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辰年の相場格言「辰巳天井」の株価傾向は?干支の相場格言を紹介(2024年版)

にしけい担当:にしけい

最終更新日:2024年1月5日

2024年は「辰年(たつどし)」です。株式市場には辰年にまつわる相場格言「辰巳天井(たつみてんじょう)」があります。辰巳天井とは、辰年や巳年に高値をつけるという意味です。

このコラムでは、2024年の株式市場がどうなるのか、過去の辰年のデータを見ながら考えていきます。また、干支にまつわる相場格言を騰落率とともに紹介しますので、こちらもぜひ参考にしてください。

干支の相場格言とは?

記事の冒頭でも紹介したように、辰年には「辰巳天井」という相場格言があります。辰年の前年にあたる卯年は株式市場が上昇しやすく、その流れを引き継いで辰年や巳年に高値をつけるという意味です。

干支にまつわる相場格言は、辰巳天井以外にも存在します。すべての干支に対して格言があるので、表形式で紹介します。また、直近1回分の日経平均株価の年間騰落率も合わせて紹介するので、ぜひ見比べてみてください。

干支にまつわる相場格言と日経平均株価の騰落率
干支 相場格言
(株価傾向)
前年終値 騰落率
終値
2012年 辰(たつ) 辰巳天井
好調
8,4553.5円 +22.94%
10,395.18円
2013年 巳(み) 10,395.18円 +56.72%
16,291.31円
2014年 午(うま) 午尻下がり
不調
16,291.31円 +7.12%
17,450.77円
2015年 未(ひつじ) 未辛抱
(横ばい)
17,450.77円 +9.07%
19,033.71円
2016年 申(さる) 申酉騒ぐ
(変動 大)
19,033.71円 +0.42%
19,114.37円
2017年 酉(とり) 19,114.37円 +19.10%
22,764.94円
2018年 戌(いぬ) 戌笑い
好調
22,764.94円 ▲12.08%
20,014.77円
2019年 亥(い) 亥固まる
(変動 小)
20,014.77円 +18.20%
23,656.62円
2020年 子(ね) 子は繁盛
好調
23,656.62円 +16.01%
27,444.17円
2021年 丑(うし) 丑つまずき
年後半に不調
27,444.17円 +4.91%
28,791.71円
2022年 寅(とら) 寅千里を走り
波乱
28,791.71円 ▲9.37%
26,094.50円
2023年 卯(う) 卯は跳ねる
好調
26,094.50円 +28.24%
33,464.17円

直近1回分のデータを見る限り、「辰巳天井」や「卯は跳ねる」、「子は繁盛」は相場格言どおりの展開となりました。「寅千里を走り」は波乱が起こりやすいことを示しており、騰落率▲9.37%である点を踏まえると、こちらも相場格言に近い状態だったと言えるでしょう。

一方で、「午尻下がり」の年は+7.12%、「戌笑い」は▲12.08%と相場格言とは逆の展開になっています。必ずしも相場格言どおりの展開になるわけではないことは、頭に入れておいたほうが良さそうです。

相場格言「辰巳天井(たつみてんじょう)」の株価傾向

続いて、辰年と巳年の年間騰落率を見ていきましょう。今回は1946年以降の辰年と巳年について、日経平均株価の騰落率を前年比で計算していきます。

辰年(たつどし)の株価傾向

辰年の株価動向を見ていきましょう。下の表は、1946年以降に6回あった辰年の日経平均株価の騰落率(前年比)をまとめたものです。6回中4回株価が大幅上昇しており、相場格言どおりに高値をつける確率が高いと言えます。

辰年の日経平均株価の年間騰落率
前年終値 終値 騰落率
1952年 166.06円 362.64円 +118.38%
1964年 1,225.10円 1,216.55円 ▲0.70%
1976年 4,358.60円 4,990.85円 +14.51%
1988年 21,564.00円 30,159.00円 +39.86%
2000年 18,934.34円 13,785.69円 ▲27.19%
2012年 8,455.35円 10,395.18円 +22.94%

日本をはじめ東洋では、辰(龍)は縁起の良い存在であり、天に向かって昇って行く姿を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。辰巳天井という相場格言は、とてもぴったりですね。

