株だけを売買したときの税金対策

1つ目の組み合わせは、「株」と他の「株」を売った場合の税金対策を見ていきましょう。ちなみに、「株と投資信託を売った場合(次のページ)」と、税金対策のやり方は同じです。ですので、次ページもご一緒に読んでいただくと、より深く理解できると思います。

『日本株』と他の『日本株』を売って出た損や利益は、お互いに損益通算できるの?
はい、損益通算できます。その場合、確定申告をしなくてもいい人と、必要な人がいます。ポイントは、「口座の種類」や「どれだけ利益が出たか」の2つが関係します。

解説

確定申告をしなくてもいい人

確定申告をしなくてもいい人は、『同じ証券会社の“源泉徴収ありの特定口座”内で取引している方』や、『“源泉徴収なしの特定口座”で取引している方で、年収2,000万円以内のサラリーマンで、株などの所得が20万円以内』の人です。その場合は、証券会社で損益通算の処理がなされるので確定申告の必要はありません。(ただし、“損失の繰り越し控除”を受ける場合には確定申告が必要です。→補足1へ)。

確定申告をしないとダメ人

確定申告をしないとダメな人は、『複数の口座で取引していて、他の口座で損失がでている場合』や、『“源泉徴収なしの特定口座”内で取引していて、株などの所得が20万円を超える場合』などです。今回は、後者の条件(株などの所得が20万円超え…)で確定申告が必要な方を例をあげて解説しています。また、前者の条件(複数の口座で…)での解説は、「株と投資信託の組み合わせ」でご紹介していますので、こちらも合わせてご覧ください。

株の利益が1年間で30万円出た人(源泉徴収なしの特定口座を使用)
名前 サトウさん
サトウさん(OL/27歳)
年収 500万円
株などの所得 30万円 ←ここがキモ!
使っている証券会社の数 1社
使っている口座の種類 源泉徴収なしの特定口座 ←ここがキモ!
サトウさんが運用している金融資産とその損益(2015年)
商品名 損益 税金
日本株 売却 +50万円 10万円
(税率20%)
日本株 売却 -20万円 0円
確定申告をすると… +30万円 6万円

サトウさんのように、1つの証券会社しか利用していなくても、「源泉徴収なしの特定口座」で取引していて、かつ利益が20万円超えている場合には、確定申告をしなければいけません。これは損益通算するためにしたほうがいい、というのではなく、規則で必ず確定申告しなくてはいけません。

具体的には、まず1年間の取引の内容を証券会社が計算してくれます。そして、その明細(年間取引報告書)が自宅へ送られてきます。そこに書いてある損益を合計し、金額が+20万円超えたら自分で確定申告の手続きをおこなうことになります。

サトウさんの場合は、上の表を見るとA株で+50万円の利益が出ています。しかし一方のB株では-20万円の損失が出ています。この2つの損益は合わせることができるので、合計すると+30万円(=50万円-20万円)になります。利益が20万円を超えたので、確定申告をして税金を払う必要があります。サトウさんが払う税金は、この30万円20%の税率をかけた金額です。計算すると…

計算式

30万円×20%=6万円  ←最終的な税金!

この6万円を税金として払います。ここで注意する点は、マイナスになっている分もしっかりと確定申告することです。そうしないと、利益にかかる税金をすべて払うことになります。それでは節税になりませんので、マイナス分も忘れずに確定申告してくださいね。

補足1
上記の例の場合は損益通算し結果+30万円になりましたが、もし損益通算しても合計がマイナスだった場合、そのマイナス分を翌年以降3年間にわたって、株などの利益から差し引く(=控除)することができます(これを“3年間の繰り越し控除”といいます)。その場合は、取引をしていない場合でも、毎年確定申告が必要です。

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