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【内需関連株・銘柄まとめ】注目理由や弱点は?どの業界が当てはまるか、今後の見通しも解説

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2025年6月18日

内需関連株は、主に国内向けのビジネスをおこなう会社の株です。海外景気や国際情勢の影響を受けにくく、比較的業績が安定しやすい点が強みです。米国の通商政策とウクライナや中東の軍事衝突のリスクが高まるなか、内需関連株が注目を集めています。

この記事では、内需関連株として「小売、食品、土木建設、電力、通信、運輸、金融・保険などの会社」を取り上げています。また、内需関連株に関する今後の見通しも、株初心者向けにわかりやすく解説しているので、ぜひ参考にしてくださいね。

内需関連株が注目されている理由を解説

内需関連株が注目されている理由は、下の2点が世界経済の不確実性を高めているからです。

内需関連株が注目されている理由

それぞれ見ていきましょう。

理由①米国の通商政策

理由1つ目は「米国の通商政策」です。トランプ米大統領は自国の産業を守るために、輸入相手国に10%を超える高い関税を課したうえ、上乗せ分の実施を検討しています。

政府が関税を課した場合、輸入商品の値上がりを米国の輸入・卸業者や消費者が負担しなくてはなりません。また、輸出業者も商品の値引きを迫られ、もうけが減る可能性があります。

経済大国である米国の事業環境が悪くなったため、国内向けにモノやサービスを提供している内需関連株が見直されているのです。

理由②ウクライナや中東の軍事衝突

理由2つ目は「ウクライナや中東の軍事衝突」です。2025年6月末時点、ウクライナとロシアの間で戦闘が続いています。

6月には、中東のイランとイスラエルの間で緊張が高まり、米軍がイランの核施設を空爆しました。イランとイスラエルは停戦に至りましたが、中東で再び地政学的な緊張が高まる可能性はゼロではないでしょう。

このような軍事衝突によって、世界の貿易が寸断されるおそれがあります。海外向けにビジネスを展開している企業にとっては、これまでのように自由な取引ができなくなるリスクがあります。

当然、業績にもマイナスの影響が及ぶでしょう。このような事態を避けるため、内需企業への投資を考える投資家が増えているのです。

内需関連株の弱点

内需関連株の弱点は、日本の少子高齢化です。現役世代が減り高齢者が増えると、お金の使い道が医療・介護などにシフトし、ビジネスによっては縮小が加速する可能性があります。内需関連に長期投資する際は、今後伸びる分野を見極め、銘柄選びに力を入れることが大切です。

日本の人口推移と人口構造の変化

出典:厚生労働省 | 我が国の人口について

この記事では、内需関連株として、少子高齢化に負けずにがんばる銘柄を各分野から選びました。ぜひ参考にしてください。

内需関連株・銘柄一覧

内需関連株には、小売、食品、土木建設、電力、通信、運輸、金融・保険などの業種が当てはまります。身近なところでは医療・介護、外食産業、人材派遣、クリーニングなどのサービス業、さらには農業なども内需関連です。

それでは、分野別にどのような銘柄があるのか見ていきましょう。

食品・外食

日本の金利引き上げや米国の意向によって円高圧力が高まる現状は、仕入れに輸入品を使っている食品・外食に追い風です。名古屋発の喫茶店『コメダ珈琲店』を展開するコメダホールディングス(3543)と冷凍食品のニチレイ(2871)を取り上げました。

銀行・証券

金利の引き上げは三井住友フィナンシャルグループ(8316)などの銀行株にプラスです。iDeCo(個人型確定拠出年金)の見直しで注目が集まる証券業からは、ネット証券大手のSBIホールディングス(8473)を紹介します。

