- ホーム
- TOB・MBOの速報・スケジュール・発表銘柄の予定一覧(2025年版)
- KKRが西友株の売却を検討!イオンやドンキが買収する理由や上場廃止になるかなどわかりやすく解説
KKRが西友株の売却を検討!イオンやドンキが買収する理由や上場廃止になるかなどわかりやすく解説
- お知らせ
- (2025年3月5日追記)ディスカウント店大手のトライアルホールディングス(141A)が、2025年7月1日に西友を完全子会社化すると発表しました。西友のオリジナル商品や製造拠点を活用してグループの「食」を強化することや、EC事業のシナジーなどが期待されています。取得価額は3,826億円となる見通しです。
2025年1月7日、アメリカの投資ファンドKKRが傘下に持つ総合スーパー「西友」の売却を検討していると、日本経済新聞が報道しました。KKRが保有する西友の全株式が売却対象で、イオンやドンキなどの小売企業などが買収に名乗りを挙げています。
このコラムでは、KKRが西友株の売却を検討している理由やイオンやドンキなどが買収に名乗りを挙げている理由、西友株の株価や上場廃止の経緯などについて、株初心者向けにわかりやすく解説します。
KKRが西友株の売却を検討!イオンやドンキなどが買収に名乗り
日本経済新聞によると、アメリカの投資ファンドであるKKRは、傘下の総合スーパー「西友」の全株式の売却を検討しているようです。
株式売却に向けて入札手続きを進めており、イオン(8267)や「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)、ディスカウント店大手のトライアルホールディングス(141A)などが名乗りを挙げています。
具体的な買収金額は不明です。決算公告に掲載されている純資産合計は1,888億円なので、ざっくりと考えて数千億円規模になるとみられます。
KKRによる売却時期についても不明ですが、日本経済新聞によると2月をめどに最終的な売却先が決定されるようです。
KKRが西友株を売却する理由
KKRが西友株を売却する理由としては、西友の経営再建に一定のめどが立ったためと考えられます。もともとKKRは2021年に西友株を取得して以降、経営再建に取り組んできた過去があります。その成果が花開いたことが、売却を検討するきっかけとなったようです。
具体的には、以下の3つの理由があると考えられます。
理由 | 詳しい説明 |
---|---|
① 西友の業績改善 | KKRは西友が2025年12月期までに売上高を9,000億円規模にし、営業利益率を5%以上にするという目標を立てていました。2024年12月期までは堅調な利益を上げており、再建による一定の成果が出たと判断されたようです。 |
② 構造改革の進展 | 小売チェーンの経営経験を持つ大久保恒夫氏が2021年に社長に就任して以降、西友は構造改革を進めてきました。北海道と九州からの撤退などの収益改善策も実行され、事業の再構築が進められました。 |
③ 投資回収のタイミング | 投資ファンドであるKKRは、投資した企業の価値を高めたあと、売却することで利益を得ることを目的としています。西友の再建が進み、買収に関心を示す企業が現れたため、KKRは投資回収のタイミングと判断したと考えられます。 |
西友の業績は以下のように推移しています。西友は上場企業ではないため、直近の業績は過去2年分しか確認できませんでした。
2022年 | 2023年 | |
---|---|---|
売上高 | 7,054億円 | 6,648億円 |
営業利益 | 208億円 | 260億円 |
営業利益率 | 2.95% | 3.91% |
売上高は2022年から2023年にかけて減少しているものの、営業利益率は2022年から2023年にかけて1pt近く上昇しています。同社が目標として掲げている営業利益率5%にはまだ距離がありますが、着実に近づいている状況です。
イオンやドンキなどが西友の買収に名乗りを挙げた理由
イオンやドンキなどが西友の買収に名乗りを挙げた理由として、以下の3つが考えられます。
理由 | 詳しい説明 |
---|---|
① 業界再編の動き | スーパーマーケット業界では再編の動きが活発化しており、イオンは「いなげや」を傘下に加えるなど規模を拡大しています。西友の買収は、この業界再編の流れの中で、更なる事業規模の拡大や競争力強化を目指す動きとみられます。 |
