- ホーム
- テーマ株・関連株まとめ
- 【量子コンピュータ関連株・銘柄まとめ】次世代計算機の本命!今後の見通しなどを解説(2024年版)
【量子コンピュータ関連株・銘柄まとめ】次世代計算機の本命!今後の見通しなどを解説(2024年版)
量子コンピューター関連株は、「量子力学の仕組みを使ったコンピュータを開発する会社や、関連サービスにかかわる会社の銘柄」です。
この記事では、量子コンピュータ関連株の人気銘柄10社や今後の見通しなどを解説しています。
量子コンピュータとは
量子コンピュータは従来のスーパーコンピュータの1億倍※1の性能を持ちうると言われており、創薬、素材、製造、金融、通信、運輸、エネルギーなどのさまざまな分野での応用が期待されています。
※1 参考:量子コンピュータ(伊藤忠テクノソリューションズ)
例えば、日本が得意とする素材分野では、新素材の実験シュミュレーションを通じて開発期間を大幅に短縮できます。AI(人工知能)と組み合わせれば、機械学習のスピードが飛躍的に高まります。
量子コンピュータの実用化はすでにはじまっていますが、エラーが多く発生するため、スーパーコンピュータを併せて使うなどの工夫が必要です。量子コンピュータの利用は2030年代から広がりはじめ、2040年以降はエラーを解決して一段と普及が進むと見込まれています。
このような量子コンピュータが持つ課題を背景に、関連株のなかでもスーパーコンピュータやAI(人工知能)の開発に実績がある富士通(6702)や日立製作所(6501)、日本電気(6701)などの大手が期待を集めています。
量子コンピュータ関連株・銘柄一覧
量子コンピュータ関連株には、先端技術を扱う銘柄が多く、TOPIX(東証株価指数)※2などの平均を上回る成長が期待されています。
※2 TOPIX(東証株価指数)は、東京証券取引所に上場している約2,100銘柄の動きを表す指標です。
将来性の高い事業なので、株価が割高で配当利回りが低くなりがちです(0~1%台)。量子コンピュータ関連株は配当よりも値上がり益をねらうべき銘柄と言えるでしょう。
量子コンピュータを開発する会社
量子コンピュータは計算方法の違いによって大きく二つに分けられます。
富士通(6702)やHPCシステムズ(6597)が開発している「ゲート型」は汎用性が高く世界の主流となっていますが、エラーの多さが課題です。
もう一つは日本電気(6701)や日立製作所(6501)などが実装を進める「量子アニーリング型」で、モノ・サービスの最適な組み合わせの算出に向いています。
このほか大手通信会社の日本電信電話(9432)とソフトバンク(9434)を取りあげました。
関連サービスにかかわる会社の銘柄
量子コンピュータの利用を支援するフィックスターズ(3687)、量子ドットレーザーを開発するQDレーザ(6613)、関連ソフトウェアメーカーを傘下に持つテラスカイ(3915)をピックアップ。インキメーカーのDIC(4631)は量子コンピュータを素材開発に活用しています。
銘柄名 (クリックタップで最新株価) |
事業内容 |
---|---|
フィックスターズ(3687) | パソコンやスマホに搭載される、「マルチコアプロセッサー」と呼ばれる装置の性能をアップさせるソフトを開発している会社。量子コンピュータを手掛けるカナダの「Dウェーブ・システムズ」社と提携し、導入支援をおこなう。 |
テラスカイ(3915) | クラウドサービス会社。子会社のQuemixが量子コンピュータ向けのアルゴリズム/ソフトウェアを開発している。旭化成(3407)と素材開発に向けた実験・検証シミュレーションに取り組む。 |
DIC(4631) | 化学メーカー。印刷インキや有機顔料(石油から作る着色剤)で世界トップシェア。海外売上高比率は約7割。量子コンピュータを使った化学シミュレーションによる材料開発の体制作りを進めている。 |
日立製作所(6501) | 総合電機・重電メーカー。アニーリング型量子コンピュータを開発し各種の実証実験をおこなっている。2020年にはゲート型の一種であるシリコン量子コンピュータの研究開発を本格開始した。 |
