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【資源株・関連銘柄】エネルギー・金属の需要はどうなる?今後の見通しを解説(2024年版)
資源株とは、石油・ガスなどのエネルギーや鉄・銅などの金属をあつかう会社の株です。
エネルギーの銘柄には、石油・ガス、石炭などを採掘する資源開発会社や石油会社が代表として挙げられます。
金属関連の銘柄は、製鉄会社と非鉄金属(銅や金など)をあつかう会社に大きく分けられます。製鉄会社が鉄を主にあつかうのに対し、非鉄金属の会社の多くは銅やアルミなどのさまざまな種類の金属を提供しています。
この記事では、資源株の見通しや関連銘柄をピックアップしてご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
資源株の特徴
資源関連株は景気に左右される「シクリカル株(景気敏感株)※1」であり、戦争や気候変動などの国際情勢にも影響を受けます。近年では、ウクライナ侵攻開始を受けて世界中でモノ不足となり資源価格が値上がりしました。
※1 シクリカル株(景気敏感株)とは、景気に合わせて業績や株価が変動する銘柄のことです。半導体、化学、機械、自動車などが当てはまります。
また、資源関連株には海運事情も反映されます。海上交通の要所であるパナマ運河では水不足、スエズ運河では治安悪化でしばしば航行が不能となり、遠回りや待機でかさむ海上運賃が資源価格を押し上げています。
一般に、資源価格が値上がり(値下がり)すると資源関連株の株価は上がる(下がる)傾向にあります。資源関連株を検討する際は、資源価格の値動きに目を配りましょう。
資源株・関連銘柄一覧
エネルギー分野から5社、金属(鉄・非鉄)から4社、エネルギー・金属を扱う総合商社から1社を取りあげました。
エネルギー
エネルギーは「石油・ガス」、「石炭」で分けています。
石油・ガス
内外で資源開発をおこなうINPEX(1605)と石油資源開発(1662)、国内首位の石油会社であるENEOSホールディングス(5020)、水素の開発に力を入れるLPガス大手の岩谷産業(8088)をピックアップしています。
石炭
豪州の炭鉱に石炭権益を持つ住石ホールディングス(1514)を中小型株としてご紹介します。
金属
金属は「鉄」、「非鉄」、「スクラップ」で分けています。
鉄
日本製鉄(5401)は国内最大の製鉄社です。
非鉄
非鉄最大手の三菱マテリアル(5711)、国内に金鉱山を持つ住友金属鉱山(5713)の2社を取りあげました。
スクラップ
金属リサイクルを営む松田産業(7456)を中小型株として期待を込めてピックアップ。
総合商社
総合商社のなかでも三井物産(8031)はエネルギー・金属資源を多くあつかっています。
銘柄名 (クリックタップで最新株価) |
事業内容 |
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住石ホールディングス(1514) | 石炭の仕入れ販売が主力。豪州のワンボ炭鉱に権益※2を持つ。麻生グループの連結子会社化が決定し株価が急騰した(2024年5月)。九州地区の石炭・工業用ダイヤモンド事業に注力する方針。 |
INPEX(1605) | 石油・ガス開発大手。原油を中心に天然ガスの開発もおこなう。豪州やアラブ首長国連邦など海外に多数の石油・ガス権益を持つ。米国で水素やアンモニアの開発にも取り組む。 |
石油資源開発(1662) | 石油・ガス開発大手。国内10ヶ所で天然ガス・石油を生産。インドネシアやロシア、米国などの海外5か所に権益を持ち、新規取得にも注力。一株当たり年間50円配当の維持に努める。 |
ENEOSホールディングス(5020) | 国内最大手の石油会社。石油製品の製造販売が事業の柱。石油・天然ガス開発や半導体材料などの金属製品も手がける。海外の石油・ガス田に多数の権益を持つ。水素の開発・利用にも取り組む。 |
日本製鉄(5401) | 国内首位の世界的な鉄鋼メーカー。新日本製鉄と住友金属が統合して誕生。豪州やブラジルの鉱山や炭鉱に権益を持つ。海外売上比率は3‐4割。米USスチールの大型買収に意欲。高配当銘柄。 |
三菱マテリアル(5711) | 非鉄金属大手。銅を中心とした金属素材や製品を開発。カナダやチリの銅鉱山に権益を持つ。工業や小売向けに金の製造販売も手がける。金属リサイクルの直島製錬所は世界最大級の処理能力を誇る。海外売上比率は約6割。 |
