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ソフトバンクの社債型種類株式は買うべきか?メリット・デメリット、どこで買うのかも紹介

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2024年2月20日

2023年11月2日に、ソフトバンク(9434)の「社債型種類株式」が東証プライム市場へ上場しました。社債型種類株式は世間的認知度は低く、どんな特徴を持つ株式なのか知っている方は少ないのではないでしょうか。

この記事では、社債型種類株式の概要と、ソフトバンクの社債型種類株式について詳しく紹介しています。社債型種類株式のメリット・デメリットも詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

社債型種類株式とは?

社債型種類株式とは、社債と株式の両方の性質を持つ株式です。

社債と株式は、発行体から投資家へ対して一定の配当や利息が支払われるという共通点を持っています。両者の違いは、社債は満期になると投資元本が戻ってくる前提の商品に対して、株式には元本が戻ってくる保証はありません。

社債型種類株式は、社債と株式の性質をあわせ持った、ハイブリッドタイプの株式です。

社債型種類株式は、2つのタイプに分けられます。

社債型種類株式の2つのタイプ

  1. 固定配当型:発行から一定期間、固定の配当率で配当が支払われる
  2. 変動配当型:発行から一定期間、固定の配当率で配当が支払われた後、会社の業績や市場金利等に応じて配当率が変動する

なお、社債型種類株式は、議決権※1や普通株式への転換権※2を持っていない場合があります。議決権や普通株式への転換権を持っていない場合、社債型種類株式は議決権のない株式に分類されます。

※1 議決権とは、株主総会でおこなわれる議案に対して、賛成か反対かを投票できる権利です。
※2 転換権とは、株式に転換する権利のことで、社債によっては付与されています。

社債型種類株式のメリット

社債型種類株式の主なメリットは次の2点です。

① 配当が保証されている

社債型種類株式は、事前に決められた固定率もしくは固定金額で配当が支払われるため、安定した配当収益が見込めるのがメリットのひとつです。

② 普通株式よりも優先して元本が戻ってくる

社債型種類株式は、万が一発行体が破綻したときでも、普通株式よりも先に返還が受けられます。

一定の条件や期間が満たされた場合、投資した元本が戻ってくるケースもあり、より債券に近い性格を持った金融商品です。

③ 発行側は議決権の希薄化を予防できる

社債型種類株式に議決権がないことは、発行体にとってメリットになります。

なぜなら、新しい株式を発行しても、既存の株主の議決権が薄まる(希薄化する)ことがないからです。普通の株式を発行すると、新しい株主も会社の決定に投票できるようになり、それによって既存の株主の議決権の重みが相対的に小さくなります。

しかし、社債型種類株式では、新しい株主には議決権がないか、あっても限られているため、会社経営に対する既存株主の影響力が保たれるのです。

普通株式を増資すると、経営者の持株比率が低下してしまいます。乗っ取りを目論む会社が、第三者割当増資の手法を使って、株式の過半数を取得してしまうかもしれません。

経営者の経営への影響力を維持しつつ増資をおこなうには、社債型種類株式の発行は有効な手段です。

社債型種類株式のデメリット

社債型種類株式のデメリットとして考えられる点は、次の2点です。

それぞれ見ていきましょう。

① 市場の変化による配当の調整ができない

配当金額の固定は、市場の状況によって発行体と投資家双方へ影響を及ぼすでしょう。

事前に固定率もしくは固定額として配当金額が決まってしまうため、業績や市場の変化によって配当金額を調整できません。

発行当初よりも市場や会社の業績が良くなれば投資家が損をすることになり、逆に発行時よりも業績が悪化すると結果として投資家が得をします。

② 普通株式への転換権がなく企業経営に参加できない

株主総会で手を挙げて発言したり、株主総会での決議に参加して票を入れたい人にとって、議決権や転換権のない社債型種類株式は、選びにくいかもしれません。

社債型種類株式は、配当収入の確保にのみ重点をおいて買い付けしたい投資商品です。

ソフトバンクの社債型種類株式

ソフトバンク(9434)は、国内で初めての社債型種類株式を発行し、2023年11月2日に「ソフトバンク第1回社債型種類株式 (94345)」が上場しました。

概要をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

項目概要
名称ソフトバンク第1回社債型種類株式 (94345)
発行数3,000万株
発行価格1株当たり4,000円
発行総額1,200億円
配当年率2.500%もしくは、
変動の基準金利に3.182%を加えた率※3
議決権なし
普通株式への転換権なし
上場市場東証プライム市場

※3 2029年3月31日以前に終了する各事業年度に基準日が属する場合は2.500%、2029年4月1日以降に終了する各事業年度に基準日が属する場合は、変動の基準金利に3.182%を加えた率になります。

