トビラシステムズの明田社長に突撃取材!事業内容や今後の展望などをお聞きしました
(トビラシステムズ株式会社 明田社長)
やさしい株のはじめ方編集部(にしけい)が、迷惑情報フィルタサービスを提供しているトビラシステムズ(4441)(以下、トビラシステムズ社)に突撃取材しました!
今回はトビラシステムズ社の明田(あきた)社長に、事業内容や最新決算のお話に加えて、今後の展望などをお聞きしました。
この記事では株初心者の方がトビラシステムズ社について理解を深められるよう、わかりやすい言葉でていねいに解説します。ぜひ最後まで読んでくださいね。
迷惑情報フィルタサービスを提供!トビラシステムズの事業内容をわかりやすく解説
トビラシステムズ(4441)は、迷惑情報フィルタ事業を展開する企業です。かんたんに説明すると、利用者から寄せられた迷惑電話・迷惑SMS※1などの情報をデータベースに集約し、そのデータベースを使って迷惑電話や迷惑SMSをブロックするサービスを提供しています。
※1 SMSとは、「Short Message Service(ショートメッセージサービス)」の略です。携帯電話の電話番号を使ってメッセージをやり取りするサービスを指します。
具体的にどのようなサービスを提供しているかは、下のスライドがわかりやすいでしょう。
<サービス内容>
(出典:トビラシステムズ 2023年10月期 第2四半期決算説明資料[PDF])
各種通信キャリアが提供している迷惑電話・迷惑SMSのブロックアプリや、不快な広告をブロックしてくれる「280blocker」は見たことや使ったことがある方が多いのではないでしょうか。
迷惑情報フィルタ事業は「モバイル向け」と「固定電話向け」、「ビジネスフォン向け」の3つに分けられます。このうち、メインのサービスは「モバイル向け」です。全体の売上高の75.6%を構成しています。
<モバイル向けが売上高の75.6%を構成>
(出典:トビラシステムズ 2023年10月期 第2四半期決算説明資料[PDF])
なお、「ビジネスフォン向け」は同社が拡大に力を入れているサービスです。分析の際には、主力のモバイル向けだけでなく、ビジネスフォン向けの伸びにも注目していきましょう。
以上で事業内容についての大まかな説明を終わります。続いて、各サービスについてもう少し詳しく説明していきますね!
モバイル向けフィルタサービス
モバイル向けフィルタサービスとは、“スマートフォン向けの迷惑電話・迷惑SMSのブロックサービス”です。
サービスの提供方法には、KDDIやソフトバンク、NTTドコモなどの「通信キャリアを経由する方法」や「自社チャネルを使った方法」などがあります。このうち、メインの販売経路は通信キャリア経由です。
<モバイル向けフィルタサービスの販売経路>
(出典:トビラシステムズ 2023年10月期 第2四半期決算説明資料[PDF])
なぜ通信キャリア経由で販売できるかというと、KDDIやソフトバンク、NTTドコモなどと提携を結んでいるためです。
それでは、通信キャリアは“どのようにして”モバイル向けフィルタサービスを販売しているのでしょうか。同社の決算説明資料を使って説明します。
国内大手通信キャリアが提供するオプションパックに組み込んで販売
通信キャリア各社では、「オプションパック」を用意しており、故障や紛失のサポートやセキュリティアプリなどをセットで顧客に販売しています。実は、その中に同社の迷惑電話・迷惑SMSのブロックアプリが組み込まれているのです。
具体的なアプリ名を紹介しますね。ソフトバンクは『迷惑電話ブロック』、NTTドコモは『あんしんセキュリティ』、KDDIは『迷惑メッセージ・電話ブロック』となっています。
<オプションパックのアプリ>
(出典:トビラシステムズ 2022年10月期決算説明資料[PDF])
最近では大手通信キャリアだけでなく、MVNO※2等の格安スマホ向けにもサービスを拡大しています。2023年2月からは『UQ mobile』で、同社の迷惑情報データベースを活用した迷惑電話・SMS対策サービスの提供をスタートしました。
※2 MVNOとは、Mobile Virtual Network Operatorの略で、日本語では「仮想移動体通信事業者」と呼ばれます。大手通信キャリアとは違い、自社で通信基地局を持っていません。そのため、大手通信キャリアの通信回線を借りてサービスを提供しています。
にしけい
続いて、自社チャネルで販売しているサービスを説明します!
