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NISAロールオーバーとは?

ロールオーバーとは、NISAの非課税期間である5年が満了する場合、証券会社に手続きをすることで、翌年以降も非課税期間を延長する制度のことです。

2017年にはじめたNISA枠は、2021年末で5年の満了をむかえます。そのため、まだNISA枠で購入した株や投資信託を持っている方は、次の3パターンのうちいずれかの対応が必要です。

  1. ロールオーバーする
  2. 課税口座に移す
  3. 売る

どれを選択するべきかは、投資状況によって異なります。ロールオーバーのメリット・デメリットや、ロールオーバーをしたほうがいい場合などを詳しく解説するので、ロールオーバーを検討している方はぜひ参考にしてください。

NISAロールオーバーとは?

5年間の非課税期間が終わったあと、翌年の投資枠に乗り換えてさらに5年間、非課税期間を延長する制度のことです。つまり、ロールオーバーをすると最大10年間非課税で運用できるようになります。

下図を見ると、一番上にある2016年の投資枠は2020年末で終了ですが、ロールオーバーをすると2021年の枠に移されて、2025年まで非課税期間が続いていることがわかります。

ロールオーバーの一例

(出典:SBI証券

ロールオーバーをすることでどんなメリット・デメリットがあるのか、どんな人がロールオーバーをするのが良いのかを、順番に見ていきましょう。

今後、5年以内に資産が値上がりする見込みならロールオーバー

おさらいになりますが、非課税枠が5年の満了をむかえたあとに取る行動は、次の3パターンから選びます。

  1. ロールオーバーする
  2. 課税口座に移す
  3. 売る
方法 特長
ロールオーバー ・非課税期間を5年間延長できる
② 課税口座に移す
(特定口座または一般口座)
・課税口座に移したあとに出た利益には、20%の税金がかかる
・損失を出したとき、「損益通算」ができる
③ 売る ・2017年に買った株式は、2021年12月30日(木)までに売れば、利益が非課税になる

「どれを選んだらいいのかわからない」、と迷ったときは、下記の大まかな基準をもっておくと判断が楽です。

  • 今後も株価が上がる見込みならロールオーバー
  • 今後も株価が上がる見込みだけど、もっと利益が出そうな銘柄が他にあれば課税口座に移す
  • これ以上株価上昇が見込めず、利益を確定したいなら売る

ロールオーバーのメリット

投資枠の上限「120万円」を超えた分も非課税になります!

投資枠の上限「120万円」を超えた分も非課税に!

ロールオーバーなら、NISAの投資枠の上限である120万円を超えて投資ができます。これがロールオーバーの最大のメリットです。一度売ってしまうと、上限の120万円までしか投資できません。投資額が大きければ大きいほど、株価が上がったときの利益も大きくなるので、より非課税の恩恵を受けられます。例えば、下記の例を見てみましょう。

(例) 2017年に買った100万円の株が値上がりして、2021年末に150万円になっていた。

この時点では、50万円の利益が非課税になります。さらにロールオーバーをして200万円になれば、合計100万円分の利益が非課税になります。もし、一度売って買い直していたら、NISA枠では最大120万円までしか買えないので、同じだけ株価が上がったとしても非課税効果は薄くなります。

無駄な税金を払わなくて済みます!

ロールオーバー課税口座

(例) 2017年に買った100万円の株が値下がりして、2021年末に50万円になっていた。

上記の例のように、買値より株価が下がってしまった場合も、自分の中で「今後、株価が上昇する」という見込みであれば、ロールオーバー(または売却後NISAでの買い直し)がおすすめです。この株を、もし課税口座に移してしまうと、移した時点の評価額(50万円)が購入金額とみなされてしまいます

50万円で買ったとみなされると、株の評価が最初の100万円に戻っただけで、100万円-50万円=50万円の利益に税金がかかってしまいます(税額10万円)。買ったときより株価が下がっているのに、税金を支払わなければいけません。これを回避するためにも、今後株価が上昇する見込みがあれば、ロールオーバーをするか、一度売って新たなNISA枠で買い直すのがかしこい方法です。

ロールオーバーのデメリット

損失を出すと、非課税の恩恵を受けられない

ロールオーバーは非利益が出てないと非課税対象がない

NISAは、あくまで「利益が出た場合に、支払わなければいけない20%の税金を0円にします」という制度です。利益が大きければ非課税効果は絶大ですが、反対に損失を出してしまうと、非課税の恩恵は受けられません。

損失を出しても、NISAは「損益通算」ができない

ロールオーバー課税口座

損益通算」は、利益と損失を合わせて、支払う税金を減らせる(ゼロにできる)制度です。NISAは残念ながら、この損益通算ができません

仮に、NISA口座で100万円だった株が5年後150万円になり、ロールオーバーをしたら値下がりして130万円で売ったとします。このとき、売却価格130万円-購入価格100万円=30万円の利益が発生します。もちろん、この30万円に対して税がかけられることはありません。

