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【地方創生関連株・銘柄まとめ】地域活性化のために取り組む企業はどれ?今後の見通しなどを解説
地方創生関連株は、「地方を元気にするモノやサービスを提供する会社の株」です。地方創生は、地方の産業を育て移住者を呼び込み、地方の経済力を高めて人口減少をおさえる政府の方針です。半導体大手の工場を誘致した菊陽町(熊本県)や千歳市(北海道)は地方創生が目指す姿の一つと言えるでしょう。
この記事では、地方創生関連株の今後の見通しや、関連銘柄10社をピックアップしてご紹介します。
地方創生について
今、なぜ地方創生なのでしょうか?地方創生を進める合理的な理由として、経済・食料安全保障※の強化があげられます。
※ 経済安全保障は、モノづくりの技術の流出を防ぎ、国民がいつでも必要なモノを入手できるよう保証することです。食料安全保障は、いつでも食料を入手できるよう保証することです。
先端技術をめぐる米中の対立を背景に、重要な部品は自国や欧米などの同盟国から調達する方向です。また、日本は食料の6割以上※1を輸入しています。
※1 参考:食料安全保障について(農林水産省)
この状態で海外で食料不作や台湾包囲などの軍事衝突が起きると、輸入が止まり食料不足になりかねません。地方に工場を作り、農業を再生する地方創生は、わたしたちの暮らしを守るための取り組みなのです。
人口減少による影響
人口戦略会議が2024年4月に発表した「地方自治体『持続可能性』分析レポート」によれば、全国の市町村の約4割に相当する744の自治体が2050年以降、人口が急減して消滅する可能性があるとのことです。
10年前の同じ調査と比べると少子化の流れは変わらないものの一部が改善しました。前回、消滅可能性ありとされた896の市町村のうち、3割強が今回の選定をまぬがれたのです※2。
※2 参考:地方自治体「持続可能性」分析レポート(北海道総合研究調査会)
地方創生に成功した市町村は、地域の特長を生かした観光や特産品の開発、農林業の再生、製造業などの新たな産業の呼び込み、子育てや移住支援などの工夫を重ねています。たとえば南阿蘇村(熊本県)は、子育てや戸建て住宅整備、農家のなり手に手厚いサポートをおこない、自立した存続が可能な村に生まれ変わりました。
2024年10月に就任した石破茂首相は、自民党の公約に地方の振興を盛り込んでいます。地方の産業を育て、国の機能を地方に分散し、地方創生に使う交付金(お金)を倍増するなどの内容です。
ここでは、地方に産業、観光客、移住者、お金を呼び込む銘柄を集めましたので、ぜひ参考にしてください。
地方創生関連株・銘柄一覧
地方創生関連株は、配当よりも値上がり益をねらう投資家が多いでしょう。赤字の関連銘柄が値上がりするなど地方創生ブームが早くも盛り上がりを見せています。
製造業向け派遣会社のUTグループ(2146)、電気工事の九電工(1959)、農作物の直売所を運営する農業総合研究所(3541)、陸上養殖に取り組むニチモウ(8091)をご紹介します。
また、高級会員制ホテルのリゾートトラスト(4681)、まちおこしを手伝うバルニバービ(3418)と乃村工藝社(9716)を取りあげました。
あわせて、移住・移転を支援するリログループ(8876)、ふるさと納税のアイモバイル(6535)、M&A仲介のストライク(6196)をピックアップしています。
銘柄名 (クリックタップで最新株価) |
事業内容 |
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UTグループ(2146) | 製造・設計・開発技術者の派遣会社。半導体と自動車向けに強み。半導体関連需要の増加や新工場建設にともなうニーズの拡大を見込む。積極的なM&Aで会社の規模を拡大中。高配当銘柄。 |
九電工(1959) | 九州電力(9508)の委託工事会社。電気工事・空調工事をおこなう。九州地域の半導体工場をはじめ都内の再開発などを手がける。天草オリーブ農園や商業施設、ホテルの運営を通じて地方創生に一役買っている。 |
農業総合研究所(3541) | 農産物の卸会社。スーパーの店内に『農家の直売所』を設けて販売している。農家が値段や販売先を決める仕組み。2024年9月にNTTアグリテクノロジーと資本業務提携。 |
ニチモウ(8091) | 水産専門商社。水産加工品や漁具を販売している。福岡県でサーモンの陸上養殖をビジネス化。魚のすり身などの外国人に好まれる食材を多くあつかう。円高メリット関連株でもある。高配当銘柄。 |
リゾートトラスト(4681) | 高級会員制ホテル。介護施設や医療施設、ゴルフ場も運営している。地元食材の利用に積極的。リゾート地などで検診が受けられる会員制検診クラブが好評。海外富裕層向けに会員権の販売をスタートする。 |
