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グッドスピードの松井様に突撃取材!事業内容と今後の成長戦略を達成できるかうかがいました

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2023年6月2日

株式会社グッドスピード松井様

(株式会社グッドスピード 松井様)

やさしい株のはじめ方の管理人ひっきーとやさしい株のはじめ方編集部(にしけい)が、東海地方を中心にSUV※1に特化した中古車販売店運営などを得意とするグッドスピード(7676)(以下、グッドスピード社)に突撃取材しました!

※1 SUVとは、「Sport Utility Vehicle」の略です。日本語では「スポーツ用多目的車」と言われます。多目的車という名前のとおり、買い物や送迎などの日常生活はもちろん、荷物をたくさん積んで移動するキャンプにも使える便利な車です。代表的な車種としては、「トヨタ ランドクルーザー プラド」や「ジープ ラングラー」、「メルセデス・ベンツ Gクラス」などが挙げられます。

今回は同社の取締役であり、Twitterを活用したIR活動に積極的に取り組んでおられる松井様に、事業内容今後の成長戦略を達成できそうかお聞きしました。

この記事では、株初心者の方がグッドスピード社について理解を深められるよう、わかりやすい言葉で丁寧に解説します。また、最新の業績や注目すべき指標、今後の成長戦略についてどう考えれば良いかの説明も載っています。ぜひ最後まで読んでくださいね。

SUVに特化した中古車販売店を運営!グッドスピード社の事業内容をわかりやすく解説

グッドスピード(7676)は、東海地方を中心に関西・沖縄でSUVに特化した中古車販売店「GOOD SPEED」などを運営している会社です。

<店舗のイメージ>

グッドスピードの店舗イメージ

(出典:グッドスピードMEGA SUV 東海名和店

ここでは、グッドスピード社への理解を深めていただくために、次の3つのポイントに絞って紹介していきますね。

ビジネスモデル

まずは、ビジネスモデルについて説明していきます。グッドスピード社は中古車販売店を経営する会社です。オートオークション※2の会場で車を仕入れ、または「車を手放したい」という人から車を買い取り、「車を買いたい」という人に販売するのが基本的な業務となります。これを踏まえて売上高を構成要素に分解すると、下のようになります。

※2 オートオークション(Auto Auction)は、自動車を取り扱うオークションです。中古車の取引が中心で、中古車販売業者を対象とした会員制のオークションとなっています。

売上高の計算式

売上高=四輪小売販売台数×1台あたり平均単価

この計算式から、中古車販売業で売上高を伸ばす方法として「四輪小売販売台数を増やす」ことが重要と言えますね。

また、中古車を販売するためには「仕入」が必要となります。仕入にはコストが掛かるため、売上高から中古車の仕入費用を引いた金額が同社の売上総利益(粗利)となります。

売上総利益(粗利)の計算式

売上総利益(粗利)=売上高-仕入費用

指さしひっきー

売上高を伸ばしていくためには、中古車の安定的な仕入れが重要になるかと思います。御社はどのようにして車を仕入れているのでしょうか?

当社は「オークション」で仕入れることが多いです。専門部署を設置し、全国のオークション会場から安定した供給ができる体制を作っています。

株式会社グッドスピード松井様

事業の特徴

グッドスピード社は他の中古車販売店とは違い「SUVに特化している」点が特長です。

指さしひっきー

SUVなど特定の車種に特化すると、何かメリットがあるのでしょうか?

あります!当社の販売員はSUVに関する知識に絞って勉強すれば良いので、他の中古車販売店よりも専門的な知識を持つことができます。当然、専門知識があればお客様の要望に合った提案がしやすくなるので、お客様に満足してもらいやすくなる点がメリットです。

株式会社グッドスピード松井様

指さしひっきー

なるほど!専門知識を持っている販売員の方であれば、安心して相談ができるのでありがたいですね!