住友金属鉱山(5713) | 鉱山開発・運営、金属の製錬および機能性材料の生産をおこなう。金を産出する鉱山として国内最大の菱刈鉱山(鹿児島県北部)の権益を100%所有。南米などに銅鉱山の権益を持つ。 |
松田産業(7456) | 貴金属及び関連事業と食品関連事業の二つが事業の柱。貴金属の回収・精錬・精製とリサイクルに70年以上の実績を持つ。半導体・電子デバイス製造向けに貴金属材料を提供。海外展開に意欲的。 |
三井物産(8031) | 大手総合商社。金属資源とエネルギー事業が利益の6割超を占める。LNGや天然ガス、アンモニアなどのエネルギー開発に注力。前期の配当以上を維持する「累進配当」を2024年3月期から導入。2024年6月30日に株式を2分割する。 |
岩谷産業(8088) | LPガス大手。ミネラルサンド(ジルコン・チタン鉱石などの砂状鉱物)の取扱量で国内トップ。豪州で自社鉱山を操業。水素社会推進法の成立で同社の水素の液化・大量輸送技術が注目を集める。 |
※2 権益とは石油・ガス・石炭などを開発、生産、販売する権利のことです。
資源株・関連銘柄の見通し
資源関連株の見通しを「良い・普通・悪い」で表すと、「良い」と言えます。コロナ後の世界経済の回復が続きエネルギー需要が底堅いと予想されるうえ、世界の分断や戦争の影響によって生産・販売・輸送が妨げられ資源価格が値上がりしやすくなっているからです。
エネルギー
エネルギーの短期的・長期的な見通しについて説明します。
短期的な見通し
- 2024年のエネルギー需要は引き続き好調、石油需要も増える見込み(国際エネルギー機関や米国の見通し)
- 石油・石炭は採掘の段階的な縮小と供給抑制が続いているため、需給のバランスがくずれて価格が上がりやすい
- 米国大統領選(2024年11月)の有力候補であるトランプ氏が石油・石炭・ガスに好意的
トランプ氏が大統領に返り咲けば、バイデン政権が課している米国の石油・石炭・ガスの生産抑制や輸出制限が解かれるでしょう。米国で資源開発に取り組むINPEX(1605)やENEOSホールディングス(5020)、三井物産(8031)には追い風です。
国別原油生産量割合を見ると、ロシアやサウジアラビアが上位を占めています。そのため、ウクライナ戦争や中東紛争などの地政学リスクも注視する必要があります。
出典:Daigasグループ「2024年における原油価格、LNG価格の見通し」
長期的な見通し
石油・石炭・ガスは先進国が率先して廃止し、太陽光などの再生エネルギーや水素をはじめとする次世代エネルギーに置き換えていくことになります。なかでも排出ガスが多い石炭火力は、2030‐2035年までに廃止することで2024年4月開催のG7が合意しています。日本政府はこの合意を受けてCO2削減計画の前倒しを検討中です。
金属(鉄・非鉄)
金属の需給・価格も世界の景気を反映します。鉄は中国景気の落ち込みに影響を受けていますが、非鉄金属はおおむね好調です。なかでも銅は足元で値上がりが目立ちます。再生エネルギーやEV(電気自動車)、AI(人工知能)用のデータセンターやケーブルに銅が多く使われるためです。
希少金属(レアメタル)は7割を中国が産出します。米中対立をめぐり、各国は安定的な供給の確保を急いでいます。成長めざましい半導体や蓄電池などの製造にはレアメタルが欠かせないからです。
金は歴史的な高値をつけています。アメリカの利下げ期待や新興国の通貨不安を背景に安全資産として2024年中も値上がりが続くと予想されています。
銅や金の値上がりが続くと、販売価格や在庫益を通じて会社の利益が増えます。銅が主力の三菱マテリアル(5711)、金をあつかう住友金属鉱山(5713)や松田産業(7456)にはプラスです。
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まとめ
資源関連株は資源価格に連動して値動きするので、比較的値上がり益をねらいやすい株と言えます。なかでも石油は、CO2を減らすための段階的な縮小が求められるなか中東情勢が緊迫し、需給のバランスがくずれて価格が値上がりしやすい状況です。原油(精製前の石油)と金の価格はテレビのニュースで毎日報道されるので、個人投資家でも値動きのチェックはかんたんにできます。
資源関連株の先行きを見定めるためには、世界の景気動向と資源価格に加えて、原油・ガスの生産地である米国、ロシア、中東の政治情勢と資源の生産・消費大国である中国の動きに注意を向けるとよいでしょう。
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