- ホーム
- 株式投資関連のコラム
- ニュース・その他
- 日経平均株価が急落し一時2,000円安!日銀の追加利上げと米国の景気後退を織り込みが理由
日経平均株価が急落し一時2,000円安!日銀の追加利上げと米国の景気後退を織り込みが理由
- お知らせ
- (2024年8月2日追記)日経平均株価の終値は前日比2,216円安(▲5.81%)の3万5,909円となりました。
2024年8月2日(金)に日経平均株価が一時2,000円安となりました。2日11時現在の日経平均株価は3万6,400円台で推移しています。今回の急落には、日銀の利上げと米国での景気後退懸念が影響しているようです。このコラムでは急落の理由を解説します。
日経平均株価が一時2,000円安
2024年8月2日(金)に日経平均株価が急落、一時2,000円安となりました。2日11時現在は3万6,400円台で推移しています。
<日経平均株価の推移>
株価が急落した理由は以下の2つです。
日経平均株価が急落した理由
①日銀の利上げ
1つ目の理由は日銀による追加利上げです。日銀は2024年7月31日、金融政策決定会合で追加利上げを決定し、政策金利の誘導目標を0.25%に引き上げることとしました。
中央銀行が利上げをする場合、景気が良いことを示すメッセージとも言えます。実際、足元の日本では賃上げによる景気押し上げが期待されています。しかし、これから景気が良くなる局面での追加利上げとなったため、景気の腰折れリスクが意識されて株安につながったようです。
また、歴史的に日銀の利上げは景気後退シグナルとして機能しています。今回の追加利上げに加えて、今後もデータ次第では追加利上げをする方針を打ち出しており、こちらも景気後退を意識させる材料になったと考えられます。
このほかにも、日銀の利上げによる日米金利差※1の縮小で円高が進み、輸出が多い日本企業の業績が悪化すると予想されることも、株価を押し下げる効果をもたらしているようです。以上の理由から日本株が売られ、株安へつながったと考えられます。
※1 日米金利差とは、日本と米国における金利の差額のことです。金利差があると、キャリートレードと呼ばれる「金利の低い国の通貨でお金を借り、金利の高い国の通貨と交換して運用する」取引がおこなわれます。この取引では、金利の高い国の通貨と低い国の通貨を交換するため、金利の低い国の通貨が売られ、金利の高い国の通貨が買われます。これまで日本の金利が低く、米国の金利が高かったため、円が売られてドルが買われてきました。その結果、円安ドル高が続いて来たのです。
②米国での景気後退懸念
2つ目の理由は米国での景気後退懸念です。7月FOMCでの声明文※2と、その後に発表された経済指標によって景気後退が一気に織り込まれたと考えられます。
※2 声明文とは、FOMC後に発表される文章です。FRBによる経済や物価に対する評価、金融政策に関する決定事項が書かれています。
7月FOMCの声明文
7月の声明文を読むと、前回まではインフレのみを重視する姿勢となっていましたが、7月FOMCの声明文では雇用も重視することが書かれていたのです。
以下の文章は実際の7月FOMCの声明文で、日本語訳すると「委員会は、長期的に最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指している。委員会は、雇用とインフレの目標達成に向けたリスクは、より良いバランスに移行し続けていると判断している。経済見通しは不透明であり、委員会はその両面のマンデートに対するリスクに注意を払っている。」と書かれています。
The Committee seeks to achieve maximum employment and inflation at the rate of 2 percent over the longer run. The Committee judges that the risks to achieving its employment and inflation goals continue to move into better balance. The economic outlook is uncertain, and the Committee is attentive to the risks to both sides of its dual mandate.
出典:FRB「Federal Reserve issues FOMC statement」
このことから市場では「中央銀行が雇用を重視しなければならないほど、雇用環境が悪化している」と考えたと推察されます。雇用の悪化は景気後退のサインでもあるため、米国株式市場では景気後退が織り込まれたようです。
景気後退を示す経済指標
7月FOMCの声明文に加えて、経済指標も景気後退を織り込むきっかけになりました。1日にはISM製造業景気指数と新規失業保険申請件数の2つの経済指標が発表されたのですが、いずれも景気の悪化を示す結果となったのです。
具体的に見てみましょう。ISM製造業景気指数は市場予想48.8を下回る46.8、ISM製造業雇用指数は市場予想49.0を下回る43.4となっています。ISM製造業景気指数は50を下回ると景気後退を示すものです。この指標は以前から50を下回っていますが、声明文きっかけで景気後退が意識されたと考えられます。
<ISM製造業景気指数>
<ISM製造業雇用指数>
続いて、新規失業保険申請件数を確認します。この指標は失業保険を新たに申請した人の数を表すもので、毎週公表されます。前週比で1万4000人増加の24万9000人となり、2023年8月以来の高水準です。声明文やISM製造業景気指数とセットで景気後退が意識される材料となりました。
<新規失業保険申請件数>
まとめ
日経平均株価が急落した理由を解説してきました。今回の急落は、日銀利上げと米国の景気後退が織り込まれたものです。2008年のリーマン・ショックのような金融危機とは性質が異なる下落と言えます。引き続き情報に注意しながら、慎重に投資していきたいですね。
この記事を見た人は、こちらも読んでいます