そうなのです!このようにお客様にご満足いただき安心感を持っていただければ、周りの方に当社を紹介していただけるかもしれません。当社はもちろん中古車販売店の多くは、Webの中古車検索サイトからの流入が中心です。ブランド力を高めていき、指名検索してもらえるようにしたいですね。

株式会社グッドスピード松井様

また、店舗の種類や出店方法にもおもしろい特長があります。グッドスピード社が運営する店舗は、主にMEGA専門店と国産車専門店、輸入車専門店の3種類があります。2022年11月14日現在の種類別店舗数は下の表をご覧ください。

店舗の種類 店舗数
MEGA専門店 10店舗
国産車専門店 12店舗
輸入車専門店 3店舗

(出典:グッドスピード 個人投資家向け会社説明資料[PDF])

このうち「MEGA専門店」がグッドスピード社のフラッグシップ店舗※3であり、新規出店で最も力を入れています。

※3 フラッグシップ店舗とは、企業の顔となる店舗です。「旗艦店(きかんてん)」とも言います。

指さしひっきー

MEGA専門店の出店に力を入れているとのことですが、具体的にどのような店舗なのでしょうか?

「MEGA」と付いているように、大型の店舗です!展示台数は常時200台以上、敷地面積は2,000坪以上となっています。業績の部分でも説明しますが、MEGA専門店の出店が成長の主軸です。

株式会社グッドスピード松井様

<MEGA専門店のイメージ画像>

MEGA専門店のイメージ画像

(出典:グッドスピード 個人投資家向け会社説明資料[PDF])

指さしひっきー

かなり大きな店舗ですね!広大な土地が必要になるかと思いますが、どのようにして出店用地を探しているのでしょう?

パチンコ店の居抜きを使うことが多いです!パチンコ店は閉店が増えており、広大な土地と大きな建物を持っています。この資産をうまく活用し、在庫となる車を置いたり、整備工場を作ったりしているのです!

株式会社グッドスピード松井様

指さしひっきー

パチンコ店の居抜きを活用されているのは非常におもしろいですね!ちなみに、MEGA専門店の新規出店にはどれくらいのコストが掛かるのでしょうか?

MEGA専門店は1店舗出すのに10億円以上の投資が必要になります。これは商品在庫としてSUVを200台以上調達しなければならないのと、固定資産の取得にお金が掛かるためです。

株式会社グッドスピード松井様

以上をまとめると、グッドスピード社にとっては「MEGA専門店の新規出店」が成長に必要な要素となります。しかし、その成長を実現するためには多額の資金が必要です。この辺りについては、今後の成長戦略の見方をわかりやすく解説!の部分で改めて解説します。

なお、グッドスピード社はSUVの中古車販売店が中心ですが、輸入車やミニバン、バイクの専門店も運営しています。「特定の車種に特化して中古車販売店を運営する」ノウハウをSUVで身に付け、それを他の車種にも横展開しているのです。

また、中古車を販売して終わりではありません。車検や保険といった周辺サービス(附帯サービスとも言います)や、レンタカー事業も展開しています。中古車を販売したあとも顧客と長い付き合いを前提に、さまざまなサービスを提供している点も特長です。

市場の状況

次に、グッドスピード社が置かれている市場の状況を見ていきましょう。下のスライドは、中古車販売店の状況です。

<中古車販売店の状況>

中古車販売店の状況

(出典:グッドスピード 2022年9月期決算説明資料[PDF])

中古車販売店は、小規模店舗が乱立する多数乱戦状態となっています。直近7年ほどになって、大手企業のシェア拡大が始まった段階です。

業界最大手のシェアはまだ5%しかなく、グッドスピード社が入り込みシェアを拡大できる余地は大きいと考えられます。

<獲得可能な最大市場規模>

獲得可能な最大市場規模

(出典:グッドスピード 2022年9月期決算説明資料[PDF])

また、決算説明資料に書かれているTAM(Total Addressable Market)という「獲得可能な最大市場規模」のデータを確認しましょう。これによると、取り扱う車種を増やしたり、他の地域にも店舗を出店したりすることでも業績を伸ばせます。

SUVで培った専門店の運営ノウハウを他の車種に展開し、自動車大国であり中古車販売がむずかしいと言われる愛知県での経営ノウハウを武器にすれば、他の地域への拡大もむずかしくはないでしょう。市場環境を考えると、成長性の高さがよくわかりますね。

グッドスピード社の事業内容について理解を深めたところで、最新の業績について見ていきましょう。

2022年9月期の業績は?注目すべき指標もわかりやすく解説

グッドスピード社の最新の業績と、注目すべき指標について解説します。まずは、最新の業績から見ていきましょう。

最新の業績(2022年9月期)

2022年9月期の業績ハイライトを下の表にまとめました。

2022年9月期連結業績ハイライト
実績 前年同期対比 通期予想達成率
売上高 561億円 125.4% 93.6%
営業利益 10億円 164.6% 100.1%
四輪小売販売台数 1.5万台 115.1% 85.8%

(出典:グッドスピード 2022年9月期決算説明資料[PDF])

まずは、売上高に注目しましょう。前年同期比125.4%と非常に高い成長率となりました。これは、前期と当期に出店したMEGA専門店などの業績が前年の売上高に上乗せされたことが影響しています。

指さしひっきー

かなり高い成長率ですね!一方で、売上高の通期予想達成率は93.6%となり、計画を達成できませんでした。この理由は何でしょうか?

