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かぶ1000さんに取材しました(1)

ゆうと担当:ゆうと

公開日:2021年6月

インタビュア:ゆうと

投資歴34年目のベテラン投資家、「かぶ1000さん」に取材させていただきました。かぶ1000さんは、PMV(プライベートマーケットバリュー)※1や、カタリスト(株価を動かすきっかけとなるイベント)を重視した資産バリュー株※2かぶ1000流ネットネット株※3への投資を得意としています。また、中学2年生から投資をはじめており、ずっと専業投資家であるという特徴があります。2021年1月には、「貯金40万円が株式投資で4億円~元手を1000倍に増やしたボクの投資術」を出版されました。

※1 PMV(プライベートマーケットバリュー)とは、「企業を買収しようと考えている人が、その企業を買収するために支払う額」のことです。
※2 資産バリュー株とは、「本来の資産価値よりも安い値段が付いている会社の株」のことです。
※3 かぶ1000流ネットネット株とは、「流動資産からすべての負債を差し引いた正味流動資産と比べて、時価総額が低い株」のことです。現金及び預金+受取手形及び売掛金+有価証券+投資有価証券-貸倒引当金-総負債 > 時価総額で計算できます。詳細は、「貯金40万円が株式投資で4億円~元手を1000倍に増やしたボクの投資術」でくわしく紹介されていますので、ぜひご覧ください。

そんなかぶ1000さんに、“株式投資をはじめたきっかけ”や、“投資をする際に注目するポイント”などを詳しくうかがってきたので、ぜひご覧ください!インタビュアは、ゆうとがお送りします。

かぶ1000さんの経歴
西暦 投資に関する主な出来事
1988年 中学2年生のときに、定期預金で貯めていた40万円で投資をスタート。海運会社の日之出汽船(現在は日本郵船の子会社)(9101)を購入。
1989年 低位株(株価の低い銘柄)ブームの波に乗り、資産は300万円に増加。
1990年 前年に日経平均株価はピークを付けたものの、店頭株(現在のジャスダック市場)は高騰が続き、資産は1,500万円に増加。
1992年 湾岸戦争により店頭株も暴落して、資産はピークの1/5以下に激減。
1998年 アジア通貨危機による株価急落を投資チャンスと捉えて、バリュー株投資※4をスタート。
2000年 ベンジャミン・グレアム※5の「賢明なる投資家」を読み、本格的にバリュー株投資に目覚める。
2004年 当初目標としていた累計利益3,000万円を達成。
2008年 リーマンショックによる影響で、バリュー株投資に転身して以降、初の年間成績マイナスに。
2011年 東日本大震災で急落した東京電力(9501)を購入。その後の株価上昇で、累計利益1億円を突破。
2013年 名証IRエキスポをきっかけに購入した日本商業開発(3252)で、初のテンバガー(株価10倍)。累計利益2億円を突破。
2016年 共成レンテム(9680)のTOB※6や、リテールパートナーズ(旧 マルキョウ)(8167)の経営統合などによる株価上昇が、投資成績に貢献。累計利益3億円を突破。
2019年 ユニゾHD(3258)のTOBによる株価上昇が、投資成績に大きく貢献。累計利益4億円を突破。
2020年 新型コロナウイルスの影響を受けたものの、ソフトバンクグループ(9984)の株価上昇もあり、年初来パフォーマンスはプラスに。
2021年 貯金40万円が株式投資で4億円~元手を1000倍に増やしたボクの投資術」を出版。

※4 バリュー株投資とは、「資産や業績などから評価して、株価が割安で放置されている株を狙い、適正な価格になるのを待つ投資法」のことです。
※5 ベンジャミン・グレアムとは、「バリュー株投資」の理論を確立した米国の投資家のことです。
※6 TOBとは、「株式公開買い付け(Take Over Bid)の略称で、上場企業の発行する株式を、通常の市場売買でなく、あらかじめ買い取る期間、株数、価格を提示して、市場外で一括して買い付ける」のことです。

高校2年生のときに資産が1,500万円に!そして専業投資家の道へ

ゆうと : 株式投資をはじめたきっかけは何ですか?

かぶ1000さん : 投資をはじめたきっかけは大きく分けて3つあります。1つ目は「金利が下がったこと」です。僕は5歳の頃から定期預金をしていたけど、中学2年生になる1988年には金利が1%台半ばまで下がっていました。この金利だと定期預金を続けてもお金が増えないなと感じはじめていました。

2つ目は「公民を学んだこと」です。両親が自営業で普段から「日々の売上やお客さんの入り」などの話をすることが多く、実際の経済と勉強がリンクして面白いなと感じました。また、授業で株を買えば株式会社のオーナーになれるという仕組みを知って、株に興味を持ちました。

3つ目は、「新聞で投資信託の利回りを知ったこと」です。株に興味を持った僕は、祖母の喫茶店に置いてある新聞の株式欄を見ました。そこで、株式の投資信託が30%も利回りがあることを、はじめて知りました。このまま定期預金を続けるよりも、投資信託を買ったほうが良いと思ったことが、投資をはじめたきっかけです。

ゆうと : 実際にどういった投資信託を購入されたんですか?

