PPI(生産者物価指数)とはどんな経済指標?上がると株価はどうなる?わかりやすく解説

担当:やさしい株のはじめ方編集部

担当・やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2023年1月19日

(2023年1月19日追記)2022年12月のPPIが発表されました!コアPPIは前月比+0.1%と市場予想の+0.2%を下回り、インフレ鈍化が示されました。これによって、株式市場ではFRBの利上げ緩和期待が高まりました。PPIの数値と株式市場の反応について、2022年12月のPPIの結果発表でまとめています。

PPI生産者物価指数)とは、アメリカ労働省が発表する生産者が出荷した製品や原材料などの販売価格の変動を表す経済指標です。CPI(消費者物価指数)と同じように、物価が上がっているのか下がっているのかを調べる指標として使われています。

2022年現在、世界中で物価が上昇する「インフレ(インフレーション)」が発生しており、各国の中央銀行がインフレを抑えるために金利を引き上げています。金利を引き上げると株価にはマイナスなので、世界中の投資家が金利引き上げの原因となる物価の動きに注目している状況です。

物価の上昇を表す指標として「CPI(消費者物価指数)」が有名ですが、これに先行して物価の動きを表す「PPI(生産者物価指数)」の注目度も高くなっています。今後の物価を予想するための材料となるので、指標の意味や株価への影響を理解しておきたいものです。

このコラムでは、PPIの意味やCPIとの違い、株価への影響などを、株初心者向けにわかりやすく解説します。ぜひ最後まで読んでくださいね。

PPI(生産者物価指数)とは?わかりやすく解説

PPIとは「Producer Price Index」の頭文字を取ったもので、日本語では「生産者物価指数」や「卸売物価指数」と呼ばれる経済指標です。アメリカ労働省が測定・算出する物価指数が最も有名で、生産者が出荷した製品や原材料などの販売価格が、どれくらい上がったのか下がったのかを表します。もう少しわかりやすく説明すると、この経済指標から景気の良し悪しが読み取れるのです。

PPIの教科書的な見方は、下の表のようになります。

PPIの動き 判断
上昇 製品や原材料の供給に対して需要が多く、
景気が過熱している
下落 製品や原材料の供給に対して需要が少なく、
景気が悪化している

なお、イギリスやドイツなどでも「PPI」が発表されていますが、日本にはPPIがありません。PPIに相当する指標として「企業物価指数」があるので、日本のPPIを調べたいときはそちらをチェックすることになります。企業物価指数については、このページの後半で詳しく説明します。

PPIが注目される理由

PPIが注目されているのは、PPIの変動が株式市場に影響するためです。下のチャートは、PPIの過去10年間の推移を表しています。

PPIは過去10年間で最高水準

(出典:マネックス証券経済指標カレンダー

直近は下落傾向にあるものの、依然としてPPIは過去10年間での最高水準になっています。「PPI(生産者物価指数)の株価への影響」で詳しく紹介しますが、PPIが上昇した場合は中央銀行が金利を引き上げるため、株式市場が下がりやすくなります。

一方、PPIが低下した場合は中央銀行が金利を引き下げるため、株式市場が上がりやすくなります。このため、PPIに注目が集まっているのです。

PPIの総合指数・コア指数の違い

アメリカのPPIには、総合指数とコア指数のほか、原材料や中間財、最終財といった製造段階別の数値、品目別や産業別などさまざまな数値が公表されています。その中でも注目度が高いのは、総合指数とコア指数の2つです。どのような違いがあるのか表にまとめました。

指数名 概要
総合指数 アメリカの生産者が出荷した製品や原材料などの販売価格の動向を測定・算出した物価指数
コア指数 総合指数から食品やエネルギー価格を除外した指数

総合指数とコア指数の違いは、季節要因の変動が大きい食品やエネルギー価格が含まれるかどうかです。食品やエネルギーが含まれる総合指数は季節要因で動きやすいので、PPIはコア指数をメインに見ていけば良いでしょう。