アイモバイル(6535) | ふるさと納税サイト『ふるなび』を運営するインターネット広告会社。上場翌々年の2018年に旧東証一部(東証プライム)に移行した。米農家の支援事業もおこなう。高配当銘柄。 |
バルニバービ(3418) | レストランチェーン運営会社。繁華街や駅前以外に出店している。『食から始まる地方創再生開発会社』として不動産や飲食店を活用した地方創生や、遊休施設のリノベーションなどの再生化事業を支援。 |
乃村工藝社(9716) | 空間づくりを支援する会社。地方の美術館や博物館、リゾートやホテル・旅館の立ち上げやリニューアルを多数手がけている。市町村の観光PRや、各地のまちづくりなどにも貢献。 |
リログループ(8876) | 法人(会社・団体)向けのリロケーション(移住・移転)にともなう借上社宅や留守宅の管理などの支援サービスが主な事業。ホテル・旅館・会員制別荘の運営や再生事業も展開している。 |
ストライク(6196) | M&A仲介会社大手。2022年4月に東証プライム市場に移行した。建設、製造、IT関連をはじめとする中小企業やスタートアップのM&Aの仲介、アドバイスをおこなう。 |
地方創生関連株・銘柄の見通し
地方創生関連株は見通しを「良い・普通・悪い」で表すと、「良い」と言えます。
地方創生の交付金が倍額されるほか、2024年度の補正予算にも、農業、観光業や交通インフラの強化、半導体基金などの地方への手厚い支援が盛り込まれることになるでしょう。
それでは、地方を元気にする取り組みを、分野別に見ていきましょう。
① 産業を呼び込む、育てる
製造業や農業・漁業があげられます。
製造業
ここ10年間で、茨城や岐阜、愛知など16の都道府県で工場の新設が増えています。円安もあって製造業の投資意欲は強く工場用の土地が足りない状況です。
大成建設(1801)などゼネコンのほか、半導体産業に技術者を派遣するUTグループ(2146)、建設技術者派遣のコプロHD(7059)、電気工事の九電工(1959)などの活躍に期待がかかります。
農業・漁業
農作物は引き合いが強まって値上がりしています。くだものの値段は上がり、2024年夏にはコメが不足して高くなりました。食品メーカー、小売の契約農家や直売所が増えており、農業総合研究所(3541)に追い風です。
漁獲量が安定しなくなったため、ニチモウ(8091)などは温暖化の影響を受けない地上養殖を始めています。
② 観光客を呼び込む
ホテルやまちおこしがあげられます。
ホテル
インバウンド(訪日外国人)向けの高級ホテルが不足気味です。建築費の値上がりと工期の長期化で新規出店の意欲がおとろえるなか、高級会員制ホテルのリゾートトラスト(4681)の受入れが待たれます。
まちおこし
バルニバービ(3418)は飲食店を活用した地方創生を得意としています。乃村工藝社(9716)は観光スポットづくりに実績があります。
③ 移住者を呼び込む
人口減少が進む中、外国人の移住が日本の人口の先行きを左右することになるでしょう。リログループ(8876)は、外国国籍の社員の受け入れも支援します。
④ お金を呼び込む
ふるさと納税やM&Aがあげられます。
ふるさと納税
ふるさと納税の寄付額は1兆円※3を超え、市町村の子育て支援などに活用されています。楽天グループ(4755)の『楽天ふるさと納税』、チェンジHD(3962)の『ふるさとチョイス』、アイモバイル(6535)の『ふるなび』が人気です。
※3 参考:ふるさと納税に関する現況調査結果(総務省)
M&A
物価高に加えて会社の後継者や人手の不足でM&Aのニーズが高まっています。M&A仲介大手のストライク(6196)や、めぶきフィナンシャルグループ(7167)などの地方銀行には活躍のチャンスです。
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まとめ
半導体ブームにわく熊本の成功例は、地方創生に取り組む地方を勇気づけています。地方では工場の誘致が活発におこなわれているので、第二、第三の菊陽町が現れるのも時間の問題と言えそうです。
しかしながら、石破首相が力説する「地方こそ成長の主役」は、都市部の人々にはピンとこないかもしれません。都市部では保守政党の支持が低いという世界的な傾向があるとはいえ、与党自民党が進める地方創生は、都会の人々にとってはぜひとも優先したい政策ではないでしょう。
このようなズレが生まれる理由の一つには、「一票の格差」があります。地方の一票は最大で約2倍の重みがあり、地方の声が国に届きやすい仕組みとなっているのです。とはいえ、かつて最大4倍を超えていた衆議院選挙の「一票の格差」は改善が進んでいるので、人口と議員が減る地方の意見・要望はやがて通りにくくなっていくでしょう。
地方創生は、時間との戦いです。地方創生関連株の売買を検討する際は、各地の産業の育成にあわせて「一票の格差」のゆくえを見守ることをおすすめします。