経済指標の見方を教えてください
経済指標の見方を教えてください。最近株式投資をはじめたのですが、ニュースで出てくる経済指標を自分でも読めるようになりたいと考えています。
経済指標の基本的な見方は下の3つです。
経済指標の基本的な見方
それぞれ説明しますね。
① 結果と前回値・予想値を比較
まずは、経済指標の結果を前回値や予想値と比較して、上振れたのか下振れたのかを確認しましょう。前回値は前回(前月)の結果、予想値は市場で織り込まれている数値を表します。
用語 | 意味 |
---|---|
結果 | 経済指標の最新数値です。 |
前回値 | 前回(前月)に発表された経済指標の数値です。結果が前回値よりも上昇しているか、下落しているかに注目し、経済の温度感を測ります。 |
予想値 | 市場が予想していた数値です。結果が予想値を上回っているか、下回っているかに注目します。結果が予想値から大きく乖離した場合、市場にとってサプライズとなります。 |
ここで、具体例を使って経済指標を見てみましょう。今回は雇用統計に含まれる「失業率」に注目してみます。2024年6月の雇用統計では、失業率が4.1%となりました。
<2024年6月の失業率>

前回値は4.0%なので、この1か月で失業率が上昇したことがわかります。失業率が上昇したということは、仕事に就けない人が増えているので、景気は悪くなったと考えられます。
続いて予想値を見ると、4.0%となっていますね。市場予想よりも失業率が悪化したので、ネガティブなサプライズだったと言えます。
ここまで説明したように、経済指標の結果を前回値、予想値と比較することで、足元の景気がどのような状況にあるのかや、市場にとってサプライズがあったのかが読み取れます。毎回チェックしましょう。
経済指標は公的機関が公表している一次情報を確認するのが望ましいのですが、米国の経済指標の場合は英語表記のため、読み解くのはなかなかハードルが高いです。このため、証券会社のツールを使うと良いでしょう。
具体的には、moomoo証券(ムームー証券)の「moomooアプリ」、マネックス証券の「経済指標カレンダー」がおすすめです。経済指標を確認できるツールについては、下記のページで詳しく解説しています。
② 時系列で中長期のトレンドを確認
続いて、経済指標の動きを中長期的な目線で見てみましょう。先ほど紹介した前回値との比較だけでは、異常値を見逃してしまう可能性もあるため、中長期的なトレンドも確認するのがおすすめです。
失業率を例に説明すると、今回発表された失業率が偶然高くなってしまっただけで、中長期的には低下傾向にあるかもしれません。この場合、景気が悪化していると考えるのは間違いといえます。ミスリーディングを防ぐためにも、グラフを使って中長期的な動きを確認する必要があるのです。
しかし、経済指標を自分でExcelやスプレッドシートにまとめてグラフを作るのは、とても面倒ですよね。そこでおすすめなのが、先ほども紹介した証券会社のツールです。moomoo証券のmoomooアプリやマネックス証券の経済指標カレンダーを使うと、経済指標の動きをグラフで確認できます。いずれも無料で使えるので、ぜひ有効活用したいですね。
moomooアプリは、直近6回分の経済指標がグラフ化されています。それより前のグラフは表示されていない点が気になりますが、アプリでサクッと情報をチェックできたり、通知が届くため見落としを防げたりする点が魅力です。
<moomooアプリ:2024年6月の失業率>

マネックス証券の経済指標カレンダーは、2006年12月以降の経済指標の動きをグラフで確認できます。より長期間のデータを確認したい方は、こちらをご利用ください。
<マネックス証券 経済指標カレンダー:失業率の推移>

③ 金利の動きを予想
最後に、経済指標の動きを確認したら、それが金利にどう影響するかを予想するのがおすすめです。中級者以上のレベルになるため、ここは読み飛ばしていただいても構いません。
金利への影響を予想する理由は、それが株式市場に影響を及ぼすからです。具体的には、金利が上昇すると株式市場にはマイナスの影響が、逆に金利が下落すると株式市場にはプラスの影響があります。
政策金利 | 株式市場への影響 | |
---|---|---|
引き上げ | 下落 | 金利が上昇すると、お金が借りづらくなり、消費や投資が減って景気が悪くなるため |
引き下げ | 上昇 | 金利が低下すると、お金が借りやすくなり、消費や投資が増えて景気が良くなるため |
では、経済指標と金利の関係はどのように考えれば良いのでしょうか。基本的な考え方を説明すると、景気が良く過熱しそうなときは金利の引き上げを、景気が悪くどんどん冷え込みそうなときは金利の引き下げをおこないます。なお、金利の操作は中央銀行(米国の場合はFRB)が実施します。
景気 | 政策金利の動向 | |
---|---|---|
過熱 | 引き上げ | 金利を引き上げると、お金が借りづらくなり、消費や投資が減って景気の過熱を防ぐことができる |
悪化 | 引き下げ | 金利を引き下げると、お金が借りやすくなり、消費や投資が増えて景気が回復する |
先ほどの失業率を例に考えましょう。2024年6月の失業率は4.1%で、上昇傾向にあるのでした。失業率の上昇は景気の悪化を示すため、中央銀行は金利の引き下げを考えるでしょう。金利が引き下げられれば株式市場にはプラスに働くため、株価は上昇すると考えられます。
実際、失業率が発表された2024年7月5日のNYダウの推移を見ると、前営業日比+67ドル87セントの3万9375ドル87セントで取引を終えており、株価が上昇しました。景気の悪化は悪いことのように思えますが、その先の金利の動きを見越して動いていることがわかりますね。
<moomooアプリ:NYダウの推移>

経済指標の見方を説明してきました。証券会社のツールをうまく活用して、経済指標を読み解いていきましょう!
サイト内の参考ページ
- 経済指標が見やすいおすすめのツールやアプリはある?経済指標の見方も合わせて解説
- 株初心者がチェックすべき経済指標は?経済指標重要度ランキングも紹介
- 【初心者向け】moomoo証券(ムームー証券)のはじめ方・使い方
この質問を見た人は、こちらも読んでいます
- SBI証券か楽天証券で、大口投資家の動向を知るにはどうしたら良いでしょうか?
- “戦略的に”株を買うタイミングを教えてください
- インバースやダブルインバースのETFとは何ですか?仕組みや買い時を教えてください
お悩みをキーワードで検索する
お悩み検索
他のお悩みを検索できます
投資歴19年目の株初心者アドバイザーです。2005年からの投資成績は+2億円を突破しました!2009年に発売した著書『はじめての株1年生 新・儲かるしくみ損する理由がわかる本』は、累計59,000部のロングセラー。その他、数多くの金融系メディアにも寄稿しています。