PPIのメリットとデメリット

続いて、PPIのメリットとデメリットを紹介します。まずはメリットから見ていきましょう。

<PPIのメリット>

  • CPI(消費者物価指数)の先行指標となる
  • 総合指数やコア指数以外にも、製造段階別や品目別、産業別に指数が公表される

PPIは私たち消費者が手にする商品やサービスの製造段階の物価なので、最終的にCPIに影響します。そのため、「将来的にCPIがどう変化しそうか?」を予測するための先行指標として活用できます。

また、製造段階別や品目別、産業別など細かく指数が公表されるので、物価の上昇がどこで起きているのかを調査しやすいのが特長です。

<PPIのデメリット>

  • 食品やエネルギーなど季節変動が大きい要素がデータをゆがめる
  • すべての産業が網羅されているわけではない

メリットで紹介したように、PPIは産業別の指数も公表されるのですが、サービス産業は公表されません。すべての産業が網羅されているわけではない点がデメリットとなります。

PPIの発表日

PPIの発表日は、下の表のようになっています。

発表日 発表時間
アメリカのPPI 毎月15日前後の木・金曜日 夏時間:日本時間21:30
冬時間:日本時間22:30

ちなみに、2022年12月のPPIは「12月9日(金)22:30」に発表予定です。

2022年12月のPPIは12月9日22:30に発表予定

(出典:マネックス証券経済指標カレンダー

PPIは「だいたい月の真ん中ごろに発表される」と覚えておけば良いですが、月によってはずれることもあるので注意が必要です。発表日はマネックス証券の経済指標カレンダーを使って確認するのがおすすめです。経済指標カレンダーは、マネックス証券の口座を持っていなくてもチェックできます。

PPI(生産者物価指数)とCPI(消費者物価指数)の違い

続いて、物価を表す2つの指標「PPI(生産者物価指数)」と「CPI(消費者物価指数)」の違いを見ていきましょう。

<CPIとPPIの違い>
比較項目 PPI(生産者物価指数) CPI(消費者物価指数)
①購入者 企業 消費者
②参照価格 生産者価格(卸売価格) 末端価格(小売価格)
③景気動向指数 先行指数※1 遅行指数※2

※1 先行指数とは、景気に先行して動く指数のことです。景気の先行き予想に使えます。
※2 遅行指数とは、景気に遅れて動く指数のことです。景気の事後検証に使えます。

PPIとCPIはどちらも「インフレを表す」経済指標ですが、大きく3つの違いがあります。特に注目したいのが、PPIはCPIよりも先行して動く点です。

この理由は、「生産者がモノを作る→消費者がモノを買う」という流れが関係しています。モノを作るための原材料価格や燃料価格が上昇すると、先にPPIが上昇します。そして、PPIの上昇が販売価格に上乗せされ、CPIが上昇するという流れです。

したがって、PPIの動きを見ておくと、今後CPIがどう動くか予想できます。CPIの動きが予想できれば、FRBが金利を上げるか下げるかの見通しも立てられるため、株式市場の動きまで見えてきます。CPIとセットでPPIも毎月チェックしておくのがおすすめです。

PPI(生産者物価指数)の株価への影響

続いて、PPIの数値が株価にどのような影響を及ぼすのか順を追って解説します。PPIが上がった場合と下がった場合に分けて解説しますね。

PPIが上がるとどうなる?

PPIが上がった場合、下の流れで株式市場全体の下落につながります。

  • PPIが上昇する(景気の過熱)
  • CPIも上昇する(景気の過熱)
  • 中央銀行は景気の過熱を防ぐために金利を引き上げる
  • 金利上昇で銀行預金の魅力が高まり、人々がお金を預金に回す
  • 消費が落ち込み、企業の業績が悪くなる
  • 企業の株価が下落しやすくなる
  • 株式市場全体も下落しやすくなる

PPIが下がるとどうなる?

PPIが下がった場合、下の流れで株式市場全体の上昇につながります。

  • PPIが低下する(景気の減速)
  • CPIも低下する(景気の減速)
  • 中央銀行は景気の悪化を防ぐために金利を引き下げる
  • 金利下落で銀行預金の魅力が低くなり、人々がお金を消費や投資に回す
  • 消費が活発化し、企業の業績が良くなる
  • 企業の株価が上昇しやすくなる
  • 株式市場全体も上昇しやすくなる

PPIは時系列で上がったか下がったかを見る以外にも、市場予想と比べて高かったか低かったかも大切なポイントとなります。市場予想よりも高ければ株価にはマイナス、低ければ株価にはプラスと判断するので、この見方も覚えておきましょう。

ちなみに、市場予想の数値はマネックス証券の経済指標カレンダーで入手できます。指標が発表される前に、こちらで市場予想の数値を頭に入れておきたいですね!

