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コロナバブルはいつまで続く?日経平均の今後の見通しを予想しました
“コロナバブル”によって、日経平均株価の上昇が止まりません。2021年2月15日には30,000円を突破しました。コロナショック前の水準を大きく超え、30年6か月ぶりの高値です。
これほど急激に株価が戻ると、「いつまで続くのか」疑問に思う方がいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、コロナバブルがいつまで続くのか、現状を整理しつつ予想していきます。
日経平均株価が30年6か月ぶりに30,000円を突破
<日経平均株価の推移(6か月)>
(出典:SBI証券)
上の図は、日経平均株価の6か月チャートです。コロナショックが起きた2020年3月にかけて株価が急落し、一旦19,000円付近まで回復しました。
その後、コロナバブルとなり日経平均株価と金の両方が上昇し、6月には23,000円、11月には25,000円(1991年以来)、2021年1月には28,000円(1990年8月以来)を突破しました。そして、中央銀行による大規模な金融緩和の継続や、米国で経済対策がおこなわれて景気が回復するとの見通しから、2月15日に30,000円を突破しました。
景気後退が予想されている中で、急激に株価が回復するのは少し気持ち悪く感じますよね。なぜなら、株価は企業の価値によって決まるからです。景気後退局面で業績が悪くなった企業が多く、企業の価値は以前よりも下がっている場合が多いので、株価が下落しないと“つじつま”が合いません。それにも関わらず、どうして株価が上がったのでしょうか?
中央銀行の金融緩和が株価を押し上げた
景気が悪いのに株価が上がっていく裏側には、中央銀行の存在があります。中央銀行とは、「国の金融システムの中核を担う銀行」であり、日本であれば日本銀行(以下、日銀)が、これに当たります。
日銀はコロナショックの対応策として、金融緩和を実施しています。金融緩和とは、世の中にお金がスムーズに流れるようにするための施策です。具体例を出すと、国債やETF※1の購入などがあります。特に意識されたのが、ETFの積極的な買入れです。日銀がETFを買うと、その分だけ株価には上昇圧力が加わります。
投資家たちは日銀のETF買いによって株価が上昇すると予想し、その波に乗るかのように株式を買いました。そのため、日経平均株価が上昇したと考えられます。
このほかにも、政府による財政対応や経済回復への期待が、株価を押し上げた可能性があります。
※1 ETFとは、上場投資信託を表します。詳しくは「ETF(国内ETF)」をご覧ください。
日経平均株価の今後はどうなる?
日経平均株価の今後を予想するのはとてもむずかしいので、上昇シナリオと下落シナリオに分けて考えていきます。
上昇シナリオ
日経平均株価が上昇するとしたら、次のようなシナリオが考えられます。
- 中央銀行の金融緩和期待で、株価が上がる
- 政府の経済対策への期待で、株価が上がる
1つ目の「中央銀行の金融緩和期待で株価が上がる」は、現在の株式市場と同じ状況です。「株価が下がっても中央銀行が買い支えてくれる」安心感があるので、投資家は積極的に株式に投資できます。そのため、株価に上昇圧力がかかっているのです。
2つ目の「政府の経済対策への期待で、株価が上がる」について説明します。景気が悪くなってくると、政府は大規模なインフラ整備などに資金を投資し、経済を動かそうとします。インフラ整備を中心として新しい仕事がたくさん生まれるため、企業の業績が良くなり、従業員が受け取る給料も増え、景気がだんだん回復していくのです。その過程で株価に上昇圧力がかかります。
下落シナリオ
日経平均株価が下落するとしたら、次のようなシナリオが考えられます。
- 割高感が意識されて、株価が下がる
- 地政学リスクの高まりで、株価が下がる
- 中央銀行の金融緩和が終了し、株価が下がる
1つ目の「割高感が意識されて、株価が下がる」について考えます。後ほど詳しく説明しますが、騰落レシオやRSIといった指標を見ると、かなり割高感が出ているような印象です。そのため、割高感から利益確定のために株式を売る投資家が増えてくれば、株価が下落する可能性があります。
2つ目の「地政学リスクの高まりで、株価が下がる」についてです。アメリカと中国の関係性悪化や香港での暴動、北朝鮮と韓国の関係性悪化などの地政学リスクが高まっています。これによって経済活動が停滞する可能性があり、もしそうなれば、株価にはマイナスの影響が及ぶのです。
3つ目の「中央銀行の金融緩和が終了し、株価が下がる」を見ていきます。この理由はかんたんです。現在の株高は金融緩和を期待して起きているので、金融緩和が終了する“逆のできごと”が起きれば、株価が下がってしまうでしょう。
相場急変時は温度計をチェック
相場が急騰したり急落したりしたときは、“相場の温度計”をチェックしましょう。おすすめの温度計は以下の3つです。
- 日経平均PER
- 騰落(とうらく)レシオ
- RSI(アールエスアイ)
日経平均PER
まずは、「日経平均PER」から紹介します。日経平均PERは、株式市場が割高な水準にあるのかどうかをチェックできる指標です。日経平均に組み入れられている銘柄のEPS(1株あたり純利益)の何倍の株価となっているかを表します。数値が高ければ高いほど割高と判断する指標です。
通常時は12~15倍で推移していますが、2021年2月9日には25倍となっています。この数字を見る限りは、通常時と比べてかなり割高感が出ているのがわかりますね。
<日経平均PER>
(出典:日経平均PER 日経平均比較チャート)
それでは、時系列で見るとどうでしょうか?
