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【ペロブスカイト太陽電池関連株・銘柄まとめ】再生可能エネルギーの本命?メリット・デメリットなどを解説
ペロブスカイト太陽電池関連株は、「ペロブスカイトと呼ばれる素材を使って太陽電池を作る会社や、その材料を提供する会社の株」です。
この記事では、ペロブスカイト太陽電池関連株の今後の見通しや関連銘柄10社をピックアップしてご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ペロブスカイト太陽電池とは?メリット・デメリットも解説
ペロブスカイト太陽電池とは、ペロブスカイト構造を持つ材料で製造された太陽電池です。
従来型のシリコン太陽電池と違って、軽く薄く曲げやすいので、屋根や壁、自動車などのさまざまなものに取り付けできます。
ペロブスカイト太陽電池は「ガラス型」と「フィルム型」に大きく分けられ、日本では特にフィルム型の大型化や耐久化の技術開発で世界をリードしています。
出典:積水化学
ペロブスカイト太陽電池の主原料であるヨウ素は日本に豊富にあり、日本産ヨウ素は世界シェアの3割※1を占めています。日本はペロブスカイト太陽電池で世界をねらえる立ち位置にあると言えるでしょう。
※1 参考:日本の再エネ拡大の切り札、ペロブスカイト太陽電池とは?(前編)~今までの太陽電池とどう違う?(経済産業省資源エネルギー庁)
ペロブスカイト太陽電池のメリット
ペロブスカイト太陽電池のメリットは、次の3つです。
ペロブスカイト太陽電池のメリット
- 軽量で柔軟性がある
- 低コストで製造できる
- レアメタルを必要としない
ペロブスカイト太陽電池は、シリコン太陽電池と違って軽量で柔軟性があるのが特徴です。塗布や印刷などの方法で製造できるため、低コストで製造できます。レアメタルなどの希少材料を必要としないため、材料に困ることもありません。
ペロブスカイト太陽電池のデメリット
ペロブスカイト太陽電池のデメリットは、次の3つです。
ペロブスカイト太陽電池のデメリット
- 耐久性が低い
- 変換効率が低い
- 鉛を使用
従来のシリコン太陽電池と比べると、耐久性と変換効率が低いです。また、人体に有害な鉛を使用している点も問題視されています。技術開発により少しずつ改善が進んでいますが、今後の状況を注視する必要があります。
ペロブスカイト関連株は国策銘柄
ペロブスカイト太陽電池関連株は国策銘柄※2です。2050年カーボンニュートラル(CO2排出をゼロにする)の世界共通の目標をふまえ、太陽光発電は日本の再生可能エネルギーの主力電源に位置づけられているからです。
※2 国策銘柄とは国が補助金や施策で支援している分野の株です。建設や半導体、防衛、宇宙関連などが代表的な国策銘柄として挙げられます。
国内の太陽光発電の普及率はすでに世界トップクラスですが、山間部が多い日本では大規模太陽光発電に適した場所は残り少なくなっています。そのため設置場所を問わないペロブスカイト太陽電池の実用化が急がれているのです。
政府はペロブスカイト太陽電池の導入に向けた数値目標を定め、2024年度中に改訂する次期エネルギー基本計画に盛り込むとしています。
ペロブスカイト関連株・銘柄一覧
ペロブスカイト太陽電池を製造する会社とその材料を提供する会社を取りあげました。
1.ペロブスカイト太陽電池メーカー
ペロブスカイト太陽電池の開発をリードする積水化学工業(4204)、印刷技術を転用するサカタインクス(4633)、自動車塗装のスプレー技術を生かすアイシン(7259)、ガラス型の太陽電池を開発するAGC(5201)とパナソニックHD(6752)をピックアップしています。
2.ペロブスカイト太陽電池の材料を提供する会社
封止(外気に触れないよう包む)素材を開発する東レ(3402)、正孔輸送(太陽光を電気に変える)材料を作る日産化学(4021)、大手ヨウ素メーカーの伊勢化学工業(4107)、ペロブスカイトの研究用試薬を提供する富士フィルムHD(4901)、研究開発向けに素材の分析機器や測定器を製造する堀場製作所(6856)をご紹介します。
銘柄名 (クリックタップで最新株価) |
事業内容 |
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東レ(3402) | 素材・繊維メーカー大手。ペロブスカイト太陽電池の封止に使える従来比コスト1/5の超ハイバリアフィルムを開発した。2027年3月期までに政策保有株の半分相当(1000億円)を売却し全額を自己株式取得に充てる。 |
日産化学(4021) | 大手化学品メーカー。ディスプレイや半導体向けの機能性材料およびラウンドアップなどの農薬が主力製品。ペロブスカイト太陽電池向け正孔輸送材料の開発に取り組む。配当性向は55%を維持する方針。 |
