既存店売上高が100%を割ると、どうなりますか?
投資先の会社(外食)は出店意欲が強いので、決算は大幅な増収増益でした。一方、既存店売上高に目を向けると、100%をずっと割っていますが、何か問題があるのでしょうか?
以前にいただいたご質問、「外食・小売りの株に投資をするコツはありますか?」でお答えしたように、投資初心者の人には、外食や小売りのような月次データが毎月発表される会社への投資をおすすめしています。なぜなら、毎月お店の情報が発表されるので、決算で数字が大きく狂うことが少ないからです。その分、よいサプライズもあまりないですが、安定した資産運用には適していると考えています。
さて、既存店売上高100%を割ることのデメリットですが、そもそも既存店売上高とは、何を指すのでしょうか?オープンしたての店舗は、基本的にはお客さんでいっぱいになりますが、その特殊なプレミアム要因を取り除いた数字(オープン後13か月以上経過)が既存店売上高です。つまり、ごまかしの効かない、その会社の真の実力が現れるのです。
100%を割れると何が何でも売りなのか?と言われると、私はそうは思いません。「良くない100%割れ」と「やむを得ない100%割れ」が潜んでいます。「良くない100%割れ」とは、会社に依存している要因である可能性があり要注意です。一方、「やむを得ない100%割れ」は、外部要因の影響なので、一時的な不調であることが多く、今後復活する可能性が十分にあります。その後の動向をチェックしてください。
100%を割る要因
よくない100%割れの例
- 商品やサービスが飽きられている
- 競合他社が似たようなお店を出している
- 商圏が重なり、お客さんを取り合っている
- 品質が落ちている
- 連続して何か月も100%を割り続けている
やむを得ない100%割れの例
- 原材料の供給ができない(狂牛病や鳥インフルエンザなど)
- 天候不順や災害が起きる
- 土日祝日などの曜日の並びが悪い
「よくない100%割れ」の状態で出店を続けた場合、新規出店の分で決算での見栄え上の数字は悪くないのですが、1店舗あたりの収益は確実に落ちており、日に日に悪い状態になっていきます。言い換えるなら、出血多量の患者さん(100%割れ状態)に輸血(出店)を続けている状態で、まずは止血(100%回復)が最優先に必要なのです。つまり、積極出店で既存店売上高の不調を補うことはできないのです。
某外食株の株価推移
ちなみに、この企業は、既存店売上高が53か月連続で100%割れを記録しており、株価も2,500円(2013年)まで上昇しましたが、現在では500円を切るまで大きく下落をしています。
★既存店が100%割れを続けて記録した場合は、何かおかしいかもしれないとまずは疑ってみてください。会社のIR担当に不調の原因を電話で聞いてみるのもよいです。明らかな問題が発覚したときには、売却も検討しましょう。
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投資歴18年目の株初心者アドバイザーです。2005年からの投資成績は+2億円を突破しました!2009年に発売した著書『はじめての株1年生 新・儲かるしくみ損する理由がわかる本』は、累計59,000部のロングセラー。その他、数多くの金融系メディアにも寄稿しています。