日本製鉄が東京製綱のTOBを発表!株価はどうなる?

日本製鉄が東京製綱のTOBを発表!株価はどうなる?

担当・ゆうと

最終更新日:2021年3月9日

(2021年3月9日追記)
日本製鉄による東京製綱のTOBが成立しました。詳しくはこちら解説しています。

2021年1月21日、日本製鉄(5401)東京製綱(5981)に対して1株1,500円でTOB(株式公開買い付け)をおこなうと発表しました※1。買収総額は約24億円になる予定です。日本製鉄は東京製綱の株式19.91%の所有を目指しているため、TOB成立後も東京製綱は上場を維持します。

※1 参考:東京製綱株式会社株式(証券コード:5981)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ[PDF]

今回のTOBの目的は?

日本製鉄がTOBをおこなう目的は、次の2つです。

  • ①現在の経営体制の刷新
  • ②東京製綱の企業価値の回復・向上

もともと、日本製鉄は東京製綱の主要株主であり、原材料の供給先という関係性です。一方で、東京製綱が推し進める製品開発事業は慢性的に赤字を垂れ流し、財務を悪化させていました。そのため、日本製鉄は東京製綱の経営を改善すべく、対話を重ねてきました。また、東京製綱の株主総会では現在の経営陣の選任議案に反対票を投じるなどの圧力もかけていました。

しかし、東京製綱の経営陣は対応策を取ることがなかったため、日本製鉄はしびれを切らして、自ら経営の立て直しをおこなうためにTOBを開始しました。このような経緯でTOBが開始されたため、日本製鉄は東京製綱と事前の協議も賛同する意見表明も受けていません

東京製綱の経営陣にとっては日本製鉄のTOBが成立すると、自分たちが追い出される恐れがあるため、敵対的TOBに発展する可能性があります。現在のところ、東京製綱は日本製鉄によるTOBの内容を精査したうえで、改めて意見を発表するとしています※2

※2 参考:日本製鉄株式会社による当社株式に対する公開買付けに関するお知らせ[PDF]

現在、日本製鉄は東京製綱株式を9.91%※3持っています。そのため保有割合を19.91%にするには、市場から10%の株式を集める必要があります。しかしながら、今回のTOBは市場平均を上回る39.93%※4のプレミアムを付けており、取得する予定の株数もそこまで多くありません。そのため、東京製綱がTOBに抵抗しない限り、TOBが成立する可能性が高いと言えます。

※3 参考:日本製鉄が提出した変更報告書 東京製綱[PDF]
※4 2021年1月21日の終値1,072円で計算

東京製綱の株価への影響は?

今回のTOBでは、発行済株式総数の10%という上限が設けられているため、TOB価格(1,500円)付近で株価が推移すると考えられます。発表を受けて、寄り付き前の気配値では、制限値幅上限(ストップ高水準)の1,372円まで株価が上昇しています(2021年1月22日10時現在)。

<東京製綱(5981)の板情報>

東京製綱(5981)の板情報

(出典:SBI証券

このように、TOBが発表されると、TOB価格に向かって株価が上がっていくのです。また、今回の東京製綱に対するTOBが敵対的TOBに発展した場合、株価がTOB価格を上回る可能性もあります。東京製綱がホワイトナイトMBOなどの対抗策を講じると、市場が先回りするからです。

東京製綱の株主への影響は?

東京製綱の株主にとっては、TOBに応募すればTOB価格までの値上がり益が手に入ります。また、TOBに応募しなくても、市場で売れば値上がり益が手に入る状態となっています。株主には次の3つの選択肢があります。

  • ①TOBに応募し、当選したら株式を売る
  • ②TOBには応募せず、市場で株式を売る
  • ③TOBには応募せず、株式を継続保有する

どの選択肢を取るかは個人の好みですが、①と②を取れば値上がり益をほぼ確実に手に入れられます。公開買付け期間は、2021年3月8日から30営業日までです。

また、TOBの申し込みは、大和証券からできます。今回は100%すべての株式をTOBするわけではないので、申し込んだとしても当選するかはわかりません。当選した場合、2021年3月15日に株の代金が証券口座に入金されます。

③を選んだ場合、TOBによる値上がり益を確定できません。しかし、今回のTOBが敵対的TOBに発展して、東京製綱がホワイトナイトやMBOなどの対抗手段を取ったり、日本製鉄がTOB価格を引き上げたりしたときは、もっと多くの値上がり益が狙えるかもしれません。

日本製鉄による東京製綱のTOBが成立(2021年3月9日追記)

日本製鉄による東京製綱の公開買い付け期間が終わり、TOBの成立下限を上回る応募があったためTOBが成立しました※5。TOBが成立したことにより、日本製鉄は東京製綱の保有比率が19.91%に上昇することとなりました。東京製綱は引き続き東証一部に上場を維持する予定です。

※5 参考:東京製綱株式会社株式(証券コード:5981)に対する 公開買付けの結果に関するお知らせ [PDF]

まとめ

日本製鉄による東京製綱のTOBについて解説しました。今回のTOBは日本製鉄が東京製綱の経営を改善するために、保有比率を引き上げて関与を強めようとしておこなわれました。

東京製綱は日本製鉄のTOBに反対を表明したため、敵対的TOBに発展していました。しかし、東京製綱は日本製鉄のTOBに対して対抗策を打ち出すことがなかったため、TOBが成立しました。

今後は日本製鉄が東京製綱の経営陣を刷新して、経営の改善を進めていくことになります。

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この記事の執筆者

ゆうと
投資歴8年の資産バリュー投資家です。いつも四季報を持ち歩き、1年の半分は株のことを考えている株オタク。若手投資家同士の交流を目的とした「名古屋若手投資家交流会」を主催しています。

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