クロス取引でお得に株主優待をゲット!

クロス取引でお得に株主優待をゲット!

一般的な優待取得方法では、株価の値下がりするリスクが発生します。しかし、「クロス取引」を使うと、株価の値下がりリスクを抑えて、お得に株主優待を手にすることができます!

実際、どれだけ損益(売買手数料、貸株料、株価変動による損失などの合計)に差が出るかというと、今回のケースでは、一般的な優待取得方法が-8,900円で、クロス取引が-506円でした。クロス取引をすることで、なんと8,394円分もお得に株主優待が手に入りました。

なぜ、これほど損失に差が出るのでしょうか?「一般的な優待取得方法」から順番に見ていきましょう。

人気優待ほど、「権利付き最終日」に向かって株価が上がりやすい

株主優待をもらうには、権利確定日の3営業日前である「権利付き最終日」までに株を買っておく必要があります。一般的に人気優待銘柄の場合は、権利付き最終日が近づくにつれて買いが増え、株価が上がりやすくなります。そこで株を買ってしまうと、思わぬ高値をつかんでしまいます…。下のチャートをご覧ください。

ココスジャパンの権利確定日周辺のチャート

(出典:SBI証券

ファミリーレストラン「ココスジャパン(9943)」の、権利確定日付近の株価の値動きです。9月末が権利確定日で、株主優待として1,000円相当の食事券がもらえます。権利付き最終日は2018年9月25日です。この日1日株を持っているだけで、優待を手にすることができます。そのため、株価が25日に向かって急上昇し、翌営業日(権利落ち日)の26日に急落していることがわかります。

仮に、25日の高値“2,389円”で100株買って、26日の安値“2,300円”で売った場合の、損失額を計算してみましょう。

  • 買値 : 2,389円×100株=238,900円
  • 売値 : 2,300円×100株=230,000円
  • 238,900円-230,000円=-8,900円

8,900円の損です。株主優待でもらえるのは1,000円分の食事券なので、普通に食事をしたほうが安いです。これでは、わざわざ優待を取りにいく意味がありませんね。このように、権利確定日が近いときに株主優待目当てで株を買おうとすると、高値でつかんでしまうことになります。高値づかみを回避できるのが、“つなぎ売り”とも言われるクロス取引です。

クロス取引とは?

クロス取引とは、「現物買いと信用売り(空売り)を、同じ株数・同じ値段で同時におこなうこと」を指します。同じ金額で買いと売りをおこなうので、損益は0円です。株価が動いても、お互いの損益で相殺されるので、株価変動によるリスクがなくなるのが最大の特徴です。

クロス取引の説明画像

ココスジャパン(9943)を例に、具体的な手順を見ていきましょう。

権利付き最終日である25日の取引がはじまる前(8時59分まで)に、「100株の買い注文」と、「100株の信用売り注文」を同時に「成り行き」で発注します。すると、現物買いも信用売りも、この日の始値である2,367円で取引が成立します。

取引が成立したら、権利付き最終日を過ぎるまで保有しておきます。その日の途中で手放すと、株主優待は手に入りません。優待の権利を得たら次のステップです。翌営業日の権利落ち日以降に、「現渡(げんわたし)」をしてクロス取引を終了します。現渡とは、同銘柄、同株数の株式を差し入れて決済することです。自分で保有しているココスジャパンの現物株で、証券会社から借りていた株式を返却するのです。この取引は手数料が発生しません。

これで株主優待はあなたのものです!

※信用売りとは?
証券会社からお金を借りて株式を買ったり、株券を借りて売ったりする取引のことを、信用取引といいます。「信用売り(空売り)」は、後者のことです。一言でいうと、「株価が下がったら儲かる」仕組みの取引です。

例えば、株価が100円の銘柄を、証券会社から100株借りたとします。それを市場で売って、10万円を手に入れます。株価が80円まで値下がりしたときに、8万円で100株を買い戻します。その100株を、借りていた証券会社に返却します。2万円の儲け(10万円-8万円)が出ました。これが信用売りです。

クロス取引は、この3点に注意!

1つ目は、長期保有が条件の株主優待は、原則もらえません。例えば、マヨネーズで有名なキユーピー(2809)は、100株で1,000円相当の自社製品がもらえます。ですが、優待取得の条件が「3年以上継続保有した株主」と限定されています。保有株をすべて売ってしまうと、再び権利付き最終日に買い戻したとしても、長期保有の対象から外れてしまいます。

2つ目は、配当金はもらえません。信用売りをする際に、配当相当分を支払わなければいけないからです。この支払うお金を「配当調整金」といいます。現物株を買ったときにもらえる配当金は、信用売りで発生する配当調整金で相殺されます。正確に言うと、配当金には20%の税金が引かれるため、その差額を支払う必要があります。

3つ目は、逆日歩(ぎゃくひぶ)が発生することがあります。この逆日歩は分かりにくく、やっかいなので、次でくわしく説明しましょう。

投資家を悩ませる「逆日歩」とは?