トビラフォン モバイル
先ほど紹介した“スマートフォン向けの迷惑電話・迷惑SMSのブロックサービス”は、『トビラフォン モバイル』という名前で自社チャネルでも販売しています。
<トビラフォン モバイル>
(出典:トビラフォン モバイルの公式ホームページ)
MVNOをご利用の方や、通信キャリアのオプションパックを契約していない方も使えるので、とてもありがたいですね!
280blocker
トビラフォンモバイル以外にも、スマホ向け広告ブロックアプリ『280blocker』を提供しています。
<280blocker>
(出典:280blockerの公式ホームページ)
このアプリを使うと、Webサイトに表示される広告を非表示にでき、データ使用料・読み込み時間も節約できます。「不快な広告をブロックできる」ほか「広告が表示されないためWebサイトが見やすくなる」点で人気のアプリとなっており、iPhoneやiPadで使えるiOS版のダウンロード数は3年連続No.1です。
また、2023年から『mineo(マイネオ)』で提供されている新サービスでは、280blockerのデータベースが活用されています。
モバイル向けフィルタサービスのビジネスモデル
モバイル向けフィルタサービスは、通信キャリアにアプリやデータベースを提供し、その対価としてライセンス費用を受け取るビジネスモデルです。
<モバイル向けフィルタサービスのビジネスモデル>
(出典:トビラシステムズ 2022年10月期決算説明資料[PDF])
なお、ライセンス費用の契約モデルは3種類あります。
具体的には、毎月定額で収益を受け取る「固定契約モデル」、同社サービスが使えるオプションパックの契約者数に応じて収益を受け取る「契約者数×単価モデル」、同社サービスの月間利用者数に応じて収益を受け取る「月間利用者数×単価モデル」です。
<3つのライセンス費用>
(出典:トビラシステムズ 2022年10月期決算説明資料[PDF])
にしけい
3つの契約モデルを大手通信キャリア3社と締結しているとのことですが、具体的にどのキャリアとどの契約を結んでいるかを教えていただけませんか?
申し訳ありません。秘密保持の観点から開示できないのです。
明田社長
にしけい
そうでしたか!承知しました!
契約内容が気になる投資家様も多いかもしれませんが、秘密保持上開示できない情報です。「大手通信キャリア各社と、それぞれ別の契約を締結しているのだ」と理解しておきましょう。
続いて、下のグラフをご覧ください。これは「契約モデル別の売上高四半期推移」です。各契約モデルの具体的な金額は非開示ですが、前年比で売上高と月間利用者数がどれだけ増えたか(減ったか)がわかります。
<モバイル向けフィルタの四半期推移>
(出典:トビラシステムズ 2023年10月期 第2四半期決算説明資料[PDF])
上のグラフでは「2023年10月期 第2四半期」が最新のデータです。「契約者数×単価モデル」は前四半期比で売上高が増加していますが、「月間利用者数×単価モデル」の売上高は前四半期比で減少し、「固定契約(定期契約)モデル」の売上高は前四半期比で横ばいとなりました。
各契約モデルの売上高の動きが気になると思うので、“なぜ売上高が変動したのか”を表でかんたんに説明しますね。
契約モデル | 売上高(前年比) | 理由 |
---|---|---|
月間利用者数×単価 | 減少 | 通信キャリアの期間限定の施策が終了したため |
契約者×単価 | 増加 | 単価がアップしたため |
固定契約 | 横ばい | 契約者数や月間利用者数の変動に影響を受けないため、安定して推移している |
最も気がかりなのは、「月間利用者数×単価モデルの売上高が減少」ではないでしょうか。「何か問題が起きたのでは?」と心配な方がいらっしゃるかもしれませんが、この理由は通信キャリアの期間限定の施策が終了したためです。同社にとっては想定済のできごとなので、業績予想にはすでに織り込まれています。
契約モデル別の売上高と月間利用者数は、四半期決算ごとに発表される決算説明資料の中に掲載されます。成長性を定点観測する際に使いましょう。
なお、同社の公式noteでは「ビジネスモデルをわかりやすく解説した記事」や、先ほどのスライドでご紹介した「契約モデルごとの売上高推移を解説した記事」などを公開しています。IR担当者の方が直々にわかりやすく説明してくださっているので、投資家のみなさまは必見ですよ!