<日経平均株価と日経平均PER>
(出典:日経平均PER 日経平均比較チャート)
日経平均株価と日経平均PERの推移を比べましょう。日経平均株価は「26,668円(2020年12月24日)」から「29,389円(2021年2月8日)」と少しずつ上がってきていますが、日経平均PERは25倍前後で止まっています。このことから、日経平均株価に採用されている会社の業績(正確にはEPS)が高まっているため、日経平均株価が上がっていると言えます※2。
※2 株価は「EPS×PER」で計算できます。日経平均株価も、原理は同じです。PERが変わらないのに株価が上がっているので、EPSが伸びていると考えられます。
実際に、「日経平均EPS」の欄を見ると、「1,078円(2020年12月24日)」から「1,168円(2021年2月8日)」と増えています。日経平均株価が29,000円を突破して、割高感が意識されていますが、この株高は日経平均採用銘柄の業績が良くなっているのが原因でしょう。
日経平均PERは、「日経平均PER 日経平均比較チャート」で確認できます。PERであれば、株初心者でもなじみやすいので、まずはこの指標からチェックをはじめましょう。PERについて詳しく知りたい方は、PERを知るをご覧ください。
騰落(とうらく)レシオ
次に、「騰落レシオ」を紹介します。騰落レシオは、株式市場の過熱感がチェックできる指標です。騰落レシオが高ければ相場が過熱しており、低ければ相場が閑散していると判断します。
こちらの画像のように、騰落レシオには25日、15日、10日、6日の4種類があります。一般的には10日を見る場合が多いので、とりあえず10日の数値を追っていけば問題ありません。
<騰落レシオ>
(出典:騰落レシオ 日経平均比較チャート)
2021年2月8日時点では、騰落レシオ(10日)が141.29%となっており、相場に過熱感が出ていると言えます。この日は、日経平均株価が前日比+609円と大きく上昇したので、騰落レシオが高くなっているのも納得です。騰落レシオは、「騰落レシオ 日経平均比較チャート」で確認できます。
RSI(アールエスアイ)
最後に、RSIを紹介します。RSIとは日本語で「相対力指数」と言われ、株価の方向性をチェックできる指標です。0~100%の間で推移し、株価の上昇局面に入ると50%以上で推移します。反対に下落局面に入ると50%以下で推移するので、50%が上昇か下落の境目になっています。
また、RSIの基本的な考え方として、RSIが70%以上であれば買われすぎ、30%以下であれば売られすぎと判断します。RSIは、相場の天井や底値を推測するのに役立ちます。
RSIは、SBI証券で確認できます。以下の画像の赤枠部分がRSIです。
<日経平均株価のRSIの推移(6か月・日足)>
(出典:SBI証券)
上の画像は、「6か月」のRSI推移です。デフォルトだと、「日足」が表示されています。2021年2月8日時点では、RSIが60%となっているので、短期的には「買われすぎ」の水準にはなっていません。
しかし、デフォルトで表示されている「日足」のRSIは、デイトレーダーの方向けの指標です。長期投資される方は、「週足」か「月足」を使うとよいでしょう。今回は、「週足」のRSIをチェックします。
<日経平均株価のRSIの推移(6か月・週足)>
(出典:SBI証券)
上の画像は、「週足」のRSI推移です。日足で見ると60%だったRSIは、週足では80%と表示されています。1週間前と比べると、日経平均株価が大幅に上がったのが原因です。「買われすぎ」の水準なので、新たに株を買ったり、買い増ししたりするのは危険かもしれません。
RSIは、株式市場の温度感を測るのに、便利な指標です。しかし、表示期間の違いで数値が変わる点に注意しなければいけません。長期投資の方は「週足」をチェックしましょう。
まとめ
2021年2月15日には、日経平均株価が30,000円を突破しました。原因は、米国で最大1.9兆ドルの追加経済対策が成立する見通しとなったからです。経済対策により景気が回復していけば、会社の業績が良くなると考えられます。現在の株価は、経済対策が実施された後の未来を織り込んでいるようです。
しかし、景気が回復したあとは、経済対策をおこなう必要がなくなるので、中央銀行による金融緩和が終わるかもしれません。この場合、株価が下がる要因となるので、注意が必要です。相場の温度計を見ながら、無理せず投資していきましょう。
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