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【IRTV 3979】うるる/2025年3月期以降の経営方針・目指す姿

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2023年12月6日

うるる(3979)代表の星様が、2023年11月14日に開示された「2025年3月期以降の経営方針・目指す姿」についてIRTV※1で解説しています。

※1 IRTVとは、IR Robotics社が運営する“投資家と企業をつなぐ上場企業のIR動画メディア”です。決算情報から事業モデル・経営戦略・成長可能性まで、トップ自らがわかりやすく、かつタイムリーに解説しています。

この記事は、IRTVの動画内容を書き起こししたものです。動画の内容を文字で確認したいときに、ぜひご活用ください!

(出典:IRTV for YouTube

経営方針について

IRTV : 本日は、うるる(3979)代表の星様にお越しいただきました。よろしくお願いします。第2四半期の決算を発表されたときにもお越しいただきました。その際にTDnet※2を見ましたが膨大な開示資料でしたね。

※2 TDnet(ティーディーネット)とは、「Timely Disclosure network」の略で、適時開示情報伝達システムのことです。公平・迅速かつ広範な適時開示を実現するために提供されているシステムを指します。

星様 : そうですね。私たちとしても過去一番の多さになります。中計が終わる期であったため、次どのように対応していくか、また中計の間に仕込んだ施策がようやくご報告できる状態になったなど、いろんなタイミングが重なりました。

IRTV : 今日はたくさん出た開示資料の中から、「2025年3月期以降の経営方針・目指す姿」についていろいろ聞かせていただきますのでよろしくお願いします。さっそく、中身を見ていきましょう。1ページ目に記載されている、正社員数が増えると売上高が伸びる関係はおもしろいですね。

<経営方針について①>

経営方針について②

(出典:2025年3月期以降の経営方針・目指す姿[PDF])

星様 : 私たちも社員数と売上の関係がどの程度か、それほど意識して考えたことはありませんでしたが、改めて振り返ってみると、かなり相関していました。

現在、人的資本投資が注目されていますが、私たちは2006年の創業以来、“企業は人が大事だ”と考えてきました。どうすれば1人1人がパフォーマンスを発揮できるのか、仕事を通じて成長できるのか、生き生きと働けるのか、制度を作るなどして工夫してきたのです。また、社員数の増加を売上の伸びにつなげられる組織を作れたことも背景にあります。

IRTV : 単純に社員数を増やせば、売上が伸びるというシンプルな話ではないですね。

星様 : はい。私たちは派遣会社やコンサルのように人の数が売上につながるビジネスモデルではありません。

IRTV : 相関状況では、決定係数R^2(R2乗)※3が0.9504と、ほぼ1に近い状況です。

※3 決定係数とは、回帰分析において、目的変数の観測値に対する目的変数の予測値の説明力を表す指標のことで、寄与率とも呼ばれます。0から1までの値をとり、1に近いほど分析の精度が高いことを表します。

星様 : はい、かなり近いですね。

IRTV : このような指標を開示されている会社は珍しいのではないでしょうか。

星様 : そうですね。大半の会社は人と売上が相関することがありますが、そこに因果関係があるかが重要です。大企業では広告費と売上も相関する傾向にあります。

<経営方針について②>

経営方針について②

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 広告を打つと売上が伸びるという認識でしょうか。

星様 : そうです。会社の規模が大きくなると広告の割合も増えます。ただし、さほど因果関係はないという論文が出ているようです。多額の広告費を投じなくても売上が伸びることもあるかもしれません。売上が伸びると広告費予算も比例して増えるため、一見相関しているように見えますが、因果関係はさほどないという結果もあります。そのため、人が増えれば売上が増えることが相関していても、因果関係があるのか気を付けて見なければなりません。

IRTV : 売上高と正社員数の相関のスライドを1枚目に持ってきたことは、貴社としても人が重要という認識でよろしいでしょうか。

星様 : そうですね。私たちは人と売上に因果関係があると結論づけて戦略を進めている状況です。

<経営方針について③>

経営方針について③

(出典:IRTV for YouTube

中計の終了に向けて

IRTV : ありがとうございます。2ページ目の「2025年3月期以降の方針開示に際して」の星様のメッセージについてもいろいろお聞かせください。今期で5年間の中計が終わるラストイヤーとなります。野心的な数値目標を立てられましたが、予想の段階で達成する見通しという認識でよろしいでしょうか。

