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大納会・大発会で日経平均株価は上がる?下がる?ご祝儀相場はあるのか傾向を解説(2023年~2024年版)

にしけい担当:にしけい

最終更新日:2023年12月26日

年末年始が近づくと、「大納会(だいのうかい)」や「大発会(だいはっかい)」という言葉とともに、「ご祝儀相場で株式市場が上昇するのでは?」という意見を耳にします。年末年始は特別感があるので、このような意見があるのも納得ですよね。

このコラムでは、そもそも大納会や大発会とは何かを説明したあと、大納会と大発会の株価動向について過去10年分の株価データを使って解説します。また、大納会がある12月と大発会がある1月は、株価が上昇しやすい月と言われています。こちらも検証しているので、最後までぜひお読みください。

大納会・大発会とは?今年はいつ?【2023年~2024年版】

大納会(だいのうかい)は「その年の最終取引日」を、大発会(だいはっかい)は「その年の取引開始日」を指します。大納会は原則12月30日、大発会は原則1月4日となっていますが、土日と被った場合、大納会は前営業日に、大発会は翌営業日に変更となります。

大納会と大発会の意味
意味 日程
大納会
(だいのうかい)
その年の最終取引日 原則12月30日
※土日と重なった場合は前営業日
大発会
(だいはっかい)
その年の取引開始日 原則1月4日
※土日と重なった場合は翌営業日

2023年の大納会は、12月30日が土曜日であるため、前営業日の「12月29日(金)」に開催されます。また、2024年の大発会は原則どおり「1月4日(木)」に開催予定です。

大納会と大発会の日には、証券取引所でイベントが開かれます。もともと、このイベントを大納会や大発会と呼んでいました。現在ではその意味が転じて、最終取引日や取引開始日を指すようになった背景があります。

また、大納会のイベントでは、毎年著名人が招かれています。2023年の大納会には、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で日本代表を優勝に導いた栗山英樹前監督が参加予定です。式典の様子は、日本取引所グループのYouTube公式チャンネルでライブ配信されます。ライブ配信については、こちらのページをご覧ください。

株のご祝儀相場はある?年末年始の日経平均株価の傾向

ご祝儀相場とは、株式市場の用語で、良いニュースがあった時に買い注文が入り、相場全体が上昇することを指します。具体例は下の4つです。

ご祝儀相場をもたらすニュースの例

  1. 相場の節目
  2. 新政権の誕生
  3. 上場区分の変更
  4. 新規上場

このうち、①と②は株式市場全体に、③と④は特定の個別銘柄に影響を及ぼすと考えられます。①相場の節目については、この記事でテーマにしている大納会や大発会が該当します。イメージ的にも、年末年始は株価が上がりそうな印象がありますよね。実際どうなのか、過去10年分の日経平均株価の動きを見ていきましょう。

大納会の傾向

まずは、大納会の傾向を日経平均株価を使って見ていきます。下の表をご覧ください。大納会前営業日の終値、大納会当日の終値、大納会当日の前日比騰落・騰落率をまとめています。

大納会の日経平均株価(前日比騰落)
前営業日終値 大納会終値 前日比騰落 前日比騰落率
2022年 26,094円 26,095円 +1円 +0.003%
2021年 28,907円 28,792円 ▲115円 ▲0.40%
2020年 27,568円 27,444円 ▲124円 ▲0.45%
2019年 23,838円 23,657円 ▲181円 ▲0.76%
2018年 20,078円 20,015円 ▲63円 ▲0.31%
2017年 22,784円 22,765円 ▲19円 ▲0.08%
2016年 19,145円 19,114円 ▲31円 ▲0.16%
2015年 18,982円 19,034円 +51円 +0.27%
2014年 17,730円 17,451円 ▲279円 ▲1.57%
2013年 16,179円 16,291円 +112円 +0.69%

過去10年分の前日比騰落を見ると、株価が上昇したのは3回しかありません。2016年から2021年までは毎年下落となり、2022年は久しぶりに上昇したものの、上昇幅はたったの1円です。

このデータを見る限り、「大納会だからといって株価が上がるわけではない」と言えます。値上がり目的で投資をしないほうが良いでしょう。

掉尾の一振はある?12月全体の傾向

一方で、12月は株価が上がりやすい月と言われており、「掉尾の一振(とうびのいっしん)」という相場格言もあります。掉尾とは“物事の終わり”を表す言葉で、一振は文字どおり“ひと振りすること”を指します。1年の終わりにかけて株価が上昇する意味です。

