売上高の成長率以上に営業利益が伸びるのはなぜ?
売上高が10%ずつ成長しているのに、営業利益が20%も成長している企業があります。なぜ営業利益だけ急激に伸びているのでしょうか?
売上高の成長に対して営業利益が急激に伸びている場合は、次のパターンが考えられます。
- 売上高が成長してもコストが増えにくいビジネスである
- 意図的にコストを削減している
- 管理会計の仕組みによって営業利益が増えている
それぞれ紹介します。
①売上高が成長してもコストが増えにくいビジネスである
ひとことで表すと、固定費(人件費や地代家賃等)が多いビジネスです。ホテル業や鉄道業などがこれに当たります。例を出すと、学生寮やビジネスホテルなどを運営する、共立メンテナンス(9616)がわかりやすいです。マネックス証券の銘柄スカウターを使って、売上高と営業利益の成長率を確認しましょう。
<共立メンテナンス(9616)の通期業績推移>
(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)
毎年ではありませんが、売上高の成長率よりも、営業利益の成長率が高い年がありますね。ホテル業は利用者が増えても、ホテルの地代家賃や正社員の人件費などは変わりません。つまり、売上高が増えても費用は増えないので、その分営業利益が増えていくわけです。
②意図的にコストを削減している
経営効率化を実践している企業がこれに当たります。少しでも安く材料を仕入れて原価率を下げたり、事務などの人件費を削減して販管費率を下げたりすると、営業利益が増えます。
③管理会計※によって営業利益が増えている
製造業で見られる傾向です。在庫を多めに作っておくことで、原価率が下がって営業利益が増えます。これは製造業の原価計算のトリックを使ったものです。
※管理会計とは、企業の経営状態を把握し、今後の戦略を決めるのに使う会計です。
また、特殊事例として日本マクドナルドホールディングス(2702)が挙げられます。同社は直営店をフランチャイズオーナーに売却しており、これによって売上高が減っているのに営業利益が増えています。
★業績の裏側を読み解くのはむずかしいので、事例を頭の中に入れておき、どの事例に当てはまるかを考えるとよいでしょう。
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投資歴18年目の株初心者アドバイザーです。2005年からの投資成績は+2億円を突破しました!2009年に発売した著書『はじめての株1年生 新・儲かるしくみ損する理由がわかる本』は、累計59,000部のロングセラー。その他、数多くの金融系メディアにも寄稿しています。