第2四半期に支払総額表示の先行導入を行った際に一時的に販売台数が減少したこと、9月に台風15号の影響でMEGA SUV清水鳥坂店の納車予定の車両の一部が被害を受けて納車できなくなったことなどにより、四輪小売販売台数が計画を下回りました。支払総額表示の先行導入については、下のスライドで説明をしています。

株式会社グッドスピード松井様

<2022年9月期連結業績ハイライト>

2022年9月期連結業績ハイライト

(出典:グッドスピード 2022年9月期決算説明資料[PDF])

ひとことで説明すると、広告や店頭で表示する車の値段が相対的に上がったのです。車の販売価格は、下の3つの構成要素で成り立っています。

株式会社グッドスピード松井様

車の販売価格の構成要素

  • 車両価格
  • 諸費用
  • オプション

従来は「1.車両価格」のみを広告や店頭で表示すれば良かったのですが、2023年10月に義務化されるルール変更では「1.車両価格+2.諸費用」の合計額を表示しなくてはならなくなりました。あわせて、このタイミングで車両価格と諸費用の価格設定を見直したため、車の販売価格が相対的に高くなってしまったのです。

株式会社グッドスピード松井様

指さしひっきー

なるほど!詳しい事情を知らない消費者から見ると、中古車価格が値上がりしたように見えてしまいますね。

そうなのです。このため、一時的に検索サイトからの流入が減ってしまい、第2四半期は想定よりも販売台数が減少しました。一方で、1台あたりの粗利単価は増加しました。第3、第4四半期は第2四半期に変更した車両価格、諸費用の価格設定の微調整およびオプション商品、商談の方法を変更し、販売台数は第3四半期に元の水準以上まで回復、第4四半期もほぼ前年同期並みに推移しました。

株式会社グッドスピード松井様

指さしひっきー

詳しくご説明ありがとうございます!

続いて、営業利益を見ていきます。営業利益も前年同期比164.6%と非常に高い成長となりました。新規出店によって売上高が増えたことと、販売価格の表示ルールが変更された影響で1台あたりの売上総利益が増加したことが原因です。

四輪小売販売台数は、先ほどお伝えしたように販売台数の計画値を下回る結果となりました。これは支払総額表示の先行導入による一時的な販売台数の減少と台風の被害による影響なので、経営に問題を抱えていたり中古車の需要が落ち込んでいたりするわけではありません。

注目すべき指標

次に、グッドスピード社の決算を見る際に注目すべき指標は以下の4つです。

  1. 売上高
  2. 営業利益
  3. 四輪小売販売台数
  4. MEGA専門店の店舗数

売上高と営業利益、四輪小売販売台数は、ビジネスモデルで説明したように、同社の成長をモニタリングするための重要な指標だからです。

四輪小売販売台数を増やせば、売上高と営業利益も増えていきます。この3つの指標が伸びているか、そして同社自身が掲げた目標を達成できているかに注目しましょう。

4つ目の「MEGA専門店の店舗数」は今後の成長戦略の主軸であり、他の3つの指標にも影響を及ぼします。MEGA専門店の店舗数が増えれば、その分だけ四輪小売販売台数が増え、売上高と営業利益の増加につながるためです。

ちなみに、グッドスピード社ではこれらの指標をグラフ化して開示しています。各指標がどのように推移しているのか、実際の資料を使って見ていきましょう。まずは、売上高と営業利益についてです。こちらは過去6年分の数値を開示しています。

<売上高・営業利益の推移>

売上高と営業利益の推移

(出典:グッドスピード 2022年9月期決算説明資料[PDF])

売上高は右肩上がりで、営業利益は2020年9月期を除いて増加しているのがわかります。2020年9月期は新型コロナウイルス感染拡大による影響なので、一時的なものと見てよいでしょう。その後は営業利益もしっかりと伸びています。