伊勢化学工業(4107) | ヨウ素メーカー世界的大手。ペロブスカイト太陽電池の発電層に使うヨウ素・ヨウ素化合物を採取・生産している。天然ガスの採取や電子機器向けの金属化合物の製造・販売も手がける。 |
積水化学工業(4204) | 大手化学品メーカー。住宅向け部材に強み。フィルム型のペロブスカイト太陽電池の1m幅(従来品は30cm幅)の25年度事業化に向けて⽣産技術の確⽴急ぐ。2025年3月期は15期連続増配を見込む。 |
サカタインクス(4633) | 印刷用インキメーカー。印刷技術で生産できる低照度でも高効率発電が可能な太陽電池の開発に取り組む。京都大学が立ち上げた「フィルム太陽電池研究コンソーシアム」に参画。 |
富士フイルムHD(4901) | 大手化学品メーカー。ペロブスカイト太陽電池の第一人者である桐蔭横浜大学の宮坂力教授は同社出身。子会社の富士フイルム和光純薬がペロブスカイト太陽電池の研究用試薬や化合物を製造販売している。 |
AGC(5201) | 素材メーカー大手。壁面、天窓、手すりなどにガラス建材としても使えるガラス一体型太陽電池「サンジュール®」を作っている。京都大学の「フィルム太陽電池研究コンソーシアム」にも参画。 |
パナソニックHD(6752) | 大手総合電機メーカー。建築基準を満たした強度・厚みを持つガラス建材として利用できるガラス型ペロブスカイト太陽電池を開発。結晶シリコン太陽電池に匹敵する世界最高レベルの変換効率を実現。 |
堀場製作所(6856) | 計測・分析・制御機器メーカー。半導体と自動車向けに強み。各種の太陽電池の材料の光特性、結晶性、元素分布、キャリア寿命などの測定・分析用機器やサービスを提供している。 |
アイシン(7259) | トヨタグループの自動車部品メーカー。耐用年数20年以上を目標に薄板ガラスを使ったペロブスカイト太陽電池を開発している。スプレー塗装の技術をペロブスカイト層の塗布に転用し高品質の製品供給を目指す。2025年に自社工場で実証実験を計画。 |
ペロブスカイト関連株・銘柄の見通し
ペロブスカイト太陽電池関連株の見通しを「良い・普通・悪い」で表すと、「良い」と言えます。課題であった耐久性や変換効率(太陽光を電気に変換する際の効率)などの性能が実用的なレベルに達し、大量生産の段階に移行しつつあるからです。
それではペロブスカイト太陽電池のプラス材料とマイナス材料を見ていきましょう。
① プラス材料
ペロブスカイト太陽電池のプラス材料について説明します。
1.国の政策
世界の脱炭素化の要求に応えるため、日本も再生可能エネルギーを増やす計画です。太陽光発電には主力電源として期待がかかります。従来型のシリコン製太陽光発電の敷設に向いた土地が残り少なくなるなか、設置場所を選ばないペロブスカイト太陽電池に期待が寄せられています。
2.自治体の政策
太陽光発電への補助金は国と自治体が設けています。また、京都府や群馬県に続き、東京都や川崎市でも一定規模以上の新築建物に太陽光発電設備の設置が義務付けられるようになります。神奈川県は、ペロブスカイト太陽電池の実装に向けてマクニカ(3132)などと提携を結びました。
3.米中対立
従来型のシリコン太陽光電池は中国がシェア8割※3を占めると言われています。しかし、米中対立をめぐり中国製品の対米輸出が規制されるようになりました。ペロブスカイト太陽電池の原料であるヨウ素が豊富に採れる日本にとっては市場獲得のチャンスです。
※3 参考:中国製品に対する輸入規制が向かい風に(JETRO)
② マイナス材料
ペロブスカイト太陽電池のマイナス材料について説明します。
1.耐久性が低い
研究開発が進んだとはいえ、従来型のシリコン太陽電池の耐用年数20年にはまだ届かない状況です。
2.人体に有害な鉛を使用
量は少ないものの、ペロブスカイト太陽電池には鉛が使われています。劣化や風雨で鉛が溶け出せば環境や人体に影響が出る恐れがあります。鉛を使わない技術の開発に期待が寄せられています。
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まとめ
ペロブスカイト太陽電池の開発は大量生産に向けた実用化の段階にあります。軽く薄く曲げられるペロブスカイト太陽電池は取り付け場所を問わないので、工夫次第で太陽光の発電量を増やすことができます。太陽光発電を普及させる新たな手段としてペロブスカイト太陽電池には大きな期待が寄せられています。
ペロブスカイト太陽電池関連株を検討する際は、内外の政策や規制、各社の研究開発と量産化のタイミングやシェアの動向に目を配ることが大切です。技術開発で先端を走る日本のメーカには世界シェアの獲得をぜひ期待したいですね。