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CPI(消費者物価指数)とは?上がる(下がる)とどうなる?株価への影響をわかりやすく解説

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2024年4月11日

お知らせ
(2024年4月11日追記)2024年3月のCPIは、総合指数が前年比+3.5%、コア指数が前年比+3.8%市場予想を上回りました(市場予想は総合指数が+3.4%、コア指数が+3.7%)。

CPI消費者物価指数)とは、消費者が購入するモノやサービスの価格動向を表す指数です。物価が上がっているのか下がっているのかを調べる指標として使われています。

2022年現在、世界中で物価が上昇する「インフレ(インフレーション)」が発生しています。世界各国の中央銀行は、物価の上昇を抑えるために金利を引き上げており、間接的に株式市場の下落へとつながっています。このため、物価の動向を表すCPIに、世界中の投資家が注目しているのです。

このコラムでは、CPIの意味や日本とアメリカの比較、株価への影響を、株初心者向けにわかりやすく解説します。ぜひ最後まで読んでくださいね。

CPI(消費者物価指数)とは?わかりやすく解説

CPIとは「Consumer Price Index」の略で、日本語で「消費者物価指数」と言います。これは消費者が購入する商品やサービスの価格が前年の同月と比べて上がったか下がったかを表しており、その国の物価の動きを調べるときに使われています。

特にCPIが注目されるのは、2%を超える上昇となった場合です。物価の上昇率が2%以下であれば、経済は安定して成長していると考えられます。しかし、この基準を超える上昇になると、景気が過熱して企業業績の悪化や個人消費の落ち込みにつながり、株式市場にマイナスの影響を及ぼします。

また、CPIは商品やサービスの価格がどう変化したかを調べる指数なので、実際の景気よりも数か月~半年ほど遅れた数値が出てきます。これを「遅行指数」と呼びます。つまり、「将来の景気予想には使えない」点に注意してください。

※景気の動きを調べる指数には、CPIのような遅行指数以外にも2つ種類があります。1つ目は景気よりも数か月先行して動く「先行指数」、もう1つは景気に一致して動く「一致指数」です。

CPIが注目される理由

CPIが注目される理由は、この指数が前年同月比で2%を超えて上昇した場合、株式市場の下落につながるためです。CPIが株式市場に影響を及ぼす流れを下に整理してみました。

  1. CPIが2%超で上昇する(景気の過熱)
  2. 中央銀行は景気の過熱を防ぐために金利を引き上げる
  3. 金利上昇で銀行預金の魅力が高まり、人々がお金を預金に回す
  4. 消費が落ち込み、企業の業績が悪くなる
  5. 企業の株価が下落しやすくなる
  6. 株式市場全体も下落しやすくなる

株式投資をしている人にとっては、企業の業績悪化とそれによる株価の下落は避けたいことです。「損失を避けたい」という思惑があるからこそ、CPIは注目度の高い指数と言えます。

CPIの総合指数・コア指数・コアコア指数の違い

CPIには「総合指数」と「コア指数」、「コアコア指数」の3種類があります。それぞれどのような違いがあるのか、表に整理しました。

指数名 概要
総合指数 調査対象の全品目を含む指数
コア指数 総合指数から値動きが激しい「生鮮食品」を除いたもの
コアコア指数 総合指数から「生鮮食品」と市況などの外的要因に左右されやすい「エネルギー」を除いたもの

総合指数から生鮮食品を除いたものがコア指数、そこからさらにエネルギーを除いたものがコアコア指数となります。つまり、コア指数は総合指数よりも厳密な物価上昇を、コアコア指数はコア指数よりもさらに厳密な物価上昇を表す指数なのです。

そのため、3種類のCPIのうちコアコア指数が最も注目されます。値動きが激しい生鮮食品や外的要因に左右されやすいエネルギーを除いた数値が上昇していれば、単なる価格のブレではなく物価上昇が進んでいると考えられるからです。

また、CPIは各国で発表されていますが、中でも注目なのはアメリカのCPIです。アメリカは世界経済をけん引する国であり、世界の景気に影響を及ぼすためです。

ちなみに、「コア(Core)」には「物の中心部」や「核」といった意味があります。球体の周りをそぎ落として中心に近づくイメージを持つと、コア指数やコアコア指数の意味が理解しやすいかもしれません。

CPIの発表はいつ?

