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NTTがNTTドコモのTOBを検討!?株価はどうなる?

ゆうと担当:ゆうと

最終更新日:2023年11月30日

2020年9月29日未明、NTT(9432)が、子会社のNTTドコモ(9437)に対してTOB(株式公開買い付け)をおこなう予定であると、日経新聞が報道※1しました。買収総額は4兆円を超える見通しで、国内企業に対するTOBとして過去最大になると思われます。

今回のTOBでは、NTTがNTTドコモのすべての株式を買い取って、完全子会社化する予定です。そのため、TOBが成立した後は上場廃止になります。

※1 参考:NTT、ドコモを完全子会社化 5Gで成長戦略

今回のTOBの目的は?

今回のTOBの目的は、おもに次の2つです。

  1. 迅速な経営判断をおこない、NTTグループ各社との連携を強化するため
  2. 稼ぎ頭のNTTドコモを完全子会社化することで、利益を取り込むため

それぞれ詳しく説明していきます。

①迅速な経営判断をおこない、NTTグループ各社との連携を強化するため

NTTドコモが株式を非公開化することで、短期的な利益にとらわれずに、NTTグループ各社(NTTコミュニケーションズやNTTデータなど)と連携できるようになります。また、グループが一体感をもって、5GやIoTへの投資がおこなえるようにもなります。

②稼ぎ頭のNTTドコモを完全子会社化することで、利益を取り込むため

NTTはNTTドコモの株式66.21%持っており、収益性が高いことからも稼ぎ頭になっています。その一方で、33.79%の株式を外部の株主が持っています。そのため、NTTドコモを完全子会社化することで、外部に流出している利益を取り込むことができます。

今後の株価への影響

日経新聞の報道を受けて、寄り付き前の気配値では、制限値幅上限(ストップ高水準)の3,213円まで株価が上昇しています(2020年9月29日10時現在)。ただ、今回のTOBは、まだ正式に発表されていないため、TOB価格はわかりません。

NTTドコモ(9437)の板情報>

NTTドコモ(9437)の板情報

(出典:SBI証券

TOB価格が3,900円に決定(2020年9月29日16時追記)

9月29日の引け後にTOB価格が3,900円と発表※2されたため、株価はTOB価格にかなり近づくものと思われます。なぜなら、NTTはTOBに応募したすべての株主から株式を買い取るためです。そのため、TOBが成立するのであれば、NTTドコモの株主は、市場で株式を売却しても、TOBに応募しても、ほぼ同じ利益を手にすることができます。

※2 参考:当社親会社である日本電信電話株式会社による当社株式等に対する公開買付けに係る賛同の意見表明及び応募推奨に関するお知らせ[PDF]

NTTドコモのTOBが成立するためには、最低でも1.35%の応募が必要ですが、NTTがNTTドコモの2/3近い株式を保有しているため、わずかな応募があるだけで成立する状況です。また、今回のTOB価格は平均的なTOBのプレミアム(約30%)より高く、約40%のプレミアムが付いています。そのため、TOBに納得して応募する株主が多くなるのではないでしょうか。

NTTドコモ株を持っている人はどうすればよい?(2020年9月30日11時追記)

NTTドコモ株を持っている方は、以下の3つの対応方法があります。

  1. 市場で売却する
  2. 指定された証券会社でTOBに申し込む
  3. そのまま保有して強制買取を待つ

この中でおすすめの方法は、「①市場で売却する」です。理由は、すぐに現金化でき、②や③と比べて手間がかからないからです。売却時に手数料が発生してしまいますが、すぐに現金化できてTOB価格に近い株価で売れる①の方が、投資家にとっては効率がよいと言えます。

他の選択肢について解説します。②の方法を採用した場合、指定された証券会社(今回は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券)以外でNTTドコモ株を持っている方は指定された証券会社に新しく口座を作りNTTドコモ株を移管しなければなりません。手続きの手間がかかるので、三菱UFJモルガン・スタンレー証券に口座を持っている方以外は、②を選ぶメリットは小さいでしょう。

③の方法を採用した場合、市場で売る手間や指定された証券会社に口座を作るなどの手間が発生しません。強制買取になれば、放置しておくだけで現金と交換してもらえるからです。しかし、強制買取によって利益が出た場合、確定申告する必要が出てきます。TOBに関しては手間を省けますが、確定申告という新たな手間が生まれるので、③を選ぶメリットはあまりないと言えます。

以上をまとめると、NTTドコモ株を持っている方は、市場で売却してしまうのがおすすめの方法となります。ちなみに、2020年9月30日の11時現在、NTTドコモ株は3,883円となっています。TOB価格である3,900円を下回ってはいますが、買収価格に近い価格で売却できるので、検討してみてはいかがでしょうか。

NTTドコモ(9437)の板情報>

NTTドコモ(9437)の株価情報

(出典:SBI証券

ネオモバ・フロッギーでNTTドコモ株を持っている場合(2020年9月30日12時追記)