関連情報(トビラシステムズ IR note)
固定電話向けフィルタサービス
固定電話向けフィルタサービスでは、固定電話向けに迷惑電話のブロック機能を提供しています。
<固定電話向けフィルタサービス>
(出典:トビラシステムズ 2022年10月期決算説明資料[PDF])
「固定電話向け」とひとくちに言っても、その提供方法はさまざまです。固定電話に外付けするタイプ、IP電話機器に内蔵されているタイプ、ネットワーク上で使えるタイプを用意しています。
また、このサービスは特殊詐欺やグレーゾーン犯罪の防止にも一役買っています。「特殊詐欺やグレーゾーン犯罪といった社会課題を解決」で詳しく説明しますが、近年はこのような詐欺・犯罪が増えており、「いかにして防ぐか」が社会課題となっているのです。
特殊詐欺やグレーゾーン犯罪に使われる道具のうち、最も多いものが「電話」です。したがって、「電話に出ない」ことが詐欺や犯罪に巻き込まれないために有効な手段となります。同社のサービスは不審な電話をブロックできるため、実際に被害の減少に役立っているのです。
私が会社を作ろうと考えたのも、祖父の家に掛かってくる特殊詐欺やグレーゾーン犯罪の電話がきっかけでした。
明田社長
にしけい
そうだったのですね!サービスをリリースしたら、おじいさまも喜ばれたのではないですか?
残念ながら、サービスができる前に祖父は亡くなってしまいましたが、今では1,500万人のユーザー様に使っていただけるようになりました。きっと祖父も天国で喜んでくれていると思います。
明田社長
ビジネスフォン向けフィルタサービス
ビジネスフォン向けフィルタサービスでは、法人向けに迷惑情報フィルタサービスを提供しています。具体的には、下の3つの製品を提供中です。それぞれ説明しますね。
製品名 | 概要 |
---|---|
トビラフォン Biz | オフィス設置型の法人向け迷惑電話フィルタ。設置するだけで、迷惑電話や迷惑FAXなどの受信を防ぐ。 |
トビラフォン Cloud | スマホに専用アプリを入れるだけで、私用と社用の電話番号を使い分けることが可能。 |
Talk Book | IP電話と通話解析機能を兼ね備えた営業支援サービス。 |
ビジネスフォン向けフィルタサービスでは、クラウドシステムを利用しています。そのため、外出先から発着信履歴・通話録音内容を確認できるのが特徴です。
ビジネスフォン向けはモバイル向けに次いで売上規模が大きい事業で、全体売上高の11%を占めています。同社ではこの事業を今後の注力事業として掲げているので、四半期決算ごとに成長を見守っていきたいですね。
<売上高の構成>
(出典:トビラシステムズ 2023年10月期 第2四半期決算説明資料[PDF])
特殊詐欺やグレーゾーン犯罪といった社会課題を解決
続いて、トビラシステムズ社が“どのような課題を解決しているのか”をご紹介します。結論を先にお伝えすると、同社では「特殊詐欺やグレーゾーン詐欺、フィッシング詐欺の増加」という課題を解決しています。
下のスライドでは、特殊詐欺の被害状況の推移を表しています。グレーゾーン犯罪の被害額は推定4兆円と言われており、顕在化している特殊詐欺の被害額は2022年時点で約371億円あります。そして、犯行の手段の9割近くを「電話」が占めている状態です。
<特殊詐欺犯罪、グレーゾーン犯罪の状況>
(出典:トビラシステムズ 2022年10月期 第2四半期決算説明資料[PDF])
また、フィッシング詐欺も近年増えてきています。下のグラフからも読み取れるとおり、2020年以降にフィッシング報告件数が大幅に増えていますよね。また、フィッシング詐欺のSMS(スミッシング)も年々増えており、2022年には前年比の約2倍となっています。
<フィッシング報告件数の推移>
(出典:トビラシステムズ 2022年10月期 第2四半期決算説明資料[PDF])
にしけい
特殊詐欺やグレーゾーン犯罪、フィッシング詐欺の増加を、トビラシステムズ社は「迷惑情報フィルタサービス」によって解決しています!