<中計の終了に向けて>

中計の終了に向けて

(出典:2025年3月期以降の経営方針・目指す姿[PDF])

星様 : そうですね。背景として私たちの規模感の会社が、5年後の数字を出してコミットすることは大きなリスクを伴いました。何が起こるかわからない世界において、安定して5年後が想定できるような事業はありません。また、5年後の数字には新規事業も織り込んでおり、この間に立ち上がるだろうという前提の下でチャレンジングな数字を掲げました。

赤字を拡大させて減益になることに対する対価といいますか、これぐらいやらないと、赤字を拡大させるのは投資家に許容されないだろうと考えましたが、結局ストップ安が続き株価は半減しました。中計を出すことで株価を下げないという作戦を持っていましたが、それは大失敗となりました。ただし、難易度の高い目標を掲げ、達成できそうなところまで来ている点は、大成功といえるでしょう。

IRTV : 売上高60億円、EBITDA※415億円の着地予定ですよね。

※4 EBITDA(イービットディーエー、イービットダー)とは、「Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization」の略で、企業価値評価の指標の一つです。日本語では「利払い前、税引き前、減価償却前」や「金利、税金、償却前利益」などの意味になります。

星様 : はい。当時、売上高はまだ30億円に達していませんでした。

新・経営方針について

IRTV : 2ページ目の星様によるメッセージには、「5年間にわたる中計の振り返り」と「今後の見通し」について書かれています。今後の見通しについてもお聞かせください。

星様 : 今後の見通しについて、去年ぐらいから機関投資家※5および個人投資家の方にご質問されることが多くなりました。

※5 機関投資家とは、顧客から拠出された資金を運用・管理する法人投資家の総称を指します。

これまでは中計の最終年度においてEBITDA15億円、売上高60億円という目標に対する進捗をご質問されましたが、中計の期間が終わりに近づくに連れて来期以降の見通しを聞かれる機会が増えています。

確かに何も言及していないことから、「弊社は同じ成長軌道をたどるのでは」と見られるのもやむを得ません。逆にそういう成長の仕方もあるでしょう。私たちが中計を立てたときは売上高の成長が重要であり、PSR※6で評価されました。私たちは事業者向けSaaS※7の売上割合が8割近いため、PER※8よりもPSRで測り、赤字であっても売上高の成長率を高めることを目指してきましたが、企業の評価の仕方が変わってしまったのです。

※6 PSR(ピーエスアール)とは、「Price to Sales Ratio」の略で、日本語では株価売上高倍率です。時価総額を年間売上高で割ったものになります。
※7 SaaS(サース)とは、「Software as a Service」の略です。サース、あるいはサーズと呼びます。SaaSは、サービス提供事業者(サーバー)側で稼働しているソフトウェアを、インターネットなどのネットワークを経由して、ユーザーが利用できるサービスです。
※8 PER(ピーイーアール)とは、「Price Earnings Ratio」の略で、「株価収益率」と表されます。株価がEPS(1株あたり純利益)の何倍の価値になっているかを示すものです。

私の記憶では2020年か2021年ぐらいにグロース市場でも、徹底した利益成長が注目されるようになっています。私たちにとってはその変化が中計期間中に起きてしまいましたが、5年前のように「赤字を出して売上高だけを伸ばす戦略」は、市場に評価されないナンセンスな戦略になってしまいました。

<新・経営方針について①>

新・経営方針について①

(出典:IRTV for YouTube

星様 : このため、「売上高だけを伸ばそうと考えているわけではない」ことを極力早く伝えないと、弊社の将来を不安視して株価がディスカウントされてしまう可能性があります。なるべく早く今後の見通しを明らかにするよう準備を進め、今期に入って半年以上経営陣で議論を重ねてきました。

IRTV : 「2025年3月期以降の方針・うるるの目指す姿」に出ている数字が、経営陣のコンセンサスでしょうか。

<新・経営方針について②>

新・経営方針について②

(出典:2025年3月期以降の経営方針・目指す姿[PDF])

星様 : そうですね。いろんな伸ばし方や表現の仕方がありましたが、私たちの会社を成長させることや株式市場で評価される企業の条件を鑑み、総合的に判断しました。その結果ベストな計画ができあがったため、開示させていただきました。

IRTV : 新たな中計が出されるのか注視されていた方は、基本的にはこの数字を目安にするという認識でよろしいでしょうか。

星様 : そうですね。マーケットの評価の基準が変わる中でも、一度出した中計は約束であり、その約束を守るという選択をしたことで中計の5か年に縛られてしまいました。弊社は出した中計の達成を目指し、約束を守る会社であるという評価が欲しかったのかもしれません。

