【グッドスピード】2023年9月期1Q決算を取締役の松井様に取材!業績の進捗遅れの理由は何?取材で聞いてみました

(2023年9月期1Q決算説明資料の表紙)
やさしい株のはじめ方の管理人ひっきーとやさしい株のはじめ方編集部(にしけい)が、東海地方を中心にSUV※1に特化した中古車販売店運営などを得意とするグッドスピード(7676)(以下、グッドスピード社)に突撃取材しました!
※1 SUVとは、「Sport Utility Vehicle」の略です。日本語では「スポーツ用多目的車」と言われます。多目的車という名前のとおり、買い物や送迎などの日常生活はもちろん、荷物をたくさん積んで移動するキャンプにも使える便利な車です。代表的な車種としては、「トヨタ ランドクルーザー プラド」や「ジープ ラングラー」、「メルセデス・ベンツ Gクラス」などが挙げられます。
今回は同社の取締役であり、Twitterを活用したIR活動に積極的に取り組んでおられる松井様に、2023年9月期1Q決算の進捗状況をお聞きしました。株初心者の方がグッドスピード社について理解を深められるよう、わかりやすい言葉で丁寧に解説します。ぜひ最後まで読んでくださいね。
2023年9月期1Q決算をわかりやすく解説
グッドスピード(7676)の最新決算(2023年9月期1Q)の概要と、気になるトピックについて解説していきます。最新決算をチェックする際の参考にしてくださいね。
2023年9月期1Q決算の概要
2023年9月期1Qの業績ハイライトを下の表にまとめました。
実績 | 前年同期対比 | 通期予想達成率 | |
---|---|---|---|
売上高 | 128億円 | 106.5% | 17.2% |
営業利益 | △1.75億円 | - | - |
四輪小売販売台数 | 3,375台 | 107.1% | 17.5% |
(出典:グッドスピード 2023年9月期1Q決算説明資料[PDF])
事業別業績は下の表のようになっています。
売上高 | 前年同期対比 | |
---|---|---|
新車・中古車販売 | 110億円 | 111.2% |
買取 | 6.91億円 | 54.3% |
附帯サービス関連 | 10億円 | 129.4% |
(出典:グッドスピード 2023年9月期1Q決算説明資料[PDF])
今回の決算の注目ポイントは下の4つです。各ポイントについて、取締役の松井様にお話をお伺いしました。
今回の決算の注目ポイント
- 売上高は前年同期比106.5%と成長しているものの、通期予想達成率(以下、進捗率)は17.2%と、前年同期の進捗率21.5%と比べて遅れている
- 営業利益1.75億円の赤字となった
- 四輪小売販売台数は前年同期比107.1%と成長しているものの、進捗率は17.5%と前年同期の進捗率21.3%と比べて遅れている
- 附帯サービスは好調である
それぞれ見ていきましょう。
売上高の進捗が遅れている理由
売上高は、前年同期比106.5%と成長しました。台風被害の影響で「MEGA SUV 清水鳥坂店」が休業を余儀なくされるマイナス影響があったものの、前期に出店したMEGA専門店やバイク販売店の売上がプラスに働き、前年同期比での増収となりました。
一方、進捗率を見ると、下の表のように前年同期と比べて遅れています。
2023年9月期1Q | 2022年9月期1Q | |
---|---|---|
売上高の進捗率 | 17.2% | 21.5% |
売上高が前年同期よりも遅れている理由には、次の3つがあります。
売上高の進捗率が遅れている理由
- 「MEGA SUV 清水鳥坂店」が台風被害で休業していた
- オートオークション会場への出品を抑えた
- 小売販売台数が想定を下回った
このうち、「オートオークション会場への出品を抑えた」理由と、「小売販売台数が想定を下回った」理由についてお話を聞いてみました。
オートオークション会場への出品を抑えた理由
オートオークションの車両流通量や相場の状況、新規出店のタイミングなど、いくつかの要件を総合的に勘案しました。その結果、ユーザーから買取をした車両のオートオークション会場への出品を抑え、手元に在庫として持っておくことを優先したのです。このため、オートオークション会場への出品が減り、売却収入が減りました。
松井様
小売販売台数が想定を下回った
ひっきー
小売販売台数が想定を下回った理由をお聞かせください。
小売販売台数が想定を下回った理由は、来客数が想定よりも減少したためです。具体的には以下のとおりです。
松井様
1Qの状況
- 来客数は減っているものの、来店した顧客の成約率や成約単価は例年並みであり、“元気のなさ”は感じられなかった
- 同業他社も同じ状況になっていた
ひっきー
確かに、コロナが落ち着いて旅行などの「コト消費」を楽しむ人が増えていますもんね。足元の来客数はどのようになっていますか?