HPCシステムズ(6597) | 研究機関や大学向けの高性能計算機の開発・製造・販売をおこなう。量子コンピュータのソフトウェアメーカーQunaSys(東京都文京区)と化学計算プログラムの事業展開について資本業務提携した。 |
QDレーザ(6613) | 富士通研究所からスピンオフしたベンチャー。通信用の電流無調整の量子ドットレーザー(半導体レーザーの一種)の開発・量産化に世界で初めて成功した。同レーザー機器はコンピュータの処理速度を大幅に引き上げることができる。 |
日本電気(6701) | 電話線や通信回線といった通信インフラ設備で国内トップシェア。量子コンピュータのコアである「量子ビット」の製造に世界で初めて成功した。東北大学とはアニーリング型を、産総研とはゲート型を含めた共同研究を進めている。 |
富士通(6702) | ICT(情報通信技術)サービスやサーバーで国内トップ。同社製のゲート型量子コンピュータを産総研から初受注した。スーパーコンピュータ「富岳」の後継機の開発にも2025年に着手する予定。 |
日本電信電話(9432) | 通信会社国内首位。量子コンピュータを理研、富士通(6702)と共同で整備し、インターネットを通じた外部からの『量子計算クラウドサービス』の利用を2023年に開始した。 |
ソフトバンク(9434) | 通信会社大手。量子コンピュータの事業化プロジェクトに理化学研究所と共同で取り組み、スーパーコンピュータとの組み合わせで計算能力の最大化を目指す。量子コンピュータで解読が不可能な次世代暗号技術の開発も手がける。 |
量子コンピュータ関連株・銘柄の見通し
量子コンピュータ関連株の見通しを「良い・普通・悪い」で表すと、「良い」と言えます。
量子コンピュータはまだ開発中ですが、普及が始まる2030年代以降は、関連銘柄の多くが扱うAIやクラウドなどの関連サービスとの相乗効果が期待できるでしょう。量子コンピュータはAIと同じようにデータセンターなどの遠隔地に設置され、インターネット経由の利用が想定されるからです。
それでは各業界の量子コンピュータ活用の事例を見ていきましょう。
① 創薬
創薬研究にかかる年月(9~17年※3)が大幅に短くなります。
※3 参考:くすりの情報Q&A(製薬協)
量子コンピュータを創薬に利用するために、製薬会社やがんセンターなどで作るコンソーシアムが2024年中にも発足する方向です。
ペプチドドリーム(4587)と共同で創薬に取り組む富士通(6702)にも期待がかかります。
② 素材
量子コンピュータを使った新素材の開発を、DIC(4631)はカナダのグットケミストリー社と、富士フィルムHD(4901)は富士通(6702)と共同で進めています。このほか、三菱ケミカルグループ(4188)や三井化学(4183)なども同様の取り組みをおこなっています。
③ 製造
ローム(6963)は量子技術を使って、半導体の大規模工場の製造工程を最適化する世界初の実証実験に成功しました。
④ 金融
金融取引やリスク管理などへの応用が期待されています。NTTデータグループ(9613)は、株や債券などの金融資産の最適な組み合わせを量子コンピュータではじき出す実験をしています。
⑤ 通信
日本電信電話(9432)は、セキュリティが高い量子インターネットの研究を進めています。量子コンピュータの利用が広がると、現在使われている暗号化のシステムが高速で解読されて、インターネット経由でデータが盗まれる恐れがあるからです。
⑥ 運輸
トヨタ自動車(7203)や日立製作所(6501)のグループ会社などが、量子コンピュータを使った物流の最低化に取り組んでいます。
⑦ エネルギー
中部電力(9502)は設備保守計画の最適化を量子アニーリング型で検証しました。
テーマ株・関連株の投資に役立つ、おすすめ証券会社
まとめ
量子コンピュータは2030年代に普及が始まり、2040年以降はさまざまな業界で活用が広がっていくと予想されています。
当面は、大手総合電機メーカーや通信会社などの開発をリードする各社の動きに要注目です。量子コンピュータの本格的な普及が進む段階になれば、データセンターやクラウドサービス関連銘柄にもプラスとなるでしょう。
量子コンピュータ関連株の売買を検討する際は、研究開発の進み具合や各業界の取り組みを長い目で見ていくことをおすすめします。