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【天然ガス関連株・銘柄まとめ】日本は世界第2位のLNG輸入大国!今後の見通しも解説

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2025年1月8日

天然ガス関連株は「天然ガスの開発・生産・利用にかかわる会社の株」です。天然ガスは地下や海底に埋まっている“燃えるガス”で、化石燃料※1の中で最も二酸化炭素排出量が少ない燃料となります。環境へのやさしさから世界中で天然ガスへの需要が高まっており、世界のエネルギー消費の2割強を占めています。

※1 化石燃料とは、石油や石炭、天然ガスを指します。「化石」という名のとおり、もとは動植物の化石です。

この記事では、資源開発会社やガス会社といった天然ガス関連株や、天然ガスの今後の見通しなどについて、株初心者向けにわかりやすく解説します。

天然ガスとは?

天然ガスとは、地下や海底に埋まっている“燃えるガス(可燃性天然ガス)”です。大昔の動植物の遺骸によってできた化石燃料の一種で、このうち気体状のものが天然ガスと呼ばれています。

化石燃料には、天然ガスのほかに固体状の「石炭」、液体状の「石油」があります。天然ガスはこの中で最も二酸化炭素(CO2)排出量が少なく、環境にやさしい燃料として世界中で需要が高まっています。このため、天然ガスは世界のエネルギー消費の2割強を占めるようになりました。

石炭を100とした場合の二酸化炭素排出量

出典:INPEX | 天然ガスって何?

天然ガスは現代において欠かせない燃料

天然ガスは、現代社会において欠かせない燃料となっています。火力発電の燃料として天然ガスが使われており、日本国内で使う電力の約3割が天然ガスによって作られている状況です。

このほかにも、工場を動かしたり、都市ガスとして家庭に供給されたりと、天然ガスは私たちの暮らしに欠かせない存在となっています。

日本は世界2位の天然ガス輸入国

天然ガスは、日本国内における重要なエネルギー源です。しかし、国産の天然ガスは少なく、国内消費量のわずか数%しかありません。日本は国内消費量のほとんどを輸入に頼っており、中国に次ぐ世界2位の天然ガス輸入量となっています。

日本政府は次期の「エネルギー基本計画※2」において、2040年度までに火力発電を現在の7割弱から3~4割に減らし、再生可能エネルギーと原子力発電を合わせて6~7割に引き上げる方針を掲げています。

※2 エネルギー基本計画は、中長期のエネルギー政策の方針をまとめた計画書です。

2040年度におけるエネルギー需給の見通し

出典:資源エネルギー庁 | 2040年度におけるエネルギー需給の見通し

再生可能エネルギーの主力は太陽光発電ですが、太陽光パネルの設置場所が不足している関係で頭打ちとなっています。また、原子力発電所の再稼働は東日本を中心に遅れるおそれもあります。このため、天然ガスには「脱炭素社会※3への移行期に使う火力発電燃料」として期待が寄せられています。日本は今後もしばらく天然ガスの輸入に頼ることになるでしょう。

※3 脱炭素社会とは、二酸化炭素の排出が実質ゼロとなる社会を指します。

ここまで読んだ方の中には、どのようにして「気体」である天然ガスを輸入しているのか気になっている方もいらっしゃるかもしれません。天然ガスの輸入方法について、図を使って説明しますね。

天然ガスは「液体化」して輸入

天然ガスは液体ですが、マイナス162℃まで冷やすと液体に変わります。これを「液化天然ガスLNG)」と呼びます。LNGになった天然ガスは、専用のタンカーに積まれて日本まで運ばれて来る仕組みです。

LNG輸送とパイプライン輸送の仕組み

出典:独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構 | 知っておきたい天然ガスの基礎知識

LNGタンカーのタンクは、超低温に耐え、外部から加わる熱に耐えられる特殊な金属で作られています。

天然ガス関連株・銘柄一覧

天然ガス関連企業の業績は、景気を反映して上下する原油や天然ガスの価格に影響を受けるため、景気敏感株※4と言われています。

※4 景気敏感株(シクリカル株)とは、景気に合わせて業績や株価が変動する銘柄のことです。石油や鉱物などの資源、化学、海運、半導体関連株などが当てはまります。

原油や天然ガスの価格が上昇する局面で株価も上がりやすく、値上がり益を狙いやすい株とも言えるでしょう。銘柄によっては配当利回りが4%を超える場合もあり、値上がり益と配当の両方を狙った投資も可能です。