独自のデータベースが強み!トビラシステムズ社の強みを解説
トビラシステムズ社の事業内容について理解を深めたところで、ここからは同社が持つ“2つの強み”について説明しますね!
トビラシステムズ社の強み
独自の迷惑情報データベースを持っている
独自の迷惑情報データベースの存在が1つ目の強みです。このデータベースは、警察から受け取った迷惑情報データだけでなく、1,500万人のサービス利用者から寄せられる迷惑情報データが蓄積されています。
<迷惑情報データベースの強み>
(出典:トビラシステムズ 2022年10月期決算説明資料[PDF])
このデータベースは日々更新され、データが増えれば増えるほど、迷惑情報をブロックする精度が高まっていきます。
「データを集めさえすれば、トビラシステムズと同じビジネスができるのでは?」と考えてしまいますが、そうかんたんに同じものは作れません。なぜなら、データを集めるには大量の利用者を集め、日々情報を獲得する仕組みを用意しないといけないからです。さらに、警察庁と提携し、情報提供を受けていることも強みの1つと言えるでしょう。
さらに、データを蓄積するには長い時間がかかります。新規参入があったとしても、一朝一夕では同社と同じ品質でサービスが提供できません。
にしけい
かなり高い参入障壁ですね!
独自の迷惑情報データベースの存在は、同社の高い営業利益率にも表れています。2022年10月期の営業利益率は32.12%です。
<売上高営業利益率の推移>
(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)
会社四季報の比較企業の営業利益率と比べると、下の表のようになります。
社名 | 営業利益率 | 事業概要 |
---|---|---|
トビラシステムズ (4441) |
32.12% | 迷惑情報フィルタサービスを提供 |
デジタルアーツ (2326) |
42.29% | 情報漏洩防止フィルタリングソフトを提供 |
かっこ (4166) |
16.36% | ECサイト向けリアルタイム不正注文検知クラウドサービスなどを提供 |
デジタルアーツと比べると営業利益率が低いものの、比較企業の中では高い部類に属していますね。
ストック売上高が中心である
迷惑情報フィルタ事業で提供している各サービスは、“1度販売したら終了”の「買い切り型」ではなく、継続的に利用される「ストック型」のビジネスです。
こういったビジネスの性質上、売上高の大部分が「ストック収益」で構成されています。下の「売上高の四半期推移」を見るとわかりやすいでしょう。このグラフの水色、または濃い青色で表される部分がストック収益です。
<売上高四半期推移(ストック収益、フロー収益)>
(出典:トビラシステムズ 2023年10月期 第2四半期決算説明資料[PDF])
既存の顧客からの収益が安定的に受け取れることに加え、新規顧客の収益が積み上がっていきます。したがって、ストック収益をベースに安定して業績を伸ばせるのです。
決算の注目ポイントをわかりやすく解説
トビラシステムズ社の最新決算(2023年10月期 第2四半期決算)と、決算を読む際の注目ポイントについて、株初心者向けにわかりやすく解説します。
まずは、最新決算の業績から見ていきましょう!
2023年10月期 第2四半期決算の業績サマリー
にしけい
2023年10月期 第2四半期決算の総括をお願いいたします!
前年同期比で増収増益となり、四半期の売上高では過去最高を更新しました。各段階利益についても、前年同期比でしっかりと成長しています!
明田社長
<業績サマリー>
(出典:トビラシステムズ 2023年10月期 第2四半期決算説明資料[PDF])
営業利益以下が前四半期比で100%を下回っていますが、これは第2四半期で「事業推進のための投資」をおこなったためです。
明田社長
サービス別の売上内訳
にしけい
サービス別の売上はどうなっていますか?
