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優先株とは?普通株との違いや、銘柄・買い方をわかりやすく紹介します

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2023年11月30日

株を調べているときに、「優先株」と付いた銘柄を見たことはありますか?「何が優先されているのだろう?」、「普通株とは何が違うのだろう?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。このコラムでは、優先株とは何か普通株との違いはあるかどうやって買うのかなど、優先株に関する疑問にお答えしていきます。

優先株とは?

優先株とは、普段私たちが株式市場で取引している「普通株」などの株式と比べて、「優先的な地位」を持っている株式です。どのような優先的な地位を持っているのか、普通株と比べてみました。

優先株と普通株の違い

優先株 普通株
配当 普通株より優先的に分配
普通株より金額が多い
優先株の後に分配
会社清算時の
残余財産分配
普通株より優先的に分配 優先株の後に分配
議決権 なし あり

優先株と普通株の違いは、配当の金額議決権の有無です。優先株のほうが配当をたくさんもらえますが、その代わりに議決権が付いていません。株主総会には出席できないので注意が必要です。

したがって、「株主総会に参加するよりも、配当をたくさんもらえるほうがうれしい」という方にとっては、普通株よりも優先株を買った方が良いでしょう。

優先株を発行するメリット

投資家にとって、優先株はメリットがあることを紹介しました。次に気になるのは、「優先株は企業にとってどのようなメリットがあるのか」ではないでしょうか。

企業が優先株を発行するメリットとして、「経営に口出しされずに資金調達できる」ことが挙げられます。

株式会社の資金調達手段のひとつに、株式の発行があります。この際に普通株を発行すると、その分だけ議決権を持った株主が増えます。議決権を持った株主は、株主総会で経営方針に対して意思表示できます。もし、会社の経営方針に不満を持っていれば、その方針に反対できるわけです。

本来であれば、このような仕組みは健全な会社経営に必要です。しかし、迅速な意思決定が求められるタイミングでは、足かせになってしまうかもしれません。以上の状況を避けるため、優先株を発行する場合があります。

優先株と優先出資証券の違い

優先株に似た「優先出資証券」と呼ばれるものがあります。名前は違いますが、仕組みは基本的に優先株と同じです。日本では、信金中央金庫(8421)が優先出資証券を発行しており、東京証券取引所で取引できます。

信金中央金庫の優先出資証券について詳しく知りたい方は、優先出資入門(信金中央金庫)をご覧ください。

日本の株式市場に上場する優先株

日本の株式市場に上場する優先株は、伊藤園第1種優先株式(25935)1銘柄のみです。

銘柄名(銘柄コード) 単元株 株価 最低購入金額
伊藤園第1種優先株式(25935) 100株 1,896円 18万9,600円

(2022年5月10日現在)

また、伊藤園は第1種優先株式以外だけでなく、普通株も上場しています。優先株と普通株の株価を比較すると、下の表のようになります。

伊藤園の優先株と普通株の株価比較
銘柄名(銘柄コード) 単元株 株価 最低購入金額
伊藤園第1種優先株式(25935) 100株 1,896円 18万9,600円
伊藤園(2593) 100株 5,470円 54万7,000円

(2022年5月10日現在)

同じ伊藤園の株式なのに、優先株と普通株の株価には1株あたり約3,500円、100株では約35万円もの差があります。ここで、伊藤園の優先株と普通株について、配当や株主優待、議決権などを比べてみましょう。

伊藤園の優先株と普通株の比較
銘柄名(銘柄コード) 議決権 配当 残余財産分配 株主優待
伊藤園第1種優先株式(25935) なし 普通株の配当額×125%
未払い分は累積
普通株と同等 あり
伊藤園(2593) あり 配当の累積なし - あり

(2022年5月現在)

優先株と普通株の大きな違いは、議決権の有無配当の違いです。このうち、株価の違いに影響しているのは、議決権の有無と考えられます。優先株の方が配当を多くもらえるので、人気になって株価が上がりそうです。しかし、実際には配当の多さよりも「議決権が付いていない」ことに対するマイナスの影響が大きく、株価がディスカウントされているようです。

見方を変えれば、「配当や株主優待だけもらえれば良い」方は、わざわざ株価が高く最低購入金額が54万円も必要な普通株を買う必要はなく、約19万円で変える優先株で十分でしょう。伊藤園の優先株について詳しく知りたい方は、優先株式について(伊藤園公式ホームページ)をご覧ください。

優先株の買い方

優先株は、普通株を買うときと同じ手順で買えます。SBI証券を使って、伊藤園第1種優先株式(25935)を買うまでの流れを紹介します。

  1. まず、SBI証券のホームページからログインをしてください。画面右上に『ユーザーネーム』と『パスワード』を入力し、『ログイン』をクリックしてください。

    ログイン画面

  2. 画面の上に「株価検索」があります。こちらに「伊藤園第1種優先株式」、または銘柄コード「25935」と入力し、「株価検索」ボタンをクリックしましょう。伊藤園は優先株と普通株の両方が上場しているので、間違えて普通株の「伊藤園(2593)」を検索しないように気をつけてください。

    「伊藤園第1種優先株式」、または「25935」と入力

  3. 銘柄の個別ページが出てきます。優先株を買う際は、画面中央にある「現物買」をクリックしてください。買い注文の出し方は、普通株と同じです。

    ログイン画面

まとめ

優先株は、普通株より配当が多くもらえたり、会社清算時に優先して財産を分けてもらえたりする株式です。その代わり、議決権が付いていないため、株主総会に出席して会社の意思決定に賛成・反対を表明することはできません。その分だけ株価が安くなっているので、「議決権はいらないから、配当が欲しい」という方におすすめの株式です。

なお、日本では伊藤園第1種優先株式(25935)のみが上場しています。株主優待も用意されており、お茶やジュースなどの自社製品がもらえます。優待目的で投資するのも良いかもしれません。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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