それでは、天然ガス関連銘柄を業種別にご紹介します。

資源開発会社

国内外で石油・ガスを開発するINPEX(1605)石油資源開発(1662)のほか、国産ガスを生産するK&Oエナジーグループ(1663)三菱ガス化学(4182)、洋上のガス採掘技術を持つ三井海洋開発(6269)を取り上げます。

ガス会社

大手産業ガスメーカーのエア・ウォーター(4088)、産業用・家庭用ガス&エネルギー商社である岩谷産業(8088)をご紹介します。

石油会社

2019年に都市ガスの提供を開始したENEOSホールディングス(5020)を取り上げます。

その他

天然ガスは、マイナス162℃まで冷やすと「LNG」と呼ばれる液体に変化するとご紹介しました。液体化によって天然ガスの体積が約600分の1になるので、効率的に保管や運搬ができる点がメリットです。

しかし、液体のまま保管や運搬する場合、温度をマイナス162℃以下で保たなくてはなりません。このため、LNGを入れるタンクの外側は厚い断熱材で覆われており、内側はニッケル鋼やステンレス鋼、アルミ合金などの超低温に耐えられる素材が使われています。

今回は、LNGタンクの冷却材やLNG船保冷工事などを手がけている断熱材メーカーのニチアス(5393)をご紹介しましょう。このほか、天然ガスを使って発電するガスタービンを提供する三菱重工業(7011)もその他の関連株としてピックアップしました。

銘柄名
クリックタップで最新株価)
事業内容
INPEX(1605) 日本最大の石油・ガス開発企業。海外で原油や天然ガスの開発もおこなう。豪州やアラブ首長国連邦(UAE)などの5か国を中心に多数の石油・ガス権益を持つ。国内では新潟や千葉で天然ガスを採掘している。高配当株。
石油資源開発[JAPEX](1662) 石油・ガス開発大手。国内10か所で天然ガスを生産し、パイプラインなどで供給している。インドネシアやロシアなどの海外6か所に石油・ガス権益を持ち、新規取得にも注力。高配当株。
K&Oエナジーグループ(1663) ガス会社。千葉県を中心とする「南関東ガス田」で天然ガスを生産・開発し、主に県内に供給する。天然ガスを取り出す際に採れるヨウ素の生産・販売が同社のもう一つの事業の柱となっている。
三菱瓦斯化学(4182) 化学材料メーカー。東新潟地域や世界の天然ガス埋蔵国において資源開発をおこなう。天然ガスをメタノール、アンモニア、アセチレンなどの化学品の製造原料として利用している。
三井海洋開発(6269) 世界トップクラスの海洋石油・ガス開発企業。洋上で石油・天然ガスを生産するための浮体式生産設備の建設、生産、運用、メンテナンスを一括しておこなう。自社の工場や造船所を所有しないファブレス企業。
エア・ウォーター(4088) 産業ガス国内2位。産業用・医療用ガスを提供している。北海道の勇払ガス田から産出した天然ガスを千歳臨空工業団地にパイプライン供給するほか、北海道電力(9509)と提携しLNGの輸送を担っている。
岩谷産業(8088) 産業ガス会社。LPガス(液化石油ガス)が主力製品。LNGの供給量でも国内有数。液化水素とヘリウムで国内トップシェア。LNGから水素を作り産業用や宇宙ロケット用に提供している。
ENEOSホールディングス(5020) 国内首位の石油会社。マレーシアとパプアニューギニアに天然ガス権益を持つ。中四国、東北および北海道東部を中心に天然ガスを供給している。2023年に日本海洋掘削がグループ傘下に加わった。
ニチアス(5393) 保温・断熱材メーカー。LNGを冷やすための断熱材をLNG船やLNGタンク向けに提供している。半導体関連製品と工業製品が好調。2025年3月期は過去最高の業績を見込む。
三菱重工業(7011) 国内首位の重工業メーカー。発電用ガスタービンで世界首位。天然ガス生産設備の納入実績多数。パイプライン、ガス処理設備なども手がける。次世代エネルギーや宇宙・防衛銘柄としても注目。

天然ガス関連株・銘柄の見通し

天然ガス関連株の見通しを「良い・普通・悪い」で表すと、「普通」と言えます。IEA(国際エネルギー機関)によれば、2025年の天然ガスの需要は2.3%増加し、2024年に続き過去最高を更新する見込みです。しかし、産出量が増えすぎて値下がりする可能性があるため注意しましょう。