アメリカと日本のCPI発表日は、下の表のように決められています。

発表日
アメリカ 毎月第2週目の曜日
日本 毎月第3週目の曜日

普段からCPIを追いかけている方であれば、上に示した発表日は覚えているかもしれません。しかし、この発表日はわざわざ覚える必要はありません。マネックス証券経済指標カレンダーを使うと、誰でもかんたんに発表日を調べられます。

この経済指標カレンダーは、マネックス証券に口座を持っていなくても無料で使えます。ぜひご活用ください。

CPI(消費者物価指数)を日本とアメリカで比較

CPIについて見方を説明したところで、日本とアメリカのCPIを比較してみましょう。今回は「コアコア指数」を比べていきます。

日本のCPIコアコア指数

青色の折れ線グラフ日本オレンジ色の折れ線グラフアメリカのCPIコアコア指数を表しています。どちらの国も物価が上昇していることが読み取れますね。エネルギー価格の高騰が世界各国の物価に影響しているためです。

しかし、日本とアメリカの指数には大きな差があります。CPIコアコア指数は、生鮮食品とエネルギーを除く物価が前年同月と比べて高くなったかどうかを表すものです。したがって、アメリカのほうが強烈な物価上昇に見舞われていると言えるのです。

アメリカの物価上昇率が日本より高いのはなぜか?

なぜ日本よりもアメリカの物価上昇率が高いのでしょうか。その理由として「労働者不足が深刻である」点が挙げられます。これには次のような要因が絡んでいます。

移民政策

1つ目の理由は、「移民政策の影響」です。アメリカは移民大国であり、「人種のるつぼ」とも呼ばれています。そのため、アメリカ経済は世界中から集まった人々で成り立っているのです。

しかし、2016年にアメリカ大統領に就任したトランプ氏が「移民政策」を打ち出し、移民をメキシコに送り返したり移民の入国をむずかしくしたりしました。これによってアメリカの移民が減少し、労働力が不足してしまったのです。

新型コロナウイルスの感染拡大

2つ目の理由は、「新型コロナウイルスの感染拡大」です。新型コロナウイルスの感染拡大によって店舗の休業等で解雇された人が増えたのですが、その後の回復局面で雇用が思うように進んでいません

特に、55歳以上の労働参加が遅れていることが問題視されています。新型コロナウイルスに感染した場合の重症化リスクが高いことと、これまで続いてきた株高によって資産を築いていることが影響しているようです。

このように、もともと移民政策の影響で労働者が不足していたところに新型コロナウイルスによる労働者不足が重なってしまい、アメリカでは深刻な人手不足が発生しています。

人手不足になると、需要と供給の関係から、労働者が受け取る賃金が高くなっていきます。賃金の上昇は、企業にとってコストの増加になります。その分だけモノやサービスを値上げしないと利益が出なくなるので、物価が上昇していくわけです。

以上をまとめると、アメリカは深刻な人手不足が発生している影響で、日本よりも物価の上昇率が高いと考えられます。

CPI(消費者物価指数)の株価への影響

CPIが注目される理由で説明したとおり、CPIは前年同月比2%を超えて上がると株価に影響を及ぼします。具体的にどのように株価に影響するのか順を追って説明しますね。

CPIが上がるとどうなる?

CPIが2%を超えて上昇すると、下のような流れで株式市場全体の下落につながります。

  1. CPIが2%超で上昇する(景気の過熱)
  2. 中央銀行は景気の過熱を防ぐために金利を引き上げる
  3. 金利上昇で銀行預金の魅力が高まり、人々がお金を預金に回す
  4. 消費が落ち込み、企業の業績が悪くなる
  5. 企業の株価が下落しやすくなる
  6. 株式市場全体も下落しやすくなる

ただし、CPIの上昇が2%に満たなければ、景気の過熱は起きていないと考えられるため、株式市場に対してマイナスの影響はありません。このように、CPIが上がっても状況によって影響が異なるので注意が必要です。

2022年10月現在、CPIに注目が集まっています。この理由は、アメリカのCPIの上昇率が2%を超えているからです。アメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度)は「景気の過熱」と判断して金利を引き上げており、企業業績の悪化が予想され株式市場が下落しています。

CPIが下がるとどうなる?