そこで、中計では縛られ小回りが利かなくなるため、「方針」という形で今回出させていただきました。売上高や利益をどのくらい計上するかという細かい数字ではなく、こういうふうに会社を伸ばしていくという方針を示しています。

IRTV : さっそく1つずつ数字を見ていきましょう。2025年3月期に関しては、EBITDA10億円を下限値として投資予算を設定しています。

<新・経営方針について③>

新・経営方針について③

(出典:2025年3月期以降の経営方針・目指す姿[PDF])

星様 : 直近になるため、ここの部分だけ具体的な数字を出しました。下限としていますが、今期の目指しているEBITDAは15億円であり、それと比較すると減益になります。しかしながら、私たちは持続的に会社を成長させていく、ベストな成長をさせていくためには、限界までの利益を出し続けるよりは、ある程度の投資をおこない、余裕を作らなければ持続可能な成長はむずかしいでしょう。

IRTV : 株式市場の歴史を見ても、既存事業だけで伸び続けることはほとんどないですよね。

星様 : 時代に合わせた新しい事業や機能の開発に向けて、積極的に投資をおこなわなければなりません。冒頭でご説明したように、人的資本、人への投資によっても、その人が持っているパフォーマンスを50%しか発揮できないのか、100%発揮できるのか全然違ってきます。100%発揮できるための環境を築き、必要な人数を揃え、余裕を作ることにより事業部の入れ替えがおこなえます。

また、関係性や会社の理解も深まり、結果的に会社が伸びていく素地を作るための投資がおこなえるでしょう。これまでの成長の一番の要因は人的資本になるため、改めて人への投資をおこなっていきます。

IRTV : ただし、EBITDAは10億円を下回らない見通しですね。

星様 : はい。弊社がまた赤字に陥ることを懸念される方も少なからずいらっしゃったため、赤字とはならない見通しであることを明らかにし、最低でも10億円の確保を目指す方針であると発表しました。ただし、現時点ではまだ半年あり、今期の着地もまだ見えていないため、下限値の発表としています。来期の数字については、今期が着地し、本決算のときに出す計画です。

IRTV : EBITDA10億円を下限とし、投資をおこないながら、次の年以降は年平均成長率(CAGR)20%以上を目指されます。中長期とはどのくらいのイメージでしょうか。

<新・経営方針について④>

新・経営方針について④

(出典:2025年3月期以降の経営方針・目指す姿[PDF])

星様 : 大体3年から5年になります。単年度で見て必ず20%ずつ成長するというよりも、成長率はデコボコしながらも3年から5年で平均して20%になる想定です。ここは投資家の皆様にも納得していただけるような表現に工夫した一方、具体的すぎるとマーケットに合わせて柔軟に方針を変えられなくなってしまうため、余地を残しております。

株主還元について

IRTV : 株主還元においては、EPS成長が大事なのですね。

<新・経営方針について⑤>

新・経営方針について⑤

(出典:2025年3月期以降の経営方針・目指す姿[PDF])

星様 : そうですね。利益重視に株式マーケットの評価が変わってきていると認識しており、単発突発的なものではなくて、着実ながらも安定的に成長を継続させていくことが、とても重要であると考えています。

IRTV : ありがとうございます。配当方針に関しては、今期は特別配当として配当性向※930%を目指されますね。

※9 配当性向とは、会社が税引後の利益である当期純利益のうち、どれだけを配当金の支払いに向けたかを示す指標です。配当性向は、1株あたり配当額を1株あたり当期純利益で除して求められます。

<新・経営方針について⑥>

新・経営方針について⑥

(出典:2025年3月期以降の経営方針・目指す姿[PDF])

星様 : はい、決して低くはない水準です。5年前に応援していただいた投資家の皆様への恩返しというと少し恩着せがましいかもしれません。しかしながら、中計を立てた5年前と比べると、私たちにとって今期EBITDA15億円の目標は高いハードルです。

売上高に関しても、5年後に48億円を達成する目標を掲げていましたが、現在は60億円になり、上方修正もしています。配当性向の高さが目標のハードルの高さにもつながっていると感じていることから、高い配当性向を設けました。

