1. ホーム
  2. 取材記事のまとめ
  3. 名古屋の長期投資家さんに取材しました(2)

名古屋の長期投資家さんに取材しました(2)

割安だと思う企業の基準

ゆうと : なごちょうさんが思う「割安」な企業って、どのような基準ですか?

なごちょうさん : 私が「割安」だと思っているのは、以下の3つの場合です。

割安だと思う企業の3つの基準

  1. 資産バリュー
  2. 収益バリュー
  3. 成長バリュー(グロース)

「①資産バリュー」で買う銘柄は、金融資産や有価証券を時価総額※10以上持っている、営業黒字で実質無借金の企業です。今この瞬間に解散しても、残った資産※11を株主に分配すれば、現状の株価よりも高くなると思われる企業を買うようにしています。

※10 時価総額とは、「その時点においての株価から見た銘柄の価値(総額)を表す指標」のことです。
※11 資産とは、「会社が集めた資金(資本と負債)をどういう形で保有しているかを表すもので、現金・株式・不動産など」のことです。

「②収益バリュー」で買う銘柄は、その事業を売却すると今の時価総額以上で売れると思われる会社です。

「③成長バリュー(グロース)」は、あまり買っていません。その理由は、私自身が自信を持って成長できるか見極められる企業が多くないからです。また、成長バリューはその企業が成長するという前提の株価なので、期待されているほど成長出来ない時は暴落する事が多いというのもあります。

私が買っている成長バリューは、安定成長していて財務状態がよく、すでに配当も出していて今後も毎期増配しそうな会社です。 成長が止まった時の暴落が怖いので、その会社の事業に余程自信がないと投資しません。

ゆうと : 投資のチャンスを逃さないためにも、普段から「資産バリュー」、「収益バリュー」、「成長バリュー」、それぞれで「割安」だと思う水準を考えておくことは大切ですね!

投資を検討する際に注意すべきこと

ゆうと : 投資を検討するときに、特に注意していることは何ですか?

なごちょうさん : マトモな会社かどうかを注意しています。具体的には、以下の2つのどれかに当てはまる場合、気をつけて会社を見ていくようにしています。

  1. 財務キャッシュフロー※12がずっと黒字
  2. 利益剰余金※13赤字

※12 財務キャッシュフローとは、「企業が資金をどのように調達し、返済しているかを表す指標」のことです。
※13 利益剰余金とは、「会社が稼いだ利益の累積額を表す指標」のことです。

「①財務キャッシュフローがずっと黒字」ということは、借金をし続けているか、株を発行し続けているということになります。普通、業績が好調なら配当金を出したり、借金を返済したりするからです。ただし、一般企業とはことなった貸借対照表※14損益計算書※15になっている金融機関と、借入をして不動産の仕入れ、販売などをしている不動産会社はのぞきます。

※14 貸借対照表とは、「会社が資金をどうやって集めて、どのような形で保有をしているかを表す資料」のことです。
※15 損益計算書とは、「期間ごとの経営成績(もうけ具合)を表す資料」のことです。

「②利益剰余金が赤字」ということは、創業以来の利益を累積すると赤字になるということです。ただし、創業間もない会社などは、利益剰余金が赤字というだけで、ダメという判断はしません。どちらも四季報でパッと確認できるので、自分の持ち株でこのような会社がないかチェックしてみてください。

ゆうと : 紹介していただいた2つの基準に当てはまる場合、財務状態に問題があると言えます。バリュー投資をしたいなら避けたほうがいいでしょうね。

投資の判断は、自分でできるようにならないとダメ

ゆうと : 最後に、これから投資をはじめる方へのアドバイスをお願いします。

なごちょうさん : 投資の判断は、自分でできるようにならないとダメですね。それができないなら個別株への投資はやめたほうがいいと思います。過去に儲かっていた有名な投資家さんでも利益が出せなくなることもありますし、ひどいマイナスになるときもあります。極端な話をすると、その投資家さんがツイッターやブログで発言しなくなったら、投資できなくなりますからね。

それから、買いたい会社があるときは、過去半年分くらいの適時開示情報※16のチェックや、いつ決算が発表される予定かを知っていたほうがいいですよ。また、決算書を読めるようになったほうがいいと思います。決算短信には、過去2期分の貸借対照表と損益計算書が載っているので、それをパッと見て会社の状態を理解できるようになることが大切です。

私自身がやっていることは、常識的なことばかりです。むずかしいことよりもシンプルなことを続けていくことが大事だと思っています。

※16 適時開示情報とは、「株価に重要な影響をあたえる、会社の業務や業績などに関する情報」のことです。

ゆうと : 私は、「自分で考えて投資の判断をすること」が、もっともおもしろいと思っています。投資で成功するためには、企業の適時開示情報や決算内容を把握することは必須になります。なごちょうさんが、長く投資を続けてこられたのは、そういったことも含めて投資が好きだからだと思いました。

…なごちょうさんへの取材、いかがでしたでしょうか?最後に、ここまで記事に目を通してくださったみなさんと、この取材を承諾していただいたなごちょうさんに感謝の意を述べて、終わりとさせていただきます。ありがとうございました!

なごちょうさんのTwitterアカウントはこちら

ゆうと

この記事の執筆者

ゆうと 

投資歴8年の資産バリュー投資家です。いつも四季報を持ち歩き、1年の半分は株のことを考えている株オタク。若手投資家同士の交流を目的とした「名古屋若手投資家交流会」を主催しています。

ページ上部へ移動