四輪小売販売台数については、スライド2ページを使った詳しい解説が読めます。特に注目なのが「四輪小売販売台数の推移(1)」のスライドで、MEGA専門店の新規出店タイミングも合わせて紹介されています。新規出店により販売台数を積み上げられているかを確認すると良いでしょう。

<四輪小売販売台数の推移(1)>

四輪小売販売台数の推移

(出典:グッドスピード 2022年9月期決算説明資料[PDF])

上のスライドでは2018年9月期から最新の2022年9月期まで、5年分の四輪小売販売台数が開示されています。2020年9月期は新型コロナウイルス感染拡大の影響で販売台数が減っていますが、その後はMEGA専門店の新規出店効果もあり、販売台数が増えているのがわかりますね。

MEGA専門店については、過去3年分と将来3年分の店舗数の推移が開示されています。

<MEGA専門店の店舗数の推移>

MEGA専門店の店舗数の推移

(出典:グッドスピード 2022年9月期決算説明資料[PDF])

さらに、「MEGA専門店のライフサイクル」というスライドでは、出店直後の売上高と営業利益、出店後の収益増加のイメージが開示されています。

<MEGA専門店のライフサイクル>

MEGA専門店のライフサイクル

(出典:グッドスピード 2022年9月期決算説明資料[PDF])

ここに書かれている数字と出店戦略を組み合わせて考えると、グッドスピード社の成長戦略が達成できるのか、自分なりに検証できてしまいます。これほど詳しく情報を開示している会社はめずらしいでしょう。

指さしひっきー

グッドスピード社の決算を見る際は、ぜひこの4つの指標が増えているか、そして同社自身が掲げた目標を達成できているかをウォッチしていきたいですね!

今後の成長戦略の見方をわかりやすく解説!

グッドスピード社の今後の成長戦略の見方を、わかりやすく解説していきます。同社では、下のスライドのような業績の計画(中期計画)を掲げているので、どのように考えれば良いのかを説明しますね。

<中期計画>

グッドスピード社の中期計画

(出典:グッドスピード 2022年9月期決算説明資料[PDF])

グッドスピード社の成長戦略では、「MEGA専門店の新規出店」が重要なポイントを担っています。なぜなら、MEGA専門店の店舗数を増やすことで四輪小売販売台数が増え、売上高の成長につながるからです。これは同社の売上高の計算式を見るとわかりやすいですね。

売上高の計算式

売上高=四輪小売販売台数×1台あたり平均単価

したがって、次の2つのポイントで成長戦略を考えると良いでしょう。

上の注目ポイントについて、それぞれ説明しますね。

MEGA専門店の新規出店が計画どおりにできるか

グッドスピード社では、MEGA専門店の新規出店を以下のように計画しています。

MEGA専門店の新規出店計画
2022年9月期 2023年9月期(予) 2024年9月期(予) 2025年9月期(予)
MEGA専門店の新規出店数 2 4 5 5

(出典:グッドスピード 2022年9月期決算説明資料[PDF])

指さしひっきー

そもそも、積極的にMEGA専門店を出店する理由は何でしょうか?

シェア獲得や業績の成長はもちろんですが、店舗を多く出して在庫の車を多く持っておくと、中古車検索サイトでの検索に引っかかりやすくなるメリットがあるのです。

株式会社グッドスピード松井様

指さしひっきー

なるほど!検索サイトでの露出を増やすためにも必要なことなのですね!

そのとおりです!

株式会社グッドスピード松井様

指さしひっきー

では、出店計画の話に戻ります。MEGA専門店の新規出店を年間4~5店舗計画されていますが、2020年9月期から2022年9月期までは年間2店舗の新規出店でした。かなりペースが速くなりますが、達成可能なのでしょうか?

達成可能と考えています。下の一覧表は2023年9月期と2024年9月期の出店計画なのですが、イオンモール土岐店はすでに出店が完了していますし、残りの店舗についても準備が着々と進んでいます。

株式会社グッドスピード松井様

MEGA専門店の新規出店計画(2023年9月期)
2023年9月期計画 固定資産取得 固定資産
投資額
四輪在庫台数 ショールーム 土地
グッドスピードMEGA SUV
イオンモール土岐店
2022年10月 6.4億円 220台程度 新築 賃貸
愛知県岡崎市 2023年1月予定 11.5億円 300台程度 居抜き・改装 賃貸
大阪府豊中市 2023年7月予定 5億円 300台程度 居抜き・改装 賃貸
福岡県福岡市 2023年8月予定 5億円 300台程度 居抜き・改装 賃貸
MEGA専門店の新規出店計画(2024年9月期)
2023年9月期計画 固定資産取得 固定資産
投資額
四輪在庫台数 ショールーム 土地
石川県金沢市 2023年11月 - - - -

(出典:グッドスピード 2022年9月期決算説明資料[PDF])

これ以降については未定ですが、2023年9月期は計画どおりの新規出店に向けて着実に進められていますし、2024年9月期以降も十分に達成可能と考えています!

