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【酒関連株・銘柄まとめ】コロナ禍の反動とインバウンド増加が追い風!おすすめ銘柄や今後の見通しも解説

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2024年12月16日

酒関連株とは、その名のとおり「お酒を製造・販売している会社の株」です。代表的な銘柄として、ビール会社のアサヒグループHD(2502)キリンHD(2503)があげられます。

ウイスキーの『山崎』で有名なサントリーをはじめ、酒造会社は非上場であることが多いのですが、意外な上場企業が酒を作っているケースもあるので、ウイスキーや日本酒、焼酎などジャンル別に銘柄を紹介しますね。

このほか、酒市場の動向や注目ポイント、今後の見通しなどを解説しています。ぜひ参考にしてください。

酒市場の動向や注目ポイント

2023年のお酒の国内売上は3兆2,669億円にのぼりますが、健康志向やライフスタイルの変化によって減少傾向にあります。特に、若い世代がお酒をあまり飲まなくなったことが影響しているようです。

しかし、2022年以降は、コロナ禍の反動とインバウンド(訪日外国人)の増加で、飲食店向けを中心に回復の動きが見られています。また、輸出額はこの5年間で倍増し、1,000億円を3年連続で超えました。中国や米国向けが多く、円安が追い風です。

お酒の売上は酒税に影響される

お酒の売上は「酒税(お酒にかけられる税金)」に影響されます。1990年代にはビール税の引上げが相次いだため、ビール会社は発泡酒などの税金が安い“ビール系飲料”を作り、顧客をつなぎとめてきました。

しかし、ビール飲料の税金は、2026年10月までにすべて統合されて同じ税率になる予定です。このため、ビール系飲料は本来の役目を終えることになります。

酒税の最近の動向として、2023年10月にかけて日本酒が減税された一方、人気のワインが増税されました。2026年10月には、チューハイなどの酒税が25%引き上げられるため、関連銘柄の売上に影響が出そうです。

酒関連株は、酒税によって売れ行きや商品企画が左右される銘柄と言えます。毎年秋から始まる税制改正の動きは要チェックですね。

酒関連株・銘柄一覧

「酒」とひとくちに言っても種類があり、大きくビールやワイン、日本酒、ウイスキー、料理酒などに分類できます。このうち、ビールは上場企業3社が市場シェアの多くを占めていますが、日本酒や焼酎をつくる会社は有名どころの霧島酒造をはじめ非上場の企業がほとんどです。

今回は酒の種類別に関連株を整理しました。投資する際の参考にしてくださいね。

ビール

三大ビールメーカーのアサヒグループHD(2502)キリンHD(2503)サッポロHD(2501)を取りあげます。

ウイスキー

ウイスキー首位は『山崎』で有名なサントリー(非上場)です。シェア2位のニッカウイスキー社はアサヒグループHD(2502)に属しています。

焼酎

『宝焼酎』の宝HD(2531)と、『博多の華』のオエノンHD(2533)をご紹介します。

日本酒

酒造会社を買収したヨシムラ・フードHD(2884)ベルーナ(9997)を取り上げました。

果実酒(主にワイン)

サンクゼール(2937)は自社ワイナリーでワインやシードルを作っています。

薬用酒

『養命酒』は養命酒製造(2540)の看板商品です。

料理酒

しょうゆメーカーとして有名なキッコーマン(2801)は料理酒やみりんも作っています。

銘柄名
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事業内容
アサヒグループHD(2502) 大手ビール会社。傘下にニッカウイスキー。焼酎や洋酒、ワインなどを幅広く提供している。海外売上比率は5割強で欧州とオセアニアが中心。米国向け『スーパードライ』の現地生産化を急ぐ。優待は2024年12月を最後に廃止。
キリンHD(2503) 『麒麟(きりん)』ブランドの大手ビール会社。傘下にワインのメルシャン。洋酒や焼酎などの酒類ブランドを多数展開している。飲料や医薬品事業も手がける。海外売上比率は約5割でオセアニアに強み。
サッポロHD(2501) 『黒ラベル』で知られる大手ビール会社。洋酒や日本酒、ワインなどの酒類もあつかう。食品・飲料事業も展開。海外売上比率は20%強で北米に強い。米国でビール『樽生』の現地生産を開始。
宝HD(2531) 『タカラcanチューハイ』でおなじみの酒類メーカー。焼酎、清酒、本みりんなどの調味料や原料用アルコールを作っている。米国や中国に生産工場。海外売上比率は約6割(医薬品事業を除く)。傘下にタカラバイオ(4974)。
オエノンHD(2533) 焼酎『博多の華』で知られる焼酎メーカー。チューハイなどの受託製造や医薬品事業も展開している。プレミアム商品やご当地チューハイなどが好調。今後は海外進出に力を入れる方針。
ヨシムラ・フードHD(2884) 食品の製造・販売会社。ホタテなどの海産物に強み。経営の安定性を示す自己資本比率がやや改善した。岩手県盛岡市の日本酒の桜顔酒造をグループ傘下に持つ。M&Aに積極的。
ベルーナ(9997) アパレル・雑貨を中心とする通販会社。ワイン専門通販「My Wine Club」を運営。日本酒の老舗として170年以上の歴史を持つ谷櫻酒造を2023年6月に子会社化した。
サンクゼール(2937) 食品専門店。『サンクゼール』などの4ブランド計140超の店舗を運営。長野県の斑尾高原農場でぶどうを栽培し、自社ワイナリーでワイン、シードルを製造する。割高・割安度を表す指標であるPERが100倍超と人気が集中。
養命酒製造(2540) 薬用酒メーカー。14種類の生薬を使った主力商品『養命酒』が売上の8割程度を占めている。大正製薬HD(2024年4月上場廃止)が筆頭株主。アジア主要国の市場拡大に取り組む。
キッコーマン(2801) しょうゆのトップメーカー。食品、飲料のほか、ワイン、料理酒、本みりんなどの酒類も製造・販売している。海外売上比率は8割弱。利益の約9割を北米を中心とする海外で稼ぐ。

