界の転職市場

IRTV : このグラフを見ると、HR事業の特殊な市場環境が示されていますね。

<飲食業界の転職市場①>

飲食業界の転職市場①

(出典:クックビズ Financial Summary[PDF])

藪ノ様 : はい。飲食店従事者は400万人ほどまで戻ってきており、そのうち100万人ぐらいが正社員の従事者であり、更にそのうちの20万人ぐらいが毎年転職をしています。

IRTV : 毎年20%もの方が転職されるのですね。

藪ノ様 : はい。

IRTV : 流動性がとても高いですね。

藪ノ様 : 日本の正社員領域のうち、ホワイトカラーに関しては、流動性を上げようと、各社が流動性の低いところを高めるべく、いろいろな取り組みを行ってしのぎを削っています。一方、飲食業界は、すでに流動性が高すぎる状態のため、適切な転職をサポートするのが我々の仕事になるでしょう。

<飲食業界の転職市場②>

飲食業界の転職市場②

(出典:IRTV for YouTube

藪ノ様 : 飲食業界の中では、まだ雇用契約書を結ばずに転職したり、イメージと違ったりと、早期に防げたはずのミスマッチも存在しています。私たちは人材紹介ビジネスにおいて、そのような防げるミスマッチを防ぎながら意味のある転職をサポートしていく方針です。高い離職率や流動性の中で、流動性を更に高めるよりも、より適切な転職をサポートしていくことが我々の介在価値だと考えています。

HR事業 コロナ前後売上・人員推移

IRTV : こちらはコロナ前からコロナにかけての売上のグラフです。これを見ただけでも大変さが伝わってきます。

<HR事業 コロナ前後売上・人員推移①>

HR事業 コロナ前後売上・人員推移①

(出典:クックビズ Financial Summary[PDF])

藪ノ様 : そうですね。売上30億円が3分の1に、人員も半分以下に減り、激動の数年間を過ごしました。

IRTV : この棒グラフのほうが人員の推移を示しており、ピーク時には半分ぐらいまで減っています。

藪ノ様 : そうですね、100人を切りました。2021年から2022年はほぼ人員は変わらず、もしくは減ったにも関わらず、売上が1.5倍に拡大しています。この時期辺りからコロナをきっかけにして営業の生産性が向上しているのではないでしょうか。

飲食業界は今までアナログな業界でしたが、面談もセールスもほぼZoomで対応できるようになり、1人あたりの営業マンの生産性が相当上がってきました。コロナ前はなかなか営業利益率が2桁に達することはありませんでしたが、今は戦略投資を行っても10%以上を確保できる収益構造に転換しており、コロナが弊社を強くしたと言えるでしょう。

IRTV : 筋肉質な経営体質に転換されました。

藪ノ様 : そうですね。

IRTV : 経営体質の改善を下地に人を増やし、当期は昨年対比25名増やされます。機関投資家からはこれほど人を増やせるか、たびたび質問をお受けしたようですが、藪ノ社長のお考えをお聞かせください。

藪ノ様 : 第3四半期決算資料では連結子会社人数を含めた資料を掲載しましたが、今回はクックビズ単体であるHR事業に絞った人員をお示ししております。現在、123名で着地する見込みであり、決算の開示の際にご報告しますが、今後も10名、20名単位で毎年採用していく方針です。

<HR事業 コロナ前後売上・人員推移②>

HR事業 コロナ前後売上・人員推移②

(出典:IRTV for YouTube

藪ノ様 : 現在、私たちは営業を採用しようとしていますが、とても採用難易度が高くなっています。例えば、スカウトの返信率は悪化し続け、なかなか人が採れないのはエンジニアと営業が最たるものでしょう。

そのため、 私たちは営業経験者を積極的に採るのは少し控えており、飲食業界経験者を採用し育成するノウハウを確立しつつあります。飲食店の店長を務めていた方であれば、飲食業界の中身のことはほぼご存じですが、一方で営業経験者が別の会社に転職して異なる商材を売れる保証はほぼありません。

飲食業界の経験は、弊社では確固たるアドバンテージとなり、また、我々は営業のスキルを1から教えるノウハウを確立しつつあります。そして、飲食業界出身者は弊社のビジョン、ミッションへの共感度もとても高いです。

飲食業界の経験者の方がリスキリングをして我々が戦力化していくことを、体系立てて研修メニューを作っております。飲食業界の経験者を採用するのは営業経験者の採用よりも競争は激しくはなく、人数をコミットしていけるでしょう。

IRTV : 私も営業経験が長く、未経験の人が対応できるのか疑問に思いますが、実際は適応できているのでしょうか。

藪ノ様 : そうですね。第4四半期が終わった際に社内MVPを発表しましたが、その方は元々コックさんであり、調理人出身者が数年営業を経験してMVPを獲るケースも出てきています。年間のうち、過半数の月で連続的に目標を達成し、とても安定的に売上を上げる人材が、元飲食業界出身者の中にも育ってきている状況です。

