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S&P500(エスアンドピー500)の今後(2026年2月)の見通しと1月の振り返り
S&P500(エスアンドピー500)の2026年1月の振り返りと、2026年2月の見通し、注目イベント、投資戦略についてご紹介します。
本記事のポイントは、次の3つです。
ポイント
- S&P500は1.4%高、一時最高値更新
- 2月は底堅く推移する見通し
- 堅調な米経済や企業業績の拡大見通しが下支え
詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
2026年1月の振り返り
1月のS&P500種株価指数は前月比1.4%高となり、一時、最高値を更新する場面も見られました。過去1年間では14.9%高となります。
<S&P500は1月も最高値を更新(過去1年間)>
出典:TradingView
巨大ハイテク株からの分散が図られるなか、景気敏感株や中小型株など物色が広がっています。デンマーク自治領グリーランドの領有を巡るトランプ関税の発動を受け、投資家のリスクオフ姿勢が強まる場面が見られましたが、結果として「TACO(トランプ氏はいつも腰砕け)トレード」になっている状況です。
S&P500セクター別に過去1か月の騰落率をみると、「エネルギー(13.7%高)」や「素材(8.0%高)」、「生活必需品(7.1%高)」などの値上がりが目立ちました。一方、「金融(3.3%安)」や「情報技術(IT、2.8%安)」は売りに押されています。
ファクター別では「S&P500バリュー指数」が月初来2.4%高と、ハイテク系の比率が高い「S&P500グロース指数」(同0.5%高)をアウトパフォームしており、バリュー優勢の展開が続いている状況です。
個別銘柄ではサンディスク(ティッカーシンボル:SNDK、過去1か月2.4倍)やシーゲイト・テクノロジー(STX、同45.6%高)、ウエスタンデジタル(WDC、同41.6%高)など、人工知能(AI)関連のメモリーや半導体製造装置に買いが集中しました。
一方、インテュイット(INTU、25.3%安)やサービスナウ(NOW、24.0%安)、セールスフォース(20.0%安)など、「SaaS(サース)」企業が低迷しています。SaaS企業はネット経由で業務ソフトウエアを提供するなか、AIが人間の業務を代行するようになることでソフトが不要となる「SaaSの死」という言葉がささやかれている状況です。
2027年度の保険会社への支払率が市場の想定を大幅に下回ったことを受け、ヒューマナ(HUM、24.5%安)やユナイテッドヘルス・グループ(13.7%安)など医療保険関連株が急落する場面も見られました。
10日に発表された12月の雇用統計は、非農業部門の就業者数が前月から5万人増と市場予想の5万~7万人を下回りました。
10月分および11月分がそれぞれ下方修正されており、10~12月の月平均では2.2万人減となります。10月に連邦政府職員の早期退職プログラムに応じて大量に退職した影響が大きく出ました。
失業率はじりじりと高まっている状況から市場で警戒感が強まっていましたが、12月分は4.4%と若干下がり、市場予想の4.5%も下回っています。
これらの結果を受けて、米連邦準備理事会(FRB)が積極的に利下げに打って出る公算は高まりませんでした。
13日に発表された12月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比で市場予想通りとなる2.7%の伸びを示すとともに、エネルギーと食品を除くコア指数は予想を下回りました。
<米CPIの推移(%)>
出典:米労働省
物価は落ち着きつつあるものの、依然としてFRBが目標とする2%を上回っており、早期に追加利下げを迫るほどの水準ではないとの見方に変わりはありませんでした。
14日に発表された11月の米小売売上高は前月比0.6%増の7,326億ドルと、市場予想の0.4%増を上回り、引き続き個人消費の底堅さが示される結果となりました。
28日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、4会合ぶりに利下げを見送り、政策金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利を3.5~3.75%に据え置きました。市場予想通りであったことから米株式市場への影響は限定的なものとなりました。
<FF金利の推移(%)>
出典:セントルイス連銀
FOMC参加者の多くが政策金利は経済を熱しも冷ましもしない中立金利の推計範囲に入ったとみています。パウエル議長は経済が着実に拡大し、雇用は安定しつつあるとの見方を示しており、利下げを急ぐ市場環境ではないことがうかがえます。
市場でも早期の利下げ機運は高まっていない状況です。米金利先物の値動きから金融政策を予想する「CME FedWatchツール」によると、3月のFOMCでは政策金利を維持する確率が86%超に上ります(1月28日時点)。
30日にはトランプ米大統領がFRB次期議長にウォーシュ元FRB理事を指名しました。ウォーシュ氏はトランプ氏と一定の距離があるため、中央銀行の独立性を巡る不透明感は幾分和らいでいます。
一方、過去にFRBの資産圧縮を主張した「タカ派」と見られることから、同日には米株が一時、大幅に値下がりしたほか、金(ゴールド)先物は歴史的な値下がり率を記録しました。
トランプ氏はFRBに対して執拗に利下げを求めています。ウォーシュ氏は追加利下げに前向きな姿勢を示していると報じられる一方、FOMC内には早期の追加利下げに反対するメンバーも複数いることから、同氏はFOMCでむずかしいかじ取りを迫られそうです。
今後明らかになるウォーシュ氏の金融政策の方針によって相場のボラティリティが高まる可能性があるでしょう。
ウォーシュ氏はFRBのミラン理事の後任に入った後、5月のパウエル議長の任期終了に伴い議長職に就くと見られています。
2026年2月のS&P500(エスアンドピー500)の見通し
2月の米株市場は堅調な米経済や企業業績の拡大見通しを下支えとして底堅い展開が続くと予想します。
