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12月FOMCの結果は金利据え置き!2024年に3回の利下げを示唆

にしけい担当:にしけい

最終更新日:2023年12月14日

お知らせ
(2023年12月14日追記)日本時間12月14日4:00ごろに、12月FOMCの結果が発表されました。政策金利の誘導目標は5.25~5.50%で、3会合連続の金利据え置きとなりました。今回のFOMCでは2024年に3回の利下げが示されたことで、NYダウは上昇しました。

日本時間2023年12月14日(木)午前4:00に、2023年12月のFOMC※1(以下、12月FOMC)の結果が発表される予定です。このコラムでは、12月FOMCの見通しと注目ポイントについて、株初心者向けにわかりやすく説明します。

※1 FOMCとは、「Federal Open Market Committee」の略です。日本語では「連邦公開市場委員会」と言います。

12月FOMCの見通し

12月FOMCでは、政策金利を据え置くと予想されています。予想どおりに金利の据え置きが決定されれば、3会合連続となります。

もう少し詳しく説明しましょう。2023年12月現在、アメリカの中央銀行※2であるFRBは、政策金利の誘導目標を「5.25~5.50%」に設定しています。ここで、市場参加者が予想する“12月FOMCで決定される政策金利の誘導目標”を表す、下のグラフを見てみましょう。市場参加者の99.0%が「5.25~5.50%」である、つまり据え置きであると予想しているのがわかりますね。

※2 中央銀行とは、国の金融機構の中核になる銀行です。“銀行の銀行”と呼ばれ、私たちが普段使っている銀行に資金を貸す役割を負っています。

12月FOMCの見通し

出典:FedWatch Tool | CME Group

ちなみに、政策金利は別名「FF(エフエフ)金利」と呼ばれます。これは私たちが普段利用する銀行(市中銀行)が、銀行どうしでお金を貸し借りする際に適用される金利です。私たち一般市民にとっての「銀行預金金利」と同じようなものになります。

“銀行がお金を貸し借りする”イメージは、持ちにくいかもしれません。実は、市中銀行は中央銀行に「準備金」と呼ばれるお金を預ける必要があり、その不足分を銀行間のお金の貸し借りでまかなっているのです。

政策金利は、上げたり下げたりすることで景気を調整できます。例えば、モノを買ったり投資したりする人や企業が増えると、企業の売上高が増え、従業員の給料も増え、消費や投資に回るお金の量が増えていくため、景気がどんどん良くなります。しかし、このサイクルを放置すると景気が過熱状態になり、物価を急激に押し上げ、労働力や資源が不足し、金余りによるバブルまで引き起こします。最終的には金融機関の破綻などを招き、経済が崩壊してしまうのです。

このような事態を避けるのが、中央銀行のお仕事です。中央銀行は政策金利を引き上げ(利上げ)、お金を借りるコストが高くします。消費や投資をするために以前よりも高いコストを支払わなければならないため、お金を借りる人が減り、消費や投資に回るお金の量も少なくなります。こうすることで、景気は落ち着いていくのです。

一方、誰も消費や投資をしておらず、景気が悪化している場合を考えましょう。中央銀行は政策金利を引き下げ(利下げ)、お金を借りるコストを以前よりも安くします。すると、借金をして消費や投資に回す人が増えるため、世の中に出回るお金の量が増えます。こうして、景気がだんだんと回復していくのです。

12月FOMCの注目ポイント

12月FOMCの注目ポイントは、下記の2つに関係する情報が出るかどうかです。

12月FOMCの注目ポイント

  1. 利下げ開始時期
  2. 利下げペース

「利下げ」に注目が集まっている理由は、インフレ率の低下や労働市場の需給緩和を受けて、FRBの高官たちが利下げを示唆する発言をしているからです。

実際、FRBが政策決定の際に重視すると言われている「PCEデフレータ※3」は、インフレ率目標の2%からは距離があるものの、低下してきています。利下げに注目が集まるのも納得です。

※3 PCE(ピーシーイー)デフレータとは、アメリカ商務省が月末に発表している個人消費の物価動向を表す指標です。PCEは「Personal Consumption Expenditure(個人消費支出)」の略で、物価変動の影響を取り除いたものとなります。

<PCEデフレータの推移>

PCEデフレータの推移

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター

市場では2024年に5回程度の利下げを織り込んでいます。下の表は、FedWatchで開示されている市場参加者の金利見通しです。水色でハイライトされている部分を見ていくと、2024年3月FOMCから利下げがスタートし、6月FOMC、7月FOMC、9月FOMC、12月FOMCでの利下げを予想しています。

市場参加者の金利見通し

出典:FedWatch Tool | CME Group

しかし、FRBが出したシナリオでは利下げ回数は1回となっており、市場とFRBの見方には差があります。

指さしにしけい

12月FOMCで金融引き締め的な見解が示されたり、四半期の経済見通しが前回から変わらなかったりすると、株式市場は下落するかもしれませんね。

市場参加者は、インフレ率の低下と経済のソフトランディングを織り込んでいるようです。足元では中東で戦争が起きており、何かあれば原油をはじめとする資源価格が高騰するかもしれません。世界的に推進されている脱炭素化の取り組みがインフレの火種になっており、市場やFRBが想定するスムーズなインフレ率の低下を阻む要因が存在する点に、注意が必要です。

12月FOMCの結果は3会合連続の金利据え置き

2023年12月14日午前4:00ごろ、12月FOMCの結果が発表されました。政策金利の誘導目標は5.25~5.50%で、市場の予想どおり3会合連続の金利据え置きとなりました。

今回のFOMCでは、市場が過度に2024年中の利下げを織り込んでいたので、その反応を牽制するために金融引き締め的な“タカ派”の内容になるとも予想されていました。しかし、蓋を開けてみると2024年に3回の利下げを見込む“ハト派(金融緩和的)”の内容となっていたのです。利下げ期待から、NYダウは上昇しました。

<NYダウの推移(1分足)>

NYダウの推移(1分足)

(出典:SBI証券

まとめ

12月FOMCは、市場の予想どおり3会合連続の金利据え置きとなりました。また、2024年には3回の利下げを見込んでおり、「いつ利下げするか」に注目が集まっています。次回のFOMCは1月30日~31日です。利下げタイミングに関する発言があるかに注目したいですね。

また、利下げが進んでいくと、インフレを加速させる可能性があります。足元ではCPIPPIが落ち着きを見せていますが、再び上昇した場合は、中央銀行の政策に変更があるかもしれないので要注意です。

にしけい

この記事の執筆者

にしけい 

社内の余裕資金を運用するファンドマネージャーです!当サイトで上場企業のIR取材記事やコラムを執筆しています。企業分析と経済分析が趣味で、BSテレビ東京『マネーのまなび』や日経ヴェリタス、日経マネー等への掲載歴があります。日本証券アナリスト協会検定会員補(CCMA)、簿記2級、FP2級の資格を保有しています。

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