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【核融合発電関連株・銘柄】ベンチャーや上場企業も参入!今後の見通しなどを解説

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2024年8月8日

核融合発電関連株は、「核融合発電の開発に取り組む会社や、必要な材料を提供する会社の株」です。核融合発電は、超高温下で燃料の原子核が核融合する際に発生する熱エネルギーを利用した発電方法です。

核融合発電は、太陽がエネルギーを生み出すのと同じ仕組みを使っているので「人工太陽」や「小さな太陽」と呼ばれています。核融合発電はCO2や高レベルの放射性廃棄物を出さないため、環境にやさしい次世代エネルギーとして注目を集めています。

この記事では、核融合発電関連株の今後の見通しや関連銘柄10社をピックアップしてご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

核融合発電関連株は国策銘柄

核融合発電関連株は国策銘柄です。政府が核融合発電を含む新型炉の開発や実用化を支援しているからです。

日本政府は、国内の研究開発を後押しするとともに、フランスで建設中の核融合実験炉(ITER)※1の開発に協力しています。

※1 核融合実験炉(ITER)はフランスで進行中の次世代型新型炉の開発プロジェクトで、日本、欧米、ロシア、インド、中国、韓国が共同で取り組んでいます。

核融合発電関連株・銘柄一覧

核融合発電のメリットには、「エネルギー効率が良くCO2を出さない」、「トラブルが発生しても暴走しない」、「燃料が入手しやすい」など、さまざま挙げられます。しかし、核融合発電は高度な技術を必要とするため、まだ開発段階にあります。

この記事では、原子力業界をリードする日立製作所(6501)三菱重工業(7011)などの大手から大学発ベンチャーのマイクロ波化学(9227)まで、関連銘柄を幅広く取りあげています。

核融合発電の開発に取り組む会社

原子力発電の設計・開発に多数の実績を持ち、各種の新型炉の開発に取り組む日立製作所(6501)三菱重工業(7011)を取りあげました。

核融合発電に必要な材料を提供する会社

核融合で使われるレーザー用のセラミックスを作る神島化学工業(4026)、大出力レーザ器を開発する浜松ホトニクス(6965)、核融合実験に使える排気用の真空ポンプを作るアルバック(6728)、核融合炉の部材を作る東洋炭素(5310)住友電気工業(5802)を取り上げました。

その他に、核融合炉向けに超電導の電線を提供するフジクラ(5803)富士電機(6504)、大阪大学発ベンチャーのマイクロ波化学(9227)をピックアップしています。

銘柄名
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事業内容
神島化学工業(4026) 窯業系建材メーカー。化成品やセラミックス製品も手がける。核融合発電システムの主要部分であるレーザー発振媒体に、同社の『レーザー用YAGセラミックス』の採用が検討されている。
東洋炭素(5310) 黒鉛(炭素の一種)メーカー大手。核融合炉の炉壁材や、次世代の新型炉のひとつである高温ガス炉の炉心材などを供給している。フランスの商用高温ガス炉に減速材(核分裂時の中性子の動きを遅くする)として黒鉛部材を提供。
住友電気工業(5802) 電線メーカー大手。グループ会社のアライドマテリアルが核融合実験炉(ITER)向けの高耐熱タングステン製のブロックを開発・受注した。同ブロックは、核融合時に発生する不純物を除去するダイバータと呼ばれる部品を構成する。
フジクラ(5803) 電線メーカー。米国で核融合炉の実証に取り組むコモンウェルス・フュージョン・システムズ社にレアアース※2系高温超電導線材を納入した。同線材の生産能力を拡大する方針。
日立製作所(6501) 大手総合電機メーカー。さまざまな核融合炉実験機器の設計開発のサポートをおこなう。核融合実験炉(ITER)を超高温に熱する中性子粒子入射(NBI)加熱装置を作っている。
富士電機(6504) 大手総合電機メーカー。核融合実験炉(ITER)向けの超電導送電システム(電流リードなど)の開発に取り組む。同システムは核融合科学研究機構の実験装置にも採用されている。
アルバック(6728) 電気機器メーカー。真空技術を使った機器やサービスが事業の柱。薄型パネルディスプレイや半導体、電子部品などの製造装置を提供。核融合実験装置向けの真空排気系の納入実績を持つ。
浜松ホトニクス(6965) 電気機器メーカー。光技術を使った機器やサービスが主力事業。医療や半導体向けに強み。燃料にレーザーを照射して核融合反応を起こす大出力レーザ機器の開発に取り組んでいる。
三菱重工業(7011) 重工メーカー最大手。核融合実験炉(ITER)向けの超電導コイルなどに納入実績。2024年7月には、ダイバータの一部となる外側垂直ターゲットと呼ばれる高耐熱部品がITER機構の認証試験に合格し量産化の準備が整った。
マイクロ波化学(9227) マイクロ波を使った製品やサービスを展開。ベリリウム※3の製造実証におけるマイクロ波加熱反応器の設計・製作を核融合ベンチャーMiRESSO社から受注した。

