1. ホーム
  2. 株式投資関連のコラム
  3. 証券会社・銀行
  4. 機関投資家の空売りが増えると株価はどうなる?期限は?買い戻しタイミングやその後の展開例を紹介

機関投資家の空売りが増えると株価はどうなる?期限は?買い戻しタイミングやその後の展開例を紹介

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2026年3月18日

「機関投資家の空売り(からうり)が増えている」と聞くと、「この株はこれから下がっていくのでは?」と不安になる方もいるのではないでしょうか。

実際のところ、機関投資家の空売りは短期的に株価を押し下げる効果があるのですが、中長期的には株価を押し上げる効果があります。「空売り=悪」という印象がありますが、必ずしもそうとは言い切れないのです。

この記事では、機関投資家の空売りが株価に与える影響について理解を深められるよう、短期・中長期に分けてていねいに説明していきます。加えて、機関投資家が空売りする理由や、買い戻しのタイミングについてもわかりやすく解説します。機関投資家の空売りについて一緒に理解を深めましょう。

機関投資家の空売りが増えると株価はどうなる?

冒頭で説明したように、機関投資家の空売りが増えると、短期的には株価に下落圧力が加わります。このことを理解するために、まずは「空売り」について理解を深めましょう。

空売りとは、借りてきた株を市場で売ることです。株は借り物なので、将来的に買い戻したうえで返却しなければなりません。この際、売ったときよりも安い株価で買い戻すことができれば、その差額が利益になります。

例えば、下の図におけるA地点(株価が高いとき)に空売りし、B地点(株価が下がったとき)に買い戻したとしましょう。仮にA地点の株価が1,000円、B地点の株価が500円なら、空売りした時点で投資家は1,000円を手に入れ、買い戻しの時点で500円を支払うことになり、差額の500円が儲けになるのです。

相場下降局面でも収益チャンスあり!

以上が空売りのかんたんな説明となります。

したがって、機関投資家が空売りすると、市場における株の供給量が短期的に増加します。需要に対して供給が多い状態になるため、株が余って値下がりしていくのです。このため、投資家の間では「機関投資家の空売り=悪」という認識が広がっています。

しかし、空売りは“借り物の株”を使うため、将来どこかのタイミングで空売りに使った株を買い戻さなくてはいけません。空売りの増加は“中長期的な買いエネルギー”とみなせるのです。

機関投資家による空売り増加の解釈
機関投資家の空売り増加
短期的な解釈 株価に下落圧力が加わる
中長期的な解釈 空売り返済のため買い戻す必要があり株価に上昇圧力が加わる

それでは、機関投資家による空売りとの向き合い方を考えるためにも、短期的な影響中長期的な影響に分けて、もう少し詳しく学んでいきましょう。

短期的な影響

機関投資家の空売りが増えると、短期的には株価に下落圧力が加わりやすいと説明しました。空売りによって、市場における株券の供給量が増えることが理由です。ただし、株価が下落する理由はそれだけではありません。機関投資家の空売りをきっかけにして、売りの連鎖が発生することがあるのです。

売りの連鎖

  1. 機関投資家による大口の売り注文によって株価が急落する
  2. 株価の急落を見た個人投資家が不安心理から狼狽(ろうばい)売りを出す
  3. 信用取引を手掛けている投資家の証拠金維持率が低下し、追証回避売りやロスカット注文が発動する

以上のように、機関投資家の空売りをきっかけとして売りが連鎖し、株価が大きく下落することがあります。

機関投資家による空売りと株価下落の事例として、金や銅の需要拡大を受けて株価が上昇していた住友金属鉱山(5713)を例に見ていきましょう。今回は、松井証券が提供している『マーケットラボ』を使って、住友金属鉱山の株価と売買内訳の推移を確認します。

グラフの中央部分に引いてある線は、「2026年1月30日」を表しています。上段のグラフを見ると、同日を境に株価が上下に大きく動くようになっており、“株価動向の転換点”と言える日です。

<住友金属鉱山の株価と売買内訳の推移>

住友金属鉱山の株価と売買内訳の推移

(出典:松井証券マーケットラボ

下段のグラフに目を向けましょう。こちらは「売り注文の内訳」を時系列で表しています。1月30日は積み上げ棒グラフ全体の高さがほかの日と比べて高くなっており、一日の取引量がとても多かったことが読み取れますね。

少し見づらいのですが、グラフの一番上にある緑色の部分に注目すると、その前後と比べて大きくなっています。この緑色の部分は「機関投資家の空売り」を表したものです。それまで株価が右肩上がりで上昇していた点を踏まえると、割高感から空売りを仕掛けた可能性が見えてきます。

<住友金属鉱山の株価と売買内訳の推移>

住友金属鉱山の株価と売買内訳の推移

(出典:松井証券マーケットラボ

なお、画面右側にはその日の取引株数が表示されています。1月30日の空売りは一番右の列に表示されており、900万株超の空売りがあったことがわかりました。その前後の空売り株数を見ると200~300万株程度なので、通常時の3~4倍程度の空売りがあった計算となります。