ロールオーバーをせずに、150万円の株式を特定口座(一般口座)に移した場合は、その株を150万円で新たに買ったことになります。同じく、そのあと130万円になって売ったとします。このとき、売却価格130万円-購入価格150万円=-20万円となり、損失扱いになります。

ここがポイントなのですが、どちらの場合も、最初の100万円が130万円になっていることに変わりはありません。ただ、特定口座(一般口座)に移した場合は、20万円の損失が出たとみなされるので、損失通算することができます。損益通算してもマイナスになった場合は、翌年以降3年間にわたってこの損失を繰り越すことができます。さらに、ロールオーバーをしなかったことで、新たに120万円の非課税枠を使うことができます。

ロールオーバーをしたほうが良い人

  • 5年間の非課税期間で、株価が上がり120万円を超え、さらに上がると思っている人
  • 5年間の非課税期間で、株価は下がったが、その後5年以内に大きく上がると思っている人
  • 自分が注目している銘柄のなかで、その銘柄が最も株価が上がると考えている人
  • 株価は横ばいだが、高配当株で毎年数万円の利益を得ている人

忘れた場合どうなる?

NISA口座で持っている銘柄を、ロールオーバーも売却もせずにそのままにしておくと、自動的に「特定口座(一般口座)」に移されます。その場合、その時点の評価額で、新たにその株を買ったとみなされます。では、その後の税金の扱いはどうなるのでしょうか?「株価が上がっている場合」と、「株価が下がっている場合」で、それぞれ見ていきましょう。(画像の例は投資信託になっていますが、株でも同じです)

NISA枠で買った資産が値上がりしている場合

2017年にNISA枠で買った株120万円が値上がりして、2021年末に150万円になっていたとします。課税口座へ移った後は150万円の株を新たに買ったことになります。仮に、その後さらに値上がりして200万円になって売った場合、200万円-150万円=50万円が利益として計算され、この50万円に税金がかかります。

ロールオーバーせず、株が値上がりしていた場合

(出典:マネックス証券

NISA枠で買った資産が値下がりしている場合

2017年にNISA枠で買った投資信託120万円が値下がりして、2021年末に70万円になっていたとしたら、70万円の投資信託を新たに買ったことになります。仮に、その後さらに値上がりして100万円になって売った場合、100万円-70万円=30万円が利益として計算され、この30万円に税金がかかります。NISA枠での購入価格は関係ありません

ロールオーバーせず、株が値下がりしていた場合

(出典:マネックス証券

このように、ロールオーバーをするかしないかで、得られる結果は大きく変わってきます。

ロールオーバーはいつまでにすればいい?(2021年版)

ロールオーバーをおこなうには、NISAを利用している証券会社へ、決められた期限内に申請書を提出する必要があります。提出方法は、証券会社から「非課税口座内上場株式等移管依頼書」が送られてくるか、自分で申請書を請求します。下表を参考に、期限内に必要項目を記入して提出してください。なお、こちらの手続きをしない場合は、自動的に「特定口座」に移されます(特定口座がない場合は、「一般口座」に移されます)。

2021年のロールオーバー申込書の請求・提出期限
証券会社 申込書請求 返送期限(必着)
auカブコム証券 必要 12月1日まで
楽天証券 不要
(ウェブからの申込みで即時完了)
12月30日まで
SBI証券 必要
12月9日まで
マネックス証券 不要
(対象者に郵送)
11月30日まで
松井証券 必要
11月17日まで
11月30日まで
岡三オンライン 不要
(対象者に郵送)
11月30日まで
GMOクリック証券 不要
(対象者に郵送)
11月30日まで

「ロールオーバーするかどうか」を迷ったときは、今の資産をロールオーバーした場合と、新たに資産を買った場合とで、どちらがより利益を期待できるのかを考えてみましょう。その結果、「今の資産が一番利益が出そう」と思ったら、それをNISAロールオーバーします。

もう一つは、例えばロールオーバーの対象となる資産が、500万円(特定の株式など)くらいに膨れ上がっていて、今後も値上がりが期待できる場合です。期待できる利益の金額が、新たに投資枠120万円で期待できるものより大きくなるので、NISAロールオーバーが選択の最有力候補になります。

私は「中長期投資を続けていく」という理由から、ロールオーバーをする予定です。中長期投資とロールオーバーの相性はバツグンに良いので、同じ投資スタイルの人にはおすすめです。

☆ロールオーバーの申し込みは期限があるので、早めに手続きをしましょう!

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