CPIが2%を超えている状態から下がった場合は、株式市場全体が上昇しやすくなります。これは、投資家たちが「これ以上の金利引き上げはない」と考え、投資を再開するためです。

実際の株式市場の動きを見てみましょう。2022年10月3日、アメリカで景況感が悪化しているという経済指標が発表されました。景気の過熱が抑えられており、CPIがこれ以上は上がらないという見方が広がったため、NYダウは上昇しました。

<NYダウの推移(1か月間)>

NYダウの推移

(出典:SBI証券

そのあとに景気の過熱を示す指標が発表されて株価が下がりましたが、今後もCPIの下落が予想されると株価が上がる展開が続きそうです。

CPI(消費者物価指数)の推移(10年間)

最後に、CPIの推移を長期(10年間)で見てみましょう。

日本のCPI

マネックス証券経済指標カレンダーでは、CPIの総合指数とコア指数のみ掲載されています。コアコア指数は日本政府が運営する統計ポータルサイト「e-Stat」内にある、「消費者物価指数」のページでの確認が必要です。統計表の一番上にある「結果の概要(全国)」という名前のPDFの中で、コアコア指数が見られます。

今回は、CPIコア指数について過去10年間の推移を見ていきましょう。グラフの右端にある2022年8月現在、CPIの数値が2014年上半期の水準まで上昇しているのがわかりますね。

ただし、2014年のCPIコア指数上昇は、同年4月の消費税増税による影響を大きく受けています。2014年の1年間のCPIコア指数は前年比で+2.8%となっていますが、総務省の試算によるとそのうち2%分が消費税増税の影響です。したがって、消費税増税の影響を差し引いた実質的なCPIコア指数(年間)は、+0.8%程度と言えます。

以上から、2022年に入ってからのCPIコア指数の上昇は、過去10年間で最も高くなっています。エネルギー価格の高騰が原因となっているため、しばらくはCPIコア指数が高い状態が続きそうです。

アメリカのCPI

続いて、アメリカのCPIです。こちらはコアコア指数を確認できます。2021年下半期からCPIが急上昇しており、過去10年間で最高水準のCPIとなっています。日本と比べて上昇率が高い様子がよくわかりますね。FRBが「インフレに徹底的に対処する」と語った理由も、過去10年のCPIを見ると理解できるのではないでしょうか。

アメリカのCPIについても、引き続き高い水準が続くと予想されます。物価が上昇している理由はエネルギー価格の高騰や労働者不足などであり、いずれもすぐに解決できるものではないためです。

このように、マネックス証券経済指標カレンダーを使うと、最新の数値だけでなく過去10年分の動きを追いかけられます。口座開設しなくても無料で使えるので、ぜひ利用してみてください。

まとめ

CPI(消費者物価指数)の意味や種類、日本とアメリカの比較などをしてきました。CPIは前年同月比で2%超になると、株式市場全体が下がりやすくなります。2022年10月現在、世界中でCPIが上昇しており、投資家からの注目度が高い指標です。

しばらくはCPIが上昇する可能性があるので、CPIの意味を理解して、毎月チェックしていきましょう。指標をチェックする際は、マネックス証券経済指標カレンダーを使うのがおすすめです。口座開設は不要で誰でも無料で使えるツールなので、まだ使ったことがない方はぜひ使ってみてください。

今回紹介したマネックス証券は、口座開設なしで使える経済指標カレンダー以外に、口座開設すると使える企業分析ツール「銘柄スカウター」など、投資家向けのツールが充実しています。中でも銘柄スカウターはおすすめのツールで、マネックス証券に口座を持っている人なら無料で使えます。この機会に口座開設しておくのがおすすめです。

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やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会検定会員補を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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