ここで、先ほどと同じように、日経平均株価の11月末の終値と12月末の終値、12月の前月比騰落・騰落率を確認してみましょう。

12月の日経平均株価(前月比騰落)
前月末終値 12月末終値 前月比騰落 前月比騰落率
2022年 27,969円 26,095円 ▲1,874円 ▲6.70%
2021年 27,822円 28,792円 +970円 +3.49%
2020年 26,434円 27,444円 +1,011円 +3.82%
2019年 23,294円 23,657円 +363円 +1.56%
2018年 22,351円 20,015円 ▲2,336円 ▲10.45%
2017年 22,725円 22,765円 +40円 +0.18%
2016年 18,308円 19,114円 +806円 +4.40%
2015年 19,747円 19,034円 ▲714円 ▲3.61%
2014年 17,460円 17,451円 ▲9円 ▲0.05%
2013年 15,662円 16,291円 +629円 +4.02%

過去10年分の12月の前月比騰落を見ると、株価が上昇した年は6回ありました。12月に株価が上昇する確率は60%なので、決して高い確率とは言えません。「12月は上がりやすい傾向にある」くらいに考えておくのが良さそうです。

また、2018年と2022年に前月比で大きく株価が下落しています。2018年は米中関係の悪化と景気後退懸念が、2022年は日銀による長期金利変動幅引き上げが下落要因となりました。マクロ経済の要因を受ける点にも注意が必要です。

大発会の傾向

続いて、大発会の傾向を日経平均株価を使って見ていきましょう。大納会と同じように、大発会前営業日(大納会)の終値、大発会当日の終値、大発会当日の前日比騰落・騰落率をまとめています。

大発会の日経平均株価(前日比騰落)
前営業日終値 大発会終値 前日比騰落 前日比騰落率
2023年 26,095円 25,717円 ▲378円 ▲1.45%
2022年 28,792円 29,302円 +510円 +1.77%
2021年 27,444円 27,258円 ▲186円 ▲0.68%
2020年 23,657円 23,205円 ▲452円 ▲1.91%
2019年 20,015円 19,562円 ▲453円 ▲2.26%
2018年 22,765円 23,506円 +741円 +3.26%
2017年 19,114円 19,594円 +480円 +2.51%
2016年 19,034円 18,451円 ▲583円 ▲3.06%
2015年 17,451円 17,409円 ▲42円 ▲0.24%
2014年 16,291円 15,909円 ▲382円 ▲2.35%

過去10年分の前日比騰落によると、株価が上昇したのは3回しかなく、大納会と同じ結果となりました。「大発会だからといって株価が上がるわけではない」と言えます。

1月効果はある?1月全体の傾向

1月には「1月効果」と呼ばれる相場のアノマリー※1が存在します。新興市場の銘柄を中心に、1月の収益率が他の月よりも高くなるという内容です。しかし、グロース250指数の前月比騰落を見ると、過去10年の中で5回しか上昇しておらず、現時点では1月効果はあまり期待できないでしょう。

※1 アノマリーとは、市場の規則性のうち、理論的に説明できないものの、経験的に観測できるものを指します。

1月のグロース250指数(前月比騰落)
前月末終値 1月末終値 前月比騰落 前月比騰落率
2023年 730 776 +46 +6.23%
2022年 988 758 ▲230 ▲23.26%
2021年 1,196 1,209 +12 +1.04%
2020年 897 823 ▲74円 ▲8.26%
2019年 812 898 +86 +10.54%
2018年 1,232 1,313 +81 +6.61%
2017年 943 994 +51 +5.43%
2016年 887 831 ▲56 ▲6.29%
2015年 910 885 ▲25 ▲2.72%
2014年 959 956 ▲3 ▲0.30%

以上から、大納会や大発会はご祝儀相場にはなりづらいと言えます。また、12月には「掉尾の一振」という相場格言が、1月には「1月効果」というアノマリーがあります。12月は相場格言どおり株価が上がりやすい傾向にありますが、1月効果はあまり期待できなさそうです。

まとめ

次回の大納会は2023年12月29日(金)、大発会は2024年1月4日(木)です。大納会や大発会だからといって、ご祝儀相場で株式市場が上昇するわけではないので注意しましょう。

また、相場格言にあるとおり、12月の1か月は「掉尾の一振」で株価が上がりやすい傾向にあります。短期的な値上がりを期待するのなら、12月が良いかもしれませんね。もちろん、株式投資の本質は、中長期的に腰を据えて会社の経営に関わることにあります。このことを忘れないようにしましょう。

年末年始は株式市場が開いていないので、時間に余裕がある方が多いのではないでしょうか。投資に興味を持っているけれど、時間がなくて勉強ができていない方は、この機会に準備しておくのもおすすめです。

にしけい

この記事の執筆者

にしけい

社内の余裕資金を運用するファンドマネージャーです!当サイトで上場企業のIR取材記事やコラムを執筆しています。企業分析と経済分析が趣味で、BSテレビ東京『マネーのまなび』や日経ヴェリタス、日経マネー等への掲載歴があります。日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)、簿記2級、FP2級の資格を保有しています。

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