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【ホテル関連株・銘柄まとめ】インフレと高級志向で客室単価が上昇!株価が上がるかや今後の見通しも解説
ホテル関連株は、ホテルを運営する会社の株です。コロナ禍が明けてインバウンド(外国人観光客)が本格化し、ホテル銘柄があらためて見直されています。特に、日本には高級ホテルが不足しており、その分だけ伸びしろが大きいことから、高級ホテル関連株を中心に株価の上昇が期待できます。
この記事では、高級ホテルの運営や開発をおこなう大手ホテルチェーンや鉄道会社、建設・不動産会社を取り上げています。また、客室単価が上昇した理由や株価が上がるかどうかについても、株初心者向けにわかりやすく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
ホテル業界の動向は?株価が上がるか解説
冒頭でも紹介したように、コロナ禍が空けてインバウンドが本格化したことで、ホテル銘柄があらためて注目されています。特に、日本国内は高級ホテルの数が少なく伸びしろが大きいことから、高級ホテル関連株を中心に株価の上昇が期待できます。
2024年の外国人観光客は3,687万人と前年の約5割増しとなり、宿泊客数の4分の1を占めました。外国人観光客は旅行支出のうち3割強を宿泊費に使っています。インバウンドで客室稼働率※1が高まり、宿泊料が値上がりしているためホテル事業はおおむね好調です。
※1 客室稼働率は、ホテルの客室(部屋)がどれくらい埋まっているかを%であらわす指標です。
なかでも、お金持ちに好まれる“高級ホテル”は人気が高く、新規建設や開業が相次いでいます。万博開催をひかえた大阪には「フォーシーズンズ」が、人気の京都には「シックスセンシズ」の新しいホテルが誕生しました。
2026年には京都に帝国ホテル(9708)が、福岡には西武ホールディングス(9024)のプリンスホテルがオープンする予定です。
日本の高級ホテルは海外諸国に比べて数が少ないうえ、大都市にかたよっています。たとえば、米フォーブス・トラベル・ガイド社が選ぶ5つ星ホテルは米国に79軒ありますが、日本にはわずか13軒しかありません。日本の高級ホテルのビジネスには、まだまだ伸びしろがあると言えます。
ホテル関連株・銘柄一覧
ホテル関連株のねらい目は、インバウンド(外国人観光客)のなかでもお金持ちを対象とする「高級ホテル銘柄」です。インフレと円安、好調なインバウンドと、客室料金を値上げしやすい条件がそろっています。客室料金を高く設定できるホテルはもうけが大きくなるので、業績や株価にプラスです。
近年は、欧米の有名高級ホテルと提携してブランド力を高めるホテルが増えています。各業種から高級ホテルを展開する銘柄をピックアップしました。
ホテル運営会社
高級ホテルとして歴史を持つ帝国ホテル(9708)と、英IHGホテルズ&リゾーツと提携した『リーガロイヤルホテル』のロイヤルホテル(9713)、高級ブティックホテルの運営をおこなうウェルス・マネジメント(3772)、高級会員制ホテルのリゾートトラスト(4681)、結婚式場としても知られるホテル『椿山荘(ちんざんそう)』の藤田観光(9722)をご紹介します。
建設・不動産会社
住宅メーカーの積水ハウス(1928)と三井不動産(8801)は米マリオットブランドのホテル運営を手がけています。ただし、両社にとってホテル運営は数ある事業の一部なので、売買する際は主な事業のチェックが必要です。
鉄道会社
『都ホテル』の近鉄グループホールディングス(9041)と『京王プラザホテル』の京王電鉄(9008)、『東武ホテル』の東武鉄道(9001)を取りあげました。
銘柄名 (クリックタップで最新株価) |
事業内容 |
---|---|
帝国ホテル (9708) |
高級ホテルの老舗。『帝国ホテル東京』は私設の迎賓館として使われた歴史を持つ。三井不動産(8801)が主要株主。2026年春には『帝国ホテル京都』を祇園に新規開業予定。 |
ロイヤルホテル (9713) |
『リーガロイヤルホテル』の運営会社。2023年に英IHGホテルズ&リゾーツに加盟。2024年11月には都内2軒の『パークホテル』が傘下入りした。『リーガロイヤルホテル大阪』を運営しており、大阪万博のインバウンド需要に期待。 |
ウェルス・マネジメント (3772) |
ホテル運営をメインに不動産金融事業もおこなう。ブティック型※2の高級ホテルへの投資と運営に集中。2024年には『シックスセンシズ』などの2軒のホテルを京都に新規開業した。 |
リゾートトラスト (4681) |
高級会員制ホテル。介護施設や医療施設、ゴルフ場を運営する。海外富裕層の取り込みに乗り出している。三菱商事(8058)と医療ツーリズムの合弁会社の設立について検討中。 |
藤田観光 (9722) |
『太閤園』、『箱根小涌園』、『椿山荘』を運営する観光会社。宿泊、リゾート、婚礼、レジャー事業を幅広く展開。インバウンド獲得により2024年12月期は過去最高益となった。 |
積水ハウス (1928) |
住宅建設会社。大型高級ホテルの開発に多数の実績を持つ。『リッツカールトン』や『シェラトン』で知られる米マリオット・インターナショナル系列ホテルの国内展開に協力している。 |
三井不動産 (8801) |
大手不動産開発会社。『ザ セレスティン』や『三井ガーデンホテル』などの高級ホテル・リゾートの運営が好調。米マリオット・インターナショナルとブランド提携している。 |