飲食業界の従事者のポテンシャルが高いことを示せれば、彼らの市場価値を上げることができます。これは弊社のビジョン、ミッションの実現につながるでしょう。

<HR事業 コロナ前後売上・人員推移③>

HR事業 コロナ前後売上・人員推移③

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 貴社は飲食業界や求職者のデータベースを持っているため、直接採用できるのは大きなメリットになりますね。

藪ノ様 : はい。今は求人媒体を活用しても効果が出ず、人材紹介フィーのみ高騰し続けている状況だと、みなさんは思われているのではないでしょうか。そのような中で、私たちは自社のデータベースを活用することで、そのような課題は幾分か解消できると考えています。

IRTV : 比較的コストを抑えながら人を増やしていくことができますね。

2024年11月期の成長目線について

IRTV : 進行期のお話に移りますが、HR事業は年平均成長率(CAGR)で20%から25%を見込まれており、安定的に高い成長を維持していく余地があるという認識でよろしいでしょうか。

藪ノ様 : そうですね。元々、前期も20%でスタートしましたが、結果的に27%で着地する見込みであり、人の動きが活発化していることが、私たちにとって追い風になっていると感じています。

<2024年11月期の成長目線について>

2024年11月期の成長目線について

(出典:クックビズ Financial Summary[PDF])

藪ノ様 : 連結ベースでは、2024年にはピーク時を超える見通しであり、収益性も改善しつつあるため、2024年は過去最高売上過去最高益を目指す方針です。

IRTV : HR事業単体で見ても、あと2~3年ぐらいでコロナ前の水準に戻るイメージでしょうか。

藪ノ様 : そうですね。成長率25%ぐらいが1つの目安となり、その水準を維持できれば、2025年には30億円に到達する見込みです。今はそこに向けて高成長を保っています。

<HR事業の業績推移>

HR事業の業績推移

(出典:クックビズ Financial Summary[PDF])

業績成長の実現のための主要施策

IRTV : 定性面の各種施策を見ると、採用サイトリニューアルなどに取り組む計画ですね。

<業績成長の実現のための主要施策>

業績成長の実現のための主要施策

(出典:クックビズ Financial Summary[PDF])

藪ノ様 : そうですね。求人サイトのリニューアルは2023年中に行いたかったのですが、半年ぐらい遅れて、2024年春頃にはできると見込んでおります。

IRTV : アルバイト業務管理の「CAST事業」にも注力します。

藪ノ様 : そうですね。今期から経営戦略室を設け、私もそこに加わり、グループの長期成長戦略と組織戦略の策定に向けて議論しており、今後IRの資料として発表していく方針です。その中には、人材とDX※5の両輪で成長するところを力強くお示ししたいと考えています。

※5 DX(ディーエックス)とは、デジタル技術を活用して生活やビジネスを変革することを指します。

IRTV : 最後はM&A※6です。23年11月期も積極的に動かれていた印象を受けます。

※6 M&Aとは、企業の合併・買収を指します。

藪ノ様 : そうですね。きゅういちに始まり、外国人の人材サービスのワールドインワーカー、そしてCASTと、直近1年ぐらいで3社のM&Aを実行し、これらはバラエティに富んだものになったでしょう。基本的には人材、DX、事業再生/承継という3つのテーマで引き続きM&Aを検討していく方針です。

<M&Aの方針>

M&Aの方針

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : まずは、1月に開示予定の通期決算に注目する感じですね。

藪ノ様 : そうですね。楽しみにしていただければと思います。

藪ノ社長から一言

IRTV : 楽しみに待っている投資家のみなさんに藪ノ社長から一言お願いできますでしょうか。

藪ノ様 : はい。コロナを通じて、我々のビジネスモデルは洗練されています。かつ、従来の課題であった「食×人材」の1本足の経営からDXや事業再生/承継の領域に軸を増やし戦略の方向性が少し見えてきたのが2023年でした。

2024年はその輪郭をくっきりさせ、事業戦略の解像度も高め、みなさんにIRとしてお伝えするとともに、事業としての数字もついてくればと考えていますので、ぜひ楽しみに見ていただければと思います。

IRTV : IRTVへの1月の出演を楽しみにしていてください。今日はどうもありがとうございました。

藪ノ様 : ありがとうございました。

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ディスクレーマー

当記事では、筆者独自の見解を述べることがありますが、証券およびその他の金融商品の売買や引受けを勧誘する目的ではなく証券およびその他の金融商品に関する助言や推奨をするものではありません。また、個別企業の業績予想や株価予想、投資推奨を提供する予定はありません。投資判断等は、自己責任でお願いいたします。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会検定会員補を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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