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もしトラ(ほぼトラ)で株価はどうなる?米大統領選挙の年の株価や2024年のスケジュール、注目セクターも紹介

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2024年2月16日

2024年は米国、欧州連合(EU)、ロシア、インドなど、世界各国で選挙がおこなわれる「選挙イヤー」です。その中で最も注目されている選挙が「米大統領選」でしょう。大統領選の行方をめぐり、最近は「もしトラ(もしトランプ氏が再選されたら)」や「ほぼトラ(ほぼトランプ氏が再選)」も話題になっています。

このコラムでは、米大統領選の年の株価パフォーマンスや2024年のスケジュール、「もしトラ」が実現した際の注目セクターについて、株初心者向けにわかりやすく解説します。

詳しい解説に入る前に、この記事の3つのポイントを紹介します。

今回の記事のポイント

  1. 2024年の米国大統領選は11月5日
  2. 大統領選サイクル4年目のS&P500は平均6.1%高
  3. トランプ前大統領が再選すればエネルギー、不動産、防衛などに恩恵か

選挙イヤーとなる2024年最大の注目は米大統領選

冒頭でも紹介したとおり、2024年は米国や欧州連合をはじめ、世界各国で選挙が実施される「選挙イヤー」です。特に米国の大統領選挙が注目を集めており、株式市場にも影響を及ぼします。個人投資家の皆様も要注目です。

まず、米大統領選の主な日程を紹介します。

米大統領選の主な日程
月・日 イベント内容
2024年 1月15日 アイオワ州で共和党の候補を決める予備選挙が開始
(トランプ前大統領が勝利)
3月5日 スーパーチューズデー
(テキサス州やカリフォルニア州など多くの州で予備選挙実施)
7月15日~18日 共和党大会
(党の候補者を決定)
8月19日~22日 民主党大会
(党の候補者を決定)
11月15日 本選挙、投開票日
2025年 1月20日 大統領就任式

すでに、共和党の候補を決める「予備選挙」がはじまっています。3月5日は、予備選挙や党員集会が集中する「スーパーチューズデー」です。7月、8月に共和党、民主党で党の候補者を決める「党大会」がおこなわれ、11月5日に本選挙を実施するスケジュールになります。

米大統領選の状況(2024年1月19日時点)

2024年の米大統領選は、民主党の候補指名が確実視されている現職の「バイデン大統領」に、野党共和党の「トランプ前大統領」が臨む構図が想定されるでしょう。米リアル・クリア・ポリティクスの集計によると、1月19日時点の「バイデン対トランプ」の平均支持率は「44.4%対46%」と、「もしトラもしトランプ氏が再選されたら)」が実現する可能性が高まっている状況です。

トランプ前大統領は、自らのスローガン「Make America Great Again(米国を再び偉大に)」の頭文字から「MAGA(マガ)」と呼ばれる岩盤支持層を抱え、根強い人気を誇ります。1月18日におこなわれた共和党の候補者選びの初戦となるアイオワ州党員集会では、トップとなる51.0%の得票率を獲得して圧倒的勝利を収めました。

アイオワ州党員集会後には、投資家のビベック・ラマスワミ氏に加え、フロリダ州のロン・デサンティス知事などが大統領選の共和党候補者指名争いから撤退すると表明しています。共和党の指名争いにおいてトランプ前大統領に追い風が吹いている状況です。

ただし、トランプ前大統領は選挙戦と並行して複数の裁判を抱えています。中でも、2020年の大統領選で敗北した結果を覆そうとした罪で起訴された裁判は、3月4日に初公判が開かれる見通しです。翌3月5日はスーパーチューズデーであり、大統領選に向けた山場の時期におこなわれる裁判が、選挙戦にいかなる影響を及ぼすか注目されています。

米大統領選4年サイクルにおける株式パフォーマンス

米大統領選挙に関しては、1929年から足元までの「大統領選4年サイクル(周期)」で、S&P500は平均して「6.1%高」となりました(出所:ヤルデニリサーチ)。良好な株価推移となる背景としては、現職の大統領が再選の可能性を高めるために、選挙前に新たな公共事業の促進や減税といった景気刺激策を打ち出す可能性が指摘されています。