② 西友の事業基盤獲得 | 西友は本州に約240店舗を展開しており、一定の顧客基盤と店舗ネットワークを持っています。イオンやドンキにとって、既存事業とのシナジー効果を生み出す魅力的な要素となります。 |
③ 魅力的な買収対象 | KKRが西友の売却を決めた背景には、西友の再建に一定のめどが立ったという判断があります。これは買収を検討する企業にとって、西友が安定した収益を上げられる企業に成長したという印象を与え、買収の魅力を高める要因になった可能性があります。 |
スーパーマーケット業界の再編が進む中、経営再建にめどがついた西友の存在は、事業拡大に注力する小売各社にとって魅力的な買収対象だといえるでしょう。
西友は2008年に上場廃止!株価は見られない
西友は1979年に東証一部に上場したあと、2008年に上場廃止となっています。現在は上場していないため株式を買うことはできず、また株価を見ることもできません。
西友が上場廃止となった理由は、米小売大手ウォルマートの傘下で抜本的なてこ入れをおこない、経営再建を加速させるためでした。
西友の経営再建が必要になった理由
経営再建が必要になった理由は、バブル崩壊後に金融子会社である東京シティファイナンスが多額の不良債権を抱えたことがあります。これによって、西友の業績や財務の悪化が続いていました。
西友では、業績・財務の悪化に対応するため、1999年度から食品スーパーの出店に乗り出します。食品スーパーの出店を加速させた理由は、現金決済が多く、現金回収のスピードが速いためです。
1999年度には7店舗、2000年度上期には35店舗と順調に出店を加速させていましたが、2001年度下期に約30店舗の大量出店をおこなったことが裏目に出てしまい、2002年2月期第2四半期決算は大幅減益となったのです。
こうした事態を打開するため、2002年に米ウォルマートと包括的業務提携を締結し、ウォルマート流の経営戦略を導入します。しかし、経営再建がうまく進まず最終赤字が続いてしまい、株式を非公開化して抜本的なてこ入れを実施することになりました。

ウォルマートの完全子会社となった西友は、従来から根強い高級志向のイメージを払拭するため、「EDLP(Everyday Low Price:毎日低価格)戦略」を進めていきました。
2018年の上場観測
2018年7月、日本経済新聞が「ウォルマートが日本から撤退し、西友株の売却を考えている」と報道します。さらに、2019年6月には「西友か、その親会社のウォルマート・ジャパン・ホールディングスのどちらかが上場する」との報道もあり、西友の上場に注目が集まりました。
しかし、2020年11月にウォルマートが西友株の85%を米投資ファンドのKKRと楽天グループに売却すると発表し、上場観測は立ち消えとなりました。
関連記事
- 西友(ウォルマート・ジャパン・ホールディングス)の上場観測
(グループサイト『やさしいIPO株のはじめ方』の記事です)
KKRの下で経営再建
先ほどお伝えしたように、KKRの下でも経営再建が進められます。具体的な再建目標として、2025年12月期までに売上高を9,000億円規模にし、営業利益率5%以上を目指すことが掲げられました。
2024年12月期の業績を見ると、堅調な利益を上げており、経営再建の一定の成果が現れたといえます。西友の企業価値を高めることに成功したKKRは、投資の利益を確定するため、西友株の売却を検討していると予想できます。
なお、西友は未上場企業であるため、買収とはいってもTOBには該当しません。報道によるとイオンやドンキなど複数の小売企業が買収に名乗りを挙げているようなので、もし西友が上場企業だったらどこかの企業からTOBされているかもしれませんね。
最近はKKRのような海外のアクティビストの動きが活発化しているので、2025年もTOBやMBOがたくさん発表される可能性があります。保有株がTOB・MBOされる可能性も十分考えられるので、その場合に備えてTOB・MBOの公開買付代理人や復代理人に選ばれやすい証券会社に口座開設しておきましょう。TOBやMBOの応募がスムーズにできて便利です。
TOBの公開買付代理人に選ばれやすい証券会社
この記事を見た人は、こちらも読んでいます