酒関連株の株主優待

酒関連株には株主優待が設定されている場合があり、優待品が届くのを楽しみにしている個人投資家の方も多いのではないでしょうか。しかし、アサヒグループHDのように株主優待を廃止する銘柄もあるので注意が必要です。

株主優待については、グループサイト『楽しい株主優待&配当』で詳しく紹介しています。酒を含む飲料・ドリンクがもらえる企業をまとめたページもあるので、ぜひ参考にしてくださいね。

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酒関連株・銘柄の見通し

酒関連株の見通しは「良い・普通・悪い」で表すと、やや「良い」と言えます。円安を背景に、インバウンド関連の販売量増加と輸出の増加に期待がかかります。

① インバウンド

観光庁によると、訪日外国人は1人当たり約1万円分のお酒を買っているようです。政府は2030年までに訪日外国人客数を、2023年の約2,500万人から6,000万人に増やす目標を立てています。この目標が実現すれば、年間で約6,000億円分のお酒を訪日外国人が買う計算になりますね。

訪日外国人は1人当たり約1万円分のお酒を購入

出典:観光庁 | 訪日外国人の消費動向[PDF]

② 輸出

国税庁によると、2023年の日本産酒類の輸出額は1,344億円です。品目別に見るとウイスキーと日本酒が全体の7割弱を占めており、輸出先の国別では中国と米国が約4割を構成しています。

2023年の日本産酒類の輸出額は1,344億円

出典:国税庁 | 酒レポート(令和6年6月)[PDF]

③ 品目別の状況

国税庁の『酒類の取引状況[PDF]』を基に、主な酒類の国内売上と輸出金額を表に整理しました。

品目別の国内売上・輸出金額
種類 国内売上 輸出金額
ビール類 1兆2,460億円 100億円
リキュール 6,344億円 141億円
焼酎 4,126億円 19億円
日本酒 2,981億円 451億円
ウイスキー 2,770億円 327億円
果実酒 1,459億円 12億円

国内売上はビール類が最も多く、輸出金額は日本酒が最も多くなっています。それでは、品目別に足元の状況を見ていきましょう。

ビール類(ビール・発泡酒)

国税庁が発表している「酒類課税数量の推移」を見ると、国内における販売数量は1994年をピークに減り続けてきましたが、2022年にはやや持ち直しています。2026年10月に実施予定のビール税率の統一によって、商品と生産ラインの整理が進めば、ビール会社の採算にはプラスとなるでしょう。

ビール類の販売数量

出典:国税庁 | 酒レポート(令和6年6月)[PDF]

リキュール

リキュールとは、ウイスキーや焼酎などのお酒にフルーツなどの香り成分を加えて作るお酒です。若者や女性に人気の缶チューハイも含まれ、売上は右肩上がりとなっています。

焼酎

国内では2000年代前半の焼酎ブーム以降、年々販売数量が減っていましたが、2022年度には前年度比+0.8%と歯止めがかかりました。

日本酒

日本酒の販売数量はピーク時の3割以下となり、純米吟醸などの高級酒や輸出が下支えとなっています。 輸出は米国向けが有望です。

ウイスキー

同じく「酒類課税数量の推移」を見ると、ウイスキーは過去十数年にわたって販売数量が増えています。販売数量を押し上げた背景として、百貨店やドラッグストアでのインバウンド向け販売が好調である点が挙げられます。また、ウイスキーの輸出額は約500億円で、日本酒に並ぶ主力商品です。

テーマ株・関連株の投資に役立つ、おすすめ証券会社

まとめ

健康志向の高まりとライフスタイルの変化でお酒の売上が年々減っていくなか、インバウンド輸出に期待が集まっています。米大統領選のトランプ氏勝利を受けて当面のあいだは円安が続き、インバウンドと輸出の後押しとなりそうです。

長期的には、人口が少なくなるにつれ国内のお酒の売上は減っていく運命にあります。輸出に力を入れると同時に、キリンHD(2503)宝HD(2531)のように、医薬品など他の事業に手を広げる酒類メーカーが増えていく可能性があります。

酒関連株を検討する際は各社の業績、為替や酒税に加え、お酒以外の事業を展開しているかどうかにも注目したいですね。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会検定会員補を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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