4年サイクルにおける4年目のS&P500の月次リターンは、最初の数か月間が冴えない展開となり、年後半は堅調に推移し、特に11月の選挙後に大きく値上がりする傾向です。米大統領選というビッグイベントを通過し、先行き不透明感から買い手控えていた投資家が株式市場に戻ってくることが想定できるでしょう。以下は、S&P500の2024年の推移を予想したイメージ図になります。

<S&P500の推移(イメージ図)>

S&P500の推移(イメージ図)

株価が上記の想定どおりに推移すると仮定した場合、足元では「高PER※1」銘柄に高値警戒感が広がる中で、中長期的に成長が見込まれる「AI・半導体」銘柄などの「押し目※2」を拾う戦略が有効と言えそうです。

※1 PER(ピーイーアール)とは、「Price Earnings Ratio」の略で、株価がEPSの何倍の価値になっているかを示すものです。一般的にPERの数字が大きいほどその株は割高、小さいほど割安と判断されます。
※2 押し目とは、値上がりしていた株価が一時的に下がることです。今後、高値をうかがう展開が予想されることから、押し目は絶好の買い場になると考えられます。

また、「大統領選前3か月間」にS&P500が値上がりすれば、現職(バイデン大統領)が当選し、値下がりすれば対抗馬が勝利するというデータもあります。個人投資家のみなさんが選挙結果を占う上で良い指標となり得るでしょう。

なお、ウォール街のストラテジストによる2024年の株価予想は総じて強気で、S&P500が「5,000ポイント(史上最高値)」を超えると予想する向きも少なくありません。仮に5,000ポイントに達した場合、1月2日終値である4,742ポイントから「5.4%」程度の値上がり余地があります。

<ウォール街のストラテジストによるS&P500の株価予想> ウォール街のストラテジストによるS&P500の株価予想

出典:Bloomberg ゴールドマン、来年のS&P500種ターゲットを約9%近く引き上げ

もしトラが実現した際の注目セクター

最後に、もしトラが実現した場合の注目セクターを見ていきましょう。注目セクターは以下のとおりです。

もしトラが実現した際の注目セクター
セクター 背景
エネルギー 石油や天然ガスの生産拡大
不動産・通信 減税
巨大IT・金融 規制緩和
防衛 地政学リスクの高まり

仮にトランプ前大統領が政権を奪還した場合、バイデン大領が進めてきた政策を転換する方針を示しています。

その内の1つとして「気候変動」が挙げられるでしょう。バイデン政権は気候変動を最優先課題の1つと位置付けています。就任初日に気候変動対策の国際的な枠組み「パリ協定」への復帰に係る文書に署名し、電気自動車(EV)や太陽光発電の導入拡大を進めてきました。2022年8月には、米国最大の気候変動対策となる「インフレ抑制法(IRA)」の成立に漕ぎ着けています。

一方、トランプ前大統領はパリ協定から再離脱し、石油や天然ガスを大幅に増産する意向を示しました。EVへの移行に向けた制度の撤廃も公言しています。仮にトランプ前大統領が11月の大統領選で再選すれば、石油や天然ガスの掘削やパイプラインの敷設など「エネルギー」業界が恩恵を受けることが期待できるでしょう。バイデン政権による政策の後押しを受けている「再生可能エネルギー・環境関連銘柄」は、少なからず戦略の見直しを迫られるかもしれません。

また、一般的に共和党が民主党よりビジネス寄りと見られる中、トランプ前政権が手掛けた法人減税への支持は根強いものです。トランプ氏は大統領1期目に導入し2025年に失効する所得税減税の恒久化も計画しています。これらの減税策が実施されれば、「不動産」や「通信」業界などに恩恵をもたらすでしょう。

バイデン政権が「巨大IT企業」への規制強化を図る中、トランプ前大統領が勝利した場合、規制環境が緩和されることで、規制当局から提訴されている「メガテック」が恩恵を受ける可能性があります。

その他、規制緩和への期待から「金融」、防衛強化への思惑から「防衛(サイバーセキュリティ含む)」関連銘柄の株価の値上がりも期待できるでしょう。特に防衛に関しては、バイデン大統領もしくはトランプ前大統領のいずれが勝ったとしても、ウクライナ、中東、中国など地政学リスクの高まりを背景に、中長期的に投資マネーの流入が期待できそうです。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会検定会員補を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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