IRTV : 来期以降も、普通配当として配当性向15%以上を目安とされています。成長率のようにデコボコしないですね。

星様 : はい。今回30%に設定してしまうとそれ以降下がる形になってしまうため、今回は特別配当として、来期以降、つまり2025年3月期以降は普通配当として株主還元を実施し、15%以上を目安として増配を目指していきます

具体的な投資方針

IRTV : 最後に、投資について具体的にお聞かせください。下の「キャピタルアロケーションイメージ」によると、投資のうちの85%が戦略投資とM&A※10になるのですね。

※10 M&A(エムアンドエー)とは、企業の合併・買収を指します。

<具体的な投資方針①>

具体的な投資方針①

(出典:2025年3月期以降の経営方針・目指す姿[PDF])

星様 : 最終的に今期の純利益は8億円ぐらいで着地する見通しです。この資本配分の図は配当性向が15%ぐらいのときのものになり、利益の15%を配当に回し、残りの85%を主に人的資本に加え、システム開発、広告宣伝、M&Aに充てていきます。M&Aに関しては今後成長の柱にしていきたいと考えており、私たちが手掛けられる範囲はかなり広くなるでしょう。

私たちの一番の根幹は、「労働力不足の解決につながるような事業」、もしくは「労働力不足が進むと生まれる市場に事業を創出していくこと」です。労働力不足へのアプローチはさまざまあり、私たちは創業以来、在宅ワーカー、主婦の方を労働力として活用できるようにしようと一心に取り組んできました。これからは高齢者・外国人・障害者・海外に旅している旅人・海外駐在員など、正社員・アルバイト・派遣・フリーランス以外のこれまで労働力としてカウントされていない方々を活用できる仕組みを作っています。

<具体的な投資方針②>

具体的な投資方針②

(出典:IRTV for YouTube

星様 : 労働力不足に関わる事業、会社様がターゲットになるでしょう。あるいは情報技術(IT)や人工知能(AI)、デジタルトランスフォーメーション(DX)※11の推進をすることによっても労働力不足の解決を目指せるため、そのIT分野のM&Aも私たちの領域になります。

※11 デジタルトランスフォーメーションとは、デジタル技術を活用して生活やビジネスを変革することを指します。

IRTV : 直近ではエヌ・サーチ(nSearch)を運営するブレインフィード社を買収されました。

星様 : はい、自社の事業と競合する会社をM&Aすることが一番わかりやすいですね。また、数年前にはマイノリティ出資※12を実施しましたが、その会社はAIのスペシャリスト集団になります。AIを活用することで今まで100人でおこなっていたことを10人でこなす、あるいは今までできなかったことができるようになるでしょう。今までと同じ、あるいはそれ以上の生産性を少人数で生み出していくことに携わる事業も、私たちのM&Aの対象になってきます。

※12 マイノリティ出資とは、一般的に、投資対象となる企業の株式を議決権の過半数を超えない範囲(50%未満)で取得する出資方法のことを指します。

IRTV : ありがとうございます。投資家の方は、この辺りの情報に関してはリリースを逐一チェックしていくことになりますね。メッセージには「少しでも早く、売上高500億円、そして1,000億円を超えるような規模感の企業になっていきたい」と記されています。

<2025年3月期以降の方針開示に際して>

2025年3月期以降の方針開示に際して

(出典:IRTV for YouTube

星様 : そうですね。私たちが目指している世界観は今の規模感、事業で安定的に維持するのではなく、さらに上を目指しているため、これからもリスクを負いながらも成長を目指していく方針です。

さらに余裕を作って再投資をおこない、まずは売上高500億円、その後は1,000億円を目指していきます。それと比べると、今期は売上高60億円を目指している規模感のため、まだスタートしたばかりであり、積極的に戦略を打ち出していく段階です。

IRTV : 承知しました。内容としては、前回の中計とは違って積極的に策を講じながらも、確実に利益を確保していくイメージになりますね。

星様 : おっしゃるとおりです。

IRTV : わかりました。ありがとうございます。今後もうるる様に注目して見ていただければと思います。どうもありがとうございました。

星様 : ありがとうございました。

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ディスクレーマー

当記事では、筆者独自の見解を述べることがありますが、証券およびその他の金融商品の売買や引受けを勧誘する目的ではなく証券およびその他の金融商品に関する助言や推奨をするものではありません。また、個別企業の業績予想や株価予想、投資推奨を提供する予定はありません。投資判断等は、自己責任でお願いいたします。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会検定会員補を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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