下方修正した株が上がるのはなぜですか?
業績を下方修正した株は、セオリーで考えると下がると思うのですが、なぜか上昇しました。理屈がよくわからないので教えてください。
基本的には、業績の下方修正があると株価は下がります。理由はかんたんで、当初会社が計画していた業績よりも悪い数字で決算が着地しそうだという修正だからです。事業が不調という発表なので、当然、株価が下がります。その一方で、株価が上がることもあるのです。この違いはどこにあるのか、具体例を交えて解説します。
★下方修正が出たにもかかわらず、大幅な上昇を見せたHANATOUR JAPAN(6561)

(出典:SBI証券)
今回は、HANATOUR JAPAN(ハナツアージャパン 以降、ハナツアーと表記)を例に取り上げます。ハナツアーの事業内容は、主に「韓国や中国から日本へ旅行したい方をサポートする業務」です。韓国版の“旅行代理店”と言えばわかりやすいでしょうか?
このハナツアーが、2018年11月14日に大幅な下方修正を出したのです。 私は下方修正が出ることは予見できていました。これは特別な知識が必要なものではなく、会社発表の月次を見ていれば、誰でも予見できた内容です。それでは、下の資料をご覧ください。

(出典:2018年10月15日 ハナツアー月次報告)
見ての通り、散々な結果です。旅行事業取扱高は、6月から前年比100%を割れており、9月は「54.2%」というひどい数字です。これは、地震や台風の影響が非常に大きく、関西国際空港が一時機能不全になったことは、記憶に新しいと思います。このような1年になるとは、期初には予測ではできていないはずで、下方修正が入ることが必至でした。これが1つ目のポイントです。
2つ目のポイントは、株価推移です。毎月の月次発表で、業績が悪くなっていることが株価に織り込まれており、株価は4500円から1500円へと、ピーク時の約3分の1まで下がっていました。

(出典:SBI証券)
3つ目のポイントは、投資家の買いのタイミングです。結果的に、「下方修正が出たら買いたい」というニーズが想像以上に大きかったのです。下方修正で下がると思っていたハナツアー株があまり下がらないので、しびれを切らして、買い上がったと推測されます。その上昇に、短期筋の買いも追随したのかもしれません。
これら3つのポイントにより、買い注文に拍車がかかり、下方修正にもかかわらず、株価が上昇するに至ったと考えます。今後の株価推移は、月次の回復が重要です。いつまでも前年比50%程度では、株価も持ち直してきません。会社発表では、「本格的な回復は、2019年第1四半期後半以降と想定されます。」とあるので、2019年3月頃から本格的な回復となるのかもしれませんね。
★今回はこのような結果で株価上昇になりましたが、下方修正が出たときに騰がると事前に予想することはむずかしく、狙ってできるものではないと思います。「悪材料出尽くし」なのか「まだ株価に織り込まれていないか」は紙一重です。
注意
この記事は、管理人の個人的な視点であり、事実は違うところにあるかもしれません。また当銘柄を推奨するものではございませんので、投資判断等は自己責任にてお願いいたします。
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投資歴18年目の株初心者アドバイザーです。2005年からの投資成績は+2億円を突破しました!2009年に発売した著書『はじめての株1年生 新・儲かるしくみ損する理由がわかる本』は、累計59,000部のロングセラー。その他、数多くの金融系メディアにも寄稿しています。