下のスライドをご覧ください。メインのモバイル向けが順調に成長しているほか、ビジネスフォン向けが前年同期比173.9%と大きく伸びました。
明田社長
<サービス別売上内訳>
(出典:トビラシステムズ 2023年10月期 第2四半期決算説明資料[PDF])
にしけい
好調ですね!ビジネスフォン向けが大きく伸びた理由は何でしょうか?
主力製品であるトビラフォンBizが伸びたためです。この製品は企業や病院、寺院など幅広い業界・業種で導入されています。“代理店販売”という方法を採用しており、弊社の第2四半期(2~4月)が代理店の決算期と重なっていたため、受注件数が大きく伸びたのです。
明田社長
<トビラフォンBizの導入事例>
(出典:トビラフォンBizの公式ホームページ)
にしけい
ご説明ありがとうございました!ところで、固定電話向けだけが100%を下回っているのが気になります。
固定電話向けが100%を下回った理由は、前年同期(2022年10月期 第2四半期)に自治体からの大口受注があったためです。今期(2023年10月期 第2四半期)は、その反動で減少していますが、この減少は想定していました。
前四半期比では、KDDIのCATV向けサービスのユーザー数のストック収益が順調に増加しており、107.0%となっています。
明田社長
<2022年10月期 第2四半期決算説明資料>
(出典:トビラシステムズ 2023年10月期 第2四半期決算説明資料[PDF])
にしけい
なるほど!そういう理由なら仕方ないですね!
決算を読み解く際の注目ポイント
トビラシステムズ社の決算を読み解く際の注目ポイントは、下記の2つです。
決算を読み解く際の注目ポイント
- ストック収益の推移
- トビラフォンBizの累計販売台数と契約負債の金額
それぞれ説明しますね。
ストック収益の推移
ストック収益の推移に注目する理由は、同社の売上高の大部分を構成するからです。同社の業績を四半期ごとに確認する際には、「ストック収益が伸びているか」に注目しましょう。
<売上高四半期推移(ストック収益、フロー収益)>
(出典:トビラシステムズ 2023年10月期 第2四半期決算説明資料[PDF])
2023年10月期第2四半期時点のストック収益を確認すると、前年同期比120.7%となっています。余力があれば、時系列で成長率を追いかけると良いでしょう。今回は当サイト独自で“四半期ごとの成長率”を計算したので、その結果をご紹介しますね。
決算期 | ストック収益(億円) | 前年同期比成長率(%) |
---|---|---|
2022年10月期 第1四半期 | 3.51 | 111.08 |
2022年10月期 第2四半期 | 3.63 | 107.40 |
2022年10月期 第3四半期 | 3.73 | 106.88 |
2022年10月期 第4四半期 | 3.79 | 108.29 |
2023年10月期 第1四半期 | 4.23 | 120.51 |
2023年10月期 第2四半期 | 4.38 | 120.66 |
2023年10月期に入ってから、前年同期比の成長率が加速しています。
トビラフォンBizの累計販売台数と契約負債の金額
トビラフォンBizの「累計販売台数」と「契約負債」に注目する理由は、同社が注力しているサービスだからです。
まずは、トビラフォンBizの累計販売台数の推移を見ていきましょう。下のスライドの赤枠部分が、累計販売台数の推移を表しています。
<トビラフォンBizの累計販売台数の推移>
(出典:トビラシステムズ 2023年10月期 第2四半期決算説明資料[PDF])
具体的な数値は非開示ですが、右肩上がりで増加していることがわかりますね。今後の決算発表では、累計販売台数が増えているかを目視していくと良いでしょう。
続いて「契約負債」をご紹介します。契約負債とは、「前受金」や「前受収益」と呼ばれる“商品やサービスを提供する前に受け取ったお金”を表す貸借対照表の勘定科目です。
従来は前受金や前受収益といった勘定科目で貸借対照表に計上されていましたが、2021年4月から適用された「新収益認識基準」によって、勘定科目の名前が変更になりました。
同社の場合、契約負債には「トビラフォンBizの前受収益」が計上されています。したがって、トビラフォンBizの成長を確認する際には、「契約負債が増えているか」にも注目しましょう。
<貸借対照表の契約負債>
(出典:トビラシステムズ 2023年10月期 第2四半期決算短信[PDF])
ただし、契約負債には他サービスの前受収益も含まれています。契約負債の全額をトビラフォンBizの前受収益と捉えるのではなく、“大まかにトビラフォンBizの成長を確認できる指標”として使うのがおすすめです。
既存ビジネスをベースに新たな製品開発も!?今後の成長戦略をわかりやすく解説
トビラシステムズ社の今後の成長戦略に関して、「長期的な展望」と「2023年10月期の注力事項」を明田社長にお聞きしました!