それでは、天然ガス関連株に対する理解を深めるため、以下3つの要点を見ていきましょう。

① 天然ガス関連株にとってのプラス材料

天然ガス関連株にとってのプラス材料として、「需要の高まり」と「調達先が豊富」の2点が挙げられます。

1つ目の「需要の高まり」について説明しますね。アジア諸国の成長が目覚ましく、天然ガスの需要が高まると考えられます。また、米国の景気が堅調に推移している点も、天然ガスにとってプラス材料です。

2つ目の「調達先が豊富」について説明します。石油とは異なり、天然ガスは世界各地で採れる点で調達しやすい燃料と言えます。ウクライナ侵攻をめぐり、欧州ではロシア産天然ガスが使えなくなりガス価格が高騰しましたが、調達先を分散させてエネルギー危機を乗り越えました。

② 天然ガス関連株にとってのマイナス材料

一方、天然ガス関連株にとってのマイナス材料には、「米国の政策」と「化石燃料の段階的な廃止」の2点があります。

1つ目の「米国の政策」について説明します。米国では、トランプ次期大統領のもとで化石燃料の生産を増やす方針です。欧州や中国の景気が振るわない中、世界最大の産出量を誇る米国の供給が増えれば、天然ガスが値下がりする可能性が高いでしょう。この場合、天然ガスの販売会社は高値で仕入れた在庫を安く売ることになるため、業績にマイナスです。

続いて、2つ目の「化石燃料の段階的な廃止」について説明しましょう。日本を含むG7※5は、天然ガスを含む化石燃料の段階的な廃止を表明しています。このため、いずれは天然ガスが使われなくなると考えられるのです。

※5 G7(じーせぶん)とは、カナダ・フランス・ドイツ・イタリア・日本・イギリス・米国の7か国を指します。

③ 天然ガス開発から利用までの流れ

天然ガスの開発から利用までの流れは、大きく「開発→運搬→利用」の3つのステップがあります。各ステップの動向に加えて、先ほど紹介しきれなかった関連株も交えて紹介しますね。

開発

トランプ次期大統領は、米国内での石油・天然ガスの生産を拡大する方針を掲げています。加えて、LNGの輸出審査を再開し海外への供給も増やす方針です。背景には、エネルギーコストを安くしてインフレを抑制し、国際的な影響力を高める目的があります。

このため、現地にガス権益を持つ三井物産(8031)大阪ガス(9532)のほか、資源開発会社に追い風が吹くかもしれません。ただし、増産によって天然ガス価格には下押し圧力がかかる点には注意しましょう。

このほか、石油・天然ガスの生産拡大によって、ガス生産設備の需要が高まる可能性があります。プラント建設会社の日揮ホールディングス(1963)や、LNGを送るバルブを提供する荏原製作所(6361)キッツ(6498)なども、恩恵を受けると考えられます。

運搬

天然ガスは4割がLNGとして貿易取引されており、運搬は天然ガスにとって重要なステップです。

2022年にはじまったロシアによるウクライナへの軍事侵攻により、エネルギーの供給不安が高まりました。この影響で世界的にLNG輸送船への需要が高まり、商船三井(9104)などの海運会社の売上が増加したり、LNG輸送船の受注が増えたりしました。

現在は新しいLNG船が供給されており、2025年のLNG輸送の用船料※6は低調に推移するとみられています。

※6 用船料(ようせんりょう)とは、船舶を船会社から借りる際に支払う借船料、また逆に船舶を他の会社へ貸し出す際に受け取る貸船料の総称です。

利用

2025年1月から、電気・ガス料金の補助が再開されます。しかし、将来的にこの補助金が終了した場合、ガスの使用量が減る可能性が高く、ガス会社にはマイナスです。

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まとめ

脱炭素化の流れを受けて、世界中で天然ガスの需要が高まっています。しかし、米国ではトランプ次期大統領のもとで石油・ガスの増産に舵を切るため、天然ガス価格の下落に注意が必要です。

一方、国際情勢の悪化や水不足などで海上交通の要所(スエズ運河やパナマ運河)の航行に支障が出れば、船賃の値上がりを通じてLNGを含むエネルギー価格全般が上昇することとなります。

今回紹介した天然ガス関連株の業績や株価は、エネルギー価格に影響を受けます。投資する際には、市況(市場の売買状況)や世界情勢に目を配り、情報収集を怠らないようにしましょう。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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