※2 レアアースはレアメタル(希少金属)の一種で、17種類ある希土類の総称です。
※3 ベリリウムは核融合炉の燃料生産に使われる中性子増倍材(中性子を増やす材料)です。

核融合発電関連株・銘柄の見通し

核融合発電関連株の見通しを「良い・普通・悪い」で表すと、「良い」と言えます。まだ実験段階にあるとはいえ、ようやく核融合発電の実現の可能性が見えてきたからです。

核融合発電の市場規模は2023年の約3,131億ドルから2028年には約4,356億ドル※4に成長する見込みです。実用化の時期は2035年までと予想されています

※4 参考:Nuclear Fusion Market Definition And Segments(The Business Research Company)

では、核融合発電関連株のプラス材料、マイナス材料について少し詳しく見ていきましょう。

プラス材料

核融合発電関連株のプラス材料について説明します。

1.燃料が入手しやすい

核融合発電の燃料は海水にも含まれている重水素とトリチウムです。

2.老朽化する日本の原子力発電所

稼働から40年以上経った原子力発電所が増えてきており、建て替えが検討されています。開発が進めば核融合発電の建設が候補のひとつとなるでしょう。

3.電力需要が増える

AI(人工知能)や電気自動車の普及が進むと必要な電力は増えます。日本でもAI利用拡大に伴うデータデータセンターの新設で電力の消費量が増える見通しです。電力需要が増えるなら核融合発電の建設には追い風です。

4.世界の脱炭素化

CO2の排出を減らすために、世界各国は原子力発電を積極的に取り入れる方向に舵を切りました。今後、旧型の発電設備は減っていく見込みであるため、核融合発電にも期待がかかります。

マイナス材料

核融合発電関連株のマイナス材料について説明します。

1.開発のむずかしさ

核融合反応で発生する高速中性子に耐えられる部材が見つからず、ほかの新型炉よりも開発が遅れています。

2.実験に大きなコストがかかる

核融合反応を発生させる超高温・真空といった特別な環境を作るためには巨額の費用が必要です。核融合実験炉(ITER)の建設費は2.5兆円前後※5と言われています。しかし、実用化されれば、ほかの発電所並みの建設費用に落ち着く見込みです。

※5 参考:核融合炉は手の届く所にある―必要な投資額は、発電コストは?(キャノングローバル戦略研究所)

3.悪化する国際情勢

ITERは当初、2025年の稼働を目指していましたが、2033年以降※6に先送りとなりました。台湾やウクライナ戦争、ガザへの侵攻をめぐり欧米と中国、ロシアの関係が悪化しており、協力体制の維持が不安視されています。

※6 参考:ITER:大幅遅延ではなく、名より実を取る計画変更(国際環境経済研究所)

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まとめ

核融合発電は未来のエネルギー技術であってまだ実用化されていません。

しかし、開発や実験にはすでに大きなお金が動いており、株式市場でもしばしば注目されています。ただし、日立製作所(6501)などの大きな会社にとっては核融合発電は数ある事業のひとつなので、株式の売買にあたっては、その会社の主力事業に目を配ることを忘れないようにしましょう。

核融合関連株を検討する際は、世界各国の政策や電力需要の見通し、核融合実験炉(ITER)などの開発プロジェクトの進み具合、核融合関連各社の技術開発の動きをチェックすることをおすすめします。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会検定会員補を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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