長期的な展望
にしけい
御社が将来にどのような会社を目指しているのか、“長期的な展望”を教えていただけないでしょうか?
弊社は「利益率の高いビジネスモデル」を持っています。この安定した収益を基盤に、第2の主力事業を育てるべく注力しています。
明田社長
2023年10月期の注力事項
同社では主力の「モバイル向け」と注力事業である「ビジネスフォン向け」の2つに対して、2023年10月期の取り組みを開示しています。それぞれ見ていきましょう。
モバイル向け
モバイル向けフィルタサービスでは、「迷惑情報データベースをMVNO等の格安スマホや金融機関に展開する」取り組みや、「他のセキュリティ企業との連携に向けて活動する」取り組みを進めています。
明田社長
<モバイル向けフィルタサービスの注力事項>
(出典:トビラシステムズ 2023年10月期 第2四半期決算説明資料[PDF])
にしけい
進捗はいかがでしょうか?
UQ mobileに迷惑電話・SMS対策サービスを提供したり、mineoのサービスで280blockerのデータベースを活用した新機能を提供したり、順調に進んでいます!
明田社長
ビジネスフォン向け
ビジネスフォン向けフィルタサービスでは、「トビラフォンBizの代理店拡充・機能追加によるアップセルを目指す」、「トビラフォンCloud、Talk BookのPMF※3を達成する」といった取り組みを進めています。
明田社長
※3 PMFとは、「Product Market Fit」の頭文字を取ったものです。日本語では「顧客が満足する商品を、正しい市場で提供できている状態」を指します。もう少しだけかみ砕いて説明すると、「顧客が欲しいと思う商品を提供できている状態」と考えればOKです。
<トビラフォンBiz新機能の提供開始>
(出典:トビラシステムズ 2023年10月期 第2四半期決算説明資料[PDF])
また、トビラフォンBizでは「音声テキスト化」と「留守番電話通知機能」の提供を開始しました。さらに、トビラフォンCloudが5期連続3部門で「Leader※4」を受賞したことも、大きなニュースとなっています。
明田社長
※4 Leaderとは、「ITreview Grid Award 2023 Spring」というコンテストで与えられる「賞」です。Leaderが最高位となります。このコンテストは、アイティクラウド社が運営するビジネス向けソフトウェア・クラウドサービスのレビュープラットフォーム『ITreview』によって開催されています。
<トビラフォンCloudが5期連続3部門で「Leader」を受賞>
(出典:トビラシステムズ 2023年10月期 第2四半期決算説明資料[PDF])
にしけい
ビジネスフォン向けのサービスが「世の中に必要とされていること」がよくわかりますね!今後の成長に注目です!
投資家の疑問点を先回りして解決!noteを使ったIRの方法とは?
トビラシステムズ社では、IRセミナーへの登壇やTwitterだけでなく、noteを活用した情報発信も積極的におこなっています。
同社のnoteでは、投資家の疑問を“先回りして”回答してくださっています。問い合わせの手間を省ける点がうれしいですよね!