SBIネオモバイル証券フロッギー、PayPay証券でNTTドコモ株を単元未満で保有している場合、以下の手続きによって現金化できます。証券会社ごとに説明するので、該当する部分を読んでください。

なお、こちらで紹介している対応法は、サポートセンターに問い合わせて確認したものです。より詳しく知りたい方は、各証券会社のサポートセンターにお問い合わせください。

SBIネオモバイル証券

SBIネオモバイル証券でNTTドコモ株を持っている場合は、今回のTOBの対象となります。そのため、以下の手続きが取れます。

  1. TOBに応募する
  2. 買取請求する

「①TOBに応募する」場合は、指定された証券会社(今回は三菱UFJモルガン・スタンレー証券)に口座を開設しNTTドコモ株を移管する必要があります

なお、SBIネオモバイル証券から株式を移管(出庫)する場合は、手数料無料でできます。また、三菱UFJモルガン・スタンレー証券も、移管(入庫)は手数料無料です。口座開設の手間は生まれますが、市場で売れないのでTOBに応募するのはよいかもしれませんね。

「②買取請求する」場合は、買取請求手続きをすれば現金化できます。ただし、売却できる価格は処理をする日の終値となるため、TOB価格の3,900円以下となります。①よりも現金化まで早くなりますが、取次手数料として550円取られるので、NTTドコモ株を買ったときの株価次第では、取次手数料によって含み益が消える可能性があります。

まとめると、含み益が550円以上出ている方は①と②のお好きな方を、含み益が550円以下の方は①を選ぶのがよいかもしれません。

フロッギー

フロッギーでNTTドコモ株を持っている場合は、今回のTOBの対象外です。そのため、以下の手続きを取る必要があります。

  1. フロッギー内で売却する
  2. 強制買取まで待つ

「①フロッギー内で売却する」場合は、すぐに現金化できます。TOB価格である3,900円以下で売ることになりますが、他に買いたい株がある方や、現金が欲しい方にぴったりです。ただし、フロッギー内で売却できるのは、上場廃止までの期間です。上場廃止後は、フロッギー内で売却できないので、注意しましょう。

「②強制買取まで待つ」場合は、現金化までに時間がかかります。TOBが成立して、スクイーズアウトがおこなわれるときまで待つため、現金化できるのは数か月先となりそうです。

まとめると、フロッギーの場合は①を選ぶのがおすすめです。

PayPay証券

PayPay証券でNTTドコモ株を持っている場合は、今回のTOBの対象外です。そのため、以下の手続きを取る必要があります。

  1. PayPay証券内で売却する
  2. 強制買取まで待つ

「①PayPay証券内で売却する」場合は、すぐに現金化できるのでおすすめです。PayPay証券によると、2020年10月5日~11月17日までの間、公開買付価格と同じ3,900円で買い取ってもらえます

「②強制買取まで待つ」場合も、おそらく公開買付価格と同じ値段で買い取ってもらえますが、現金化までに時間がかかります。どちらで売っても同じ3,900円で買い取ってもらえるのであれば、「①PayPay証券内で売却する」を選んだほうがよいでしょう。

詳しい説明は、PayPay証券の「【重要】NTTドコモ(9437)の取扱いに関するお知らせ」をご覧ください。

NTTによるNTTドコモのTOBが成立 (2020年11月17日追記)

NTTによるNTTドコモの公開買い付け期間が終わり、TOBの成立下限を上回る株式の応募があったためTOBが成立しました。今後、NTTドコモは上場廃止になる予定です。TOBが成立したことで、NTTはNTTドコモの利益を取り込むことができ、NTTドコモもグループ各社と連携して競争力を高めることができます。

NTTはNTTドコモを完全子会社化するために、4兆2,544億円もの巨額を投じました。そのため、携帯電話料金の引き下げという逆風が吹くなかで、今後も収益力を高めることができるかが、カギとなります。

まとめ

国内企業のTOBとしては、過去最大となったNTTによるNTTドコモのTOBが成立しました。TOBプレミアムが平均より高かったこともあり、多くの株主からの応募があったため、スムーズに成立したと言えます。

NTTは、NTTドコモの買収資金として最大4兆3,000億円の借入を抱えることになるため、両社が一体となってさらに収益力を高めていく必要があります。菅政権は、携帯電話料金の引き下げを狙っているため、今後、両社がどれだけの相乗効果を得られるかが問われます。

また、NTTがNTTドコモを完全子会社化することで、親子上場の解消にもなります。親子上場は、少数株主との利害相反の問題が起こる可能性があります。大企業が率先して親子上場を解消することで、さらなる親子上場の解消が進むことに期待していきたいです。

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ゆうと

この記事の執筆者

ゆうと 

投資歴8年の資産バリュー投資家です。いつも四季報を持ち歩き、1年の半分は株のことを考えている株オタク。若手投資家同士の交流を目的とした「名古屋若手投資家交流会」を主催しています。

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