持株比率とは?意味をわかりやすく解説します

持株比率とは?意味をわかりやすく解説します

担当:西尾

担当・にしけい

最終更新日:2021年4月20日

持株比率(もちかぶひりつ)」とは、発行済株式総数に対して、特定の株主が持っている株式の割合です。特定の株主が、会社の経営に対してどれくらいの影響力を持っているか知りたいときなどに算出します。TOBなどで持株比率が話題になるので、聞いたことがある方が多いかもしれません。計算式は、下のとおりです。

持株比率=特定の株主が持っている株式数÷発行済株式総数

基本的に、持株比率が高くなればなるほど、会社の経営に対する影響力が大きくなります。持株比率によって得られる権利の部分で、詳しく説明しています。

持株比率によって得られる権利

<代表的な株主の権利>

持株比率 得られる権利
1%以上 株主総会の議案を提案する権利(株主提案権)※1
3%以上 ・株主総会の招集を求める権利(総会招集請求権)※1
・会計帳簿(総勘定元帳や現金出納帳など)を見たり、そのコピーを求めたりする権利(閲覧謄写請求権)
33.4%以上
(発行済株式総数の3分の1以上)
・株主総会の特別決議※2を、単独で否決できる権利
50%以上
(発行済株式総数の2分の1以上)
・株主総会の普通決議※3を、単独で否決できる権利
66.7%以上
(発行済株式総数の3分の2以上)
・株主総会の特別決議を、単独で可決できる権利

※1 6か月以上継続保有が必要

※2 特別決議とは、会社にとって特に重要なことを決める方法です。例えば、資本金を減らしたり、事業を譲渡したりするときに、特別決議がおこなわれます。

※3 普通決議とは、会社の基本事項(特別決議ほど重要ではないこと)を決める方法です。例えば、自社株買いや役員の選任などが、普通決議で決められます。

持株比率が高くなればなるほど、会社に対する影響力が大きくなります。発行済株式総数の50%以上持っていれば、取締役の選任や解任など、会社の意思決定のほとんどを決められます。さらに、66.7%以上持っていれば、自社株買いや事業譲渡なども決められるようになるのです。

持株比率は、会社の経営権をめぐる争いで、たびたび話題になります。過去にどんな争いがあったのか、かんたんに紹介します。

持株比率をめぐる争い

持株比率をめぐる争いの例として、ライブドアと大塚家具(8186)の2つを紹介します。

ライブドアの例

ライブドアは、フジテレビの経営権を手に入れるため、フジテレビの親会社にあたるニッポン放送株式を買い集めていました。2005年3月31日に提出された大量保有報告書によると、ライブドアはニッポン放送株式の50%以上を持つ筆頭株主になっており、ニッポン放送とその子会社であるフジテレビに対して、大きな影響力を持っていました。

しかしその後、ニッポン放送はフジテレビの株式を貸株※4として手放します。これは、クラウンジュエルと呼ばれる買収防衛策で、ライブドアがニッポン放送株式を買うメリットをなくす目的があったと考えられます。ライブドアは、ニッポン放送を介してフジテレビの経営に口を出せなくなり、最終的にフジテレビとライブドアは和解しました。持株比率を高めて経営に影響を及ぼそうとする、典型的な事例となりました。

※4 貸株(かしかぶ)とは、持っている株式を証券会社に貸し出す行為です。証券会社に貸し出した株は、証券会社が機関投資家などに貸し出します。もともと株を持っていた人は、証券会社から「貸株金利」がもらえる仕組みです。証券会社に貸し出すのが一般的ですが、ニッポン放送はソフトバンク系のベンチャーキャピタルに貸株をおこないました。

大塚家具の例

大塚家具(8186)では、父と娘の経営権をめぐって委任状争奪戦プロキシーファイト)がおこなわれました。委任状争奪戦をかんたんに説明すると、株主に対して父と娘のそれぞれが「私を支持してほしい」とお願いし、株主の票を争う戦いです。

大塚家具で委任状争奪戦が発生したのは、父と娘の経営方針が違ったためです。父はこれまでどおりの経営戦略を貫こうとしたのに対し、娘は事業環境の変化に合わせて新しい経営戦略を打ち出そうとしました。委任状争奪戦がはじまった時点では、両者とも20%程度の支持を集めていました。

父は自分と親族を合わせた持株比率が約23%であり、娘は米投資ファンドや資産管理会社を合わせた比率が約20%程度でした。この時点では、どちらもほぼ同じ票数でしたが、その後は娘が多くの株主から支持を集めて、最終的に父から経営権を奪いました。

このように、会社の内部でも経営権をめぐって争いが起きる場合があります。もし、父の持株比率がもっと高ければ、娘に経営権を奪われずに済んだかもしれません。持株比率によっては経営者が変わる可能性があるので、投資する際には「現社長の持株比率」を把握しておいたほうが良いでしょう。

持株比率・出資比率の違い

持株比率とよく似た言葉に、「出資比率」があります。それぞれ違いがあるので、一覧表で整理しました。

用語 意味
持株比率 発行済株式総数に対して、特定の株主が持っている株式数の割合
出資比率 資本金に対して、特定の株主の出資額の割合

このように、持株比率は発行済株式数に注目した比率ですが、出資比率は資本金に注目した比率です。基本的に、どちらも同じような意味で使われるので、そこまで意識して使い分ける必要はありません。ただし、会計処理の方法※5などによっては、持株比率と出資比率が一致しなくなるケースがあります。

※5 基本的に、出資したお金は「資本金」に組み込まれますが、その一部を「資本準備金」に組み込む場合があります。この際、資本金がもともとあるべき姿よりも少なくなるので、持株比率と出資比率が一致しなくなります。詳しくは、純資産とは?をご覧ください。

まとめ

持株比率は、発行済株式総数に対して、特定の株主が持っている株式の割合です。持株比率によって、会社の経営に対する影響力が変わります。

私たち個人投資家は、持株比率を意識した投資はあまりしないでしょう。しかし、TOBなどの際に、ファンドと会社の間で持株比率をめぐる争いがあるかもしれません。そのときに備えて、持株比率ごとにどのような影響力があるのかを知っておくのがおすすめです。

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この記事の執筆者

にしけい
「やさしい株のはじめ方」の資産運用担当です。ファイナンシャルプランナー2級、証券外務員の資格を保有しています。年間200銘柄以上を分析中。

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