<投資家の疑問に先回りして回答>
今回は、IR担当の近藤様に「noteを活用しようと考えたきっかけ」や「情報発信で意識していること」などをお聞きしました。
noteを活用しようと考えたきっかけ
にしけい
noteを活用して情報発信しようと考えた理由は何でしょうか?
noteは情報を蓄積できるからです。元々はTwitterのみで情報発信をしていたのですが、即時性がある一方で、発信した情報が流れてしまうのが課題でした。
noteなら情報を振り返りたいときにも一覧性が高いので、弊社に興味を持ってくださった個人投資家様に情報を届ける手段として適していると考え、noteをはじめました。
近藤様
にしけい
確かに、Twitterは気軽に情報を得られる一方、過去の情報を探すのは大変です。noteは後から見返すことができますし、Google検索にも対応しているため、私たち個人投資家にとってはとてもありがたい情報発信手段だと思いました!
そうなんです!私自身も勉強のために投資をしているのですが、決算説明資料ではわからない、行間を埋める解説などがあると助かると感じたことがありました。少しでも弊社に興味を持ってくださった個人投資家の皆様に情報を届けたいと思ったことも、noteでの情報発信をはじめたきっかけです。
近藤様
IR担当者から個人投資家へのメッセージ
にしけい
IR担当者目線で、個人投資家のみなさまへのメッセージはありますか?
今後も“個人投資家の皆様が疑問に思ったときに見てもらえる記事”をはじめ、弊社についてより理解いただける記事を作成したいです。なにか気になったことがあれば、ぜひお気軽に問い合わせください。
近藤様
にしけい
メッセージありがとうございました!私も“一個人投資家”として、御社のnoteを楽しみにしております!
『トビラシステムズ IR note』では、最新決算のまとめだけでなく、分析に役立つ情報をわかりやすく解説しています!同社への理解を深められるので、個人投資家のみなさまはぜひフォローしてくださいね!
個人投資家へのメッセージ
にしけい
最後に、個人投資家へのメッセージをお願いいたします!
「課題を見つけて技術で解決する」ことに、今後も挑戦していきます!弊社には優秀なエンジニアが多く在籍しているので、課題を解決できるはずです。しかし、この挑戦はすぐに結果が出るわけではなく、結果が出るまでに時間を要するものも多数あります。課題を解決できた際には、売上も利益も大きく積み上がるので、短期的な目線ではなく長期的な目線で応援していただけるとうれしいです!
明田社長
にしけい
この度は取材にご協力いただき、ありがとうございました!
トビラシステムズ社への取材は以上となります。同社は1,500万人以上のユーザーから寄せられるデータを武器に、迷惑情報フィルタサービスを通じて、特殊詐欺やグレーゾーン犯罪、フィッシング詐欺の防止に取り組んでいます。
また、今後はビジネスフォン向けに注力する方針を掲げているので、主力のモバイル向けのストック収益に加えて、トビラフォンBizの累計販売台数や契約負債の推移にも注目したいですね。長期的には「課題を見つけて技術で解決する」ことに取り組む方針であるため、新しいサービスの登場も楽しみです!
同社では、noteだけでなくTwitterも活用して情報発信をされています。決算やIR情報に関する速報が手に入るので、ぜひフォローしましょう!
ひっきー
当サイトでは、上場企業に取材させていただき、事業内容や成長戦略などを株初心者向けにわかりやすく解説した“企業紹介記事”を公開しています。こちらで記事の一覧を公開していますので、ぜひご覧ください。株初心者の方が企業を知るきっかけになれますと幸いです。
また、当サイトの取材を希望される上場企業の担当者様は、お問い合わせフォームからご連絡をお願いいたします。ご連絡をいただいた担当者様に、企業紹介記事の企画概要資料をご送付するほか、取材のご案内をいたします。
ディスクレーマー
当記事では、筆者独自の見解を述べることがありますが、証券およびその他の金融商品の売買や引受けを勧誘する目的ではなく、証券およびその他の金融商品に関する助言や推奨をするものではありません。また、個別企業の業績予想や株価予想、投資推奨を提供する予定はありません。投資判断等は、自己責任でお願いいたします。
にしけい
280blockerは、YouTuberに取り上げられたり、広告ブロックアプリの比較サイトで上位表示されていたりと人気のアプリです。実は…私も使っています!