なお、1964年に株価が下落した理由は、1958年6月から1961年12月まで続いた「岩戸景気(いわとけいき)」の反動や、四大証券会社の一翼を担っていた山一證券の経営悪化が原因と考えられます。

2000年の株価下落理由は、1999年から2000年にかけて通信・IT関連企業の株価が急騰した「ドットコムバブル(ITバブル)」の崩壊が関係しているようです。

巳年(みどし)の株価傾向

続いて、巳年の株価動向を見ていきましょう。辰年と同じように、1946年以降に6回あった巳年の日経平均株価の騰落率(前年比)を表にまとめました。巳年も6回中4回株価が上昇しているのがわかりますね。相場格言どおり、高値をつける確率が高いと言えるでしょう。

巳年の日経平均株価の年間騰落率
前年終値 終値 騰落率
1953年 362.64円 377.95円 +4.22%
1965年 1,216.55円 1,417.83円 +16.55%
1977年 4,990.85円 4,865.60円 ▲2.51%
1989年 30,159.00円 38,915.87円 +29.04%
2001年 13,785.69円 10,542.62円 ▲23.52%
2013年 10,395.18円 16,291.31円 +56.72%

1977年に株価が下落した理由として、明確なものは見つかりませんでした。前年の1976年には株式市場が高値をつけているので、その反動と考えられます。2001年には20%を超える下落となっていますが、こちらは2000年と同じでドットコムバブルの崩壊が関係しているようです。

辰年の2024年の株価はどうなる?

辰年である2024年は、相場格言どおり「辰巳天井」になるかもしれません。日本だけでなく、日本に大きな影響を及ぼすアメリカでも、株式市場にプラスに働く材料が多いように感じます。具体的には、下の3つの材料が挙げられます。

株式市場にプラスに働く3つの材料
材料 株式市場への影響
①アメリカの政策金利引き下げ ・株式の割安感が強くなり、資金が流入する

・インフレが再燃し、インフレに強い資産として株式が好まれる
②アメリカ大統領選挙 現大統領のバイデン氏が出馬予定であり、選挙に勝つ目的で景気を良くする施策を講じ、株式市場が上昇する
③日本の金融緩和的な環境 ・日銀がマイナス金利を解除したとしても、アメリカをはじめ各国中央銀行が利下げに転じる可能性が高く、日銀だけが利上げするのはむずかしい

・アメリカほどの急激な利上げにはならず、株式に有利な金融緩和的な環境が続く

一方で、株式市場にマイナスの条件も存在します。アメリカの経済指標のいくつかが景気後退を示しており、普通に考えれば景気後退が意識されて株式市場は下落するでしょう。

さらに、アメリカの中央銀行(FRB)の金融引き締めが、強く現れる可能性が高まっています。FRBは金融引き締めのため、政策金利の引き上げと、市場にお金を供給するために買い取った国債の売却を進めています。この影響が2024年の春頃に強く表れる可能性があり、何かしらの危機を引き起こすかもしれません。

辰巳天井になる材料がそろっているように見えますが、同時にマイナス材料も存在していることを忘れないようにしましょう。経験則は参考になりますが、株式市場を取り巻く環境は常に変化しており、さまざまな要因が複雑に絡み合って動いています。あくまで参考程度に見ておくのがおすすめです。

まとめ

過去のデータから、辰年や巳年は株式市場が大きく上昇する可能性が高いことがわかりました。2024年は辰年にあたり、日本やアメリカの経済・政治の状況を見ると、株式市場を押し上げる材料が存在しています。相場格言どおりになるかもしれませんね。

一方で、足元では景気後退を示す経済指標が多く存在し、金融引き締めが強く効いてくる可能性もあります。マイナスの材料があることも忘れてはなりません。

相場格言は、長期にわたって蓄積された株式市場の経験則に基づいたものです。このため参考になるものも多くありますが、株式市場は常に多くの要因が複雑に絡み合って動いています。これらの格言が常に当てはまるわけではない点に注意してください。

にしけい

この記事の執筆者

にしけい

社内の余裕資金を運用するファンドマネージャーです!当サイトで上場企業のIR取材記事やコラムを執筆しています。企業分析と経済分析が趣味で、BSテレビ東京『マネーのまなび』や日経ヴェリタス、日経マネー等への掲載歴があります。日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)、簿記2級、FP2級の資格を保有しています。

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