逆日歩とは、信用売りの需要が高く、証券会社の貸せる株がなくなった状態で発生する手数料のことです。証券会社が貸せる株には限度があります。手持ちの株数が不足すると、証券会社は機関投資家などから株を調達します。そのときに、証券会社は手数料を支払っています。その手数料を投資家に負担してもらうのが逆日歩です。

お気づきのとおり、株主優待がある会社の権利付き最終日には、多くの人がクロス取引をおこなおうとします。その分、信用売りが増えるのです。しかも、逆日歩はその日の取引が終わるまでは、どれだけかかるのかわかりません。翌日の10時にわかるようになっています。

先ほどのココスジャパン(9943)は、権利付き最終日の逆日歩が、1株“114円“でした。つまり、100株借りたら11,400円の手数料が発生したのです。一般的な優待方法で発生した損失8,900円よりも大きくなってしまいました…。これでは本末転倒ですね。でも安心してください。逆日歩は、「金融機関から株を調達するときにかかる手数料」でした。つまり、「金融機関から株を調達しなければよい」のです。その方法が、「一般信用取引」を使うことです。

逆日歩を回避できる「一般信用取引」とは?

信用取引には、「制度信用取引」と「一般信用取引」の2つの種類があります。制度信用取引は逆日歩が発生しますが、一般信用取引は発生しません。どういうことでしょうか?それぞれのしくみをかんたんに見てみましょう。

制度信用取引は、証券取引所がお墨付きを与えた、比較的安全な銘柄のみを対象としている信用取引です。証券会社は手持ちの株がなくなると、機関投資家から株を調達するので、逆日歩が発生します。返済期限は6ヶ月で、貸株料は低めに設定されています。

一般信用取引は、各証券会社が独自で株を調達して、投資家に貸し出しをおこないます。機関投資家から株を調達することがないので、逆日歩はかかりません。しかし、貸株料は制度信用取引よりも、やや高めに設定されています。各証券会社によって取扱銘柄がバラバラなので、複数の証券口座を持っておくと、多くの優待を取得できるチャンスが広がります

※貸株料…証券会社から株を借りるために支払うお金

株の在庫がなくなる前に、クロス取引するのがおすすめ

一般信用取引は、証券会社が持つ在庫数以上の取引はできません。特に権利付き最終日が近くなると在庫数は減ります。優待を狙って直前にクロス取引をしようとして、在庫がなくて信用売りができないおそれもあります。株の在庫数は証券会社のホームページでチェックできるので、気になる銘柄は定期的に確認しましょう。

一般信用取引ができる証券会社は?

一般信用取引で信用売りができる証券会社は、あまり多くはありません。有名どころですと、SBI証券カブドットコム証券松井証券楽天証券です。下表は、現物・信用取引の手数料、貸株料のコストでバランスの良いSBI証券のコスト一覧です。

SBI証券のクロス取引にかかるコスト(税別)>

売買金額 手数料 1日の貸株料
(無期限/短期)
2日間のコスト目安
(無期限/売短)
現物 信用
10万円 90円 90円 5.5円/10.7円 191円/201円
30万円 250円 180円 16.4円/32円 463円/494円
50万円 250円 180円 27.3円/53.4円 485円/537円
100万円 487円 350円 54.8円/106.8円 947円/1,051円

(最終更新日:2019年3月6日)

※一般信用取引(無期限・短期)の貸株料
・無期限 … 年2.0% (例:10万円の株の場合、10万円×2.0%÷365日=5.5円
・短期 … 年3.9% (例:10万円の株の場合、10万円×3.9%÷365日=10.7円

※一般信用取引の「無制限」と「短期」の違い
一般信用取引の返済期限は、各証券会社ごとに異なります。「無期限」の取引は、返済期限がありません。「短期」の取引は、返済期限が各証券会社で決められています。例えばSBI証券の場合は“15営業日”です(2018年12月現在)。無期限と短期では、取り扱う銘柄が異なります。

クロス取引にかかるコストは、主に下記の4つです。 (※配当金と配当落調整金の差額は外しています)

  • 現物買いの手数料
  • 信用売りの手数料
  • 貸株料
  • 名義書き換え料

では、実際にクロス取引をすることで、どのくらいお得になったのでしょうか?具体的に計算してみました。

カブドットコム証券で株主優待

クロス取引をしたことで、「8,394円」もお得に優待をゲット!

一般的な優待取得方法でココスジャパン(9943)の株主優待を狙ったところ、8,900円の損失が出ました。それに対して、クロス取引をした場合は、下の表にあるとおり506円の損失になりました(配当金と配当落調整金の差額分は考慮していません)。その差なんと8,394円です!ココスジャパンの株主優待は1,000円分の食事券だったので、1,000円分からコスト分の506円を引くと、最終的に494円分のプラスになりました。

※貸株料は、権利付き最終日と権利落ち日の「始値」で計算して、四捨五入しています
※各種手数料は税別です

SBI証券の一般信用(無期限)で、今回のココスジャパン(9943)をクロス取引したときのコスト>

コストの種類 発生する金額
現物買いの手数料 250円
信用売りの手数料 180円
貸株料
(23万6,700円×2.0%÷365日×1日)

(23万200円×2.0%÷365日×1日)
26円
名義書き換え料 50円
合計 506円

クロス取引を活用してお得な優待生活を!

クロス取引は複雑そうに見えますが、慣れてしまえばとても簡単な取引方法です。株主優待は食事券や商品券、旅行券などいろいろな種類があります。クロス取引を駆使してお得な優待生活を送ってください!

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