1月は来客数が戻っています。おおむね計画どおりに車を買っていただいているので、1Q後半の来客数減少は“一過性のもの”と捉えています。
ただし、今後もこのまま順調に車が売れるのか、需要が落ち込むのかはわかりません。冷静に状況を見ながら、我々がやるべきことを考えて取り組んでいきます。
松井様
「来客数の減少」は、一見すると“良くないこと”に見えます。しかし、同業他社も同じ状況であること、1月は来客数が戻ってきていることを踏まえると、松井様のおっしゃるように“一過性のもの”と考えて良さそうですね。
ただし、今後も順調に車が売れ続けるのか、需要が落ち込むのかはわかりません。今後の四半期決算の状況を見ながら、冷静に判断していきましょう。
営業利益が赤字の理由
2023年9月期1Q | 2022年9月期1Q | |
---|---|---|
営業利益 | ▲1.75億円 | 0.97億円 |
営業利益を前年同期と比べてみましょう。前年同期は0.97億円でしたが、今期は▲1.75億円と赤字になってしまいました。この理由は次のとおりです。
営業利益が赤字になった理由
- もともと1Qは利益が出ない四半期である
- 台風の影響で売上高が減少した
- 新規出店を進めていることで固定費が増加した
もともと1Qは利益が出ない四半期である
この理由について、マネックス証券の銘柄スカウターを使いながら説明しますね。
グッドスピード社の営業利益を四半期ごとに表すと、上のグラフのようになります。赤色の矢印で示した部分が1Q決算です。他の四半期と比べて営業利益が少なくなっていますね。
ひっきー
1Qの営業利益が少ない理由は何ですか?
当社の1Qは「10~12月」にあたるのですが、ちょうどこの時期は車が売れにくい時期だからです!
松井様
自動車販売業の小売販売が活況となる「2~3月」を含む2Qと、夏に購入需要が高まるSUVやミニバンを扱っているため4Qに売上が集中する傾向があります。1Qはこの需要期には当てはまらないので、売上高そのものが少なくなるのです。
売上高が少ない月でもお店は営業していますから、店舗の固定費は通常どおり発生します。そのため、売上高に対する費用の割合が高くなり、結果的に営業利益が少なくなってしまうわけです。
松井様
台風の影響で売上高が減少した
これは先ほど紹介した「MEGA SUV 清水鳥坂店」の休業の影響です。約3か月休業していた関係で、売上高で5.35億円のマイナス影響がありました。売上高が減っても、他の店舗の固定費は掛かるため、営業利益が削られてしまったわけです。
新規出店を進めていることで固定費が増加した
グッドスピード社では、“MEGA専門店の新規出店による成長”を目指しています。新規出店を進めると、人件費や水道光熱費、地代家賃といった固定費が増えていきます。このため、車が売れない月は売上高に対する費用の割合が大きくなり、営業利益が少なくなるわけですね。
四輪小売販売台数の進捗が遅れている理由
2023年9月期1Q | 2022年9月期1Q | |
---|---|---|
四輪小売販売台数 | 3,375台 | 3,151台 |
四輪小売販売台数の進捗率 | 17.5% | 21.3% |
続いて、四輪小売販売台数を確認します。台数は前年同期よりも増えていますが、通期目標に対する進捗率は17.5%と前年同期の21.3%と比べて遅れていますね。
この理由は、売上高と同じで「MEGA SUV 清水鳥坂店の台風被害による休業があったため」です。あくまで一過性のものと考えられるので、現時点ではそれほど気にしなくても良いでしょう。
ただし、グッドスピード社が公表している「四輪小売販売台数」を見ると、既存店の販売台数が前年割れしてしまっています。この点が気になったので、松井様にお聞きしました。
ひっきー
既存店の四輪小売販売台数が、前年同期比94.7%と減っていますね。新規出店した店舗を含む全体の販売台数は増加していますが、これはどのように捉えれば良いのでしょうか?
そうですね。既存店の四輪小売販売台数が前年割れした理由は以下のとおりです。
松井様
既存店の四輪小売販売台数が減少した理由
台風被害を受けた「MEGA SUV 清水鳥坂店」のマイナス影響があった
清水鳥坂店は営業を再開しているため、1Qの前年割れは一過性のものと考えています。同店の影響を除けば前年並みであり、2Q以降は前年並みに回復することを想定しています。
松井様
ひっきー
特殊要因が重なってしまったわけですね!