以上の点から、株価が右肩上がりで上昇するなか、少しずつ割高感が出てきたため、機関投資家が空売りを増やしたと考えられるのです。その結果、売り圧力が強くなり、株価が2月初旬にかけて下落していったと考えられます。

今回の株価下落は、“機関投資家による空売りだけが原因である”とは断定できませんが、住友金属鉱山の株価と売買内訳からは、「株価下落に影響を及ぼした材料のひとつ」と言えるでしょう。

機関投資家の空売りに関する短期的な影響については、下記の記事でも詳しく解説しています。こちらの記事もぜひご覧ください。

中長期的な影響

機関投資家の空売りについて「中長期的な影響」に目を向けてみましょう。

空売りは株を借りておこなうため、将来的に株を買い戻して元の持ち主に返すことになります。つまり、空売り残高が積み上がるほど、“将来的な買い需要が蓄積されている状態”と考えられるのです。

機関投資家の空売りがもたらす影響について、短期的な影響と中長期的な影響に分けて説明してきました。短期的には空売りが株価を押し下げるものの、中長期的な目線で見ると株価を押し上げる要因となる場合があります。

「空売り=株価が下がる」という印象が強いですが、株価にとってプラスに働く一面を持っていることも、ぜひ覚えておいてください。

機関投資家が空売りする理由

機関投資家が空売りする理由として、下の3点が挙げられます。

それぞれ見ていきましょう。

①リスクへの備え

1つ目は「リスクへの備え」です。機関投資家は、個人投資家とは比べものにならないほど巨額な資金を株式などで運用しています。このため、市場全体が暴落した際のダメージを最小限に抑える必要があるのです。

そこで、「保険」として特定の銘柄を空売りします。例えば、ある業界の銘柄をたくさん保有している場合、その業界全体に逆風が吹いたときに備えて、同じ業界内で業績が悪化しそうな別の銘柄を空売りしておくのです。

これによって、市場全体の暴落に見舞われても、空売り銘柄の株価が下がることで利益が手に入るため、損失を抑えられます。

②市場環境に左右されない利益の追求

2つ目は「市場環境に左右されない利益の追求」です。機関投資家は巨額の資金を預かって運用しているので、安定して利益を出し続けることが求められます。

例えば、日本全体の景気が悪くなり、株式市場全体が下がったとしましょう。このとき、株を買っているだけでは損をしてしまいますよね。

そこで機関投資家は、将来に値上がりしそうな株を買うのと同時に実力以上に株価が上がっている株を空売りします。

こうして「買い」と「空売り」をセットにすると、市場全体が暴落しても「買った株の損」を「空売りの利益」でカバーでき、相場全体の波を打ち消すことができるのです。

機関投資家にとっての空売りは、安定して利益を出し続けるための手法のひとつとして使われています。

③高すぎる株価の修正

3つ目は「高すぎる株価の修正」です。株式市場では、一時的なブームなどで、企業の実力以上に株価が値上がりすることがあります。

プロの機関投資家は、高度な分析を使って“実力が伴っていない割高な株”を見つけ出し、空売りを仕掛けるのです。具体的には、話題になり買い注文が殺到した銘柄や、業績悪化や不祥事が発覚した銘柄が対象になります。

機関投資家の空売りによって株価に下落圧力が加わるため、実力以上に上昇していた株価は、本来あるべき水準まで下がっていくでしょう。

つまり、機関投資家の空売りは、市場の異常な過熱を防ぎ株価を適正な水準に保つ「ブレーキ役」としても機能しているのです。

機関投資家による空売りの期限

機関投資家の空売りにおいて、株の返却期限は株の貸し手(保険会社・年金基金など)との契約で柔軟に設定されます。一律で期限が決まっているわけではありません。

一般的に「空売り」と聞くと、“個人投資家は原則6か月で強制決済される(制度信用取引の場合)”という印象がありますよね。機関投資家は個人投資家とは違って、6か月以上空売りを継続することもできるのです。

買い戻しのタイミングはいつ?

最後に、機関投資家が空売りした株を買い戻す5つのタイミングについて説明します。

それぞれ見ていきましょう。

①決算などのファンダメンタルズ変化

1つ目は「決算などのファンダメンタルズ変化」です。

予想以上の好決算が出たときや、狙っていた悪材料が発表され、「これ以上は下がらない(悪材料出尽くし)」と判断できる場合があります。この場合、機関投資家は空売りしていた株を買い戻します。

②維持コストの圧迫による損切り

2つ目は「維持コストの圧迫による損切り」です。

株を借りるためのコスト(貸株料など)が上昇して利益が出なくなったときや、含み損が運用指針の制限を超えたときに、強制的に決済して株を買い戻します。

③チャート上の反転サイン

3つ目は「チャート上の反転サイン」です。

こちらはテクニカル分析を使った判断になります。株価が重要な節目を上抜けたり、通常の数倍の取引量(出来高)を伴って反転したりした際に、アルゴリズム取引等により一斉に買い戻します。