かぶ1000さん : いいえ。実際には投資信託ではなく、個別株投資をおこないました。株式投資の経験がある祖父に相談したところ、「投資信託は証券会社が儲けるものだ」と教えられたからです。個別株投資ならすべて自分の利益になるため、個別株投資を選ぶことにしました。

ゆうと : なるほど!そのような経緯で個別株投資をはじめられたんですね。ちなみにどのような個別株に投資されたんですか?

かぶ1000さん : はじめは日之出汽船(現在は日本郵船の子会社)(9101)という海運株を買いました。購入した理由は、「日本は島国なので車を輸出入するには船を使う必要がある→車が売れ続けるなら船ももっと使われるようになる」、という単純なものです。本当は任天堂(7974)トヨタ自動車(7203)を買いたかったのですが、当時売買単位が1,000株単位だったため40万円では買うことができませんでした。

それでも、その後の低位株ブームの波に乗り、一気に資産が増えました。1年で40万円から300万円に、高校2年生になる頃にはバブルの恩恵もあり、1,500万円まで資産が増加しました。ビギナーズラックでしたが資産を増やせたので、専業投資家への道を進むことにしました。

ゆうと : そこからはずっと専業投資家ですか?

かぶ1000さん : はい。今まで働いたことはありません。ただ、収入を確保するために、パチスロやせどり※7などをおこなっていたことはあります。働くという意味では、今回出版した「貯金40万円が株式投資で4億円~元手を1000倍に増やしたボクの投資術」が、はじめての労働になるかな(笑)。

※7 せどりとは、「商品を転売して差額で儲ける方法」のことです。

ゆうと : かぶ1000さんは中学生の頃から投資をはじめて、ずっと専業投資家として歩まれてきたのですね!そんなかぶ1000さんでも、パチスロやせどりをしていた時期があったとは…。いきなり専業投資家として独立せず、まずは兼業投資家としてコツコツと資産を築いていくほうが良いと感じました。

個人投資家が増えることで、好循環を生み出すきっかけを作りたい

ゆうと : かぶ1000さんが本を出版された理由は何ですか?

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かぶ1000さんの著書「貯金40万円が株式投資で4億円〜元手を1000倍に増やしたボクの投資術」

貯金40万円が株式投資で4億円~元手を1000倍に増やしたボクの投資術
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かぶ1000さん : 本にも書いたことだけど、「日本人が日本企業の株を持ち、個人投資家が増えることで、好循環を生み出すきっかけを作っていきたい」と思ったからです。そもそも、日本人の金融資産の多くが現金や預金であり、株式の保有割合は10%※7もありません。また、日本には、ソニーグループ(6578)キーエンス(6861)など優秀な企業が多くありますが、その株式の多くは外国人投資家が保有している状況です。

※7 参考:日本銀行調査統計局 資金循環の日米欧比較[PDF] 3ページ目の「図表2 家計の金融資産構成」をごをご覧ください。

外国人持ち株比率が高い企業の一例
企業名 外国人持ち株比率※8
ソニーグループ(6578) 56.82%
キーエンス(6861) 49.24%
ディスコ(6146) 35.94%

※8 各社の有価証券報告書より引用しています(2021年6月16日時点)。

個人投資家が増えて日本企業の株主になり、預金から株式に資金が流れ込めば、株式市場が活発になり資産効果が生まれます。そして、儲かった個人投資家が消費を増やせば、企業の業績アップにつながり、株価上昇や株主還元という好循環が生まれると思っています。

顧客や従業員、経営者などみんな立場は異なります。しかし、みんなが株式を持つようになれば利害が一いたします。そうなればお金が回って経済が良くなり、みんなが好循環の恩恵を受けられるようになると信じています。そのようなきっかけづくりになればなと思って出版しました。

ゆうと : 今回出版されたことで、かぶ1000さんの考えを多くの人が知ることになると思います。そのような方々に向けて、どのような投資家になって欲しいと思いますか?

かぶ1000さん : 自分の頭で考える自立した投資家になって欲しいと思います。株価が下がると不安になって、他人の意見を求めたくなる気持ちはわかります。私自身も、はじめはベンジャミン・グレアムの著書「賢明なる投資家」の影響を受けました。しかしそこから先は、「自分の考えを持たなければ、他力本願な投資家になってしまう」という思いで必死に勉強しました。

ゆうと : そう言えば私も、バリュー投資家の道に進むきっかけになったのは、かぶ1000さんのセミナーでした!今回の出版をきっかけに、私みたいに感銘を受ける方がたくさん出てくるだろうなと思います。

かぶ1000さん : いやあ、かぶ1000なんてショボいって言われるくらいがちょうどいいですよ(笑)。 あとは僕の本を読んだことがきっかけで、「成果が出ました!」っていう話を聞けたら、本当に出版して良かったと思います。できればそのような話を5年後、10年後に聞きたいですね。

ゆうと : かぶ1000さんの著書には、「個人投資家が増えることで、好循環を生み出すきっかけを作っていきたい」という想いが詰まっています。投資手法や世代にとらわれず、これから投資をはじめる人や投資に興味がある人に、ぜひ読んで欲しいと思っています。私自身も投資家として成長して、かぶ1000さんに良い報告をしたいですね。

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