附帯サービス関連が好調な理由
売上高 | 前年同期対比 | |
---|---|---|
附帯サービス関連 | 10億円 | 129.4% |
最後に、附帯サービス関連を見ていきます。こちらは前年同期比129.4%と高成長しています。前期3Q~4Qは整備の増員や組織強化の遅れによって成長性が鈍化していましたが、1Qに改善して増収率が回復しました。
その他の気になるトピック
2023年9月期1Q決算で気になったポイントは下の2つです。
その他の気になるトピック
- 中古車のタマ不足が続いている中でも、1Q時点で買取台数が増えている理由は何か
- 人材の採用がうまく行っていない理由と、改善策はあるか
それぞれ、松井様にお聞きしました。
買取台数が増えている理由
ひっきー
1Q決算では「タマ不足」が起きているとお話されていましたが、買取台数は増えていますよね。中古車市場の状況と御社の買取台数の推移に違和感があります。
中古車のタマ不足が続いているので、市場全体の買取台数が減っているのは間違いありません。ただし、当社は「出張買取を強化している」ため、市場の動向に反して買取台数を伸ばせているのです。
松井様
ひっきー
なるほど!具体的に、どのように買取を強化しているのですか?
買取の人員増が最重要と考えています。出張買取は、人員を増やせば面談も増えるので、買取台数を積み上げられる仕組みです。
買取営業の人員数は当1Qでは前4Qから減少していますが、四半期末時点の数字のため3か月の延べ人数で比較すると、実はそんなに変わっていません。変わっていない中で買取台数を増やすことができたのは、“当社が買取を始めて時間が経ってきたこと”や“スタッフの経験値向上”など、内部的な改善があったためです。
松井様
人材採用がうまく行っていない理由と改善策
続いて、「人材採用がうまく行っていない理由と改善策」を解説します。
ひっきー
決算説明資料を見ると、「中途採用における母集団形成に遅延が生じた」、「想定以上に退職が多かった」と書かれています。採用がうまく行かなかった理由と、退職が多かった理由を教えていただけませんか?
採用がうまく行かなかった理由は、下記のとおりです。
松井様
採用がうまく行かなかった理由
- 欲しい人数を採用するための人事体制が整っていなかった
- 欲しい人数を採用するために必要な採用予算を準備できていなかった
現在は、人事の人数を増やしており、中途採用の予算もこれまでより多く準備しています。また、4月には新卒と第二新卒の大量入社を控えているので、現状の採用遅れは4月には取り戻せると予想しています。
松井様
ひっきー
第二新卒も採用されたのですね!
最近は若い人材の流動性が高まっているので、第二新卒の採用も強化しました。続いて、想定以上に退職が多かった理由を説明します。
松井様
退職が多かった理由
- 入社後に成果があげられず、自信をなくして退職する人が多かった
中古車販売業は「歩合制」です。車を売れば売るほど、給料が高くなる仕組みとなっています。このため、成果があげられないと自信をなくしてしまい、退職するケースがほとんどです。このような人が、前年より多く出てしまいました。当社では、できるだけ入社後にお金を稼いでもらえるように、教育体制を整えています。
松井様
ひっきー
厳しい世界なのですね…!4月に入社予定の新卒と第二新卒のみなさんが活躍されることを祈っています!
まとめ
2023年9月期1Q決算の取材は、以上で終了となります。今回の決算は、一過性の要因が大きく影響していました。2Q以降の決算で、当初の通期目標達成に向けて挽回できるかに注目したいですね。
こちらの記事では、最新決算の状況のみを紹介していますが、当サイトではグッドスピード社の事業内容や今後の成長戦略をわかりやすく解説した記事も作成しています。グッドスピード社について理解を深めたい方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
グッドスピード社は、IR情報がとても充実しています!決算説明資料は100ページ近くあり、細かく情報が開示されているので、ぜひ一度チェックしてくださいね。また、その情報を使って分析に挑戦するのもおすすめです。
また、今回の取材にご協力いただいた松井様は、Twitterでも情報発信に力を入れていらっしゃいます。ぜひ松井様のTwitterをフォローして、最新情報を見逃さないようにしましょう!
ひっきー
当サイトでは、上場企業に取材させていただき、事業内容や成長戦略などを株初心者向けにわかりやすく解説した“企業紹介記事”を公開しています。こちらで記事の一覧を公開していますので、ぜひご覧ください。株初心者の方が企業を知るきっかけになれますと幸いです。
また、当サイトの取材を希望される上場企業の担当者様は、お問い合わせフォームからご連絡をお願いいたします。ご連絡をいただいた担当者様に、企業紹介記事の企画概要資料をご送付するほか、取材のご案内をいたします。
ディスクレーマー
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オートオークション会場への出品を抑えたとのことですが、なぜこのようなことをしたのでしょうか?