機関投資家とは、どういう人ですか?
機関投資家とは、どういう人たちのことを指すのですか?また、機関投資家が市場で売買したら、株価への影響はあるのでしょうか?
機関投資家とは、巨額の資金を使って資産を運用・管理する大口投資家のことです。一般的に機関投資家とされているのは、主に次の法人や団体が挙げられます。
- 銀行や信用金庫
- 証券会社
- 年金機構
- 投資信託の運用
- ヘッジファンド※1
※1 投資家から資金を集めて、高い運用成績を目指す資産運用会社のことです。
いずれも投資のプロであり、数百億円~数兆円という巨額の資金を運用しているので、市場に大きな影響を与えます。とくに運用資金が大きい機関投資家は、「GPIF(ジーピーアイエフ)※2」です。
※2 日本語では、「年金積立金管理運用独立行政法人」と言います。
GPIFは国民から集まった年金を少しでも増やすために運用する団体で、2020年は約169兆円もの資金を運用しています。巨額の資金を運用しているので、個人投資家にとって無視できない存在なのです。
ただし機関投資家は、基本的に「時価総額100億円以上の株」しか売買しません。100億円以下の株を嫌う理由は、主に次の3つです。
- 運用資金が大きいため、時価総額が小さい銘柄を組み込んでも、運用成績への影響が小さい
- 時価総額が小さい銘柄は、株価を上げないように少しずつ買い集めなければならず、時間がかかる
- 自分の買いで株価を上げてしまったり、売りで株価を下げてしまったりする(株価への影響が大きい)
このような理由で、100億円以下の株を嫌っています。四季報を見ると、どの機関投資家がどの銘柄の取引をしているか確認できるので、参考にしてください。
また機関投資家は、ひとつの銘柄の株式を5%以上保有すると、大量保有報告書という書面を公開しなければいけません(通称5%ルール)。
ひとつの銘柄に数億円~数十億円の規模で投資するケースが多いので、保有率は5%を簡単に超えます。四季報で掲載される前に機関投資家の動きを知りたい場合は、大量保有報告書を参考にしましょう。大量保有報告書は、金融庁が管理する EDINETで見ることができます。
機関投資家の取引による影響と見分け方
機関投資家の取引は市場に大きな影響を与えるため、個人投資家は機関投資家の動向をチェックしておく必要があります。
①機関投資家の取引で株価が上がる場合
機関投資家が大口取引することは、企業に信用があることの証明です。プロの投資家が企業成長に期待し、株価が上がると予想して巨額の資金を投入するので、機関投資家が取引している企業は今後株価を上げる可能性が高いと言えます。機関投資家が取引しているかどうかを、投資先として選ぶ基準のひとつと考えて問題ないでしょう。
②機関投資家の取引で株価が下がる場合
対象銘柄に悪材料が出てしまうと、機関投資家が空売りを仕掛ける可能性があります。もしそのタイミングで対象銘柄を保有していると、株価が大きく下がり大損してしまうかもしれません。自分が投資する銘柄の情報は常にチェックしておくことが大切です。
もし保有中に機関投資家の空売りが原因で株価が下がったとしても、すぐに損切りしてはいけません。空売り後に大きく株価が下がったあと、機関投資家の買い戻しによって株価が上がる可能性があるからです。
③機関投資家が取引しているか判断する方法
日本カーボン(5302)のチャートを例に説明していきます。
機関投資家は巨額の資金で取引するので、出来高が通常よりも増える傾向があります。
2020年8月27日や2020年11月25日あたりの出来高(上記画像の赤枠部分)が突き抜けており、株価が下がっています。機関投資家が空売りをした可能性が高いでしょう。
しかしその後、株価は急激に上がっています。投資先の業績不振や経済悪化などの悪材料が無ければ、機関投資家による空売りで株価が一時的に下がったとしても、その後上がる可能性があるのです。
もし保有している銘柄の株価が大きく下がっても、機関投資家による空売りの可能性を考慮して、冷静に企業と市場の分析をしましょう。そのうえで、一時的な悪材料だったら、継続保有や買い増しを考えてもいいかもしれません。
空売りネットというサイトでは、各銘柄の機関投資家による空売り残高を確認できるので、参考にしてみてください。
サイト内の参考ページ
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投資歴18年目の株初心者アドバイザーです。2005年からの投資成績は+2億円を突破しました!2009年に発売した著書『はじめての株1年生 新・儲かるしくみ損する理由がわかる本』は、累計59,000部のロングセラー。その他、数多くの金融系メディアにも寄稿しています。