近鉄グループ ホールディングス (9041) |
近畿圏で展開する鉄道事業(近畿日本鉄道)を中心とするグループ。傘下に近鉄百貨店や『近畿日本ツーリスト』のKNT-CTホールディングス(9726)。『都ホテル』や『箱根高原ホテル』などのホテル・レジャー事業を営む。 |
京王電鉄 (9008) |
東京西部・神奈川北部の鉄道会社。不動産やレジャー、百貨店事業などを展開。『京王プラザホテル』を運営している。海外富裕層をターゲットとした高級ホテルを新宿駅西側に2028年にも開業予定。 |
東武鉄道 (9001) |
関東地方の鉄道会社。東京スカイツリーの運営で知られる。『ザ・リッツ・カールトン日光』などのマリオットブランドのホテルを展開。東武日光線が乗り入れる観光地“日光”にインバウンドの期待。 |
※2 ブティック型とは、個性的なデザインやこだわりのコンセプトを持つ、小規模な宿泊施設を指します。
ホテル関連株・銘柄の見通し
ホテル関連株の見通しを「良い・普通・悪い」で表すと、「良い」と言えます。外国人観光客数がコロナ禍前を上回り、インフレでホテルの客室料金が値上がりしているからです。プラス材料とマイナス材料について、銘柄をまじえながら見ていきましょう。
① プラス材料
ホテル関連株のプラス材料として、下の3つが挙げられます。
ホテル関連株のプラス材料
- 円安でインバウンド(外国人観光客)が好調
- 客室料金の値上がり
- 内需関連株が人気
円安でインバウンド(外国人観光客)が好調
プラス材料の1つ目は、円安でインバウンド(外国人観光客)が好調なことです。外国人から見ると、円安は自国通貨高を指すため、日本への旅行に割安感が出ます。
例えば、1回の旅行で10万円必要だとしましょう。1ドル=100円の頃は1,000ドル必要ですが、円安で1ドル=200円になると半分の500ドルで済む計算です。
このように、外国人から見て日本への旅行コストが下がっているため、訪日外国人観光客が増加しています。当然ホテル需要も高まりますので、ホテル関連株には追い風です。
足元では、円高の原因となる「利上げ」が進められていますが、そのペースはゆっくりなので、“近いうちに極端な円高に振れる”といった事態にはならないでしょう。中国に対するビザの緩和により、中国人観光客の増加が見込まれる点も追い風です。
また、2025年は大阪・関西万博が開催しています。大阪に大型ホテル(リーガロイヤルホテル大阪)を持つロイヤルホテル(9713)などに追い風です。
客室料金の値上がり
インフレと外国人観光客の高級志向を受けて、上場ホテルの客室単価が上昇しています。東京商工リサーチによると、比較可能な13社(15ブランド)のすべてで、2024年7-9月期の客室単価が前年同期を上回りました。
2024年7-9月期の客室単価について、前年同期比の値上げ率をみると、「0%以上20%未満」と回答したホテルブランドが11軒あります。20%以上の値上げを実施したホテルブランドもあり、全体的に値上げが進んだことがわかりますね。
出典:東京商工リサーチ|上場ホテルの客室単価、上昇続く 24年7‐9月期は21年同期比、平均1.8倍
『浅草ビューホテル』のヒューリック(3003)やホテル、ニューグランド(9720)などの高級ホテル銘柄に要注目です。
内需関連株が人気
ホテル関連株は内需関連株※3です。米大統領選以降、内需関連株に注目が集まっています。トランプ大統領が、輸入関税を引き上げると発言するたびに、輸出関連株や通貨が急落しているからです。関税や為替の影響を受けにくい内需関連株の手堅さが好まれる状態はしばらく続くでしょう。
※3 内需関連株は主に国内の景気の影響を受ける株で、建設・不動産、電力・ガス、鉄道、小売などが代表的な業種です。
『ホテルアソシア』の東海旅客鉄道(9022)、『東急ホテル』の東急(9005)、『ロイヤルパークホテル』の三菱地所(8802)などにも期待が高まります。
② マイナス材料
続いて、ホテル関連株のマイナス材料として、下の3つが挙げられます。
ホテル関連株のマイナス材料
- 人手不足
- コストの増加
- 円高に進むリスク
人手不足
マイナス材料の1つ目は、人手不足です。スタッフ不足で、需要があっても客室のフル稼働がむずかしいホテルが増えています。
コストの増加
2つ目は、コストの増加です。電気代やリネンなどのクリーニング代、食材の仕入れの値上がりは、ホテル経営にマイナスとなります。格安ホテルは客室料金の値上げや戦略の見直しを迫られている状況です。
円高に進むリスク
3つ目は、円高に進むリスクです。2025年4月現在、日銀が利上げを進めています。利上げによって日本と米国の金利差が縮まると円高が進行するため、インバウンドには痛手です。日銀だけでなく、ドル高を嫌うトランプ大統領の発言が円高を呼ぶ可能性も考えておきましょう。
テーマ株・関連株の投資に役立つ、おすすめ証券会社
まとめ
インバウンドで伸び盛りのホテル関連株をご紹介しました。なかでも海外富裕層に好まれる「高級ホテル」は不足しており、成長の余地が大きいと言えます。各地で高級ホテルの建設・開業ラッシュが続いているので、今後はさらなる収益アップに期待できそうです。
中国人観光客の富裕層向けのビザ緩和など、政府の各種の観光支援策もホテル関連株の後押しとなるでしょう。リッチなホテルに泊まり、贅沢な日本滞在を楽しんでほしいですね。