土木建設・不動産・IT・通信

土木建設は、政府によるインフラ強化政策が後押しとなります。道路整備をになうインフロニアホールディングス(5076)に注目しました。

インフレ下では不動産の値上がりが進みます。大手の三井不動産(8801)を紹介します。

通信・IT関連からは、次世代オール光通信網「IWON」の実用化を進める日本電信電話(9432)と、医療ビックデータのJMDC(4483)をピックアップしました。

防衛

国際情勢の緊張が高まる中、各国は防衛力の強化を進めています。石川製作所(6208)は地雷などを防衛省に提供する会社です。

観光・旅行

インバウンド(外国人旅行客)の恩恵が大きい業界です。日本の大動脈である東海道新幹線を運行する東海旅客鉄道[JR東海](9022)をピックアップしました。

銘柄名
クリックタップで最新株価)
事業内容
コメダホールディングス
(3543)
名古屋発祥のコーヒーチェーン。コーヒーに朝食が付く「モーニング」や「シロノワール」で有名な『珈琲所 コメダ珈琲店』を運営。フランチャイズに対するコーヒー豆などの卸売りがメイン。高利益率。株主優待はプリペイドカード。
ニチレイ
(2871)
冷凍食品メーカー大手。低温物流・冷蔵倉庫の世界的大手でもある。加工食品は売上の約8割国内向け。海外売上高比率が増加傾向。世界30か国以上から水産品、畜産品を調達しており、円高メリット関連株としても人気。
三井住友
フィナンシャルグループ
(8316)
メガバンク国内2位。三井住友銀行をはじめとする住友系金融グループ(SMBCグループ)の持ち株会社。配当は減配せず、維持もしくは増配する方針。配当性向※140%
SBIホールディングス
(8473)
ネット証券国内首位のSBI証券を中心とする金融サービス事業を展開。投資や暗号資産などを幅広く手がける。NTTグループとの資本業務提携を通じてデジタル技術の取入れを加速。
インフロニア
ホールディングス
(5076)
前田建設工業・前田道路・前田製作所などの持ち株会社。道路、トンネルやダムなどのインフラ関連の工事をおこなう。M&A(会社の合併と買収)に積極的。2025年5月に発表した三井住友建設(1821)の買収は評価が分かれる。
三井不動産
(8801)
不動産大手3社の一角。不動産の用地取得・企画開発、営業、運営管理をおこなう。『パークマンション』の開発や、『三井ショッピングパーク ららぽーと』、『三井ガーデンホテル』などの運営で知られている。
日本電信電話
(9432)
NTTグループの持ち株会社。NTTドコモに続き、2025年6月にNTTデータグループ(9613)を子会社化し、親子上場※2の解消が完了。
JMDC
(4483)
医療・生損保のビックデータに特化。旧日本医療データセンター。医療、製薬、生損保向けに健保組合などのデータ活用を促進。オムロン(6645)が親会社で、親子上場の状態にある。
石川製作所
(6208)
機械メーカー。主力の防衛機器が売上の約6割を占める。うち防衛省向けは約4割で、三菱重工業(7011)が取引先のひとつ。機雷や地雷、フライトデータレコーダーなどを製造している。
東海旅客鉄道
(9022)
東海エリアの鉄道会社(旧国有鉄道)。旅行、ホテル、バス会社を子会社に持つ。東海道新幹線が外国人旅行客の利用増で好調。2025年3月期は過去最高の業績を記録した。

※1 配当性向とは、会社のもうけのうち、配当に回す割合のことです。
※2 親子上場とは、親会社と子会社が上場している状態を指します。近年、親子上場は解消される方向にあります。解消が発表されると子会社の株が値上がりすることが多いです。

内需関連株・銘柄の見通し

内需関連株の見通しを「良い・普通・悪い」で表すと、「良い」と考えられます。国際情勢の悪化で海外向けビジネスが不安定となり、国内向けビジネスを主におこなう内需関連株が見直されているからです。

それでは、銘柄一覧で紹介できなかった銘柄を交えて、分野別に詳しく説明していきます。

① 食品・外食

「食品・外食」は、円高メリットが得やすい分野です。今後、円高が進めば輸入食品を安く仕入れられます。インフレが進むなか、値上げしやすい環境もプラスです。

格安業務スーパーの神戸物産(3038)や、乳製品の専門商社ラクト・ジャパン(3139)にも注目したいですね。

② 銀行・証券

日本銀行が利上げを進めれば、銀行にとってもうけやすい環境になります。メガバンク以外にも、横浜銀行や東日本銀行などをもつコンコルディア・フィナンシャルグループ(7186)などの地銀にも要注目です。

また、インフレの進行によって、資産形成やマネー管理への関心が高まっています。信託銀行の三井住友トラストグループ(8309)や家計簿アプリで知られるマネーフォワード(3994)などにも期待できるでしょう。

③ 土木建設・不動産・IT・通信

2025年6月に政府が公表した第1次国土強靱化実施中期計画では、今後5年間で、水災害対策や、道路・上下水道、通信、電力などのインフラを強化するとしています。ゼネコンや、道路補強のショーボンドホールディングス(1414)不動テトラ(1813)などには追い風です。

第1次国土強靱化実施中期計画

出典:内閣官房 | 第1次国土強靱化実施中期計画[PDF]

④ 防衛

米国の強い要望により、欧州はロシアの脅威に備えるべく、軍事費をGDPの2%から5%に引き上げる方向です。これに合わせて、日本の防衛費(2027年度までにGDP比2%)も引き上げられる可能性があるでしょう。

戦闘機のエンジンを提供するIHI(7013)は、MCSI全世界株指数(ACWI)※3に新たに採用されました。戦車の主砲を提供する日本製鋼所(5631)などにも引き続き注目です。

※3 MSCI全世界株指数(ACWI)は、世界の株式市場全体をあらわす代表的な株価指数で、海外投資の目安として広く利用されています。

⑤ 観光・旅行

円高はインバウンド消費にマイナスに働きますが、海外富裕層向けは好調が続く見込みです。三井不動産(8801)は『ブルガリホテル東京』などの高級ホテル運営を事業の一部としています。

テーマ株・関連株の投資に役立つ、おすすめ証券会社

まとめ

人気の内需関連株をまとめました。米国の関税政策や中東などの戦争で先行きの不透明感が強まる現状では、内需関連は手がたい投資先と言えるでしょう。小売や外食、通信など、個人投資家になじみ深い銘柄が多い点も安心材料の一つです。

ただし、少子高齢化が進む日本においては、内需関連株の長期的な安定性には注意が必要です。長期保有を考える際は、人口減少の影響を受けにくい分野や銘柄を慎重に検討する必要があるでしょう。上手に銘柄を選んで、日本の経済・社会の発展に貢献していきたいですね。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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