④貸し手からの返還請求

4つ目は「貸し手からの返還請求」です。

株式の貸し手(年金基金や保険会社など)は、株主総会での議決権行使や配当の受け取りを目的として、貸し出していた株の返却を求める場合があります。この場合、空売りしている投資家は市場で株を買い戻して返却する必要があり、株価の上昇要因となるのです。

⑤契約条件の変化による買い戻し

5つ目は「契約条件の変化による買い戻し」です。

機関投資家の空売りは、株を借りる契約に基づいておこなわれます。これらの契約は一定期間ごとに見直されるため、条件が変わって空売りを続けにくくなる場合があるのです。この際、機関投資家は株を買い戻してポジションを解消することがあり、株価を押し上げる一因となります。

機関投資家の空売り状況を見る方法

機関投資家の空売り状況は、松井証券の『マーケットラボ』もしくは『日本株アプリ』で確認できます。パソコンで使えるのがマーケットラボ、スマホで使えるのが日本株アプリです。それぞれ見ていきましょう。

マーケットラボ:機関投資家の空売り状況

マーケットラボの魅力は、“売買内訳を時系列で追いかけられる”点です。売りの内訳を開くと「機関投資家の空売り」が独立して表示されます。株価が大きく動いた場合に、機関投資家の空売りが影響しているかどうかを、誰でもかんたんに探ることができて便利です。

<住友金属鉱山の株価と売買内訳の推移>

住友金属鉱山の株価と売買内訳の推移

(出典:松井証券マーケットラボ

売買内訳の開き方はとてもかんたんです。マーケットラボで分析したい銘柄名を検索してページを開いたら、画面左上の「信用・大量保有」をクリックしましょう。ページが切り替わるので、画面左側の「売買分析」、「過去情報」の順にクリックすると表示されます。

<売買内訳の開き方>

売買内訳の開き方

(出典:松井証券マーケットラボ

日本株アプリ:機関投資家の空売り状況

スマホ版の『日本株アプリ』も、マーケットラボと同じように分析できます。機関投資家の空売りは、下のような画面で表示されます。

<日本株アプリの空売り状況>

日本株アプリの空売り状況

(出典:松井証券日本株アプリ

松井証券のマーケットラボと日本株アプリを使うと、誰でもプロ並みの株価分析が可能になります。有効活用して、投資のパフォーマンスを高めましょう。

松井証券に口座開設

口座開設料・年会費などは一切かかりません。

【松井証券】当サイト限定タイアップ企画!3,000ポイント&オリジナルレポートをプレゼント(2026年3月最新)

松井証券のタイアップ企画

松井証券は、松井証券ポイントがもれなく3,000ポイントプレゼントされる、当サイト「やさしい株のはじめ方」限定のタイアッププログラムが実施中です。

項目 プログラム概要
プレゼント内容 🎁もれなく3,000ポイント(松井証券ポイント)
プレゼント
受取手順
1.「やさしい株のはじめ方」経由で新規口座開設申し込み
2.総合口座開設+MATSUI Bank口座開設
3.MATSUI Bank口座に5万円以上の入金
プログラム
期間
2024年10月1日~終了日未定
条件達成
期限
総合口座開設申し込みの翌月末まで

松井証券ポイントは、投資信託の購入に使えたり、dポイントやPayPayポイント、Amazonギフト券などと交換できたりする、汎用性の高いポイントです。

もらっておいて損はないポイントなので、せっかく松井証券の口座を開設するなら、MATSUI Bankに口座開設&5万円以上の入金もして、ぜひ3,000ポイントを受け取ってください!

当サイト限定!もれなく3,000ポイント

松井証券に口座開設

口座開設料・年会費などは一切かかりません。

まとめ

機関投資家の空売りは、短期的には株価の下落圧力になりやすい一方、中長期的には上昇圧力につながる場合があります。「機関投資家の空売り=悪」というイメージを持ちやすいですが、中長期的に買い戻されることを踏まえて、冷静に投資判断を下したいものです。

また、機関投資家の空売りの目的は、①リスクへの備え、②市場環境に左右されない利益追求、③割高な株価の修正の3点に整理されます。特に③は、株価が本来あるべき水準へと導く役割を果たしており、健全な株式市場を維持するためにも、必要なことと言えるでしょう。

機関投資家の空売りを一概に「悪」と捉えるのではなく、市場の価格発見機能を担う側面も理解したうえで、冷静に投資判断をおこなうことが大切です。空売りの分析をする際には、松井証券の『マーケットラボ』や『日本株アプリ』を活用しましょう。

当サイト限定!もれなく3,000ポイント

松井証券に口座開設

口座開設料・年会費などは一切かかりません。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

ページ上部へ移動