ソフトバンクは、通信・IT技術の高度化や次世代社会インフラの構築に関連した成長投資をおこないつつ、株主への高還元を実現するには、財務基盤強化が欠かせないとしています。今回の社債型種類株式の発行は、財務基盤強化策のひとつです。

広報のインタビュー記事によると、普通株式の増資による普通株主への影響を考えると、社債型種類株式の発行が資金調達方法として最適だという結論に至ったとのことです※4

※4 え? ソフトバンクがまた上場? 国内初「社債型種類株式」上場とは(ソフトバンクニュース)

普通株式との比較

社債型種類株式と普通株式の違いを一覧表にまとめました。

特徴普通株式社債型種類株式
銘柄コード943494345
議決権ありなし
利益の分配業績に基づく配当固定収益として配当
価格変動リスク
精算時の優先度社債型種類株式より後普通株式より先
ガバナンスへの影響ありなし
単元株100株100株
株主優待なしなし
財務諸表への影響資本として計上資本として計上されるが負債の扱いに近い

大きな違いは経営への参画です。社債型種類株式は議決権がないため、経営へ口出しすることはできません。業績によって配当が左右されない点も見逃せないポイントです。

取得条項(コール)の存在に注意

ソフトバンクが発行した社債型種類株式には、「取得条項(コール)」が付いています。これは発行から5年後以降に、ソフトバンクが発行価格相当額に経過配当金などの調整を加えた金額で買い戻す権利です。

あくまでコールは会社側の権利なので、100%買い戻されるとは限りません。しかし、社債型種類株式に似たハイブリッド債※5ではコールが市場慣例となっており、初回のコール可能日に早期償還される傾向にあります。このため、社債投資家はコールを前提に投資しています。

※5 ハイブリッド債とは、株式と債券の両方の性質を持つ債券のことです。普通社債よりも元本や利息の支払い順位が低くなりますが、その分利回りが高く設定されています。別名「劣後債」とも呼ばれます。

社債型種類株式もハイブリッド債と同じように、コールされる可能性を踏まえて投資を考えるのがおすすめです。コールの存在を加味すると、今回の社債型種類株式は「配当が固定された5年債」と言えるでしょう。

発行により調達した資金の用途

今回の資金調達によって得られた資金の使い道は、次のとおりです。

得られた資金の使い道

  • 生成AIを用いたサービスの実現
  • 次世代社会インフラの構築
  • 再生可能エネルギーの開発・調達
  • 中長期的な企業価値の向上に資する成長投資資金
  • 基地局・ネットワーク設備などの設備投資

ソフトバンクの社債型種類株式は買うべきか?

ソフトバンクの社債型種類株式をおすすめできる投資家の特徴は、次の3つです。

ソフトバンクの社債型種類株式をおすすめできる投資家の特徴

  1. 配当金を長期的に安定して受け取りたい
  2. なるべく投資のリスクを抑えたい
  3. 議決権を必要としない

社債型種類株式は、発行から約5年間は固定配当、その後は変動配当がおこなわれるので、安定した配当収入を長期的に受け取れる商品です。

また、議決権が制限されている代わりに、剰余金の配当や残余財産の分配に関する権利が付与されます。会社経営に関与せず、利益を得たい投資家に適しているでしょう。

なお、ソフトバンクの社債型種類株式はNISA口座に対応しているので、NISA口座で購入すれば受け取る配当金に所得税はかかりません。また、社債型種類株式は中リスクなので、NISAの「損益通算ができない」というデメリットも、あまり気にしなくていいでしょう。そのため、NISAとの相性は良いといえます。

一方、ソフトバンクの社債型種類株式をおすすめしない投資家の特徴は、次の4つです。

ソフトバンクの社債型種類株式をおすすめしない投資家の特徴

  1. 議決権を重視する
  2. 短期的な利益を求める
  3. 高い流動性を求める
  4. 会社の成長に伴う大幅なリターンを期待する

ソフトバンクの社債型種類株式は、長期的な安定収入に焦点を当てた投資商品なので、上記4つにあてはまる投資家には向いていないでしょう。

ソフトバンクの社債型種類株式はどこで買うのがおすすめ?

ソフトバンクの社債型種類株式は東証プライムに上場しているため、通常の株式と買い方は同じです。そのため、なるべく手数料が低い証券会社で購入しましょう。

ネット証券の比較表〔手数料は税込〕(2024年4月現在)
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まとめ

社債型種類株式は、社債の性質を持つ株式です。社債の発行による資金調達は負債の増加となりますが、社債型種類株式の発行による資金調達は自己資本扱いとなるため、財務健全性を損なわずに済みます

ソフトバンクの社債型種類株式は、財政状況への影響を最小限に止めつつ、資金調達をおこなうことが目的のようです。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会検定会員補を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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