市場予想は経済指標カレンダーの「予想」欄で見られます

(出典:マネックス証券経済指標カレンダー

日本とアメリカのPPI(生産者物価指数)の推移と見方

最後に、日本とアメリカのPPIの推移と見方を解説します。その前に1点注意が必要です。日本には「PPI」がありません。アメリカのPPIに近い経済指標として「企業物価指数」があるので、こちらの見方を解説しますね。

アメリカのPPIの推移と見方

2022年11月現在のPPIは、下のようになっています。

PPIは過去10年間で最高水準

(出典:マネックス証券経済指標カレンダー

2022年3月にピークを付け、その後は低下してきています。これは、原油や天然ガスなどの資源価格上昇が落ち着いてきたためです。過去10年間で見るとまだ高い水準にありますが、将来的なCPIの低下を示す結果といえるでしょう。

PPIやCPIの低下は、景気の減速や悪化を意味します。国の経済をコントロールしている中央銀行(アメリカの場合はFRB)は、景気の悪化を止めるのも仕事です。景気の悪化は、金利を引き下げることで防げます。したがって、FRBは近い将来に金利の引き下げに転じる可能性が高いと言えるでしょう。

このように、PPIの動きから景気や中央銀行の政策が予想できます。

日本の企業物価指数の推移と見方

日本の企業物価指数は、日本銀行(日銀)が発表しています。PPIと同じように、企業間で取引される財の価格変動を表す物価指標です。

月ごとの指数が算出されており、速報値が翌月の第8営業日に発表されます。品目別の数値も公表されているので、どの領域の物価が上昇しているのかを追いかけることが可能です。

2022年11月現在、企業物価指数は下のように推移しています。

日本の企業物価指数は上昇

(出典:マネックス証券経済指標カレンダー

アメリカのPPIと比べると物価の上昇はゆるやかですが、過去10年間で見ると物価の上昇率は最高水準に達しています。こちらはまだ低下の兆しが見えておらず、CPIの上昇が続く可能性が高いと考えられます。

2022年12月のPPIの結果発表

日本時間の2023年1月18日22:30、2022年12月のPPIが発表されました。結果をひとことで表すと、「インフレの鈍化を表す」ものとなりました。どのような数値が出たのかは、下の表をご覧ください。

<2022年12月PPIの結果>
結果 予想 前回(修正値)
コアPPI(前年比) +5.5% +5.4% +6.2%
コアPPI(前月比) +0.1% +0.2% +0.2%
PPI(前年比) +6.2% +6.8% +7.3%
PPI(前月比) ▲0.5% ▲0.2% +0.2%

「コアPPI(前年比)」を除き、すべての指標が予想値と前回の修正値を下回っており、インフレの鈍化を示す結果となりました。特にエネルギーと食品を含む「PPI(前月比)」は▲0.5%と、2020年4月以来の大幅マイナスです。

「コアPPI(前年比)」については、予想を上回る数値となっているものの、前回の修正値を大幅に下回っています。こちらもインフレの鈍化を表していると言えるでしょう。

この結果から、市場では「インフレが鈍化し、FRBが利上げを緩和する」との期待が強まりました。NYダウは寄付きで上昇しましたが、その後は下落していき前日比でマイナスで取引終了となりました。これは、同日に発表された他の経済指標(小売売上高や鉱工業生産指数)が、景気の悪化を示したためです。

<NYダウの推移(2日間)>

PPIを受けて寄付きでNYダウが上昇

(出典:SBI証券

まとめ

PPIの意味やCPIとの違い、類似指標である日本の企業物価指数の見方を解説してきました。PPIはCPIの先行指標として使えるので、今後のCPIがどう動くか、そして中央銀行がどのような金融政策をおこなうかを予想できます。注目度の高い指標なので、毎月忘れずにチェックしましょう。

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やさしい株のはじめ方編集部
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