株や投資信託をこまめに売って利益確定して、買い直すメリットはありますか?
保有株が目標値に到達して利益確定をした後、同じ株を買っては意味がないのでしょうか。売らないといつまでたっても利益確定できないですが、その株は持ち続けたいのです。こういうときはどうしたら良いのでしょうか。投資信託の場合も教えてください。
ここで、ご質問者の方に考えていただきたいことは、「同じ株を買い戻すメリット」ではなく、「利益確定をする意味」、と「改めて同じ株を買い直すデメリット」についてです。
例えば、私の考え方ですと、利益を確定するときは次の3つのパターンがあります。「①現金が必要になったから」、「②他にもっと良い銘柄があったから」、「③保有株が急騰して割高になりすぎたから」です。それぞれ解説します。
①現金が必要になったから
株を売却して現金化するのはシンプルな流れです。解説は不要ですね。
②他にもっと良い銘柄があったから
株を売却して一度現金化して、他の株に乗り換えることはあります。良い銘柄の定義がむずかしいですが、今持っている銘柄よりも、割安であったり、成長性が高かったり、ビジネスモデルがすぐれていたり…と、何かしらの魅力を感じた場合に乗り換えます。
③保有株が急騰して割高になりすぎたから
この場合は、高値で一旦売却をしてまた下がってきたら買い直すということはあります。ただし、売った後に下がってくるという保証はないので、買い直すというのはとても難易度が高いです。
ですから、よほどのことがない限りは売却するには至りません。ご質問者の方は、「売らないといつまでたっても利益確定できない」とおっしゃっていますが、現金で持っていること(現金に戻すこと)に強く意識を持ちすぎているのではないかと感じました。
たしかに、最終的には現金化しなければ使えないのですが、目先でお金を使う予定がない場合(これからも運用を継続する場合)には、「株を売却する=次の投資先を探さなければならない」のです。投資先探しにも時間と労力がかかりますし、同じ株を買い戻すにしてもさまざまなデメリットが出てきます。
利確して同じ株を買い戻すデメリット
「いったん株を売って買い直すというのは難易度が高い」と先ほどお伝えしたとおりですが、詳しくは、売却した株価よりも安い株価で買い戻すことはテクニック的にむずかしく、逆に、売却した株価よりも高い株価になってしまうと心理的に買いづらくなるというのが、難易度が高いと思う点です。
一度株を売却すると、売却したときの株価にとらわれて売買がしにくくなることを頭に入れておいてください。
株をこまめに利確して買い直すと、税金面でも不利になる
また、株を買い直すことは税金的にも不利になります。少し極端な例でお話しします。
例えば、株価1,000円の株を100株買ったとします。これが株価2,000円(2倍)になった場合、利益は10万円となりますが、すぐに売却した場合には約20%の税金(2万円)がかかるので、手に残る利益は8万円となり、手持ちは18万円となります。
仮に、同じ株価で買おうとしても、100株(20万円分)買うことはできず90株(18万円分)となってしまいます。このように、利益確定をしてしまうと、利益分が課税対象になってしまうので、資金効率が悪くなってしまうのです。
また、株の売買にもその都度証券会社に払う手数料がかかるので、そのコストも頭に入れておかなくてはなりません。
投資信託の中でもインデックスファンドは、時間を味方につけたほうがいい
投資信託は、同じ商品を少額でコツコツ積み立てることで複利を味方につけ、新NISAやiDeCoなどの税制優遇を受けつつ、将来的に少しずつ利益確定していくのが定石です。
そのため、ポートフォリオのリバランスを目的に売却し、別の商品を購入するならまだしも、同じ用品を買い直すメリットはありません。
現金が必要になったとき以外は、売らずに長期保有することをおすすめします。
★このように、デメリットも大きいので、もし、同じ株を再び買い直すようなことが決まっている場合には、こまめに売買をせず、思い切って長く持ち続けるほうが良い結果が出やすいです。
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投資歴18年目の株初心者アドバイザーです。2005年からの投資成績は+2億円を突破しました!2009年に発売した著書『はじめての株1年生 新・儲かるしくみ損する理由がわかる本』は、累計59,000部のロングセラー。その他、数多くの金融系メディアにも寄稿しています。