株式会社グッドスピード松井様

指さしひっきー

2023年9月期の出店動向を見る限り、達成可能性は高そうですね!ところで、事業の特徴で新規出店には10億円以上の資金が必要とおっしゃっていました。2022年9月期の営業利益は10億円、純利益は3.8億円ですので、利益範囲内での新規出店はむずかしいと思われます。どのように資金調達されているのでしょう?

直近では、2021年12月3日にMSワラント※4を発行して資金調達をしています。銀行借り入れでの調達もしていますが、自己資本比率が低くなってきており、財務体質を改善しつつ資金調達する必要があるためです。具体的な方法として、MSワラント以外に公募増資※5も考えたのですが、株価の急落を抑えられると判断しMSワラントを選択しました。このMSワラントは2022年12月に完了しております。

株式会社グッドスピード松井様

※4 MSワラントとは、「Moving Strike Warrant」の略で、日本語に直すと「行使価額修正条項付新株予約権」です。資金調達方法のひとつで、証券会社など特定の第三者に株式を割安な価格で発行してお金を集めます。株式の買い手は市場で少しずつ株式を売却し、資金と利益を回収します。詳しくは、MSワラントとは?仕組みをわかりやすく解説しますをご覧ください。
※5 公募増資とは、新たに株式を発行し、不特定多数の投資家に買ってもらう方法です。公募増資で発行する株式の価格は、株式市場で付いている価格よりも少し割安な水準となります。詳しくは、増資とは?株価にはどう影響する?をご覧ください。

MSワラントと公募増資の違い
MSワラント 公募増資
資金調達開始までの時間 短い 長い
必要資金を集めるまでの時間 長い 短い
株価へのマイナス影響 出来高を見ながら少しずつ
希薄化※6していくため
株価の急落を抑えられる
一気に希薄化が進み株価が急落する

※6 希薄化(きはくか)とは、新しく株式を発行して1株あたりの価値が低下する(=薄まる)ことを言います。ケーキの切り分け作業をイメージするとわかりやすいです。1つのケーキを4等分した場合と8等分した場合を考えると、8等分した場合のほうが1人あたりのケーキの大きさは小さくなりますね。これが増資による希薄化です。

指さしひっきー

確かに、MSワラントであれば出来高を見ながら行使できるので、株価の急落を抑えられますね!

MEGA専門店の店舗数増加が、売上高をどれだけ押し上げるのか

MEGA専門店の店舗数増加で、売上高がどれくらい増えるのかを考えていきましょう。グッドスピード社は売上高成長率30%超という高い目標を掲げているので、本当に達成できるのかを検証するのが目的です。

まず、同社のMEGA専門店の新規出店数を確認しましょう。下の表のようになっているのでしたね。

2023年9月期(予) 2024年9月期(予) 2025年9月期(予)
MEGA専門店の新規出店数 4 5 5

(出典:グッドスピード 2022年9月期決算説明資料[PDF])

MEGA専門店は、新規出店直後の売上高が30億円でしたね。これを使って売上高の増加額を計算すると、下の表のようになります。

2023年9月期(予) 2024年9月期(予) 2025年9月期(予)
MEGA専門店の新規出店数 4 5 5
売上高の増加額(億円) 120 150 150

(出典:グッドスピード 2022年9月期決算説明資料[PDF])

この数値を使って、売上高の予想値を計算してみましょう。そして、会社予想の売上高との差額を計算してみます。

2023年9月期(予) 2024年9月期(予) 2025年9月期(予)
MEGA専門店の新規出店数 4 5 5
売上高の増加額(億円) 120 150 150
独自予想売上高(億円) 680 830 980
会社予想売上高(億円) 748 1,020 1,335
独自予想売上高-会社予想売上高
(億円)
▲148 ▲190 ▲355

(出典:グッドスピード 2022年9月期決算説明資料[PDF])