トランプ政権の減税・歳出法(OBBB法)による景気下支えに加え、企業はAIを活用して生産性の向上を図ることで収益性の改善が期待されています。地政学リスクが高止まり、米株は最高値圏で推移していることから、利益確定売りに押される場面もあるかもしれませんが、堅調なファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)のもとで米株は底堅く推移するでしょう。
アトランタ連銀が経済指標から自動計算する「国内総生産(GDP)ナウ」によると、2025年10~12月期には4.2%と、1.8%程度とされる潜在成長率を大きく上回る強い伸びが見込まれています(1月29日時点)。
1月30日時点において、S&P 500構成企業の33%が決算を発表するなか、そのうち75%の企業の1株あたり利益(EPS※1)がポジティブサプライズとなりました(出所:ファクトセット)。過去10年間の平均である76%をわずかながら下回っています。
※1 EPSとは、「Earnings Per Share」の略で、企業の「収益力」と「成長力」を評価する際に使われる指標の1つで、1株あたりの利益がどれだけあるのかを示すものです。基本的に数値が高いほど企業の収益力は高いとみることができます。
ただし、2025年第4四半期の利益成長率は11.9%と、2025年末時点の8.3%から上方修正されており、5四半期連続で2桁成長が見込まれている状況です。
セクター別ではIT、資本財、通信サービスが利益成長をけん引する一方、ヘルスケア、エネルギー、一般消費財は減益が見込まれています。
さらに、2026年第2四半期は14.9%、第3四半期は15.2%、第4四半期は15.4%、2026年通年で見ても14.3%と高い伸びが続く見通しです。
S&P500構成銘柄の予想PER(12か月フォワード、※2)は22.2倍と、過去5年の平均である20.0倍、過去10年平均の18.8倍と比較して割高感があります。
※2 PERは「Price Earnings Ratio」の略で、日本語では「株価収益率」と呼ばれます。株価が1株あたりの利益の何倍にあたるかを示す指標です。PERが高いほど、投資家はその企業の将来性や成長性を高く評価していると考えられます。
<S&P500のPERの推移(12か月フォワード)>
出典:ファクトセット
2桁の利益成長が続くことで、バリュエーションの割高感は徐々に薄れてくるでしょう。
投資戦略、注目イベント
LPLファイナンシャルによると、1950年以降、S&P500は1月に値上がりした年の年間平均値上がり率が17%、値上がりする確率は89%に達します。対照的に、1月に値下がりした場合の年間リターンは▲1.7%、値上がりする確率は50%に留まりました。
<S&P500の1月のパフォーマンスに基づく年間リターン(1950~2024年)>
出典:LPLファイナンシャル
S&P500は2026年1月に1.4%高と値上がりしており、経験則としては良好なスタートを切ったと言え、今後も株高を期待できそうです。
巨大ハイテク株7社「マグニフィセント7(M7)」が過去数年にわたり米株式市場をけん引してきましたが、2026年に入ってS&P500をアンダーパフォームする銘柄が散見されます。
収益面でみると、M7の利益成長率はS&P493と比べて相対的に高い成長を実現してきました。2025年第4四半期もM7は前年同期比20.3%の成長が見込まれているのに対し、S&P493は4.1%にとどまっています。
今後の見通しについては様相が異なり、2026年通年(カレンダーイヤー)でみると、M7が22.8%であるのに対してS&P493は12.1%と、依然として差はあるものの、M7以外の銘柄の利益が大幅に改善すると見込まれています。
<M7とS&P493の利益成長率見通し(左図:2025年第4四半期、右図:2026年通年)>
出典:ファクトセット
強固なビジネスモデルと強力なキャッシュ創出力を誇るM7が「AI革命」を今後もリードしていくと想定されます。ただし、巨額の投資に伴って利益が圧迫される懸念もくすぶるなか、利益見通しに改善がみられるM7以外の銘柄もポートフォリオに組み入れることで、リスクをより分散できるでしょう。
S&P500業種別で2026年通年の利益成長率見通しをみると、IT(+29.3%)や素材(+22.3%)、資本財(+15.6%)がS&P500を上回ると見込まれています。
主要経済指標の発表予定
| 日付 | 経済指標 | 補足 |
|---|---|---|
| 2月3日 | ISM製造業景況感指数 | 製造業の景況感 |
| 2月4日 | ADP雇用統計 | 民間雇用者数の動向 |
| 2月4日 | ISM非製造業景況感指数 | サービス業の景況感 |
| 2月6日 | 雇用統計 | 雇用・賃金動向の総合指標 |
| 2月7日 | ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値) | 消費者心理 |
| 2月11日 | 米消費者物価指数(CPI) | インフレの注目指標 |
| 2月17日 | 小売売上高 | 個人消費の動向 |
| 2月20日 | 実質GDP(改定値) | 経済成長率 |
| 2月20日 | PCEデフレーター | FRBが重視する物価指標 |
まとめ
2026年1月の米国株式市場は、S&P500が最高値を更新するなど堅調なスタートとなりました。1月高となった年は年間を通じて株高となる確率が高いという経験則もあり、市場心理は総じて前向きです。
これまで相場をけん引してきたマグニフィセント7(M7)は依然として高い利益成長が見込まれる一方、2026年はM7以外の銘柄でも利益改善が進むと予想されており、物色対象の広がりが期待されます。ITや素材、資本財などを中心に、セクター間での選別投資が重要となるでしょう。
金融政策面ではFRBの早期利下げ期待は限定的であり、当面は雇用統計や物価指標を見極める局面が続きます。堅調なファンダメンタルズを背景に中長期的な株高が見込まれるなか、短期的な調整局面では好業績銘柄を拾う姿勢が有効と考えられます。










