会社は成長し続けるのでしょうか?
成長株に投資すると言う意味は理解できるのですが、会社が順調に成長を続けるとは思えません。会社の成長については、どのように考えていますか?
おっしゃるとおりで、会社の成長は永続的ではなく、おそらくどこかで止まるものでしょう。むずかしいのは、「過去の延長線上で未来が決まる」というものではないことです。毎年、経営環境が異なるので、計画通りにコトが運ぶとはかぎりません。
経営がうまくいっている企業でも、成長を続けるには20%くらいが精一杯です。50%のような超高成長が長く続くことはありえないと考えています。なぜなら、企業の「成長をはばむ5つの壁」があるからです。順番に説明します。
①人材育成の壁
人材はすぐに育つわけではなく、基本的には何年もかかるものです。急成長・高成長企業は人材育成が追いつかない可能性があります。無理をして広げると、サービスの質の低下につながり、会社のブランドに傷がつくこともあります。対策は、「質の高い中途採用をする」、「仕事のマニュアル化の徹底によって、サービスの均一化を狙う」、などが考えられます。
②資金の壁
会社を拡大するための資金供給が、追いつかない可能性があります。たとえば、“店舗”が必要な会社で、財務の健全性を維持しながら拡大する場合、利益の一部から投資費用を捻出します。これが成長の妨げとなるのです。アクセルを踏むときは、思い切った資金調達が必要になることもあり、経営陣がどう考えているか、読み解く必要があります。株式発行による増資の場合は、株価下落の可能性もあります。
③市場の壁
まだ新しい市場で、市場の伸びが十分にある業界では、経営力とは無関係に成長できる可能性があります。反対に、市場が頭打ちの業界では、シェアの奪い合いが起きているだけで、売り上げの伸びがどこかで抑えられるリスクがあります。
同じ業界のライバルに、マーケットシェア上位の会社がいる場合は注意が必要です。参入障壁いかんでは、ビジネスモデルをそっくりそのまま真似されて、小さな会社はつぶされてしまうリスクがあります。競合他社にしっかりと目を配りましょう。
④率の壁
毎年、同じような金額を事業に投資して、同じような成長をしている会社は、一見よい会社のように見えます。しかし、「金額ベース」で見れば同じように増えていても、「率ベース」で見ると徐々に伸びが鈍化してしまいます。これを打ち破るには、会社の成長とともに、組織づくりをしっかりして、同じペース(率)での成長が続けられる体制づくりが求められます。会社が発表する中期計画を確認するなどして、会社の経営方針を理解しておきましょう。
⑤新規参入者の壁
儲かっている業界やしくみなどは、常に真似をされるリスクや、競合が参入してくるリスクがあります。いかに他社と差別化ができるか、また追いつかれないような、十分な“先行者利益“が存在しているかが重要です。
★成長株投資はうまくいけば高いリターンが期待できますが、成長に鈍化がみられると大きく下落する可能性があります。会社の出すリリース情報はくまなくチェックして、何か変調のサインが出ていないか、目をとがらせておきましょう。
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投資歴18年目の株初心者アドバイザーです。2005年からの投資成績は+2億円を突破しました!2009年に発売した著書『はじめての株1年生 新・儲かるしくみ損する理由がわかる本』は、累計59,000部のロングセラー。その他、数多くの金融系メディアにも寄稿しています。