上の表から、単純に新規出店直後の売上高だけを足していくと、会社予想売上高には到達しないとわかりますね。このように、会社予想売上高と当サイトの独自予想売上高の差額が生まれる理由は、車販売以外の売上成長を加味していないためです。

<MEGA専門店1店舗あたりの売上高(出店直後の1年間)>

MEGA専門店の出店直後1年間の売上高は30億円程度

(出典:グッドスピード 2022年9月期決算説明資料[PDF])

注目すべき指標でも紹介したように、MEGA専門店は附帯サービスの提供によって売上高が増えていきます。また、バイク専門店や買取店を併設するため、実際の売上高は「新規出店店舗の売上高が30億円」と固定して計算した場合よりも高くなるのです。

このように既存店舗の売上高成長と新規出店による増収を考えると、売上高成長率30%超という目標は十分に達成できると考えています!

株式会社グッドスピード松井様

指さしひっきー

ご説明ありがとうございました!ところで、最近は新車販売台数が回復してきているというニュースもあり、消費者が中古車から新車に流れてしまうのではないかと思うのですが、業績への影響はないのでしょうか?

自動車販売の業界団体が1日発表した11月の国内新車販売台数(軽自動車含む)は、前年同月比7%増の37万7079台だった。プラスは3カ月連続。半導体不足など供給網の乱れが続いているものの、軽自動車を中心に生産制約が徐々に改善している。

出典:日本経済新聞「国内新車販売、11月7%増 軽自動車「タント」など好調」

実は「新車の納期遅れが原因で、中古車を買う消費者が増える(=中古車登録台数が増える)」という動きは起きていません。新車の納車遅れは、むしろ中古車登録台数の減少につながります。これは、新車の納期遅れによって買い替えが進まず、中古車市場に流れてくる車が減ってしまうからです。

株式会社グッドスピード松井様

<新車販売台数と中古車登録台数の推移>

新車販売台数と中古車登録台数の推移

(出典:グッドスピード 2022年9月期決算説明資料[PDF])

そのため、新車販売台数の増加は中古車市場に追い風です!また、新車を購入する顧客層と中古車を購入する顧客層が違う点も、新車の納期遅れが中古車市場にプラスにならない理由のひとつと言えます。

株式会社グッドスピード松井様

指さしひっきー

なるほど!新車販売台数が増えて買い替えが活発化すれば、中古車市場に流通する車の台数も増えるのも納得です。懸念を払拭できました!

個人投資家へのメッセージ

指さしひっきー

最後に、個人投資家へのメッセージをお願いいたします!

当社は数字を細かく出しており、それを丁寧に解説した動画も公開しています。個人投資家様の中には、数字を使って分析するのがお好きな方も多くいらっしゃるように感じます。そのような方にはぴったりの会社ですし、研究の材料としても使っていただければ幸いです。また、長い目で見て成長できる会社ですので、ぜひ長期的に応援をお願いします!

株式会社グッドスピード松井様

指さしひっきー

この度は取材へのご協力ありがとうございました!

グッドスピード社は、IR情報がとても充実しています!決算説明資料は100ページ近くあり、細かく情報が開示されているので、ぜひ一度チェックしてくださいね。また、その情報を使って分析に挑戦するのもおすすめです。

また、今回の取材にご協力いただいた松井様は、Twitterでも情報発信に力を入れていらっしゃいます。ぜひ松井様のTwitterをフォローして、最新情報を見逃さないようにしましょう!

指さしひっきー

当サイトでは、上場企業に取材させていただき、事業内容や成長戦略などを株初心者向けにわかりやすく解説した“企業紹介記事”を公開しています。こちらで記事の一覧を公開していますので、ぜひご覧ください。株初心者の方が企業を知るきっかけになれますと幸いです。

また、当サイトの取材を希望される上場企業の担当者様は、お問い合わせフォームからご連絡をお願いいたします。ご連絡をいただいた担当者様に、企業紹介記事の企画概要資料をご送付するほか、取材のご案内をいたします。

ディスクレーマー

当記事では、筆者独自の見解を述べることがありますが、証券およびその他の金融商品の売買や引受けを勧誘する目的ではなく証券およびその他の金融商品に関する助言や推奨をするものではありません。また、個別企業の業績予想や株価予想、投資推奨を提供する予定はありません。投資判断等は、自己責任でお願いいたします。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会検定会員補を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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